山奥の土地を買って自分ひとりで小屋を作る話   作:軽石

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第36話 開拓25日目 屋根の施工 屋根板①

◇  ◇  ◇

 

[ 開拓25日目 ]

 

 今回の小屋作りに残された期間はあと一週間を切った。

 

 月末の三十一日を撤収日として考えると、本格的な小屋作り作業ができるのは今日を入れてあと六日間となる。この期間中に最低限の()()()()()()()()にまで小屋を仕上げなくてはならない。

 

 日程的にはまだ余裕があるが、これからの作業では初めての高所作業となるため気を抜くことはできない。怪我を負ってそこでお終いになるということも十分あり得るのだから。

 

◇  ◇  ◇

 

[ 木材の準備 ]

 

 屋根板の設置に先駆けて、垂木の間に『転び止め(ころびどめ)』と呼ばれる補強材の木材を設置していく。この転び止めは名前の通り、垂木が横に傾いて転ぶのを防止し、また屋根板と壁パネルの隙間を埋める役割も担うため必須の木材である。

 

 転び止めの木材は2×4材を切断加工して作るため、まずはその作業に取り掛かった。

 

 木材をメジャーで測り、指矩で直角に墨線を引き、丸鋸ガイド定規を使って次々とカットしてく。この一連の作業にも慣れたものである。

 

 同様に屋根板を貼る際の下地となる根太材《ねだざい》もカットしておく。

 

 この屋根用の根太材は必ずしも必要ではない省略することも可能な部品だったが、屋根板が浮いてしまう可能性を少しでも減らすために設計図に追加しておいたものである。ビス留めする箇所は多ければ多いほどよいのだ。

 

◇  ◇  ◇

 

[ 転び止めの設置 ]

 

 切断した木材を建設中の()()に持っていく。

 

 そう、壁パネルが立ち、垂木が渡された建設エリアはもはや()()()()()と呼ばず、()()と呼んでも申し分ない状態であった。

 

 転び止めを上部壁パネルの上に設置し、垂木の間を埋めてコーススレッドで留めていく。

 

 ぴったしサイズに作った転び止めがうまく入り切らない部分ではプラスチックハンマーでコンコンと叩いて目的の位置にはめていく。

 

 ロフト上から手が届く範囲はロフト上から作業を行い、手が届かない範囲は斜めに立てかけた脚立に登って手を伸ばし、ビス留めしていく。

 

◇  ◇  ◇

 

[ 根太材の設置 ]

 

 転び止めの設置が終わったあと、次に根太材を設置していく。

 

 しかし……、この作業がものすごく難しかった。

 

 なぜなら脚立に最大限登っても垂木の高さには手が届かず根太材を固定することなど到底不可能だったからである。

 

 脚立をはしご状にしても、それを立てかける場所は壁パネルしかなく、根太材を設置しようとしていた天井のちょうど中心になる位置には手が届かなかったのだ。

 

 いっそのこと屋根に登って上から作業するべきだろうかと考えなくもなかった。

 

 複数の垂木が既に固定ずみの屋根は、上に登って作業することも可能な状態ではある。

 

 いずれ屋根板を貼る作業をするときには屋根の上に登らないといけないということもある。

 

 しかし、それには危険が伴うことは確実。垂木の間隔は私の身体が通り抜けて落下するのに十分な隙間があるのだ……。

 

 …………。

 

 熟考した結果、ロフト上から作業できる範囲には根太材を設置し、手が届かない範囲には設置しないことにした。

 

 このことによって屋根の強度は落ちるし、天井を見上げれば屋根の骨組みが不格好に見えてしまうが、今回は安全がなによりも優先にしたいと考えた次第である。

 

 もう少し私に身長があれば良かったのにと思わなくはない。もし将来誰かがこの天井を見えげて"なぜこの様な中途半端な構造になっているのか?"と不思議に思うかもしれないが、それにはこの様な経緯《いきさつ》があったのだ。

 

 この様な経緯《ストーリー》を含めて私が作った小屋といえるのではないだろうか。

 

◇  ◇  ◇

 

[ 屋根板の設置 ]

 

 転び止めと根太材を設置したあと長い休憩を入れ、身体と心の準備をしてから屋根板の設置に取り掛かった。

 

 今回使用する屋根板は壁パネルにも用いた12mm厚の構造用合板であるが、この合板は大きい上に持ちにくい。

 

 そのため一枚あたり10kgほどある合板を、一度ロフト上に引き上げてから、垂木の間から押し上げ屋根の上に乗せていく。

 

 一気にすべての合板を持ち上げはせず、二枚ほど垂木の上に上げてからいよいよ屋根板の設置作業に取り掛かった。

 

 

<続く>

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