ニコラside
オレがコロシアムに下り立った時、コロシアムは静寂に包まれていた。
観客も選手も皆オレから視線を離せずにいるようだ。
...さすがにちょっと目立ちすぎたか。でもこれくらいしか思いつかなかったしなぁ...
『......え、ええと...か、彼はニコラ・アデル!Aブロック最後の参加者です!!...それでは...Aブロック、スタートです!!!』
簡単すぎるだろオレの説明...もっと触れるところあるだろ。まあいいけど。
......傷つけないように、尚且つ勝つ。
「ウオオオオオ!!!!」
早速一人の剣闘士がオレに向かい走ってきた。目には恐怖と高揚の二つが表れていた。
―恐いか、オレが。それでも立ち向かってきた事は凄いと思うぞ。
「オラァ!!!」
剣闘士の剣がオレを斬らんと大振りで降りかかる。だが、その剣筋は余りにも直球かつ読みやすい
当然、その剣をいなし、隙ができた相手の胴を担ぐ
「何しやがる!!」
「傷つけずに勝つんだよ。」
観客席とリングの間は水で満たされているのでそこに向かって投げればいいだろう。
簡単だな。
「う、うわあああ!!!」
オレは担いだ剣闘士をそこに向かって放り投げた。
しかし、そんな俺の行動に飛び交ってきたのは
―技を見せろ!!ここは神聖なコロシアムだ!!!
―さっきの演出で期待したが、その程度なのか!!?
...成程、認めてもらえないか。ああ、出来れば痛めつけたくなかったんだが。
「ヘッヘッへ...お前みたいな腰抜けなんざ、このコロシアムに立つ資格はねェんだよ!!!」
「ぎゃははは!!!やっちまえ!!」
...まあ、コイツらで魅せればいいか。
「「ぐえっ!!」」
「寝てろ」
二人の剣闘士の頭を掴んみ、お互いの頭を思いっきりぶつけてやる。脳震盪を起こすつもりでやったが、彼等の頭は血まみれで見るに耐えない姿となっていた。
そんな彼等を見て青ざめた観客にオレは言った。
「...あんまり刺激しない方がいいぞ。神聖なコロシアムに死人が出る。」
そんなオレの一言が剣のように刺さったのか、彼等はそれっきり何も言わなくなってしまった。
...まあ、ちょっとやりすぎたかな。善処しよう
「...ハハハハハハハ!!!面白ェ奴が来たじゃねェか!!!」
...今度は巨漢だな...。
『おおっと!!今大会のダークホース、このドレスローザを攻めてきた賊を計100名ほど血まみれにした男『血塗れのアスク』が動き出したァ!!!』
...へぇ、アスク、か。まあ楽しめるだろう。
「さて...お前はどう弄んでやろうか...」
「......オレは多分負けない。」
「その威勢がいつまで持つか楽しみだぜェ!!?」
「...こっちのセリフかな...」
巨漢の拳とオレの拳がぶつかり合う。その余波で何名かの剣闘士を場外に吹き飛ばした。
この事よりコイツはそこらの
「ハハハハ!!もっと本気で来いよ!!」
拳と拳がぶつかり合う中、巨漢は余裕を見せている。おそらくまだまだ余力を残しているのだろう。それでもってオレの拳と張り合うだけの力を持っている。
賞賛に値する。......だが、オレは
オレとしてもこのまま睨み合うのはめんどくさい。だから、
「ハハハ...ん...おぉお!!?」
『おお!?押されています!!!あのアスクが!!!』
司会の一言で歓声が沸き立つ。巨漢はその歓声に焦りを見せた。
無論、オレがその瞬間を逃す訳が無い。巨漢の腹や顔、間接にどんどんパンチを入れていく。
本気を出される前に潰せば、無駄なエネルギーを消費せずに済む。
「がっ!!ぐぼっ!!!...ぐばぁ!!!!」
『......!!!』
会場は騒然とする。彼等からしたら予想外なのだろう。オレからすれば予想通りだが。
どんどんたんこぶができ、腹や膝が赤く腫れかけてきた。そろそろ頃合だな。
殴るのをやめた途端、彼は声も上げずに倒れこんだ。
『...た、倒してしまった...!!!あのアスクを!!!』
―うぉおおおおお!!!
―すげー!!!
―かっけー!!
―アスクが...負けた...!?
コロシアムを歓声が支配する、とは逆に剣闘士達は絶望の渦に囚われた。
曰く、アスクを倒した奴に俺達が敵う訳ない、と。
...だが、ここは神聖なコロシアム。オレは技を見せる義務がある。
可哀想だと思いながらもオレは一歩一歩、彼等へ近づいていく。
「「「「降参します!!!!」」」」
剣をコロシアムに放り捨て、剣闘士のプライドはどこへ行ったのやら、彼等は思いっきり頭を地面につけていた。
こんな恥さらし、オレなら絶対したくない。
『...貴様等...!!!コロシアムで降参とはどういうことだ!!!キュロスを倒すのではないのか!!?』
「うるせェ!!!俺達はこいつに
「キュロスでさえ手間取るアスクをニコラさんはあっけなく倒したんだ!!俺達が勝ち上がるより絶対に可能性が高い!!!」
『.........』
司会、観客、剣闘士の視線が一気にオレに注目。
何か言わなきゃいけないのか...
「...あのさ、お前等の夢を勝手に託されても困るんだよ。...だけど、さっきの奴含めそこまで倒したいって言う奴に俄然興味が沸いた。...降参したいならすればいい。降参しない場合はお前等を場外に投げ飛ばすだけだしな。安心しろ、痛くはしないから。」
『...だそうだ。』
...こうなったら降参してくれた方がうれしいんだが。
「...ははは、だったらいっちょやるか!」
「そうだな、安心して戦える」
...どうやら満場一致でリタイアはしないとのこと。
痛くしないって言わなきゃ良かったし、痛くしないって逝った途端にやる気になる彼等もどうだろう。
幸い、残ってたのは9人。軽く相手をしてやろうか。