水銀の大雫。——に食らいかかろうとアイリの
勝手知ったる様相のまま、殺意マシマシに邪剣で斬りかかる凶戦士。相手方は
さて、バーサーカー陣営は切った張ったの大勝負に持ちかけたワケだ。肝心のマスターすら
「この状況を、どう見ますか」
「……援助をしたいものだ。が、デリッククレーンの上。あの勝手者が
「
残るサーヴァントはアサシンとキャスター。……どちらか、ですね」
——切嗣はいまだ、状況把握から脱せずにいた。
戦いの場として仕立てられたこの沿岸部、なるほどコンテナやら展望台、クレーン車などの
なればこそ、絶好の
「あくまでも戦いに参戦しないことを
「事前諜報の成果——に該当するマスターも、のこり一人」
「だからこそ、
ただ、より突き詰めた解釈としては——存外にも簡単なもので、大別して二つ。
ひとつ、
ふたつ、令呪による強制権でバーサーカーの意識をアイリの元へ引き戻す。
一貫して付き
「……。舞弥、きみはあの謎めいたサーヴァントを射撃しろ。僕の方で、ランサーのマスターを射殺する。タイミングは五つ数えた
「——! わかりました」
一つ返事の折、すかさずダークスーツは暗闇を疾走。コンパクトな身の
切嗣の
「五」
ランサーとライダーの戦い。ほとんど視野の
「四」
件のサーヴァントに動きはなし。潮風に黒塗りの
「三」
セイバーとバーサーカーの剣戟は、切嗣の予想しうる剣術という
「二」
アイリスフィールが手繰る糸編みのような鳥。敢然と水銀玉に
「一、」
そんな戦局下、あらたに銃撃がくわわれば主客転倒も間違いなしである。延長戦を
いや。……これはあくまでも、願望の域を出ないもの。ひとまずは
「ゼ、————っ」
「な、」
銃爪に指を引っかけて、引き絞る簡素な作業。それを停滞せざるを得ないことが、切嗣らの、否、この場の誰しもの目に
「とぉウ! 緊急召喚に応じたセイバー狩りの達人! 我こそはぁッ!」
「名乗りは省略で。さっさと……アイリスフィールさんを護衛、ゴー」
「ぬぅおあっ⁉︎」
もう一騎、英霊が場に臨んだ。
顔はバーサーカーに
「ややっ、
「な、んだ貴様は……⁉︎」
「語る名などあるまいよ……私はただ、そう。〝セイバーを狩る者〟……ですが、こと聖杯戦争だというならばハイ、空気を読みましょう!
いくぞ愛剣《ひみつかりばー》っっっ!」
「ぬぅっ⁉︎ 《
黄金の剣が
たまらず
身を縮め硬質な螺旋壁を築き上げるよりもなお
「づぅっ⁉︎ 今度こそ何奴!」
「こちらのセリフだ剣士! 剣を扱うなればこそ、騎士の道に
「はっはっは、闇討ちが売りのアサシンに騎士道精神とか言語道断! その綺麗な鼻っ面を捻り切ってやりますよ!」
ランサーがそう息を詰めた折り合い、双方の合間をたぷんと水銀が
「あちゃー。逃しましたえっちゃん!」
「そうですか。なら手短に退去を、」
「あっ、戦ってるのセイバーですね⁉︎ なにナイショで剣狩りしてるんですかそこを退きなさい、私以外のセイバーはっ、」
ともすれば、聖騎士はひとりでに独白をする。
「あ、あぁあ……なんという、地獄——、! 我が、我が王が分身、いや分裂……っ、この場はもう耐えきれまい! カリヤ、令呪を!」
それがイザコザの皮切りである。
「ぬぅあああ! またも、
「斯くいうXさんも自信満々でターゲットロストですが。なんですか
「くあぁあぁあ! サーヴァントユニヴァースでの千本剣ノックの
「ありもしない思い出がすっと過るほど記憶
論旨はどうやら、あのセイバーを取り逃した責任
——なので、さも居ない者あつかいをされる分厚い胸板が水をさす。
「あー、もう止めんか! 同じ顔同士で相争うなどと見るに耐えん」
「……なんですかムサ男さん。
「いやそうじゃなくなぁ……。誰が倒しただとか誰が悪いだとか、そういう理非を突き詰める姿、なかなかに見応えがないんだよぉ」
「なにをゥ大男! セイバーじゃない相手に興味はない! 去れ!」
「ロクすっぽ話の通じん相手か——しょうことなし。おい
意思通話もおざなりに、ライダーは耳の穴をかっぽじる。そのままウェイバーをひょいと御車台に乗せれば、
ただし、ウェイバーとても異論反論はない。若魔術師でありながら、いやだからこそ、今夜は衝撃が
「はぁー……行けよライダー。ムカつくこともどうにかしてやりたいことも! ……大量に積んだままだが、寝覚めが悪いのはごめんだ」
「そうか。……フフン、
ひとつ
これで、残ったのはバーサーカー陣営のみ。
「……えぇと。バーサーカー——と、……?」
「おっと。名乗っておりませんでしたね。私は、————ぬ」
「あ」
おずおずとアイリスフィールが切り出す。が、路床についた脚は二人分のみ。
「んー、よっぽど魔力供給がないと、二人分の持続は厳しいですか。むしろ普通のマスターには、私たち二人を常に
「……消えるの?」
「ご安心ください! 私は英霊召喚の
「————。ごめんなさい、やっぱり難しいわ、貴女の言葉」
一所懸命に言葉を
尤も、この英霊とて
「ピンチヒッターとして私を覚えていてくれればそれで! 細かいところは……えぇ! これでも文系なえっちゃんが親切に教えてくれるはずですよ」
「……! あ、待って! せめて貴女の名前、教えてくれるかしら?」
胴体
……さても名前を紡ぐだけのために魔力を貰っていいものかと甚だ疑問を懐き。だが
「謎のヒロインXと。——ははは最高の名前でしょう!」
何
「…………何、謎のヒロイン、それもX————って」
三年越しの更新となります!!!!!
原因→(ログインパスワードをようやく思い出す)
しかしながらッ
この三年間、小説家になろう様にて猛修行をしておりました。いやはや、オリジナル作品に熱と愛を注ぎ込むのは楽しい反面、下地となる出来事を自分でつくり上げる大変さもあるのだと……
その甲斐あってか、言葉の覚えと自分のペースは鷲掴みできております。
もはや刷新する勢いで、ハイペースとスロウペースの間切りをひた走ろうと思います!
古い書物を紐解くようなお気持ちで、今一度、掘り起こしていただけると幸いです。
モチベーションから逃げるな(自分用)