皆に愛され 覇道をゆく天才の物語   作:水戸野幸義

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ポケモンスナップがNintendoSwitch向けに開発中と発表されたので今日も初投稿です
最近、昔やっていた作品のリイメクやリブートものが多くて何だかんだ嬉しい今日この頃。
この流れならきっとISの3期ないし再アニメ化も近いですね!(虚ろな目)


誤字報告たくさん送ってくれた方ありがとうございます!


★STORY26 Novav覇者によってラファールは新生する

「あは~これだけ質のいいデータをEOSでもISでも取れるなんて流石だね~」

「ええ、本当に所長もですがシャルロットさんもやはりデュノア家の方なのですね。凄いの一言に尽きます」

「フン、それほどでもない。だが大変気分がいい、ジュースを奢ってやろう」

 

 ロイド博士やセシルさんからの賛辞を受け止める。

 聞き慣れた言葉。嬉しくないわけではないが、だがしかし。

 有終の美を飾ったように傍から見えても当人が望み満足できる結果を得られないというのは往々にしてある。

 先日、ISに乗ったシャルロットを相手に行った模擬戦がまさにそうだ。

 勝ちこそはしたがシャルロットに俺が勝っただけでEOSがISに勝ったわけではない。身体能力や転生特典(生まれ持った才)で押し切った故の結果。

 最後まで一度たりともエネルギーシールド突破できなかったどころか削ることからできなかった。

 

「やっぱり、エネルギーシールドをどうにかしたいところではありますよね」

「アレをどうにかしないとEOSどころか既存兵器はどうやっても太刀打ちできないからねぇ」

 

 特異性を抜きにしてもエネルギーシールドの強度そのものは最低でも世界で一番堅い物質並みの強度を持つ。

 ISの特異性を得ることさえできれば、解決するだろうがそれが出来ればやっている。

 

「やはり、ISのエネルギーを保持する貯蔵タンクやコンデンサーはいるだろうな」

 

 それがあれば、EOSを始めとするIS以外の兵器にISのエネルギーを転用は可能なはず。そうなれば強力なエネルギー源にもなり、ISに干渉できる可能性があるかもしれない。という、あくまで可能性の話。

 それにこれは現時点だと未来の話ではあるがアメリカのテストパイロットが亡国機業の者と戦った際生身でISのエネルギー兵器を使った時の描写(記述)のこともある。期待しても安心はできない。

 

「蓋をされているような気分だな、まったく」

 

 頑張れば頑張った分報われる転生特典(この身の才)もあって、現状の結果は決して悪くない。

 ガラクタ同然だったEOSを原型から陸戦兵器、そして空を飛べ高度な空中戦を出来るほどにまで発展できた。

 しかし、いつまでも頭上にはISという存在がいる。相手にとって不足はない。だが、IS起動の日(約束の日)が近づいている。

 EOSはその場しのぎ、ISを動かせるまでの繋ぎと予備戦力だと思っていたが無邪気なままではいられない。蓋をされているのが事実であったとしてもだからどうした。テオドール・デュノアの覇道は何人たりとも阻ません。

 より一層気を引き締め、力を注ぎ続けよう。結果を受け止め活かし、歩き続ける。次へと。

 

 ISはISで今後の為にも、セシリア達との約束もあるから必須。動かし乗れるようにしておかなければならない。毒を以て毒を制す為にも。

 

「それはそれだな。模擬戦のおかげでこうして無事第三世代機を開発できたわけなのだから」

 

 シャルロットのようなエース級のテストパイロットが過酷な使用環境を実現して残すデータの有用性は極めて高い。

 常人では到達不可能な高レベル域にて行うパフォーマンスにおいて発生する現象は将来必要となる素材や構造などを見極める上で重要度は極めて高い。

 おかげでこうして第三世代機の開発にこぎ着けた。

 

「次の代表候補生、専用機持ちはやはりシャルロットさんでしょうか」

「他にも可能性のある者達はいるがデュノアとしても俺としてもそうあってほしいな」

 

 世界では今第三世代機の開発が盛ん。それにより新たな代表候補生、専用機持ちの選定が始まっている。

 その中には当然彼女達の姿もあって……。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「えぇい!」

 

 西洋剣である重斬刀から日本型に発展した新装備斬機刀を横一閃に振るうシャルロット。

 駆る機体は第三世代型IS、ラファール・ノヴァ。原作(俺が識る世界)よりも先に誕生し、原作(俺が知る世界)には存在しないフランスの最新鋭機。

 

「当たらないならこれで!」

 

 精度の高い一閃。

 しかし軽々と回避さた。すかさずシャルロットはバックパックに搭載され両肩へと延びる左右一問ずつのレールガン。そのレールガンと並行するように肩部にマウントされる左右一問ずつ単装砲。合計四門を一斉射。轟く火砲が目標へと叩き込まれる。

 

 ラファール・リヴイブの標準的な3つの装備である高機動用の“グランエール”パッケージ、近接格闘用の“グランエペ”パッケージ、遠距離砲撃用の“グランカノン”パッケージを一つのパッケージに統合したIWSPをラファール・ノヴァは標準装備している。

 シャルロットが駆る1号機がこの装備を装着した姿を『コスモス』と呼び、機体本体は近接格闘能力を高める調整をしながら、パッケージは特性を射撃戦闘に振り向け特化させた万能装備状態となっている。

一足先に出来たコスモであり、IWPSを装備したストライクEのIS版といったところ。

 

 ラファール・ノヴァはIWSPを標準的装備とし、近・中・遠の基本的な3つの領域に対応。攻撃・防御・機動といった基本的な局面展開運用能力を獲得した機体。

 これは第4世代のコンセプトをいち早く踏襲した言わば、展開装甲を用いない第四世代機。

 だがまだまだ試験的な意味合いが強く問題も多い為、性能としては第四世代機に程遠い。だからこそ、第3世代機。

 

「っと! これは流石に肝が冷えたわ! でもまだまだ機体に振り回されてるのが見え見えよ!」

 

 対するはショコラータ。

 今もまた模擬戦の最中。新型機と新装備のテスト中。

 シャルロットがコスモスをテストするように、ショコラータもまたIWSP3号機である近接特化型万能装備『ノワール』をテストしてくれている。

 名前の通り、ノワールストライカーがモデル。機体は第3世代の技術を使って近代化改修された黒いラファール・リヴァイブ。黄色いラインが特徴的だ。

 

「そっちが来ないならこっちから行くわ!」

「左右同時! これぐらい避けて! ――ッ……ァゥッ!」

 

 両方の掌から打ち出されるアンカーランチャー。

 そして、シャルロットが向かうだろう回避予定位置へと置くように放たれるレールガン。

 

 IWSPそのものはこれまでラファールで得た性能実証済みである既存の技術をメインに開発しており、特に革新的な要素は持たない。

 だが信頼性と安定性が確保されており、性能の高さは確かなものになっている。

 加えてエネルギー消費を抑える為に武装は物理武器・実弾武器がメインの為、中国の第三世代機ほどではないにしろ第3世代機の中ではまだ燃費はマシな部類。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……ッ!」

「油断は禁物よ!」

 

 レールガンを何とか回避したシャルロットだが息は乱れ、回避の拍子に戦闘態勢が崩れる。

 ショコラータにとってはそれも狙いの一つなのだろ。見逃さず、追撃を叩き込む。

 

「さあ! クラクラにしてあげる!」

 

 ショコラータの手に現れたのはRE45(二丁のハンドガン)

 そこから放たれた弾丸達がシャルロットへと高速で襲い掛かる。

 

「くっ!」

 

 回避するのは難しいと判断したシャルロットは迅速かつ的確に防御態勢を取った。

 するとシャルロットを包むように現れたエネルギーシールドが実弾を受け流す。弾達はまるでそよ風に吹かれるかのように流れていく。

 

 これがラファール・ノヴァの目玉、そよ風のように受け流して(パリィ・コム・ブリーズ)

 リヴァイブで搭載していた衝撃吸収性サード・グリッド装甲を発展させ、衝撃を分散かつ受け流す性質を持たせることに成功したエネルギーを装甲、エネルギーシールドに流すことで実弾兵器や物体武器による物理攻撃のダメージをほぼ無効化することが可能となった第3世代型インターフェイスによる新世代兵装。

 耐熱性も有しており、低火力のエネルギー兵器を数発程度なら防げる優れもの。

 これによって今だ物理攻撃の多い競技シーン、更には実戦でも大きな効果の発揮が期待されている

 もっとも防御の度に消費されるエネルギーの多さなどまだまだいくつもの欠点を改善していかなければならないのが今後の課題だ。

 

「新兵装のお出ましね! 素敵よ! なら、こっちも!」

 

 アタッチメントを切り替えて放ったのは対ノヴァ用ディスラプター弾(特殊弾)

 作ったからには対策も必要ということで用意したのがこれ。実弾にISから供給されるエネルギーを大量の纏わせ高速で放つ。低出力ではあるがある種のエネルギー弾と化す。

 

「守って避けてばかりいられない! ならっ!」

 

 襲い掛かる弾達へとシャルロットの方から飛び込む。

 両手には呼び出されたソードが一振りずつ握られ、襲い掛かる弾達と角度を合わせ、捌いてみせた。

 そして、そのままへとショコラータへと

 

「曲芸染みたことを! あの主人にしてこの従者ありね!」

 

 声を喜々と弾ませ、対になったウイング外側に備え付けられたバスターソードを抜き、迎え撃つ。

 そうしていくつもの攻防を経て、勝者となったのはショコラータだった。

 

「お疲れ様、シャルロットちゃん。ビリビリくるいい試合だったわ」

「お疲れ様です。そう言ってもらえると助かります。私なんかまだまだで」

「何言ってるの。あれだけ私を追い詰めておいて。国家代表として負けられなかったけど、これなら国家代表も夢じゃないわ。ね、新代表候補さん。御曹司もこれなら安心して送り出せるでしょ」

「ああ」

 

 ショコラータに負けたのはひとえに経験不足によるもの。

 代表候補生、専用機持ちになった今のシャルロットなら経験を積んでいければ克服できるだろう。

 近いうち入学することが決まった他ならぬIS学園という場所でなら唯一無二の経験が得られる。

 

「あはは……テオがそう思ってくれてるなら頑張らないとね」

 

 笑ってみむせるシャルロットだが何処か影があって元気がない。

 ここ最近ずっとそうだ。先日、皆でビデオチャットした時もそうだった。

 

『シャルロットさん、IS学園入学決定おめでとうございます!』

『おめでとう!』

 

 セシリアの言葉に続いて皆で祝いの言葉を贈る。

 画面に映るのはシャルロット、セシリア、簪、楯無の四人。

 ビデオチャットはセシリアとしていたが一人、また一人と増えていきいつしかこんな人数に。

 画面越しではあるが早まった顔合わせ。まあ問題はなく、早いことにこしたことはない。おかけで皆仲を深めつつある。

 

『皆、ありがと!』

『これで来年から学園で一緒に学べるわね。先輩として待ち遠しいわ』

 

 既にIS学園に入学している楯無は勿論。

 早々に代表候補と専用機持ちが決まったセシリア、簪もIS学園にすることが決まっている。

 そこにシャルロットが加わった。入学当初から在籍することになっただけで大きな変化はない。

 

『私も待ち遠しいな。皆と画面越しじゃなくて直接会って一緒に勉強したりお喋りしたり楽しみだよ』

『シャルロットさんと同じく私も。想いを同じくするもの同士いろいろと通じ合えますし』

『ええ、そうね。皆で切磋琢磨しましょう!』

『お、お手柔らかにっ』

『あはは』

 

 大胆不敵なセシリア。不敵に笑う楯無。緊張しながらも強がる簪。

 そして、そんな皆の様子を見て笑うシャルロット。

 ビデオチャット中終始楽しそうにしていたがシャルロットには何処か影があって元気がない。

 

 理由は大体察しがつく。

 シャルロットも自覚はあるのだろう。だが、口には出さない。

 それは言ってもどうしようもないことだから。

 俺からもまだ聞いてはいない。聞いたところで言葉で慰めるぐらいしかできず、シャルロットがそうなる原因をすぐには解決できない。解決しようとするとそれはあまりにも不自然だ。

 それに原因は時間が解決する。近いうちに。

 

 代表候補、専用機持ち、IS学園入学と決まればやることは多い。

 各種手続きや申請。新生活の用意などなど。そして。

 

「いいわ、素敵よ! シャルロットちゃん! 目線こっちに!」

「こ、こうでしょうか」

「バッチリよ! やっぱり、学校の制服はいいわよね。IS学園の制服は白くて可愛いもの」

 

 入学に際して必要なIS学園の制服が今日届いた。

 そして、今はその試着中なのだがいつの間やら母上による撮影会に。

 撮りたくなる気持ちは分からんでもないからまあ。

 

「テ、テオ……」

 

 撮られている本人は少し困惑気味。

 不安そうに俺をシャルロットが見てくる。

 

「似合っているぞ。可愛いじゃないか」

「えへへ~そ、そうかな! じゃなくて!」

「シャルロットちゃん、テオに見惚れるのもいいけどこっちに集中してほしいな。もうちょっとでいいから、ねっ」

「は、はい……」

 

 母上にまた何度も撮られるシャルロット。

 

 IS学園の白い制服。シャルロットがそれを着ている。

 言ったことは嘘じゃない。似合っていて可愛い。

 直に見るのは今日初めてだが、見慣れた姿。

 ようやくここまで来たんだ。後少ししかないんだと思える。

 

「撮られて減るものじゃないんだから大人しく撮られてなさい。折角似合ってるんだから。しばらく貴女の姿見れなくなるのだし」

 

 そっけなく言う伯母殿ではあるが事実ではある。

 

 IS学園は日本にあって、入学するということは日本へ行くという事。

 いけば、しばらく……夏頃まで家には帰ってこれない。

 今時連絡手段は沢山あって顔が見たいならビデオチャットがある。だが、こうして同じ場所で同じ時間を過ごすのは後わずか。だから、ある種の見納めみたいなもの。

 

「そうね、しばらく一緒に生活できなくなるのは寂しいわ。だから、寂しくないよういっぱい撮っておきましょう」

「はい」

 

 今のところシャルロットは一人で行くことになっている。

 セシリアや楯無と簪がいるから一人になる心配はないだろうが、シャルロットにとって寮生活、それも他国での生活というのは初めて経験になる。

 いろいろ思うところはあるはず。

 

「テオは寂しいって柄じゃないわね」

「何をおっしゃいます、伯母上。シャルロットと暮らせなくなるのは俺にとっても寂しい。しかし折角の門出、これは祝わねばなるまい」

 

 先のことはおいとくとして、門出は喜ばしいこと。

 多少の変化はあったものの結果を見れば大きな変化はなく、ここまでこれているのだから。

 

「んーこれだけあれば充分ね! ありがとう、シャルロットちゃん」

「い、いえ。満足いただけたようで何よりです、マリィ様」

 

 母上主催の撮影から解放されたシャルロットはお疲れ気味。

 あれだけ撮られればそうなるか。

 

「お疲れ様、シャシャ。悪いな、母上に付き合ってもらって」

「ううん、悪いだなんて全然。写真いっぱい撮られてビックリしたけどマリィ様にも入学を祝ってもらって別れを惜しんでくれて嬉しいから」

 

 そう言ってシャルロットは伯母殿を見た。

 何か言いたそうな顔をしているのは珍しい。

 

「えっと……あの……」

「何かしら。さっき言った似合ってるってのは嘘じゃないわよ」

「それはありがとうございます。それでその……差し出がましいのは承知なのですが、社長に今撮った写真を渡してはいただけませんか? 入学を許してもらえたのでせめてこれぐらいは」

 

 意外なお願いだった。

 伯母殿に言うのは正解と言えなくはない。誰よりも伯父殿に近い。

 それに気にしてたんだな。入学を許してくれたこと。

 

「嫌よ」

 

 けれど、伯母殿から帰ってきた言葉はそれだけだった。

 それを聞いてシャルロットはやっぱりというか、出過ぎた真似をしたと思ってそうな申し訳なさそう表情をした。

 

「私に頼らず自分で直接アルベールに制服姿を見せなさい。今日はアルベールも休日で書斎にこもって仕事してるでしょうし。デュノアの正式な一員になった貴女なら門前払いされることはないわ。心配ならテオをつければアルベールも会ってはくれる」

 

 拒否は拒否でも冷たい拒否ではなかった。

 そっけないながらもシャルロットを後押しする不器用な優しさがそこにはある。

 

「入学の件も気にする必要はないわ。イリスの遺言もあるでしょうけどアルベールは才能至上主義。口を出す必要がないぐらい貴女は才能をはっきしてそれがアルベールのお眼鏡に叶った。然るべき道が続いた。それだけよ」

 

 そっけなく淡々と事実を並べようとする。

 まったく、我が伯母殿は本当に。

 

「ありがとうございます、ロゼンダ様」

「お礼なんていいからさっきと行きなさい。テオは車の用意とアルベールに一言入れるのよ」

「はい、伯母上。では行こうか、シャシャ」

「うんっ」

 

 伯母殿にお辞儀するシャルロットを連れて優しきを後にする。

 

「ふふっ」

「やめなさい、その微笑ましそうな笑みを向けるの。私は事実を言ったまでよ」

「もう、可愛いんだから。そういうことにしといてあげます」

 

 母上と伯母殿のそんな会話を背中で聞きながら。

 

 車を用意して伯父殿がいるアルベール一家の屋敷へと向かう。

 今から向かうことを伯父殿に告げると分かったの一言だけが返ってきた。

 

「き、緊張するっ」

「無理もないが折角の晴れ着堂々とな。しかし、シャシャがあんなことを言い出すとは」

「こんなことしても何にもならないって分かってるけどせめて制服姿は見てほしいなっと思って。お父さんに制服姿喜んでほしいから」

 

 シャルロットは歩み寄ろうとしているんだな。

 

 屋敷に着くとすぐさま伯父殿がいる書斎へと通された。

 テストパイロットの許しを貰いに来た時もこんな感じだった。

 あの時のようにここに来た理由をシャルロットから伯父殿に説明をした。

 

「それがIS学園の制服か……馬子にも衣裳だな。まあ、悪くない」

 

 その言葉と共に一瞥しただけで再び書類に視線を戻し伯父殿は仕事を再開する。

 塩対応。めげることなくシャルロットは言葉を続ける。

 

「ありがとうございます。それから今更にはなりますが入学を許していただきありがとうございます……お父さん」

 

 これはまた随分と強く出た。

 ある種の意趣返しのようなものだろうか。

 これには流石の伯父殿も今の姿勢を貫くことは出来ず顔を上げた。

 

「ふん、礼などいらぬ。私は才能があるものならその才を認め使う。才を発揮し示し続けているのならとやかく言うつもりはない。学園に入学させたのもデュノアの為を思ってのこと。それでも勝手に恩を感じるのならデュノア家の者として、そしてこのアルベール・デュノアの娘として恥ずかしく無い結果がいい」

「はいっ」

 

 伯父殿の言葉にシャルロットはしっかりと頷いた。

 これは伯父殿流の意趣返しだろう。

 お父さん否定することなく、娘と認め遠回しに呼ぶ。

 不器用な優しさだ。

 

「今やフランスの代表候補生だ。何か支援が欲しければデュノアの総力を挙げてサポートしよう。必要の際は遠慮なく言うといい」

 

 その言葉を聞いて俺達は屋敷を後にした。

 伯母殿にしてこの伯父殿あり。似た者夫婦だな、まったく。

 

「はぁ~緊張したよ」

 

 帰りの車内、緊張の糸が切れたようにシャルロットはほっとしている。

 

「シャシャはよくやった。制服のこともそうだがお父さんと呼んだこと伯父上はかなり喜んでいたぞ。ああ見えてもな」

「そうかな。だと嬉しい。テオ、ごめんね。私の我がままに付き合わせちゃって。ありがとう」

「何、礼などいらぬ。謝罪もな。気にするのならそうだな……」

 

 気にするなと言ったところで気にするのがシャルロット。

 あることを思いついた。

 

「少し付き合ってほしい場所がある。いいか?」

「えっ……う、うん」

 

 不思議そうにするシャルロットを横目にドライバーへと新たな目的地を頼む。

 そして着いたのがこの場所。辺りには墓石の数々が並ぶ霊園。

 

「ここ……お母さんがいるお墓」

「その通り。イリスさんにもシャシャの制服姿見てもらいたいと思ってな」

「そっか。そうだね、折角だもん」

 

 霊園の中を歩き、イリスさんが眠る墓の前へと着く。

 この辺一帯はデュノア家の所有している土地であり、イリスさんはデュノア家の一員として墓に入っている。

 墓石にはイリスさんが好きだったコスモスが並べられ綺麗にされていた。

 

「お母さん来たよ。私今デュノア社でISテストパイロットやってて代表候補、専用機持ちになったんだ。それで今度日本のIS学園に入学することになったの」

 

 しゃがみながらシャルロットは墓石に向かって話しかける。

 まずは近況報告から。

 そんな様子を俺は近くに立って見守る。

 

「ほら、これが学園の制服。デュノア家の皆もロゼンダ様も……それからお父さんも喜んでくれたよ。お父さんって今日初めて直接呼んで緊張したけどテオが言うにはお父さん喜んでくれたみたいだしよかった。まだまだ時間かかるけどお母さんが言ったこと頑張ってみるから」

 

 シャルロットは墓前で誓う。

 シャルロットとアルベール伯父殿、二人の仲がよくなるようにとイリスさんが最後の時願ったことを叶えると。

 

「日本でも私頑張るよ。日本には一人で行くことになるけど向こうではセシリアや楯無さん、簪の皆もいるから心配しないで。テオとしばらくお別れなのは寂しけどね」

 

 冗談っぽく笑って言うとシャルロットは立ち上がった。

 

「もういいのか?」

「うん、伝えたかったこと全部言えたよ。テオはいいの?」

「ああ、シャルロットの姿をイリスさんに見てもらいたかっただけだからな。では帰ろうか」

 

 イリスさんに別れを告げ霊園内を歩き車へと向かう。

 

「というか付き合ってって言われたけど、これじゃあ結局また我が儘というか甘えちゃったな」

「何俺がしたいことにシャルロットを付き合わせたまでのこと。それにシャルロットの本心を聞けたからな」

「本心? あっ……あはは」

 

 気づいたシャルロットは恥ずかしそうに小さく笑う。

 

 俺との別れが寂しいとシャルロットの口から直接聞いたのは今が初めてのこと。

 薄々そうだろうなとは感じていたが、シャルロットは言わずまいとずっと押しとどめていのだろう。それが母親の前だからぽろっと出てしまった。

 

 一度言ってしまったものは黙っていても仕方ないと更になる本心を見せてくれる。

 

「本心を言うと寂しいのもあるけど不安も強いかな」

「不安か……」

「うん、不安。日本にIS学園に行くことが今一番テオの役に立てることだって分かるけどやっぱりテオの近くにいて役に立ちたいなって。私テオの従者なわけだし。まあ、代わりは沢山いるよね。というか、テオは何でも一人で出来ちゃうし」

 

 悲観的な言葉の数々。

 シャルロットは自分の居場所がなくなることを恐れている。それゆえの不安。

 しかし現実が見えないわけがなく、現実的な選択を取ってしまう。それが余計に自分を苦しめる。

 

「シャシャの代わりなどおらんさ。シャルロットがいない間代わりのものをつけるつもりは毛頭ない。テオドール・デュノアの従者はシャルロットただ一人だけだ」

 

 笑いかけシャルロットの頭を優しく撫でる。

 なんて場当たり的で安っぽい言葉だろうか。これでは道化だよ。

 しかし何も言葉をかけない訳にもいかず、出てくる言葉は何処かで聞いたある様な言葉ばかり。

 

「こんなことしか言えんがその何だ」

 

 お締りが悪くて俺はまだ言葉を続けようとするが遮るように頭を撫でた手を取ってシャルロットは自分の頬へと手を当てる。

 

「ふふっ、無理しなくていいよ。言葉は何であれテオが私のこと思ってくれてくれてること凄く伝わってくるから。シャルロットはテオの従者。離れていても私はテオの傍にいる。テオドール・デュノアに恥じない私の姿見ててね!」

 

 ポッと照れ笑い。

 こちらへ紫の瞳を向け後ろから夕陽に照らされるシャルロットはあまりにも頼もしい。




ロゼンダ様が随分と可愛くなってしまった。
原作では神的にいい人だからなるべくしてなったのかもしれない。アルベールは捻くれデレの要素ある。あるくない?
そして、ついにフランスの第3世代機登場。長かった……!

それから第四世代機の定義。コンセプトとスペック満たしていれば第四世代機判定されるのか、やっぱり展開装甲がないと第四期世代判定されないのでしょうか。
ただセブンス・プリンセスやインペリアル・ナイトが微妙な存在なので判断しかねているところです。
皆さんはどう思いますか? ぜひ感想欄にコメント残していってください!


機体名:ラファール・ノヴァ(和名:新生する疾風)
【武装】
アサルトライフル×1
対装甲用コンバットナイフ×2
プラズマソード×2
アンカーランチャー(搭載するかは選択式の後付装備(イコライザ))
【装甲】
そよ風のように受け流して(パリィ・コム・ブリーズ)
【機体解説】
フランスの第3世代IS。ラファール・リヴァイブを強化発展した機体であり、第3世代兵器「そよ風のように受け流して(パリィ・コム・ブリーズ)」を搭載している為、物理攻撃に対して高い優位性を持つ。
しかし、第3世代型ISの例に漏れず燃費が悪く、装甲以外でも省エネルギー化が徹底されており、稼働時間の延長が施されている。その為、レーザーやビームといったエネルギー兵装はされていない。

装備名:IWSP1号機《コスモス》
【武装】
レールガン×2
単装砲×2
斬機刀×2
【装備解説】
ラファール・ノヴァが装備するパッケージ。IWSPとは統合兵装強襲用パッケージの英略語。
ラファール・リヴァイブ・カスタムⅠで蒐集した実働データを基にグランエールの機動能力、グランエペの格闘能力、グランカノンの砲撃能力を1つのパッケージに整理且つ統合した装備。シャルロットの1号機は特性を砲撃に振り向け特化させ、この万能装備を有する状態を《コスモ》と呼ぶ。
シャルロットはこの他に後付装備(イコライザ)でサブマシンガンやショットガン、パイルバンカーなどを搭載しており、機体色はオレンジ色。

装備名:IWSP3号機《ノワール》
【武装】
レールガン×2
バスターソード×2
アンカーランチャー
【装備解説】
IWSPの3号機、万能性を維持しつつも近接格闘に特化した性質を持つ装備。
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