昇格式が終わった翌日、私はまたセンゴク大将に呼ばれていた。
何か大事な話があるらしい。
「入っても。」
「ああ、入りたまえ。」
相変わらず無駄に大きい扉を開けると、そこには【仁義と言う名の正義】と書かれた書道作品が壁に掛けられていた。以前はこんな物が無かった筈なんだが。
「その作品は私が考える【正義】を書いた物だ。海軍将校の者は自分なりの【正義】を掲げなくてはならない。壁掛けが出来るのは大将以上からだが。」
成程、私も考えなくてはいけないのか。
「で、何の用があるんだ。センゴク大将。」
「それなんだが、君は類を見ないスピードで准将になったからな。本来しなければならないことが出来ていないんだ。」
「本来しなければならないこと?」
海軍にはそんなことがあるのか。
「ああ、君は【少尉、中尉、大尉】をすっ飛ばしているからね。その時に「海軍研修」というものをしなければならないんだ。」
「「海軍研修」?」
「そうだ。「海軍研修」とは、【少尉、中尉、大尉】になった時にするものでね。【海軍本部中将】以上の者の下に付き、海軍の基本戦闘方法や上司の立ち回り方などを学ぶ所だ。研修中に成果を挙げることでやっと准将以上になれるから、一つの障壁としても知られている。」
へぇ、じゃあ昨日会場で昇格した人達は歴戦の猛者だったんだな。
「君の場合はそこで「経験」を積んでもらう。」
「経験?」
「ああ、どんなに強い能力を持ったとしても使い方次第で弱くもなる。歴戦の猛者相手に能力だけで渡り合えるなんて事は絶対にないからな。だが「経験」を積んでおけば、その時その時で最も良い選択をすることが出来る。現に私が大将に就いたのも若い頃培った「経験」在っての大将だ。」
おお!なかなか心にクるではないか。流石はゴールドロジャーと戦り合うだけはある。
「それで、君にはどの将校の元へ行くか選ぶ権利があるんだ。まあ私でもいいんだが。」
「まあセンゴク大将の元へ行かないのは確定として。」
「えッ酷ッ!!」
あなたから学べることは大体予想出来る。私は【未知】を知りたい。
「...まぁいい、とりあえずリストだ。」
そう言われセンゴク大将にリストを渡された。
中には中将から大将の名前が書かれている。
「その中から一人選ぶんだ。今。」
とりあえず名前を見てみることにする。
ゼファー、モモンガ、オニグモ、ガープ、おつる、ダルメシアン...。
全員知っている。原作に出てきた人だらけだ。
だが、一つだけ気になる点があった。
「...大将、昨日の昇格式で中将に昇格したロキ中将の名前は?」
「!!!...ああ、彼か。彼はまだ新人ということでまだリストには入れてないんだ。」
「だったらおかしくないか、何故ダルメシアンの名前がリストに載ってるんだ?」
「そ、それは...。」
どうやら、ロキ中将はワケありらしい。
「...はぁ。彼は
「どうして。」
「それは彼が【孤独の狩人】だからだ。」
【孤独の狩人】?何それ。
「誰も寄せ往けない圧倒的な強さ。【悪政王】の時も、彼は拳一発で仕留めた。まるでロックスを追い掛け回していた若い頃の私やガープだ。だが、我々と違う点は一つ。彼は全ての任務を一人でこなした。連絡もせず、倒してきたら身柄をこちらに渡すぐらいでしか本部には戻ってこなかった。彼は軍隊を持っていない。一人で何でも出来てしまうからだ。だから、彼の名は省いた。」
「...成程、わかった。」
今決まった。私の研修先は。
「なら、私はロキ中将の所に行く。」
「待て!!ルイン!!話を聞いていなかったのか!!!」
「今聞いた!!聞いて尚、私はそこへ行きたいと考えた。本部へ戻らず、各地を歩き回ってるロキ中将ならいろんなことを知っているはずだ。ならどの人よりも学ぶことは多いはずだ。」
「いや、彼は【孤独の「孤独なんて関係ない!!!」...。」
「不可能ではないのだろう。彼は中将なんだから。」
「...本当に後悔しないんだな。」
「後悔?そんな物、前世で捨ててきた!」
「......彼には私が直接伝えておくことにしよう。では明日、私の所へ来てくれ。」
「わかった。では失礼する。」
そうして私は部屋を出た
何が孤独だ。海軍は組織。孤独になるわけが無いんだ。
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ロキside
「...と、言うことだロキ中将。」
「...はい、わかりました。」
久々に電話を受けたと思ったらセンゴクさんだった。
どうやら明日から俺の元に研修生が来るらしい。
...はぁ。足手まといにならなければいいが。
今現在、俺はマリンフォード内のホテルで宿を借りている。本部の中将なのに。
それも当然。俺はこんな所今すぐにでも出て行きたい。
出て行ったとしても
少し俺の話をしよう。
俺はいつでも
養子で、いじめられて、大人になっても誰とも話さなくて。
ただ、運動神経だけは良かったから
友達ができると思ってサイファーポールに入った。
だけど、何も変わらない。
そこで得た物は圧倒的な強さと【孤独の狩人】という二つ名だけ。
いらない。いらないんだよ。そんな称号は。
俺が欲しいのは、【
俺は、サイファーポールを辞め、海軍の将校になることにした。
こうすれば同僚と言う名の
だけどそんな淡い期待はすぐに砕け散った。
俺が多数の功績を残したから。【悪政王】なんかとっ捕まえたから。
同僚達はすぐに俺を【化け物】扱いした。
ああ、もうやめだ、こんな話。聞いても暗くさせちまうだけだよな。
今日はもう寝よう。
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「あと5分で来るはずだ。」
「...そうすか。」
「「......。」」
翌日、俺はセンゴクさんの所へ来ていた。研修生の面接らしい。まだ名前は聞いていない。
温和と言われているセンゴクさんでも、俺とまともに会話したことは一度も無い。
コンコン
「『私』だ。センゴク大将。」
「ああ、入りたまえ。」
声色からして女。年齢は10台後半の様に聞こえる。
「失礼する。」
そう言って入ってきたのは、昇格式の時に見た少女だった。
「あなたがロキ中将だな。」
「......そうだが。」
「今日からあなたの元でいろいろ学んでいこうと思ってる。名はルイン・アラクハートだ。階級は准将。これからよろしく頼む。」
数多在る候補の中で何故俺を選んだのか。間接的に聞いてみよう。
「変わってるな。俺から学ぶことなんて無いと思うんだが。」
「いえ、ロキ中将は他の中将よりも多くのことを知っている。センゴク大将から数多くの島を渡ったとも聞いた。そんなロキ中将から学べることはこの先必ず役に立つと考えたんだ。」
「...そうか。」
初めてだ。海兵に入って一番最初に俺のことを二つ名で呼ばなかった奴は。
いままでの奴らは必ず俺を【孤独の狩人】としか呼ばなかったからな。
「...センゴクさん、これ、俺も自己紹介した方がいいんですか。」
「あ、ああ。」
「じゃあ、俺の名前はロナルド.D.ロキ。昨日から海軍本部中将をやってる。...自己紹介なんてしたことないからちょっと緊張してるが、
くだらねェそこらの奴らだったら即蹴ってたが、
認めるよ。お前の研修を。
お前からは、俺と