silence of this area collapses   作:風見 桃李

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長いです、pixivだと一気にしてましたがこちらでは分割させていただきます。


高遠くんと明智くんの黒魔術殺人未遂事件

走り出した静かな新幹線の中、明智健悟(あけちけんご)は一つの手紙を読んでいた。

『元気かい?健悟。俺は中学卒業後、お前のアドバイスで会社を起こしてなんとかやっている。独り暮らしも始めたんだ、今度一度来てくれよ。さて、こうしてお前に手紙を書いたのはきっと、お前なら真実を突き止めてくれると思ってのことだ。それは1週間前、事件は東京郊外で起こった。死んだのは俺が今、仕事をもらっているある企業のオーナー。事件は今のところ事故として処理されているが、俺は絶対にそうは思えない。何故ならこの事件には恐ろしい人形の姿が―――』

 

「明智くん、お弁当買ってきたよ」

「っ!なんだ、遙さんでしたか、ありがとうございます」

「お茶も買ってきましたよ、明智くん」

「あぁ、高遠くんも一緒に買いに行っていたんでしたっけ」

「そうですよ。明智くん、手紙に集中し過ぎですね」

「はは、すみません、友達からの久しぶりの手紙だったものでして。彼とは色々ありましたが、最近漸く落ち着いてきたようで。えぇ、本当に良かった…」

 

明智が思いを馳せるのを見て、高遠は少し考えた。実はこれから会う、その手紙の人物のことを高遠は詳しく知らなかった、そこで気になった高遠は明智に聞いた。

「明智くん、そういえば今回その彼に君は呼ばれたんですよね?彼の名前は?」

「それは会った時に、二度も紹介させるのは手間では?」

「…まぁ、そうですね。(何処か嫌な予感がしますが、外れてくれるのを祈りましょう)」

「遙さん」

 

明智は高野に笑いながら声をかけた、このタイミングで笑みを浮かべながら何を言うのかと身構えたがただの杞憂だった。明智はただ弁当と飲み物が欲しかった。

「シュウマイ弁当をください」

「…あ、うん…はい、弁当と箸」

「ありがとうございます。高遠くん、お茶くれますか?」

「麦茶ですよ。遙、私もシュウマイ弁当を」

「え、高遠くん海苔弁って言ってなかった?!」

「シュウマイ弁当が良いと言いました」

「うぅ、シュウマイ…」

「帰りにシュウマイ弁当買って食べましょうね」

「じゃあ飲み物に水を頂戴!高遠くんは麦茶ね!」

「君が麦茶…ふふ」

「明智くん、笑わないでもらえます?」

「いえ、高遠くんが麦茶ってイメージがあまり無いものでしてね。どちらかと言えば…薔薇、ですから紅茶とか洋風の、シュウマイ弁当でも面白いのに」

「そもそも私服もあるとはいえ二人ともスーツって所が私は面白いと思うよ?なんか老けてみえるし、明智くんに至っては大人っぽいからなんかサラリーマンというより刑事みたいな…」

「おや、あながち間違ってはいませんよ。私は将来警察官志望なので、これは光栄ですね」

「また刑事ですか…貴方も飽きませんね」

「ソムリエでも何でもなれますが、やはり私は刑事が良いですね。それに、最近眼鏡も掛けざるおえない。あの時の容姿に着実に近付いてるので、ならないとなんか違和感が…まぁ、あの時の私と今の私は別なので小さな抵抗として、体鍛え始めました」

「ほぉ、体を鍛える…それはなぜ?」

「小さな抵抗もそうですが、いつでも貴方を捕まえられるように、ね」

 

二人の間に冷ややかな空気が流れる前に高野の一言が明智を少し止めた、そして今度は変な空気が流れ始めた。

「高遠くん、刑事になる予定なのに何かやらかしたの?」

 

「遙っ、それは」「高遠が、刑事?」

 

「え?うん、そうだけど…」

「何を企んでいるんですか?」

「こうなるから今は言いたくなかったのですが…仕方無いですね。遙がお巡りさんになりたいと言ったので私もなることにしました」

「それだけですか?」

「えぇ、そうですよ」

「聞いてよ明智くん!高遠くんね!私の小さい時の話を覚えていて、それでいてマジシャンになれるにも関わらず日本に帰ってきてまだお巡りさんになる気はあるか?って言ってきたんだよ、なるって言ったら私もなるって高遠くん言ったんだよ!凄い技術を持ったマジシャンなのに!」

 

遙は興奮気味に過去を話しながら明智は段々近付いてくる高野に対し小さく手でバリアを作りながら宥めた。

それを見ていた高遠はマジシャンである部分を褒められ少し気分が良くなった。

転生して長らく、地獄の傀儡師としての活動はしていない、他に言われるとなるとそれしかないのだがやはり自分のマジックを褒められると良いものだと、彼は再度実感をした。

少し落ちつき高野が弁当を開けたところで二人も弁当を食べ始めた。

特に会話をすることもなく食べ終わりその数分後、三人は無事、軽井沢へと着いた。

軽井沢の駅に着くと明智の名前を呼んでいるピンクの髪の少年がいた。

「おーい!健悟!こっちこっち!」

「研太郎!」

「研太郎?(軽井沢、研太郎…まさか)」

「まったく、あの思わせ振りな手紙は何ですか?」

「はは、まあ詳しくは車の中でな。んでその二人が健悟の言った友だ…ちぃっ!?」

「高遠くん、遙さん、彼は私の中学の時の友達で井沢研太郎(いざわけんたろう)くんです。研太郎、彼は私の同級生で友達の高遠遙一(たかとおよういち)くん、彼女は高野遙(たかのはるか)さんです」

「高野遙です、井沢さんよろしくね」

「改めて高遠遙一です、よろしくお願いします。それと井沢くん、あとでお話が」

「…わかった、着いたらすぐに」

「二人は知り合いでしたか?」

「…明智くんなら喋っても良いでしょう。金田一くん関連ですよ、後で三人で」

 

高野は三人がどんどん喋り話が進むのを見て少し寂しく思うのと同時に不安だった。

彼女もまた、何となく察してきたのだ。

「ある意味死神の二人に実行犯一人…生きて帰れるかなぁ」

「遙!車に乗りますよ」

「ん?あ、はーい、今行くー!」

 

車内では井沢研太郎の会社のクライアント、火祀コーポレーションの話で会話は止まらなかった。

四人の会話を聞きながら高野はどうやって事件に巻き込まれないよう動こうか考えているとどうやら目的地に着いたようだ。

「ほら…見えてきたよ!健悟、高遠さん。あれがその火祀家の軽井沢の別荘 葡萄の館だ」

「ぶどう…なんのぶどう?果物?柔道とかの武道?」

「果物の方の葡萄でございます、高野様」

「へー、じゃあ葡萄の木がいっぱいなのかなぁ」

「最初はそうだったのでしょうね。しかし地元の人達はいつの間にか別の意味で葡萄の館、と呼ぶように…」

「別の意味、ね…(やはり、ここは黒魔術(ブードゥー)の館ですか)」

 

海崎達、五人は葡萄の館に入り少し話始めると何かの割れる音、次に大きな声が聞こえてきた、それは火祀家の長女 星子と次男 九曜の言い争うような声だった。

「健悟、ちょっと行ってくるよ!」

「気を付けてくださいね!」

 

井沢は声の方に向かうと星子と九曜、そしてハウスメイドの葉村いずみがそこにはいた。

「どうしたんですか!?九曜さん!星子さん!」

「井沢くん!見てくれ!星子のやつ、俺の紅茶にこんな妙な草入れて飲まそうとしたんだぜっ!」

「だから、それは」

「ハーブティーですわ!九曜さん!私が星子さんに頼まれて庭から採ってきたものですわ」

「いずみちゃん…!そうならそうと早く言ってよ~!ねぇっ!ん??誰?あんたら?あっ!例のビジネスパートナーってやつ?そりゃどうも!」

 

九曜は言いたいことを言うだけ言うとその場を足早に立ち去った。

井沢は星子に声をかけ、高野はボソッと「酷いなぁ」と言うと星子は落ち込むような、それでいて困ったように言った。

「仕方ないんです、この家の兄妹は元々は赤の他人ですから…」

「星子の言う通りですよ、私たち三人兄妹は独身で子供も居なかった 父 火祀青竜の養子です。血など繋がってません」

 

何処からともなく聞こえてきた声の方向を見るとそこには火祀コーポレーションの社長 火祀暁がそこには立っていた。

「暁社長!」

「社長の火祀暁です。あなたがたが井沢さんのビジネスパートナーですね。前社長の父もこの軽井沢の別荘が好きでね。ここから全ての指示を出せるシステムにしたいと考えているんです。井沢さんの力を借りて」

「山奥と言っても軽井沢ですからね、通信インフラは確保できる筈です。それに最新のテレビ会議システムを社長執務室に導入できればここを第二の本社にできますよ」

「ほほう、それは頼もしい!亡き父も喜ぶでしょう。おっと、ちょっとこれから打ち合わせがありましてね」

「仕事ですか?」

「ええ!我々の会社や一族にとっては欠かせない、月に一度の『行事』ですよ。ではまた後ほど!」

「月に一度の欠かせない行事ってなんだろう?」

 

遙が考え込み、事を知ってる高遠が答えようとしたがそれよりも早くに海崎と井沢の二人が答えた。

「黒魔術ですよ。到底大っぴらに出来ないおはずかしい話ではありますが、火祀コーポレーションがここまで大きくなった理由は黒魔術にある…と。青竜社長も暁社長も、そう思い込んでおられるのです」

「そう、つまりこの軽井沢の別荘は火祀家の魔術のサロンなんだ。そして、今日は新しい魔術師がやってくる。月に一度の満月のこの夜のために…。そんな話は噂になって地元の人達にも知られている、だから密かに彼らはこの葡萄の館をこう呼ぶんだ。呪われた屋敷――黒魔術(ブードゥー)の館とね…!」

 

「きゃーっ☆研太郎クーン!誰?誰?前話してたお友達!?」

 

海崎ら五人の怪しくも真剣な話は一人の女性、もとい一人の幼妻の声で一旦終止符を打った。

彼女の名前は火祀夏目、火祀暁の歴とした妻である。

「あ、どうも奥さ」「もーっやめてって言ってるでしょ!その言い方!!」

「他に何て呼べばいいんですか…」

「すみませんが、貴女は?」

「はじめまして!あたし火祀暁の幼妻♡火祀夏目でーす!」

「ほお、幼妻ですか(また結婚をしてるのですね、ホント、何処で会うのやら)」

「歳は私達と変わり無さそうですね」

「やだ!眼鏡のお兄さん!私まだ現役バリバリの17歳だよ!」

「…私も高遠くんも遙さんもまだ高校生です、夏目さん」

「うっそー!二人ともスーツ着てるから解らなかった!言われると若いかも!」

「幼妻…幼妻かぁ、歳の差が…」

「年なんて関係ないっ!暁さんとあたしはピュアラブよっ♡あなた、遙ちゃん?だって恋すればわかるんだから!」

「え、そう、かな?」

「おい夏目!そろそろ新しい先生がいらっしゃる」

「えー?マジマジ!!急いで着替えなくっちゃ♡」

 

暁に呼ばれた夏目は嵐のように去っていった、心なしか皆パワフルだなぁと心の中で思った。

「研太郎、君凄いところを相手にしてますね」

「まーね、でも結構お金持ってて、おかげでうちもドンと利益あるし、それにある意味、二回目だからやり易いしな」

 

井沢はそういうと高遠を見て言葉を区切る、目の合った高遠はそのある意味二回目という意味が伝わったようだ。これで高遠は確信した。

そう、井沢研太郎には前世の記憶があると。

だが高遠遙一はただの二回目ではないと気付いた。

「それと、俺が健悟を呼んでまで今回の事件を解明してほしいと思うのは、金だけの問題じゃないけどね」

「それは二回目が関係あるのですか?」

「それは」

「みなさんどうぞお座りになって!長旅でお疲れでしょう?摘んできた来たばかりのハーブティーとクッキーを召し上がってください!よく合いますよ~」

 

次に話を遮ったのは茶菓子を持ってきた星子だった、井沢はその話はまた黒魔術か食後の後でと小声で高遠に言うと星子の茶を運ぶ手伝いをしに行った。

ハーブティーを飲みながら高遠は窓の外を見る、それに釣られて高野も外を見る。

どうやらいつの間にか随分と日が暮れていたようだ、二人が窓を見てるのに気付いた井沢は高野に話し掛けた。

「軽井沢の夜は早いんですよ」

「そうみたいですね、井沢さん。驚きました。光が何も見えない」

「森の木々がうっそうと生い茂ってるせいだろうね、早くて、そしてぞっとするほど暗い…」

「…怖い、ですね」

 

高野がそういうと高遠は立ち井沢と明智を見て「食事前に話がありますので井沢くんと明智くん来てください」と言って星子と高野遙を置いて部屋を出た。

その歩みはいつもより少し早い、なにか焦っているかのようであったため明智は急いで高遠に声をかける。

「高遠くん!何を焦っている!」

「おや、明智くん、いつもと違い言葉にトゲがありますね、記憶が元に?」

「それはまだですよ、まぁ新しい場面をこの前見ましたが、今はその話ではありません」

「井沢くん、君の部屋で話しましょう、早くしないと黒瓜鬼門が来てしまう」

「黒瓜…あ、仮面の怪しい人か」

「そうです、前回の黒瓜鬼門は途中代役をしましたがほぼ私でした。そして、実行犯は君、井沢研太郎」

 

井沢は目を見開き、明智は驚愕した。

明らかに可笑しいところがあったからだ。

「「不確定要素がいる」」

「そうです、だから…井沢研太郎くん、君に問います」

「な、なんだ」

「貴方は、金田一くんに会いたいですか?」

 

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