身内で義父様の葬儀を済ませて、数日後母上が失踪した。
ハルプスブルク帝国内は大混乱に陥っている。
恐らくはシディアス卿を討つ為だろう。
義父様はシディアスの事を母上に話していた。転生者の私だけが知っている情報シディアス卿=パルパティーン新元老院議長であることは義父様は当然知っていただろうけど、それ以外で知っている人は私だけ・・・。
立場を利用して優雅に暮らせるならと、問題を先送りに見て見ぬふりをしていた。
実際、原作とは若干の差異もあった。例えば、我が夫ガンレイは公人としてはクズだけど私人の夫としては非常に好人物であったし、義父様の影響力が原作に比べて大きかった(今はシディアス卿に掻っ攫われた。)。
何とかなると、甘い考えがあった。
ちょっと、スターウォーズを生で見れるみたいに舐めた掛かっていたところもある。
私の考えが甘かった。
母上はシディアスの正体を知らない。だから、いてもたっても居られずに正体を探るために出て行ってしまったのだ。だが、逆にシディアスが義父様と母上の真の関係に気が付いていない保証はない。もしかしたら、人知れずシディアスに殺されてしまうかもしれない。
そんなのは嫌だ。私の母上・・・義父様を失った上に母上まで失いたくない。
だから、このスターウォーズの物語を根底から覆す私の切り札をここで切る!
シディアス卿=パルパティーン新元老院議長であることをジェダイにチクる!
この功績があれば夫ガンレイの件も晴れて無罪放免だし、銀河も平和が続く。
最良の結果を掴むのですよ!
私は、ヒーゴ・ダマスクとしての義父様と縁深いジェダイであるサイフォ・ディアス氏と接触することにした。他の候補としてヨーダやオビワンもいたがヨーダってジェダイの一番偉い人だし皇族とは言え伝手もなくすぐに会える気軽な存在じゃないし、オビワンも出会いが良くないので会い辛かった。
そうなると、やはり義父様と縁深く義父様の娘としての接点もあるサイフォ・ディアス氏と会うのがいいと思うんです。原作では出ていた記憶がないが、義父様と大事業を手掛けていたらしいし、ジェダイの大人物なのでしょう。それにナブーの件もあるゆえに他のジェダイとは話しずらい、それに比べサイフォ・ディアス氏なら不自然でもない。
「誰か、サイフォ・ディアス氏に火急の要件にて会いたいと連絡してください。」
使用人にサイフォ・ディアス氏あてに通信を入れるように命じた。
要件が用件だけに、直接会ってはすべき内容だ。
少数の護衛と共にロイヤル・シップを出航させ、サイフォ・ディアス氏との面会の場である宇宙ステーションへと向かった。
義父様と関係を持つ辺りで、ある程度ジェダイ評議会とも距離を置いていたようだが評議会メンバーであることは違いない。彼の口からヨーダやメイス・ウィンドゥに伝われば、銀河帝国は産声を上げることなく消滅する。
シディアスを何とかしてしまえばシス側の人材など烏合の衆だ。
それに、夫も私が説得して手を引かせれば衆ですらなくなる。すべてがうまくいく、すべてうまくいくのです。
「姫様、会合地点です。」
ダマスク・ホールディングス社所有の無人宇宙ステーションに艦を接舷する。
すでに、ステーションではサイフォ・ディアス氏が待っていた。
「お待たせしました。ハルプスブルク帝国臨時女王ナネット・ハルプスブルクです。一応は姫という肩書が有効ですが・・・。」
「久しぶりだな。ダマスク氏とお母上の結婚式以来か・・・。ダマスク氏の葬儀に出られなかったことは申し訳なかった。仕事が立て込んでいてな・・・。」
サイフォ・ディアス氏と世間話をしてから、本題に入る。
「マスター・ディアス、昨今の共和国の腐敗や不穏分子の力の強まり・・・。これは、大昔滅んだとされるシスの陰謀なのです。」
「何を馬鹿なことを…、たしかに昨今の情勢は不穏な物であったが・・・。」
私は、そっと義父のライトセイバーを出した。
そして、ライトセイバーから延びる赤い光を彼に見せた。
「なんと、まさか本当に・・・。こ、これは・・・私の想像以上に危機的な状況だったのではないか。」
私はサイフォ・ディアス氏に自分の知っている限りのことを話した。
義父がプレイガスで、母上はその弟子であると・・・そして、シディアス卿が今の計画を主導するシスであると・・・。パルパティーンがシディアス卿であることはまだ話さない。彼を通じて自身の身の保証と夫の身の安全も確保しなくてはならない重要な交渉材料だ。
ひとまず私の話をすべて聞き終わったサイフォ・ディアス氏はうんうん唸りながら頭の中を整理したのか改めて、私に話しかけてくる。
「ナネット姫殿下、よくぞお話しくださいました。今日話してくださることが十四な話であることはなんとなく分かっていました。まさか、シスの事とは思いませんでしたが・・・。」
サイフォ・ディアス氏は一拍置いてからさらに続けてくる。
「実はもう一人私の信頼するジェダイを連れてきていたのです。彼にも話していただけますでしょうか?きっと彼も力になってくれるはずです。」
「は、はい。」
サイフォ・ディアス氏は信じてくれた彼ほどの人物が信じてくれた。
そのもう一人のジェダイの二人にシディアスの正体を明かして助けてもらおう。
肩の荷が下りたみたいで少し顔がほころんだような気がする。
私は、もう一人のジェダイが入ってくるであろう扉に視線を向けた。