カルトくん大好き娘の奮闘記   作:カルトくん至上者

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カルト大好きな娘の受験

 周りを見れば、人、人、人……大勢の人が行き交う街。

 数年前までは当たり前のように毎日見ていたその光景が、酷く遠い昔のように感じて、懐かしさすら感じてしまう。 

 そう、私は街に来ていた。

「お待たせ♦」

「ありがとー」

 ヒソカと一緒に。

 出発して試験会場のザバン市に向かっている途中、いきなりヒソカが現れて「ボクもハンター試験を受けるんだ♥」と言ってついて来たのだ。

 正直、目を付けられる可能性があるので極力関わり合いたくない。

 だが、ハンター試験会場までの道のりをこの変態……ヒソカが知っているのも事実。ゴンたちと同じ道のりを行ってもいいが、ナビゲーターでは気に入れられるかの運要素があるから確実じゃない。

 そう、これは確実な方を選んだだけなんだ。

 そう自分に言い聞かせながら、ヒソカに強請って(ぱしって)買ってこさせたソフトクリームを舐める。

「うめぇー」

「ウボォーギンの真似かい?」

「そんなとこー」

 パクノダさんの徹底管理によって、私が甘味にありつけることはほとんど無い。

 あるとしたら、誕生日かマチかシズクかフランクリンから内緒に貰ったアメやチョコレートくらいなものだ。

 あ、後はシャルナークがたまにくれる。

 そんな私の甘味事情だが、ヒソカはそのことを知ってか知らずか割と簡単に折れてソフトクリームを買ってくれた。

 私はソフトクリームとだけしか言っていなかったがコーン付きで買ってきたのは評価し、感謝もしてやろう。

 でも、たまに私を見ながら盛り上げるのはやめて欲しい。

 どことは言わないが、本当にやめて。

「ひそかはしけんかいじょーしってるの?」

「知ってるよ♦ 一緒に行くかい?」

「いいの?」

「もちろんさ♣」

 よし、簡単な誘導尋問だったが成功したぞ。

 ヒソカはこの為に私の前に姿を現したのかもしれないが、まぁそれならそれでいいさ。どうせここからだいぶ歩くんだろうから、その為の足が手に入ったと思えばね。

「ひそか、しゃがんでー」

「こうかい♦」

 私がお願いした通りにしゃがむヒソカの後ろに素早く移動し、そのまま飛びかかる。そしてヒソカの頭に飛びつき、足を首に絡めて落ちないように体を固定して終了。

「らいどおーん!」

「くくくく♥ キミは本当に面白いね♥」

 そう、ヒソカに(強制的に)肩車をしてもらったのだ。

 ヒソカの髪をひと房掴み、それを動かしてラジコンのようにして弄ぶ。

「すすめー!」

「分かったよ、お姫様♠」

 ヒソカも乗ってくれるようで、そのまま立ち上がると試験会場へ向かって歩き始めた。

 もしこの時、ヒソカという人となりを知っている人物が片手でソフトクリームを持ちながら、ヒソカの髪を弄ぶ私の姿を見たら目を疑うだろう。何せ、気に食わないという理由だけで人を殺す殺人鬼であるヒソカがまだ幼い少女を肩に乗せて歩いているのだから驚かない方が無理というものだ。

 たまに驚いたような気配を感じながらヒソカの頭の上でソフトクリームを食べていると、ヒソカは定食屋の前で足を止めた。

「ここ?」

「そうだよ♦」

 ヒソカはそう返事をすると定食屋に入り、注文を聞いてきた店長に向かって指を1本立てる。

「ステーキ定食♣ 弱火でじっくり♠」

 それが合言葉だったようで奥の個室に案内された。

 そのはエレベーターになっていて、私とヒソカはそこにあった肉を食べながら止まるのを待つことにした。

「さけよこせー」

「またウボォーギンかい?」

「のふながー」

「なるほど♦」

 用意されたものを全て(主に私)食べ終えて少しした後にエレベーターが止まり、扉が開く。

「ここが試験会場だよ♠」

「おぉーっ」

 扉の向こうは、まさかのゴンたちが受けたあの会場。

 薄々感づいてはいたが、やはりそうだ。

 今年はハンターハンターの本編が開始する年だったのだ。

 あの豆っぽい名前……だった気がする人からプレートを受け取り、その番号を見ると18だった。

 そして予想通りというべきか、ヒソカは番号を受け取らずに壁際に移動すると座り込んだ。

「ひそかどうしたの?」

「ボクは44番がいいんだ♦ だから、それまで待つよ♣」

「よんばんじゃだめなの?」

 私の言葉に1人の男性が肩を震わせた、もしかして彼が4番の人なのだろうか。

「4番もいいけど、44番の方が気に入ってるんだ♠」

「ふーん?」

 大して興味は無かったが、そっちの方がいいというならそれ以上言うこともないだろう。私としてもこれ以上はヒソカと一緒に居たくない。

 ヒソカと一緒にいると周りから避けられるだろうし、それだけは避け……。

 そこまで考えた私の全身に電撃が走った。

 そうだ、ヒソカと切っては切れない関係の人物がこの試験を受験しに来るではないか。

 そう、ギタラクルことイルミ=ゾルディックが。

 イルミは私のフィアンセであるカルトくんのお兄さん。つまり、お義兄さん!

 合格後にゴンたちと一悶着するが、それは問題ではない。

 ほんのちょびっとだが、ゴンたちに付いていけばカルトくんに会える。その時にゲットすれば……うぇへへへへ。

「……ひそかがさびしそうだからいっしょにいてあげるね」

 そう言うと私はヒソカの肩に座った。そう、再度の肩車である。

 試験が始まるまで暇なのだからしょうがない。キルアは家出中だし、イルミは正体隠してるし、ゴンたちはまだ来てないしでやることがないのだ。強いて言うなら、トンパをいじるくらいだろうか。

「キミって不思議な子だね♥」

「あわれみだよー……あわれみってなーに?」

「可哀想って思うことだよ♠」

 そしてカルトくんに会うまでは誰だろうと子供の演技を続けていく必要がある。

 全てはカルトくんに会う為に!

 

 その後も少し待ち、私を乗せたヒソカが番号を受け取ると何をするでもなくヒソカは会場を歩き回る。

 それに乗じてヒソカの髪を弄りつつも他の参加者を見て回り、何人か見覚えのある(薄らと記憶にある)受験者が居たのを確認した。

 あのギタラクルさんもだ。

 よしよし、ここまでは原作通り。あのヒソカの手品(?)で男性が両手を失ってしまったことまでも一緒だ。

 ヒソカを恐れてかモーゼのように分かれていく受験者たちの間を歩いていると、かん高いベルの音が会場へと響いた。

 音の出処にはスーツ服の男性。

 確か……あれはサトツさんではないか。しかし本当に口がないな、人としてどうなんだその構造。

 そんなことを思っていると、サトツさんが試験開始を宣言して歩き始めた。

 私はもちろん、ヒソカの肩に乗っての移動だ。

 サトツさんはついて来いと言っただけなので、ヒソカ(乗り物)に乗って行っても問題はない。

 ゴンたちと仲良くなりたいが、400人以上居るこの中で探し出すのは面倒だ。

 それに探すまでもなく、ゴンとキルアなら階段に差し掛かったところで先頭に行けば自然と居る……はず。原作通りに行けば……原作通りに行くよね?

 なので、それまでの間に寂しくなった口に物を入れようと絶対領域からカップアイスを取り出してヒソカの頭に置く。

「サリア、何だか頭が冷たいけど?」

「きのせいじゃないかなー」

 マイスプーンも取り出して、キンキンに冷えて固まったアイスに向かって何度も突き立てる。

「ボク、今叩かれてるよね♦」

 当然、その衝撃は伝わるのでヒソカが文句を言ってきたが私は正直に白状する。

「あいすがかたいの」

「あれ、キミってアイス持ってなかったよね?」

「すかーとのなかにいれてたの」

「どうやって入れてたんだい?」

「それはおとめのひみつだよってやつだよひそかー」

 ヒソカの当然の疑問にそう答えると、ヒソカは「そうかい♠」と言うと何も言ってこなくなった。

 諦めたのか、それとも単に興味がなかったのか。後者の線が濃厚だ。

 仕方なくスプーンに周をしてアイスを味わいつつ、後ろに目を向ける。

 全員が汗びっしょりで見苦しく、それが華の無い男ばかりでは吐き気すら催す光景だ。私は軽く手を振ってから前を向く。

 ちょっとした癒しを与えたつもりだが、何故か殺気を向けられた。何故だ。

 ほんのちょびっと傷ついたので、のりmヒソカに言いつけて全員殺してもらおう。

「ひそかおみみかして」

「うん?」

「あのね」

 ヒソカの耳にヒソヒソ話で殺気を向けてきた連中を密かに殺してくれるように頼む。ヒソカだけに。

 ヒソカは快諾してくれたので、お礼にアイスを一口あげた。

 喜んでいたので上げて良かったと思う。

 ヒソカが口をつけたスプーンを捨てて「いでっ」……新しいスプーンをスカートの中から取り出す。

 ヒソカが使ったものを使ったら変態がうつるわ……ってマチが言ってた。

 アイスも食べ終え、走り続けること数時間。

 子供じゃなくても飽きてしまう時間が過ぎ、流石の私も思わずヒソカにいつ着くのかを聞いてしまうのも無理はなかった。

「ひそかまだー?」

「まだだよ♠」

「むぅー……」

 ヒソカの髪を弄ってツインテールにしたりオニオンヘッドにしたりして遊んではいたが、ヒソカの毛量が少ないこともあってやりたい髪型は全てやり終えてしまったので手持ち無沙汰となってしまっている。後ろを見れば、むさ苦しい男たちが汗だくで階段を上ってきている。

 今は既に階段にまで達しており、原作ではここを登りきれば外に出ることが出来る。

(……ここから落としたら、全員死ぬんだろうなぁ)

 不穏なことを考えながら、ヒソカの肩の上で後ろを眺めていると徐々に前へ前へと出てくる人影が見えてきた。その影は、黒髪と銀髪の少年二人。

(キ、キルアとゴンだぁああ!)

 ハンターハンターで長いこと主人公をしているゴン=フリークスとその親友にしてカルトくんのお兄さんであるキルア=ゾルディック。この試験を受ける最大の目的(身分証以外で)であるカルトくんへ会う手段の確率の為に欠かせないキーパーソンたちだ。他にイルミとクラピカとレオリオもいるが、どうせ上がってくるだろうしこの三人には後で会うことにしよう。

「わたしもはしるー」

「自由というかなんと言うか……君はお転婆だね♦」

(お前が言うな)

 ヒソカに心の中でツッコミを入れてから飛び降り、階段に着地すると走り出す。ずるいとか何とか聞こえた気がするが、無視。

「あれ、オレたちと同じくらいの子がいる」

「ほんとだ」

「おーい」

「ん、なーにー?」

 ゴンに呼ばれ、既に気づいていたのにさも今気づいたかのように反応をしたという演技をしたサリア。ゴンとキルアは騙されたらしくそのままサリアと話を続ける。

「オレはゴン。こっちはキルア。君は?」

「さりあ」

「ふーん。何歳?」

「ことしでじゅっさいー」

(二つ下か)

「キルアもだけど汗一つかいてないね。凄いね!」

 キルアがサリアの年齢を聞いて思うところがあったのか、無言でいる中でゴンが汗一つかいてないサリアを褒めてるとサリアはニッコリと笑って少し前にいる人物を指差した。

「あそこのひとがかたぐるましてくれてたの」

「へー、優しい人が居たん……」

「……マジ?」

「うん! たのんだらいいよっていってくれたよ!」

 指差した人……ヒソカを見たゴンとキルアは苦笑いをしているが、サリアは()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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