残機∞で最弱になった俺の強制リトライライフ   作:クロトダン

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お待たせしてすみません。

今回の話は説明会です。
アンリマユが二課に自分がなんなのか説明します。

では第3話どうぞ。

復刻水着は諦めました……。(魔王の対価が多すぎた)



リトライ3:嘘は言ってねーよ?嘘は

――特異災害対策機動部二課、取調室――

 

 

――弦十郎視点――

 

 

「藤尭。彼の聴取で何かわかったか?」

 

 ライヴ会場に現れた謎の青年が、ノイズを殲滅してから1日が経った朝。了子君と共に事情聴取をしようと身柄を保護した青年から事情聴取をしていた藤尭を一度呼び出し、青年についてわかった事がないか聞いてみたが……。

 

「それが全然ですよ。何を聞いても出鱈目にしか聞こえないし、ようやく聞き出した名前は偽名にしか見えません。それを指摘したら、『言ってもいいけど……呪われても知らねーぞ?ケケッ』っと笑ってましたよ……」

 

「呪いねぇ……まるで自分が悪霊みたいな言い方ね?」

 

「朝からすまなかったな、藤尭。少し休んでくれ。次は俺が聞こう」

 

「すみません……お願いします」

 

 それを聞いて、藤尭から聴取した内容を記した資料を渡された後、藤尭に休むよう伝えてから了子君を連れて取調室に入る。

 

「お?次はあんたらが話し相手か?朝から取り調べに協力してやってんだから、いい加減飯の一つや二つ出してくれねーのかよ?」

 

「朝から君を拘束したのはこちらも悪かった。俺は風鳴弦十郎。隣の女性は…」

 

「櫻井了子よ。よろしくね?」

 

「繰り返しで悪いが、もう一度こちらの質問に答えてくれるか?」

 

「また聞くのか?ま、別にいいけど……俺が答えられる範囲内ならな」

 

「すまん。終わったら腹一杯食わしてやるからな」

 

「お、マジで!」

 

 部屋に入った俺の顔を見た青年は、昨日から椅子に座って、両手を手錠で縛られているというのに未だに余裕の態度を崩さず、笑いながら軽口をはいた。

 俺は軽く謝罪してから、取調室にある机と三つある椅子の内、空いている椅子に座り、その隣の空いている椅子に了子君が座ってから、青年に藤尭が資料に書き記した内容を質問した。

 

「君の名前は?」

 

「アヴェンジャー。……まあ、わかると思うが偽名だけど、自分で付けたんじゃないぜ?ま、偽名でも俺が俺である証だ」

 

(……やはり偽名か。それに今の言葉、誰かにまるで与えられたような言い方だな?)

 

 青年――アヴェンジャーが言った言葉に疑問を感じつつ、次の質問をした。

 

「何故あの場所にいた?」

 

「知らね。気付いたらそこの通路に立っていたし……寧ろ俺が知りてーよ」

 

「気付いたら…か。では、その前にいた。場所は覚えているか?」

 

「さあ?最初に目覚めたのはどっかの森の中で、最後にいたのはどっかの研究所の中だったな」

 

(ライヴ会場の周辺に彼の言う研究所や森はない。だが、彼が嘘を言ってるようには見えない。どういう事だ?)

 

 アヴェンジャーが嘘をついてないか考え、その間に了子君が気になっていた質問を彼に聞いてみた。

 

「今度は私から聞くわ。あの時、シンフォギアとは違うノイズを倒した力はなんなのか教えてくれない?」

 

「なんだと言ってもなー……あれは俺の【宝具】の一つとしか言えねーな。それに何であのノイズっつー奴らに効いたのか、俺が知りてーよ」

 

(【宝具】……それがノイズを倒した力なのか?)

 

「その宝具とは一体なんなのか教えてくれないかしら?」

 

「ンーー……宝具ってのは、色々種類があるが、俺達【英霊】を象徴する武具や道具であり、切り札にもなる――まあ、簡単に言えば必殺技だな」

 

(【英霊】……また知らない単語が出たな)

 

「その英霊というのはどういう存在?それにその言い方だとあなたもその英霊なの?」

 

「アー、それも説明しなきゃいけねーのかよ、メンドクセー……」

 

 アヴェンジャーが椅子の背もたれに体重を乗せて、顔を上に向け気だるい声を出した後、目線だけをこちらに向けて、そのままの姿勢で説明の続きをした。

 

「……英霊ってのは分かりやすく言えば、生前に活躍をした英雄が死後に人間を超えた存在に昇格した魂が呼ばれる呼称だ。そんで、ソイツらが生前に使っていた武具や道具がさっき言った宝具って訳よ」

 

「フーン、なるほどねぇ……それならあなたも生前に活躍をした英雄の一人なわけ?」

 

 アヴェンジャーの説明を聞いた了子君は、彼にそう質問すると、アヴェンジャーは突然腹を抱えて笑いだした。

 

「……ぷっ、ギャーハッハッハッハッハッ!!おいおいオバサン、俺がそんな真っ当な英霊にみえるのかよ?んなわけねーだろバーカ!ヒーッ、腹イテー!!」

 

オバ……ッ!?

 

 突然笑いだした彼の姿に俺は驚き、了子君は彼に言った単語を聞いて硬直した。しばらく笑っていたアヴェンジャーは呼吸を落ち着かせた。

 

「ハッハッハッハッハッ………ハァーッ、ワリーな、ちょっとおかしな事を聞かれてつい笑っちまったよ」

 

「いや、別に構わない。だが、自分が真っ当な英霊ではないというのはどういう事だ?」

 

 未だに硬直から戻らない了子君の代わりに答え、アヴェンジャーに質問をした。

 

「ああ、それはな――英雄には二つの種類がある。一つは生前の偉業が称えられ英霊となった一般的な英雄で、もう一つは、世間から悪と認識されながらも結果としてそれが人々の救いとなったもの、自らを強大な悪として有象無象の小さな悪を打ち消すもの、本人の意思とは裏腹に周囲が救い手と祭り上げたもの、このいずれかに該当するのが反英霊と言われんだよ。……んで、俺はその後者にあたるから、真っ当な英霊ではないんだよ」

 

「反英霊……か」

 

 俺は卑屈な表情で説明する彼の顔を見る。先ほど自身を真っ当な英霊ではないと言ったが、俺はそうは見えなかった。

 

 昨日の奏達を助けた彼は、端から見れば英雄と言われてもおかしくはない行動を起こしてくれた。自身を否定しても、君は彼女達からして見れば、英雄だよアヴェンジャー。

 

 

 

 

――数十分後――

 

 それから、硬直から戻った了子君がアヴェンジャーの首を締め上げる等の一悶着があったが、無事に取り調べご終わり、気持ちが落ち着いた了子君が話の内容を手元の資料に纏めている間に彼の手錠を外すと、アヴェンジャーは手首を交互に擦りながら愚痴をこぼす。

 

「アーー……ようやく終わったー。ったく、ワリー事してねーのに拘束されるとはなー」

 

「それはすまなかった。だが、一応君が何者なのか知るためにやった事だ。規則とはいえ、気分を害してしまったのなら、いくらでも頭を下げるつもりだ」

 

「いや、別にそこまで言ってねーよ?まあ、昨日から何も食べてねーから、それだけが不満ちゃ不満だな。これが終わったら腹一杯食わしてくれんだろうなオッサン?」

 

「ああ、言葉通り腹一杯に食わしてやるから、安心して食ってくれ」

 

「おう、そいつは楽しみだな!」

 

 そう言ったアヴェンジャーは子供のような笑顔をこちらに向けてくれた。それを見た俺は彼を二課の食堂に案内しようと部屋から出ようとしたが――

 

「ちょっと待って」

 

 ――了子君に呼び止められた。

 

「ごめんねー、ご飯の前にあなたの身体を調べさせてもらえないかしら?昨日のドタバタで調べる暇がなかったの。大丈夫、すぐに終わる予定だから、ご飯を食べる時間には間に合うから、ね?」

 

「む、確かにそれもそうだな。すまないアヴェンジャー、という訳だが協力してくれるか?」

 

「身体を調べるだけだろ?すぐに終わるんなら、別に構わねーよ。それじゃさっさと終わらせてくれよ、オバサン」

 

「(ビキッ)……ええ、協力ありがとね、アヴェンジャー君。じゃあ早速検査をしましょうか。悪いけど弦十郎君、終わったら連絡するから、それまで待っててね?」

 

 こちらに笑顔を向けた了子君の顔を見た俺は、その威圧感に圧され、思わずしり込みしてしまう。

 

「あ、ああ……わかった。その、ほどほどにな」

 

「フフ……善処するわ」ガッ

 

「え?…イテテテテッ!?ちょ、抜ける抜ける!髪抜ける!?俺、普通に歩けるから、髪引っ張んないでくれよオバサン!」

 

「フフフッ…さっきから黙って聞いていたら、オバサンオバサンと……もう限界。昨日出来なかった分も含めて、たっぷりと調べさせてもらうから―――覚悟しなさい

 

「あれ?もしかして選択肢間違えた?いや、オバ……じゃなかったおねーさん、さっき言ったのは言葉のあやで、別におねーさんの中身が婆くさく見えたつうか……」

 

「婆くさい……?」

 

「やべ、間違えた……って、アイタタタタタッ!!マジで抜けるっ!?せめて引っ張んなら、腕を引っ張ってくれ!つーか、オッサン、見てねーで助けてくれよ!?」

 

「いや、怒っている了子君には逆らえないんでな。まあ、その……頑張ってくれ」

 

「そんな事言わずに助けてくれよ!ア、オバサンちょっと待っ………ア″ア″ァァァァーーーーーッ!?

 

 俺は、了子君に検査室に連れていかれるアヴェンジャーの姿に目を反らす事しか出来なかった。

 

 

――弦十郎視点、終了――

 

 

 

―――――――――――――――

 

【青年についての報告書】

 

・名前:アヴェンジャー

 

・出身:中東、又は日本?

 

・年齢:17~20代前半?

 

・家族構成:不明

 

 突然、ライヴ会場に現れた動く入れ墨を全身に施した謎の青年。大量のノイズの群れを殲滅する力を持っていたため、【特異災害対策機動部二課】の下に身柄を保護する。

 

 その正体は、生前に活躍をした【英雄】の魂が昇格した【英霊】と呼ばれる存在で、彼の場合、人々から悪と認識されながらも結果としてそれが救いとなった【反英霊】と呼ばれる存在らしい。

 

 次にノイズを殲滅した力は【宝具】と呼ばれており、アヴェンジャー曰く、英霊を象徴する武具や道具をさす、英霊にとって切り札である。彼は、その宝具を使い、ノイズの群れを殲滅させた。

 

 また、説明の途中で彼はノイズに触れたが、炭素分解せず、更にノイズが纏う位相差障壁を無視して、ノイズを倒したと発言した。

 

 その後に櫻井了子がアヴェンジャーの身体を検査をした結果――彼の身体から、微弱ながらもフォニックゲインの反応が出ていた事が判明した。

 何故、シンフォギア装者でもない彼からフォニックゲインの反応がしたのか、調べているとアヴェンジャーの全身に施した、動く入れ墨自体が宝具であるとアヴェンジャー自身の口から教えてもらった。

 アヴェンジャーに質問するも、彼自身も名前を知らない宝具であり、現代にある悪の概念によって、入れ墨の形が変わるだけの宝具であり、どうしてフォニックゲインが出ているのかは解らないとのこと。

 

 他に彼が出した、歪な二本の短剣からフォニックゲインが検出されたがその二本の短剣も彼の宝具であり、こちらもどうして出ているのかは解明されていない。

 

 検査の結果、彼は生きた完全聖遺物であると判断された。

 

 検査の後、彼の身柄を海底に建造された【深淵の竜宮】に収めるべきか上層部と議論したが、単体でノイズと殲滅する能力を活かすべきと反対の意見も出て、更に生体完全聖遺物という存在であるので、【深淵の竜宮】に保管されている他の聖遺物に影響が出る可能性があるため、【特異災害対策機動部二課】に身柄を預ける事にする事が決定された。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 




どうも皆さん、クロトダンです。

いかがでしたか?今回は主人公が二課に保護された後の話でした。

もし、英霊の定義について間違っていたら、教えてくださると助かります。




あ、最後に少し報告です。
以前書いた単発のシンフォギアとSICクウガのクロスオーバーの作品の続編を希望する声が届いているので、もしかしたら連載するかもしれません。
それに備えて、続編の内容を構想しています。

連載する時は活動報告に知らせますのでその時はよろしくお願いします。


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