山奥の土地を買って自分ひとりで小屋を作る話   作:軽石

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第14話 開拓9日目 基礎の仕上げ、帰宅準備

◇  ◇  ◇

 

[ 開拓8日目-夜 ]

 

 後輩から届いたメールは要約すると『明後日、某所のお偉いさんにデータ取りの挨拶に行くので同行してほしい』ということだった。中途半端に面倒な依頼である。行っても私が実際にやることは何もないかもしれない。

 

 私は自分が滋賀県に土地を買ったことも、そこで小屋づくりを行っているということも大学の指導教官以外には明かしておらず、周囲にはあえて説明していない。周囲には『5月は丸々修行に行ってくる』と冗談めかしにごまかして説明している。

 

 何故ならば小屋を作っているなんてことを知られれば『なぜ小屋を?』『どうして?』『遊びに行っていい?』という風ないちいち相手するのが面倒なやりとりが生じることが容易に想定されるからである。

 

 周囲にはこの期間中はどうしても私でなければ出来ない仕事以外は代わってもらう様に既に交渉しているし、この後輩についても教員から正式にチューターを任されているわけではないので、どうしても依頼を引き受けなければならないという義務的なものは無い。

 

 とはいうものの後輩からの直接ご指名依頼であるため断り辛い。私は大学の教員・先輩・同回生には極めてビジネスライクに接する様にしているし付き合いも極めて悪いキャラで通しているが、唯一の例外があると言えばそれは後輩に対してである。

 

 私自身が先輩には世話になってきたことに感謝しているので、自分がその立場になった時に後輩にはできる限り親切に接していきたいと考えているのだ。

 

◇  ◇  ◇

 

 結局、今回は依頼を受けることにして明日の夜から明後日に掛けて一旦大阪に帰ることにした。

 調達したいものもあるし、洗濯物も溜まっている。

 

 帰宅を決めてから、すぐに帰宅に向けた準備を始めた。自宅との往復には時間が掛かるためこの機会に用事をまとめて行いたいところである。

 

 開拓を始めて以降に必要性に気づいた『高光度なヘッドライト』『追加のシュラフマット』などをAmazonで注文し、自宅近くのクロネコヤマトの営業所止めで受け取る取れる様に手配する。

 

 今回の小屋づくりに必要な物のほとんどはAmazonとホームセンターで揃えている。便利な時代になったものである。

 

◇  ◇  ◇

 

[ 開拓9日目 ]

 

 基礎工事もいよいよ仕上げである。

 

 残りの沓石を固定していく。固定に使うインスタントモルタルを練るための水は、最初はポリタンクからバケツに移し、バケツからトロ船に少しずつ入れていく方法をとっていた。しかしこの方法では正確な計量や投入の微調整が難しかったため、途中からは2Lペットボトルに水を移して使う方法に切り替えた。

 

 最後は四隅の沓石を1つずつ慎重に計測しながら固定していく。終盤になると一連作業の慣れてきたので、最初と比べれば倍速で倍のクオリティに仕上げることができる様なった。プロと比べればまだまだなのだろうが、スタートが全くの素人からなので伸び代も大きい。

 

 最後の沓石を固定して基礎は完成した。

 

◇  ◇  ◇

 

[ 帰宅準備 ]

 

 帰ると決めたので帰宅の準備をしなければならない。

 

 行うことは、『雨対策』と『防犯対策』である。

 

 帰宅中に雨が降ることに備えて建築エリアと購入した資材にブルーシートを被せて雨対策を行う。この時、ブルーシートの上に土嚢をおいて飛んでいかない様に重しにし、さらにロープとロープ止めを使ってブルシートをガッチリ地面に固定した。

 

 テントは撤収しようかどうか迷ったが、そのまま置いておくことにした。テントの中には色々置いてあり、テント自体を収納スペースとして使っているからである。

 

 ただし床下からの浸水の可能性を減らし、かつQOLの向上を意図してテントの下にベニヤ板を敷くことにした。

 

 電動工具を含む工具類はレンタカーの載せていくかどうか迷ったが、いわゆる『ホムセン箱』として知られているアイリスオーヤマの鍵付きプラスチックボックスに入れて土地に置いておくことにした。

 

 ホムセン箱は鍵が掛かると言っても箱ごと持って行かれてしまえばどうしようもないので心配だが、帰りのついでに水や追加の資材を搬入しなければならないことを考えての苦渋の選択だった。

 

 一応、少しでも盗難リスクを下げるため林道から見えないテントや建設エリアから離れたところに移動させ、同じく持ち運ばないことにした自家発電機と一緒にブルーシートで覆い隠した。

 

◇  ◇  ◇

 

 作業を終えると16時頃となっていた。

 

 帰宅の準備だけで3時間近く掛かってしまった。小屋が雨風が凌げる収納スペースとしての機能するぐらい完成するまでは帰宅の度にこの作業を行わなければならないのであるから大変だ。さらに戻ってきてから作業できる状態に戻すまでにも時間が掛かるだろう。

 

 そういった点を考えると、やはり週末DIYの様なペースで小屋作りを行うことは厳しい立地条件である。

 

 何としてもまとまった期間の間に集中的に作業を行い完成させないといけない。

 

 

 そういったことを考えつつ軽自動車で自分の土地を出発した。

 

◇  ◇  ◇

--経過--

進入路の工事       完了

資材の購入(基礎・床材) 完了

資材置場(仮)の建設   完了

基礎工事         進行中

 整地          完了

 貫板の固定       完了

 水糸張り        完了

 基礎の穴掘り      完了

 沓石の固定       完了

一時帰宅         NEXT

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