開いた扉の先にいた人物を見て、思わず私は背筋が凍り付いた。
あまりの出来事に硬直してしまった。声を上げでもすれば、少しは状況も変わったのだろうか。
もしもの話など無意味、今起きたことが現実なのだ。
扉の先にいた人物は、一気にサイフォ・ディアスに近づいて立ち聞きする形をとる。
そう、私の目の前にいた人物はダース・ティラナス。ドゥークー伯爵その人であった。
アイエエエ!!ナンデ!ナンデ!!ドゥークー!?
数多くのジェダイの中からよりによってお前か!!
あまりの出来事に体が硬直して動けない。
これは緊張からくるフォースとか関係ない方だ。
「姫殿下は、共和国に巣食う腐敗の要因にかつて滅んだシスの姿を見たと言うことか。」
こいつ、黒幕の一歩手前みたいなポジションのくせに遠回しに言ってくる。
偉い人の中にはなぜか円卓の周りをグルグル回りながら話す奴がいるんだ?正にこいつだけど・・・。
私のボカした話を聞いてドゥークーは髭に手を置いて思案するような動きをする。
な、なんとかして誤魔化さなきゃ!?シスだよ!こいつはシスだ!服装が悪役の服装だもん!!でも、どうやって!?
「姫殿下、このドゥークーにも詳しく話を聞かせて・・・欲しい・・・もの・・・ん?そうか、なるほど・・・そういうことか。考えてみれば、当然か。」
ドゥークーは私が話し始めないことを勝手に納得し始める。
「ドゥークー?どういうことだ?」
そんなドゥークーにサイフォ・ディアスが説明を求める。
「あぁ、つまり・・・。」
ドゥークーはシスのセイバーを円卓から拾い上げサイフォ・ディアスの後ろへ回り・・・。
「こういうことだっ。」
セイバーをサイフォ・ディアスに突き刺した。
「っぐ・・・。ドゥークー、貴様っ。」
「サイフォ、お前にしては察しが悪かったな。」
「ぐふっ。」
椅子から崩れ落ちるサイフォ・ディアス氏、すでに事切れている様だ。
「サイフォ・ディアスに頼ったのは悪くなかった。だが、私が来るのは予想外でしたな。姫殿下?」
ドゥークーはゆっくりと私の方に歩み寄る。
「ひ、ひぃ!!」
私は転がる様に椅子から落ちて壁の隅の方へ身を寄せる。
「姫殿下、ハルプスブルク帝国はこちら側に付く約束だ。ダマスク氏から聞いていないとは言わせんぞ。」
「ご、ごめんなさい。ゆ、許して・・・、許してください。」
ドゥークーは私の前に立つ。
「我がマスターは姫殿下にご慈悲を賜るそうだ。」
と、とりあえず、死なずに済む!
「だが、罰は受けてもらう。」
「え、な、なにを?」
ボキリ
「いっ、ぎゃあああああああ!?痛い!?いたい!!あ、足が!?」
私の両足があらぬ方向にへし折られて、骨が飛び出してる!?
「出血していますな。」
シスのライトセイバーが光る。
「た、たすけて!い、いや!?やぁああああああああ!!」
スパッ
わ、私の足が切れて
バシャ
円卓に置かれていたデキャンタに入ったワインを、残った腿に注ぎかけられる。
「あ!・・・いっ・・・も、もう許して・・・・・・死にたくないの・・・。」
「我がマスターは、命までは要らぬとおっしゃった。次は無いぞ・・・。」
「は、はひっ。もう、じま゛ぜん、し、シスの暗黒卿に゛ちゅ、忠誠を・・・ち、ぢ誓いまず。」
鼻水と涙で床を汚しながら、床に置かれたドゥークーの靴を舐める。
「な、なんでもじま゛ず。だ、だがら゛殺ざな゛いでぇ・・・。」
ドゥークーはフォースで私を浮かせて部屋から連れ出す。
「あ、あぁ・・・お、お願い゛でず。だ、だずげでぐだざい・・・。うぅ・・・。」
ドゥークーが乗ってきたであろう船の接続口が開き、船の中に放り込まれる。
「あぐっ・・・あぁ。」
「貴様の嫁の不始末だ。ガンレイ総督。」
「も、申し訳ありませんでした!以後、このような事なきよう努めますゆえ!」
「出資金の増額、それさえ飲めばよい。」
まさか、ヘタレな我が夫がドゥークーやシディアスに頭を下げてまで助命嘆願をしていたなんて・・・。
今の私は、この人に捨てられたら終わりだ。義父様と母上がいなくなった私には彼しか寄る場がない。
「あ、あなた・・・ご、ごめんなさい。わ、わたし・・・」
「何も喋るな。先に医務室だ。」
もう、どうすればいいのかわからない・・・。