山奥の土地を買って自分ひとりで小屋を作る話   作:軽石

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第10話 開拓5日目 水糸張り

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[ 水糸張り ]

 

 水糸張りは基礎の沓石を置く位置を正確に決める作業である。水糸を縦・横に張ることによって、その交点が空中に示され、基礎を置く場所の目印となるのだ。

 

 住宅地の建設現場などでも黄色い水糸が張られた状態はよく見かける風景であり、小屋をつくるという目的意識を持ってからは近所で建築工事が行われているのを見つけると、通行人を装ってこっそりプロの作業を観察して予習したりしていた。しかし実際に作業を行うのは今回がはじめてである。

 

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 最初の基準とする水糸は貫板に目印を付けてそこに浅く釘を打ち込み、その釘に端を輪っかにした水糸を引っ掛けることで固定し、もう一方の端は水糸が正確に南北に走る様に登山用のコンパスで向きを測りながら微調整し位置を決め、テンションを掛けつつ同じ様に貫板に釘を打って固定した。

 

 次に先ほど張った南北の水糸と直角に交差する様に東西に走る水糸を張る。

 

 このとき水糸同士が精確な直角で交わる様にするためには対角線の長さを計算し計測する必要がある。数学で習う『三平方の定理』である。

 

 しかしこの対角線を測る作業はなかなか進まなかった。なぜならメジャーで空中の長さを測るという作業はやたら難しかったからである。

 

 メジャーは地面の長さを測ったり板の長さを測ることは容易にできるが、空中に浮かせて長さを測ろうとするとメジャーの自重でたわみ、折れてしまうためものすごく難しかったのである。

 

 なんとか出来ないかと試行錯誤した結果、メジャーで直接測るという考えは捨て、対角線の長さにマジックで印を付けた水糸を用意し、その目印付き水糸を使って対角線を測ることとにした。

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 その後、基準線である東西線、南北線の長さを何度も測り直したり、目印付き水糸はテンションの掛け具合で伸びて誤差が出てしまうためやはり精確な測量には向かない事が分かった。

 

 そのため代わりに板材に印を付けて大きな定規の様にして使う方法をためしてみると意外とうまく行ったのので途中からはその方法に切り替えることにした。

 

 試行錯誤の結果、2時間くらい掛けてなんとか納得いくものが出来たのでスマートフォンで記念撮影した。完璧ではないものの、ある意味で芸術性を感じる光景であった。こうして5日目の作業を終えた。

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

--経過--

進入路の工事       完了

資材の購入(基礎・土台) 完了

資材置場(仮)の建設   完了

基礎工事         進行中

 木杭、貫板の取り付け  完了

 水糸張り        進行中

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