また、活動報告に書いた通り、設定資料を保存していたスマホのデータが機種変で飛んだので、設定が当初考えていたものと違うかも知れませんが、ご了承下さい
少々短めではありますが、本編を是非お楽しみください!
クロヴィス殿下が何者かに殺害された。その一報を受け、エリア11の純血派のトップであるジェレミアは自室から軍部に向かおうとしていた。そして、今まさに部屋を出ようとしたその時、ジェレミアのズボンのポケットが微かに振動した。ジェレミアはその場所に携帯電話を入れていたが、それは小刻みに震え続けており、メールではなく電話の着信であると気づいた。
部下の誰かがクロヴィス殿下の訃報を知らせに電話をしたのだろうか、はたまた、その後の指示を仰ごうとしているのか。とにかく、今は一刻も早く状況の確認に努めなくてはならないと、携帯電話の画面に表示されている名前をチラリと見た時、ジェレミアはドアノブにかけられていた手を引き、その"アールストレイム卿"と表示されている相手からの電話を取った。
「もしもし。アールストレイム卿、今はクロヴィス殿下についての情報の確認が最優先でありますゆえ、急ぎでなければまた後でこちらからかけ直しますが?」
「ジェレミア、周りには誰もいない?」
「えぇ、今は自室ですが…」
「そう、なら周囲に誰も近づけないで」
「…!分かった」
ジェレミアは一旦電話をポケットに入れ、外に誰もいないのを確認したのち、ドアに鍵をかけ、自室の椅子に腰掛けた。
「それで、要件はなんだ?」
先程からジェレミアは、アーニャに対する言葉遣いを崩しているが、彼女は幼少期からゴットバルト家、ひいてはジェレミアに世話になっており、2人の間には一種の師弟関係というものが成立しているため、公の場でなければこのような口調で話すのだった。
また、アーニャが電話をかけてくるということは普段滅多になく、普段はメールでのやり取りであるため、ジェレミアは緊急事態でも起こったのでは無いかと警戒していた。
「話して欲しい人がいる」
「それは一体…?」
アーニャからの突然の電話、さらに「話して欲しい人」という不可解なセリフ。ジェレミアの胸には大きな波紋が広がっていく。
(アーニャが私と話して欲しい人だと?軍に属している人間はそもそも私に直接電話をかけてくるだろうし…。いや、まさか…!)
ジェレミアが思い当たる一つの可能性にたどり着いたとき、耳に男の声が聞こえた。
「久しぶりだな、ジェレミア。実に8年ぶりになるか…」
その声に聞き覚えはなかった。しかし、その声の主は容易に想像ができた。なぜならそれは、生涯をかけて仕えると決めた己の主君の、面影を残す、そんな声だったからだ。
「おぉ…、ルルーシュ様…。よくぞご無事で…!」
その声には、万感の想いがこもっていた。
「お前も息災だったようで何よりだ。それで、クロヴィス死亡の報告は既に届いているな?」
「はっ、これから事実確認に向かおうとしていたところです」
「いや、その必要はない。なぜなら…クロヴィスを殺したのは俺だからだ」
「なんと…!では、ついに殿下自ら動かれるということですか?」
「いや、俺はまだ表立って動けない。俺は8年前に既に死んでいることになっているからな。今お前に頼みたいのは、クロヴィス殺害についての裏工作だ。できるな?」
「お任せください。このジェレミア・ゴッドバルト、これより、我が全てを貴方様のために使いましょう」
こうして、ジェレミアはルルーシュからの支持を受け、枢木スザクをクロヴィス殺害の容疑者に仕立て上げた。着々とルルーシュの企みは進行していくのだった。
ー
「お兄さま!さっきのニュース、スザクさんですよね!?生きてらっしゃったなんて…。でも、あのニュースは…」
「大丈夫だよ、ナナリー。スザクがそんなことをしているもんか。きっと何かの間違いだ。すぐに釈放されるよ。だから、今日はもうお休み」
「はい、お兄さま…」
ルルーシュは、ナナリーを寝かしつけていた。本当はアーニャにも合わせたかったが、それをしてしまえばどこかで足がつくかもしれない。姉妹のように仲の良かった2人を引き離しておかねばならないことは、ルルーシュにとってまさしく断腸の思いであった。
「すまない…ナナリー。でも、もう止まるわけにはいかないんだ。俺は、必ずナナリーが、アーニャが、みんなが笑って過ごせる。そんな世界を作ってみせる。必ず…!」
ルルーシュは本当ならば、ナナリーには嘘をつきたくなかった。しかし、ナナリーは優しすぎる。だから、汚れるのは自分だけで十分だ。そう決意を固め、ナナリーの頭を撫でると、自室へと戻っていったのだった。
暗い廊下に朧げに見えるその後ろ姿は、酷く大きく見えた。
ー
「……このエリア11の総督であり、敬愛すべきクロヴィス殿下は既におられません。しかし、私たちはこの悲しみに耐えなければいけないのです。……」
翌朝、学校に登校したルルーシュを待っていたのは、クロヴィス死亡の追悼式であった。改めて自分がしたことを目の当たりにすると、気分が悪くなるのを感じた。実際、クロヴィスを殺した直後は堪えきれずに吐いてしまい、アーニャを心配させてしまっている。好きな女性の前でもう無様な姿を見せないためにも、ルルーシュは自身のやったことを正面から受け止め、そして自分の糧へとしていた。
そして、それと同時にルルーシュはカレンの方へと意識を向けていた。彼女と解放戦線をどう操るのか、それがこれから先最も重要になってくる。それらをどう利用すべきか、ルルーシュはそれを考えていた。
追悼式が終わった後、ルルーシュが教室へ戻ろうとしていると、シャーリーが声をかけてきた。
「…ルル!ちょっと、ルルってば!」
「ん?なんだ?シャーリー」
「なんだじゃないわよ、もう!いっつも人の話なんて聞いてないんだから!」
「ごめんごめん、それで、何の話?」
「純血派って何?」
「あぁ、それはブリタニア軍はブリタニア人のみで構成されるべきだっていう考えを持った人たちだよ。今軍部で一番力を持っているらしい」
「ふーん、そうなんだ…」
そんな会話をしていると、ルルーシュの背中をリヴァルが軽く小突いてきた。
「ルルーシュ、今日これからどうする?今日は授業もないみたいだし、久しぶりにやりに行くか?」
「もう!賭け事はダメよリヴァル!それに、ルルも!」
「あぁ、そうだな。もうやめるよ。それに、もっと手強いのを見つけたしね…」
2人が顔を見合わせ、頭の上に疑問符を浮かべているなか、ルルーシュの目にはカレンの姿が写っていたのだった。
2020/9/12 追記
皆さんお久しぶりです。
次話の更新などについて、活動報告の方に書かせていただきました
次話の更新は遅くとも10月中には必ずしますので、お待ち下さい