「勿論この事は知ってらっしゃると確信しておりますが、ナザリック地下大墳墓は現在、崩壊の危機に瀕しております」
世界崩壊の理由を突き止め、その原因を排除すること。
その食堂で『執事』が口火を切ると、館に集った6人の階層守護者たちはそれぞれ己の知りうる情報を口にした。
モモンガの目前に浮かんでいるヒント・ウィンドウは議論の結論だろう。だが彼にしてみれば、議論の結論などよりも表情差分が多用され、情緒豊かにフルボイスで喋るNPCたちの挙動をどのようにすれば再現できるのか、という作り方のヒントのほうがよっぽどほしかった。
「ナザリックの崩壊は地表部より始まり、今や情報の中枢『
「妾たちは<
「あの時からモモンガ様はこの日のことを予見してらしたんですよね!」
「非常時故シカタナイ事トハイエ、身体能力ガ大幅ニ低下シテオリマス。デスガ全テハモモンガ様ノ掌ノ中。何モ恐レル事ハアリマセン。我々ハソノタメニ召喚サレタノデスカラ」
「ですが、あの、守護者統括とは、その、連絡がつきません。ごめんなさい!」
まるで生きてるみたいだなあ。
……なんて、よくできたNPCを褒めるありきたりな感想しか浮かばない。
しかし全ての現象はイベント管理で説明できる。フリーゲーム製作に力を注いできたモモンガのいまの知識ならば、最新のDGFEの粋を駆使し、なおかつ労力を惜しまなければこれらの動作は理論上再現可能なのだ。
たぶん。きっと。おそらく。あしたからがんばる。
モモンガの脳裏ではどのようにイベントを組みあわせれば実現可能かと推察するのに余念がない。
(……口パクも完璧だ。さっきのイベントといいこの場での表情差分多用といい、作りこみが半端じゃない)
「ともあれ、守護者統括殿が姿を隠し、ナザリック内では転移もできない、となれば、おのずと打てる手は限られます。
モモンガ様。
私如きではその偉大なる英知を推し量ることなど到底叶いませんが……どうぞ我らを如何様にも使い潰し、快刀乱麻をお断ちくださいませ」
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エモーション豊かなNPCたちとの感動の再開()の後。
一定時間経過で進行する時限式イベントだったのか、はたまたいつまでも終わる様子をみせず困っていたモモンガの様子を察したのか、場の混沌を収めたのは『悪魔』であった。
「今から問題の事件について議論するところでした。もっとも、この未曾有の危機をあらかじめ予見し、そして我々だけでは手に負えず万策尽きたとみるや即座に御降臨なされたモモンガ様ならば委細承知の上でしょうが」
という言葉で我に返った一同は改めて平伏したのだが、モモンガはその後発生した選択肢ウィンドウから『……?』を選んだところ、ならば早速とばかりに大広間の扉の先にあった食堂へと場所を移し、モモンガは食堂内にあった長机のいわゆるお誕生日席に座ることとなった。
守護者たちは長机を挟んで左右に三人ずつ分かれて起立の姿勢をとり――その後、以上のような言葉が交わされたのだった。
ただ、前述の通りNPCの一挙手一投足に気を取られていたモモンガは、いまひとつストーリーに集中できず話半分に聞き流す形となっていた。しかしナザリック崩壊という単語を聞かされ、世界崩壊という単語を見せられれば、このゲームがどのような内容か大方の予想はついていた。
(まさかアインズ・ウール・ゴウンのギルド拠点を題材に、崩壊モノ作ったヤツがいるとは)
世界崩壊モノ――崩壊モノとも略されるそれは、旧ユグドラシルプレイヤーが主に作成するフリーゲーム群で、ユグドラシルのサービス終了を世界崩壊と見立て、残されたNPCたちが……といったていで始まる一種のテンプレでストーリーある。
果たしてこのゲームが崩壊モノのテンプレに沿うならば、この場は対象となるNPCたちが所属するギルド拠点――アインズ・ウール・ゴウンのギルドならばナザリック地下大墳墓の何処か――を舞台したものであるはずだが、モモンガの記憶にはナザリック内に『隔離区域・ウル別館』なるマップなどない。
ということは、ここはモモンガの知るナザリックではないだろう。
いらんアレンジを加えよってからに、とモモンガは内心憤慨した。
(ナザリック地下大墳墓については俺が一番詳しいんだからな!
こういう会議やるなら円卓の間で良いんだよ!)
ナザリック地下大墳墓がフリーゲームの素材として使われることに思うところは多々ある――が、リアルの体に装着された心臓ペースメーカーが働いたのだろう、急速に興奮状態は抑圧された。地獄のような労働に苦しんでいるのは何も『ヘロヘロ』さんだけではない。モモンガの身もまた過酷な重労働で病んでいた。
テンプレといえばユグドラシルのサービス終了日に相次いだ自殺者の存在もまた、時を経ても不謹慎ながらユグドラシル・ツクールではよくネタにされる。
彼らを一世紀以上前に流行った転移モノ、転生モノなるジャンルにあわせこみ、ギルド拠点とともに異世界に転移した、というところから始まるフリーゲームもある。
閑話休題。
この崩壊モノのテンプレのオチは、色々手を尽くしても容赦なく世界が滅ぶものから超展開でNPCたちが救済されるものまで様々。
そういうものだと考えれば居並ぶNPCはいずれも『アインズ・ウール・ゴウン』の面々が制作したキャラクターであろうことは明白だが、ユグドラシル・ツクール内で非常に人気が高く、さまざまなジャンルのNPCとして引っ張りだことなっているシャルティアを除いて、モモンガはこの場にいる他のキャラクターの名前や設定などの記憶があいまいであった。
少なくともモモンガ自身は一度以上は彼らのキャラクター設定に目を通したことがあるはずなのに。
そう、ずっと昔。
たった一人でナザリック大墳墓を維持していたとき。
在りし日の思い出を振り返るように、去っていった者が残したものを、モモンガは確かに目を通したはずなのに……残念ながらモモンガの中の人――鈴木悟――は一介の人間であり、そして人間とは記憶が摩耗するものだ。
ユグドラシル・ツクールに登録されているサンプルNPCは、十二桁の英数字が割り振っただけの無味乾燥とした表示になっている。種族レベルや職業レベルの項目はデフォルト設定があるものの、製作者の思いが詰まったキャラクター設定を閲覧することはできなくなっていた。R18指定必須なキャラクター設定が書かれすぎていることが主な原因ではないかと某掲示板ではまことしやかに囁かれている。
とはいえ、モモンガにとってのトラウマ……この場にはいないアルベドの設定をNPC製作者の許可も取らずに書きかえたことがバレる心配がなくなったともいえる。
罪悪感から記憶に根深く残っているアルベドの設定すら、ユグドラシル最終日に確認するまでは守護者の統括でありナザリック地下大墳墓の最上位NPCだった、ということくらいしか記憶になかった。その日から六年以上経ってしまえば、何をか言わんや、である。
(うん。ログアウトしたらギルドのwikiみなおしてこよう。全員は載ってないけどNPCでもシャルティアとか、他にも何人かの記事は書かれてたハズだし)
「モモンガ様。よろしかったでしょうか?」
モモンガが物思いにふけっていると、音もなく傍らに控えていた『執事』に声をかけられた。
議論はいつの間にやら止まっていて、みな一様にモモンガを見つめている。
(ああ、聞き漏らしがないように集中力が途切れてたらストーリー進行止まるのね。ホント、凝ったつくりしてるよなあ)
リアリティのある反応であるが、これらの現象もイベントフラグ管理とゲーム中プレイヤーのバイタル確認機能を参照とする関数をなんかいい感じに上手く組み合わせれば、十分に実現可能な挙動である。クソがつくほど面倒そうな手間ヒマをかける必要はありそうだが。
モモンガは改めて『執事』を見る。執事とはかくあるべし、という理想を追求したかのような身なりをした白髪の老人で、ピンと伸びた背筋や鋭い目つきからは「老いて尚健在」という言葉を連想させずにはいられなかった。
見覚えはあれども残念ながら名前は思い出せない。
半年以上前にプレイしたオフラインゲームに登場する執事系キャラクターの名前はバトラーであったが、それはこの『執事』の名前ではないだろう。では正解は何かと聞かれても答えられそうにない。代わりにわかることをモモンガは答えた。
「ああ、大丈夫。聞いてる聞いてる。だいたいわかってるよ。
世界崩壊の理由を突き止めて、その原因を排除すればいいんだろ?
パターンはそんなに多くないんだ。どれが真因か突き止めればいい」
目の前にうかぶヒントをほぼそのまま読み上げ、そして崩壊モノのテンプレから推定されるオチを予想すると「流石はモモンガ様」等等と口々に敬われた。
ストーリーはちゃんと聞いていると示しただけなのに、まるで会話するかのように自然な反応を返すのだな、とモモンガは感じた。
AIプログラムより簡素で機械的なイベント管理であるはずなのに、人間性、という表現をNPCに対し用いることが適切ではないことは分かっているが――生命を吹き込まれたかのように生き生きとしている。
「まさに端倪すべからずという言葉が相応しきお方……」
「今のところわからないのは、ここはどこかってことくらいだ」
「……ここはウルベルト様がナザリックに数ある隔離区域の一つに作り上げた『秘密基地』でございます」
「あー転移罠でハメ殺す隔離区域の1つをこっそり別荘にしたってことか。
ははっ。確かにウルベルトさんなら俺にも内緒で作りかねないな。秘密基地なんだし」
そういえば、とモモンガは思い出す。
いつだったか『悪の美学』についての話題となったとき、秘密基地がどうこう言っていたような気がする。
ならばこのマップは、荒唐無稽なでっちあげなんかじゃない。
かつて実在したかもしれない、という可能性のひとつを形にしたものだ。
「あースッキリした。こういうのやるなら円卓の間だ、ってイメージがあったからさ。さっきからずっと気持ち悪かったんだ」
モモンガの独り言に反応した『悪魔』はフローリングを突き破らんとするほどの勢いで土下座しだした。
「大変、大変申し訳御座いません……っ!
皆に非常時はこの地に逃げ延びるよう薦めたのは私で御座います!
私は……私なりの最善を求めるあまり、また間違ってしまったのか……モモンガ様の磐石極まりない計画を狂わせかねない一手を打ってしまったことを、死してお詫びします!」
なんか急に自殺しようとする『悪魔』に、モモンガは慌てて「やめろ。死ぬときはマジで死ぬイベント組んでるやついるからマジでやめろ。死ぬ必要はない」というと慈悲深きモモンガ様がなんやかんやと言ってうやむやになった。
なんか今の――会話になってない?
(落ち着け。勘違いするな俺!
こんなの特定の単語にAIプログラムが反応して、迫真のモーションに合わせて決められた台詞を口にしただけに決まってる!
だから――ゲームクリエーターとして完全敗北してる、なんて思う必要はないんだ)
このアバターに涙を流す機能があったら、あまりにも桁外れの才能の違いに滂沱の涙を流していたところであるが、オーバーロードであるためか別にそんなことは起こらなかった。
「その点について、現状の問題点はひとつ。
我々はこの館を出なければ行動のしようがありませんが……災いの根源を絶つためには外へ出なければならず、しかしその災いによってそもそも外へ出ることさえ叶わない、という状況です」
唐突に『執事』から繰り出された脱出ゲーム要素にモモンガは無い眉を寄せた。彼は脱出ゲームのたぐいは苦手だった。
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崩壊モノの特徴として、元ギルドメンバーがプレイすればとても感情移入しやすい点がある。
ギルドメンバーでは無い者でも、背景はともあれ世界を救うという普遍的なテーマや、糞運営をラスボスに据え易いことから数多く作られ、そしてプレイされてきた。
まだNPCたちの細やかな設定どころか名前すら思い出せないモモンガであったが、あまりにも良くできた彼らに早くも感情移入しはじめた彼は、このゲームのオチがバッドエンドでないことを祈った。
アインズ・ウール・ゴウンはPKを中心としたDQNギルド、なんてみなされていたことから望み薄ではあるが、これだけNPCを作りこむのならば、きっと救いはあるはずだ。
(頼むから上げて落とす系のストーリーだけはやめてくれよー。その展開は俺に効く)
思案から脱したモモンガが目線をあげると、再び全員の視線が自身に向けられていることに気付く。
期待する目。
この表情差分にタイトルをつけるとするならば、それ以外ないと言わんばかりの瞳。
その眼差しを向けられるだけで、言葉にせずともきっとなんとかしてくれる、という思いが伝わってくるかのようだった。
モモンガは何か能動的に動く必要があるのかと選択肢ウィンドウを探して視線を巡らせたがでていない。こんな中途半端なところでオープニングイベントが終わりとは思えず、そして何故イベントが再び中断しているのか見当もつかなかったモモンガは、さしあたって音声認識機能の汎用的なキーワード機能の一つ「再開」と口にすると、ハッとしたような様子をみせた『悪魔』が口を開いた。
「畏まりました――さて皆、何か良い知恵はないかい?
どうやらモモンガ様は、その深謀遠慮の策により、我らが思考し答えを導き出すことをお望みのようだ」
『悪魔』の問いかけに、NPCたちは思案する様子を見せる。
外見は『執事』とは別のコンセプトで作られた家令のようなのだが、銀色の装甲のようなもので覆われた尻尾は彼が人間とは似て異なる存在であることが示している。
この場にいるNPCの中では、シャルティアの次くらいにモモンガの印象に残っているキャラクターであった。なにせ親ともいえるギルドメンバーが散々自慢しまくっていたのだから。
『ウルベルト』さんはこのNPC完成直後、とても熱心にギルメンたちに『悪魔』の設定を語っていた。ログイン率の高いモモンガは自慢しているところに何度も居合わせ、同じ話を何度も聞かされて……
(確か、ウルベルトさんが作ったNPCの……デリ、デミ、デビルミゴス?
いや、なんか違うなぁ……でも、たぶんこんな感じの名前のハズだよなー)
けれど、楽しかったあの日を思い出そうにも、もうはっきりとは思い出せない。
色あせた思い出。
人間は思い出だけで生きていくことはできないのだ。
「あの、」
沈黙を破るように金髪の『男の子』が口を開いた。彼は小柄なエルフで、白地に金糸の入ったベストとスカートを身につけている。見た目が『女の子』とよく似ていて、姉弟か兄妹のどちらだったか……一見『男の子』と『女の子』の表記が入れ替わってしまっているようにもみえるが、これであっているのだ。それだけは間違いなく覚えている。
では名前は? というと出てきそうで出てこない。フェザリーヌ・何とか・アウアウローラではないのは間違いない。
むず痒い思いにモモンガが後頭部を掻いていると、再び全員の視線が自身に向けられていることに気付く。
モモンガは思わず居ずまいをただし、再び「つづけて」と先を促した。
「ハイ! じゃあ、ええと、あの、空間をナザリック内の定義空間と連結できるアーティファクトがあると聞いたことがあるのですが、その、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンって名前だったと思います」
その台詞にモモンガの記憶屋が刺激される。
リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。
ナザリック内の名前がついている部屋ならば、回数制限なしに転移でき、宝物殿に行くためにも必要なキーアイテムでもある。
懐かしさにモモンガはうんうんと頷いていると、マーレと呼ばれた『男の子』は気をよくしたのか言葉を続ける。
「えっと、あの、もしそれがあれば、館内にある特異点を軸にして、崩壊した未定義空間を越えた先の、まだ安定している定義空間に繋ぐことができる、と思います」
「リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン……先ほどの探索の際、この館のコレクションルームで見かけましたが……」
「何カ問題ガアッタト?」
「持ち出し防止のためでしょう、コレクションルーム内の他の品々と同様、呪いがかかっておりました。解呪せずコレクションルームから持ち出せば想像を絶する苦しみの末、息絶えることになるかと」
『執事』の言葉に再び沈黙が場を支配した。それは行き詰った現状を解決するアイテムは存在するものの、入手できないことを意味していた。
一方モモンガはストーリーよりも内心に浮かんだ新たな謎に頭を悩ませていた。
(あれ? でもなんでこのゲームにリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンが出てくるんだ?
ユグドラシル・ツクールの仕様では、マップの流用はできてもギミックの流用はできないんだ。
ナザリック内では普通の転移ができない、ってのは昔試してればわかるだろうけど、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンのことはギルドメンバーしか知らないだろ。
うーん……ってことは、もしかしてこのゲーム、元ギルメンの誰かが作った?)
ゲーム制作者は誰だったかな、と気になったモモンガはメニュー画面を開いてセーブした後、ログアウトしようとしたが、イベント中であるためかそもそもメニュー画面が開けなかった。
「アンタ解呪とかできないのマーレ?」
「む、無理だよ。お姉ちゃん」
「呪いの類いでしたら、ペストーニャならばあるいは」
「でもメイド長はここに来てないんでしょ? 間に合わなかったの?」
「…………」
「で、でも、僕たちいま、デミ・アストラルなんだよ?
もしここに来れても、解呪できなかったんじゃないかな」
種族、
ユグドラシル時代にはログアウトや死亡、本体への接触で元に戻る事からネット上に検証情報が書きこまれることはなかったが、ユグドラシル・ツクールの種族情報に書かれた公開情報によれば、デミ・アストラルとは<
この種族は種族レベルを50まで上げられるという一般的な例から外れた変わり種であり、レベルをあげていくことで元となるプレイヤー本体が使えるスキルや魔法の一部が取得できるという仕様だ。
ただしデメリットとして新たな職業を獲得したり、職業レベルをあげることはできない。
要はユグドラシル時代にはネタにもならないほど全く使い物にならず、けれどユグドラシル・ツクールにおいては既存キャラを弱体化させるのにおあつらえ向きの種族ということだ。外装に変化がなく、最高レベルが50であり他のレベルがあがらない、というバランス調整しやすくなる特性が注目され、ツクラー(ユグドラシル・ツクールでゲームを作る人という意味)に愛用されている種族でもある。
(デフォルト設定だと<
覚えてるスキルや魔法確認したいけど、相変わらずメニュー画面開けないしなあ……っていうか、名前だったらこいつらのステータス画面見ればわかるじゃん。わざわざwikiみにいくこともないか。これだけ凝ってて名前だけ間違ってるなんて片手落ちはなさそうだし)
「そ、それに、もし仮に解呪できたとしても、至高の御方のコレクションに手を出すなんて……」
「って、至高の御方ってアインズ・ウール・ゴウンのギルメンのことかい!」
痛々しくも恥ずかしく、けれども胸が高鳴るこのゲームの導入部に聞いたその単語の正体が判明した瞬間、モモンガが思わず反射的に突っ込みをいれた。
こう、手の甲をビシっと。
マーレとよばれた『男の子』はビクっとして俯いた。
モモンガは謎の罪悪感に苛まれた。
「あー、っと、なんか、ごめん」
「いえ! モモンガ様が謝る必要なんてないです!
謝るのは僕のほうです!
お許しもなく勝手に至高の御方々なんて呼んでてごめんなさい!
死んでお詫びします!」
「おいやめろ。お前もか。いきなり自殺しようとするな」
「マーレ、
「慈悲深キモモンガ様ガ声ヲ荒ゲルホドトハ。以後コノ呼ビ名は改メネバナルマイ」
「私が思うに、敬意が足りなかったのかもしれないね、コキュートス。至高にして究極なる御方々、というのはどうかな?」
「いや、それより本題に戻れおまえら。再開再開」
「はっ。見苦しいところを御見せしてしまい、申し訳御座いませんモモンガ様」
「時間が惜しい。改めて館内を手分けしてコレクションルームの解呪方法を探そう。ウルベルト様の個人的趣味が詰まっているこの別館ならば、どこかに情報が残されていてもおかしくない」
『悪魔』の提案に合わせ、頭を下げた『執事』を除いた五人はそれぞれ食堂から館内へと散っていく。
(……えっ?
いや、流石にいまのは、なんか、おかしくないか?)
違和感のない会話、という違和感。
AIプログラムを始めとした最新システムを駆使してもとても再現できそうにない言動。
このときモモンガはようやく、このゲームは何かがおかしいことに気付き始めた。
そして、守護者、全員死亡――
……っていうあらすじから始まる、オーバーロード原作のスマホゲー「MASS FOR THE DEAD」のサービス開始は明日(2019/2/21)からみたいッスよー(ステマ)