モンハン怪文書 作：第1期調査団の龍人ハンター
腹を空かせた者達が飯を食べる中、不思議な雰囲気を纏う男が座っているテーブルに、一人の少女が近付いていった。
――ん？ どうした、新人クン。俺の話が聞きたい、って？
いやさ、話すのはいいんだよ。話すのは。
ただなぁ……多分、君が知ってるような話しかできないぜ？ これでもハンターなんだし、そうパッとした華のある話なんてのはないんだよ。せいぜい話せるのは、知ってるやつは知ってるだろう、古龍退治の話ぐらいだよ。
あん？ それでもいいって？
――ったく。仕方ないなあ。話してやろうか。新人の君にも役立つような話し方でな。
あ、お代は昼飯の奢りな！
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……そうさな。どこから話そうか。
あ、一応聞いておくが、俺の種族は分かるよな？ うし、正解だ。ま、おさらいとして話すか。ほかのやつもこっそり耳傾けてるみたいだしな。お前らも後で飯奢れよー。
すまん、話が逸れたな。
で、えーとどこから話したんだっけ？ ……そうそう。種族の話だったな。
俺は龍人。この世最後の、人に一番近い龍だ。当然過ごしてきた年月もお前ら人間とは比べ物にならないぐらい長い。……あん？ 何年くらい、だって？
さあな。忘れちまったよ。……だが、昔。本当に昔の、龍と人が、まだ仲良く暮らしていた時代。その時俺は生まれたんだ。ま、それぐらい昔だと思ってくれ。
ところで、なぜ「狩人」の読み方が「かりゅうど」なんだと思う？ 「人」を「ど」と読むのはまだわかる。「狩」を「かり」と読むのもそうだ。だが、なぜ「ゅう」が入る？ よし、クイズ形式にするか。分かったやつは手を挙げーい！
はい、そこ。
ふむふむ。かりびとだと言いにくいから、なんとなくそうなった？ ばかもん！ ちゃんと考えろ！ 次！
訛った結果？ 違うが、ちゃんと考えた答えだな。偉いぞ。次！
……ってもういないのか？ まあ、ちょっと難しいクイズだったかな。
答えは――元の漢字が違ったから、だ。
狩人ってのはココットの坊zげふんげふん英雄が広めた言葉だ。だがな、こいつは以前は違う異名として世間に広まってたんだよ。
「狩龍人」。それが元の言葉だ。
あー、分かったか？ そうさ。こいつは俺の以前の異名だ。ちょいと、人の生活圏に手をだしすぎる竜を狩っていた時についた渾名でな。それを、あの坊主が分かりやすいからって広めやがったんだよ。
……あん？ ココットの英雄様を坊主って呼ぶな？ 伝説のハンターなんだぞって？
ハッ！ 笑えるな！
俺からしてみれば、あいつはまだガキんちょさ！ 何せ、あいつが生まれる前から俺はハンター擬きの活動をずっと。木が刈られ植えられ生えるのを何度も繰り返すほど長い年月、やってたんだからな。
あいつに狩りの方法を教えたのも俺さ。流石に、パーティは4人だとか角竜は1人で挑むものとかは、教えてないけどな！
ま、嘘だと思うならあいつに聞いてみな。真実だって分かるだろうよ。
……やっと分かったか。んじゃ、話に戻るぞ。
狩龍人。その言葉通り、俺は人に迷惑をかける獣を、竜を狩り続けた。まあ、俺は古龍だしな。それぐらいは楽勝だった。
……逆に、面倒なのが同じ古龍相手だった時さ。あいつら、俺がいるって古龍パワーてきなナニカで分かるから、俺が行った瞬間逃げるか、もしくは全力で攻撃しかけてくるんだよ。あいつらにとっては、鬼ごっこ、もしくは遊んでほしくてちょっかいかけてるレベルらしいがな。
ちなみに、鬼ごっこのやつは放っておけばそのままどっか別のところにいくから放置だ。あー……今までだと、ミラバル――紅龍とかが鬼ごっこしようとしたな。
……話を戻すぞ。
古龍ってのは、本当に別格な存在なんだ。今回の調査と同時に古龍渡りを始めたゾラ・マグダラオスだってそうだ。
だからこそ、撃退、もしくは討伐するためには、準備が必要なんだ。
今から、その話をしてやろう。あん？ やっと話に入ったって？ ハハハ！ これでも年寄りだからな！ ま、仕方のないことだと諦めてくれや。
んじゃ、まずは――そうさな。お前らも知っていそうな有名なやつから話していこうか。
峯山龍ジエン・モーランっていう、馬鹿でかい古龍なんだがな――ん？ どうした、総司令が呼んでるって？ 今からちゃんと話すところだったんだけどなぁ……。
仕方ない。また今度、時間が空いたら話してやろう。
んじゃ、頑張れよ。
読了、ありがとうございます。
ん？ 続き？ ……えっ？