それから、本日2/23の昼間に日間ランキングにて15位という順位をいただくことができました。
これもひとえに拙作をご愛読していただけるみなさんのおかげです。
これからもどうぞよろしくお願いします!
長くなりましたが、本編をお楽しみください。
ルルーシュとスザクが土倉の前で喧嘩をした日から数日、2人の関係に変化が見られた。
「あの時は、ごめん」
スザクが土倉に来て、ルルーシュに謝ったのである。スザクは喧嘩をしてからこの日まで、ルルーシュとナナリーの生活を覗き見ていた。そして、ルルーシュがナナリーを愛していることや、置かれた環境の厳しさを知った。そして、その観察の過程で、自分がいかに恵まれていたかを知った。
スザクはあの日の自分を殴り倒したくなった。あの日のスザクは、相手がブリタニア人だということを理由の大半にして、相手の言い分も聞かずに、ルルーシュを深く傷つけてしまった。それは、スザクが持つ正義の心が許さなかった。
過ぎてしまった時は元には戻せない。それでもスザクは、あの出会いのやり直しがしたい。もう1度ルルーシュと話がしたい。そんな気持ちを持って土倉を訪れたのだった。
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ルルーシュは困惑していた。喧嘩をした当日には、枢木ゲンブが謝罪を口にし、スザクのことも叱っておくと言っていたが、結局その日からスザクに関しての音沙汰が何もなかったため、いきなり謝られても困るだけであった。
ルルーシュが返事に戸惑っていると、ナナリーがルルーシュに向かって笑いかけた。
「お兄さま、あの人もああ言っておりますし、許してあげてはいかがでしょうか?」
「ナナリー…」
ルルーシュにも言い分はある。ルルーシュがあの日怒ったのは、ナナリーの為とはいえ、ルルーシュがナナリーに嘘をついたことを知られてしまったからである。そして、ナナリーを深く悲しませることになってしまったからである。
しかし、目の前で本気で謝っている様子を見せられてしまっては怒るに怒れなかったし、何よりナナリーが良いと言っているのだ。ルルーシュに申し出を断る選択肢はもはや存在しなかった。
「あぁ、俺はお前のことを許そう。だが、お前も俺のことを許してくれないか?俺はあの日、カッとなったとはいえ、お前に掴みかかってしまった。お前には反撃されてしまったが、その行為自体を俺は詫びよう」
「そんな!君が謝ることなんて…。いや、良いよ、許してあげるよ」
「ふふっ、じゃあ、仲直りの印に握手ですね。それに、ちゃんと自己紹介もしないと!」
そうして、2人の間に起きた喧嘩は終わりを迎えた。そうして2人は、最悪の出会いから一転して、お互いを支え合うことのできる親友となっていくのであった。
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ルルーシュが日本に来てからそれなりの時間が経過していた。スザクとの関係は良好になり、今では親友と呼ぶのも恥ずかしくないほどの関係になっていた。そうして、ルルーシュがこれからの生活に希望を見出していたその時、ルルーシュ達に信じられない報告が届いた。即ち、「ブリタニア帝国が、日本に向けて宣戦布告をした」と…
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「くそッ!」
ルルーシュは怒っていた。自分の父、シャルル・ジ・ブリタニアに対し、純粋な怒りを覚えた。自分とナナリーを人質として日本に送り込んでおきながら、その日本を攻め、ナナリーを危険にさらすことなど、ルルーシュに許しておけるはずがなかった。
ルルーシュは、その知らせを聞いてすぐに逃げ出す準備を始めた。と言っても、その身1つ同然で国から追い出されたルルーシュとナナリーの荷物など少ししかなかった為、準備自体はすぐに終わった。
ルルーシュは、スザクに逃げることを知らせるか悩んだ。しかし、一緒にいるところが、両軍のどちらに見つかってしまっても、ロクなことにはならない事は目に見えていた。ルルーシュとスザクの、ブリタニア帝国第11皇子と日本国現首相の息子の友情関係はここで断ち切ってしまわねばならない。そう思ったルルーシュは、スザクに何も伝えないことを選んだ。
ルルーシュはスザクに伝えない道を選んだ。今から会うにも、見つかるリスクが高すぎる。そう判断しての判断だった。
「ルルーシュ!」
しかし、逃げ始めてから少し経った後、スザクはルルーシュに追いついた。元々、ルルーシュは体力が無く、それにナナリーをおぶっている為、こまめな休憩が必要で、時間をかけても進める距離は僅かであった。一方のスザクは、元々運動が得意であり、ルルーシュとは親友とも呼べるほどの仲だった。つまり、スザクにはルルーシュがどこにいるかがおよそではあったが分かったから、追跡も可能だったのである。
スザクがルルーシュ達に追いついた時、ルルーシュ達は休憩をしていた。スザクは、体の火照りに身を任せ、声を荒げてルルーシュに怒りをぶつけた。
「どうして僕に何も言わずに逃げるんだ!僕たちは、親友じゃなかったのか!?」
「ッ!親友だからこそ!俺たちは一緒にいるべきではないんだ!」
スザクがルルーシュに向かって大きな声を上げると、休憩していたルルーシュも立ち上がり、それに負けないような大声を張り上げた。ルルーシュには、ここで声をだしてしまえば、ブリタニア人に攻撃的な日本人に見つかる危険があることなどわかりきっていた。しかし、どうしても感情の高鳴りを抑えることができなかった。
ルルーシュは、スザクに説明した。ブリタニアが日本に攻め込んで来れば、ルルーシュとナナリーはブリタニアに捕まってしまい、そのまま殺されて、侵略の合法的な理由とされてしまうだろうと。そして、現首相の息子であるスザクがその場にいれば一緒に殺されてしまう。そうなるのはごめんだと。
スザクは、理解はしても納得できなかった。こんなお別れの仕方なんて嫌だと思った。しかし、上空を日本軍の戦闘機が飛んでいるのを見ると、もう時間がないことを嫌でも思い知らされて、スザクは悲しくなった。
「ルルーシュ、僕は…!」
「…スザク、ここでお別れだ」
スザクとルルーシュは顔を合わせた。2人とも泣いていた。雲ひとつない青空がどこまでも広がっているのに、雲の代わりには戦闘機が飛んでいる。
世界は、理不尽だ。ルルーシュにとってはいつだってそうだった。スザクは、初めてそう感じた。
「俺は、このままナナリーと一緒に逃げる。スザク、お前は家に戻って、俺の代わりに枢木首相に今までのお礼を言ってくれ。恩を仇で返すようなことになってしまったが、それでも礼を言いたいとな」
「…あぁ、分かった。…元気で、ルルーシュ」
「お前もな、スザク」
また会おう。その言葉は、互いに口にしなかった。2人は、別々の道に進み始めた。
もう、涙は止まっていた。
ー
スザクは、ルルーシュと別れてすぐに元来た道を引き返すと、父親である枢木ゲンブがいる家に駆け込んだ。幸い、今日は父は仕事は無く、家にいるからだった。
「父さん!」
スザクにとって、父というのは、母の分も愛情を注いでくれる素晴らしい人だった。自分のためにしてくれることは少なかったが、それでも愛してくれているというのは感じていたし、何より、国のために頑張っている父の背中が、とてもカッコよく見えて、将来自分も"誰かのため"に行動できる人間になりたいと思っていた。
「…スザクか」
ゲンブは、部屋の畳の上で瞑想をしていた。スザクが飛び込んでくると、その姿を確認した後、また瞑想を始めた。
その姿を見て、スザクは息を整えると、神妙な面持ちでゲンブの対面に座って、言葉を紡いだ。
「ルルーシュとナナリーは、もう逃げたみたいだ。恩を仇で返すような真似をして申し訳ないって。それに、今までのお礼も…」
「そうか」
「父さんも、早く逃げよう。もうすぐここも戦場になる。それに、父さんがもしブリタニア軍に捕まってしまったら、間違いなく殺されちゃう!」
「私は戦う。お前は1人で逃げるんだ」
スザクは耳を疑った。父が今なんと言ったのか咄嗟に信じることができなかった。
「父さん、何言って…」
「いいか、よく聞け、スザク。私は、お前のことはもちろん、ルルーシュとナナリーのことも、自分の子供のように思っていた。だが、ブリタニア帝国のことは許しておけないのだ。なぜなら、奴らは子供の命をなんとも思っていないからだ。子供とは、守るべきものだ。それが自分の子供ならば尚更。しかし、ブリタニア皇帝は、その責務を放棄した。私にはそれがどうしても許せない。」
「でも!」
「すまないな、スザク。これは、私のわがままなのかもしれない。だが、奴らに国を明け渡してしまえば、この国はきっと不幸になる。子供たちが笑えない世界になってしまう。そんな明日を、私は許せない。だから、お前たちを守るために、私は戦うよ」
ゲンブは、スザクを見つめた。スザクは、その目にある父の強い意志を感じ取った。もはや、説得は不可能だった。
「分かった。…父さん、死なないで」
「もう行きなさい。ここでお別れだ」
スザクは、その場を去った。涙は止まったはずなのに、もう涙が出てきた。
数日後、父の部下に連れられて避難した先で、父が自害したことを知った。父は、優しい人だった。それ故に、失う今日と、守るべき明日の重圧に耐えきることができなかったのだろうと、スザクは思った。
日本軍はその後も抵抗を見せたものの、最終的にはブリタニアに降伏し、日本という国は地図上から消えた。日本には、エリア11という名が与えられ、日本人はイレブンと呼ばれるようになった。
スザクは決意した。父の意志を継いで、子供たちが笑えるような明日を作ろうと。その為に、力をつけようと思った。血を流すことなく世界を変える、そんなことを目標にして。
・原作とのスザクの設定の違いについて
原作では、スザクは「父を殺した罪悪感」から、自分を犠牲にしてまで他人を救おうとします。
今作では、「父の意志を継いで」他人を救おうとすることにしました。
この違いが、どんなものを生み出していくのか、楽しみにしていてください。
さて、次回からは原作アニメに移っていきます。
原作の良さを活かしながら、自分なりに、みなさんが楽しめるものを書いていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。