今回は「藍華幻想録」を執筆させていただきますのでよろしくお願いします。
第1話 半人半獣の守り神
ここは××時代後期、この時代はまだ今の現代のような都道府県が存在しておらず、人々は火縄銃や弓、あるいは武装した武士により争いや領土を奪い合うなどの、野蛮なことが行われていた。
そんな中、とある集落は毎日平和な日々を送っていた。
争いは無く農業をしている者、狩りに行く者、元気よく遊ぶ子供達...とても活気づいていた。
「お狐様ー、今日も村の警備お疲れ様です」
「あぁ、大したことはないですよ。あとお狐様なんて何だか慣れないな」
お狐様と呼んだ青年の目の前には白い装束服を来た人物が居た。
その姿は白い装束服を着ており、腰から足にもとにかけて、黄色い尻尾が5つ生えているが、それ以外は普通の人間である。
「いやいやお狐様とお呼びしないと失礼ですよ。お狐様がこの集落を守り始めてから数十年、悪い奴らどころか作物も豊作ですし、悪い武将なども来ないですから助かってますよ」
「ははは、なるほどね。ありがとう、私もこれからももっと張り切らないとな」
お狐様とは、この集落を守護する半人半獣の青年である。といってもまだ歳は20で、普段の姿は普通の人間であるが、集落を守護する時や戦いの時は、尻尾を生やしたり、妖狐に変身する。
元は普通の人間で名前は八雲藍華。どうやら名前の由来は、先祖の名前の一部分からきたらしい。だが生まれてすぐに両親を亡くし、集落の夫妻のもとで育てられた。
両親は、父が人間で母が妖怪の化け狐であるため、藍華が半人半獣なのは、母からの遺伝もあるのだろう。
そんな過去を持つ彼の仕事は、集落の守護だけではなく、付近の集落への出張、集落の発展の手助けなどである。
「お狐様や、ちょいと畑仕事を手伝ってくれんかね」
畑作業をしている老夫婦が助けを求めていた。
「はーい、今行きますね。じゃあ青年今日も頑張ってくださいね」
「はい!お狐様」
その後私は、老夫婦の畑仕事、再び集落の警備、集落の人々の悩み相談、集落を襲撃された時のための訓練などを済ませていく。それらをこなしていくと、すっかり日が沈み、辺りは薄暗くなっていた。
「よし、いつものように集落の提灯に火を灯すか」
藍華は目を閉じ、手を顔の前で合わせると念じ始めた。すると、提灯に橙色に燃える炎が灯った。
「ふぅー、やはり妖力を消費するな、また他の方法を考えないとな。ん?なんだこの気は、一つや二つどころじゃない、約二百~三百人、まさか家長か、こうしちゃいられない、直ぐに皆に知らせなければ」
家長とは、この集落周辺を不当に制圧している武将である。他にも残虐性が高く、逆らう者は女や子供を関係無く殺したりしている。
私は急いで集落の男達に武装をさせ女や子供、お年寄りは集落の安全な場所に避難させた。
「みなさん、家長はとても卑劣なやつです。私の加護をみなさんにかけました、私も全力で戦います」
私は集落の男達全員に加護をかけた、効果は戦闘力などが向上する。
「みんな!集落のために戦うぞ!」
「おぉーーー!!!!」
男達を鼓舞したのは私の幼なじみ佐助だ。
人一倍正義感があり集落の男達のリーダー的存在である。
「ではみなさん、門の前で待ち伏せますよ」
私達は家長の軍勢を待ち伏せるため門に移動した。門に移動した瞬間、遠くから声が聞こえた、家長と軍勢の足音だ。そして数分後、私達から百メートル離れたところで家長の軍勢は止まり隊列を組んだ、前から槍、火縄銃、弓矢とあちらは万全のようだ。すると家長は私に向かってこう言い放った。
「お前がこの集落の化け物の藍華か?妖怪の血を引きながらよくのうのうと生きているもんだ」
まるで私を挑発しているような発言だっただが、落ち着いて冷静に返答した。
「貴様達の目的はなんだ」
私の問いかけに家長はこう返した。
「目的?そりゃあこのちんけな集落を制圧しにきたんだよ。妖怪みたいなお前がが守るぐらいなら俺が守った方がいいだろ?」
「...」
私は無言で下を向き黙り込んだ。
「藍華、あんなやつの言葉を気にする事はない」
そう言ったのは藍華の幼い頃からの友である大城佐助、藍華の参謀的存在であり集落の警備隊長である。
「...さない」
「ら、藍華?」
「あぁーん?聞こえるように話な、妖怪風情が」
何かを呟いた藍華だが家長の挑発的な言動は止まらなかった。すると次の瞬間。
「許さない...許さないぞ家長!!スペルカード覚符 封印されし九尾伝説」
覚符 封印されし九尾伝説とは、発動すると妖狐姿になり、一時的に身体能力を極限にまで引き上げる能力なのだ。
「ら、藍華!」
「お狐様!落ち着いてください!」
佐助達は必死になだめるがもう遅かった、すでに藍華は、怒りのスイッチが入ってしまった。
「おやおやようやく本当の姿をあらわしたね?藍華だっけな?」
「貴様達、この私だけでなく集落にまで馬鹿にするとは、生きて帰れると思うなよ」
私はいわゆるブチ切れ状態になっていた。通常状態の変身とは異なりこうなると周りの声が聞こえなくなり対象を殺すまで攻撃を止めないのだ。
「怖いねぇ、なら本気でかかってきな!行け!槍部隊、火縄銃隊と弓部隊もかかれ!」
家長部隊は、藍華達よりも早く攻撃を開始した。藍華達に向けて大量の弓矢と火縄銃、槍部隊が攻撃してくる。
「みなさん、私に続いてください。覚悟しやがれ家長!!!!」
「みんな、お狐様に続けー!」
怒りの藍華に続いて男達も続く。
「死ねぇー妖怪め!」
槍部隊の無数の槍が、私めがけて突いてくる、しかし次の瞬間。
「やったか?」
「ぐわぁぁぁ!!!!」
槍部隊の一人が断末魔の様な叫びが響き渡る、慌てて他の弓部隊が振り向くと。
「どうしたなにごと...ビチャッ」
ビチャッ、それは何か液体か何かが顔についた音だ。しかし雨は降ってないため、雨ではないとなると考えられるのは。
「これは...血だ!!」
「おい、あれを見ろ!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
槍部隊の視線には、仲間の生首と、引き裂かれて血だらけになった体を持った、妖狐姿の藍華がいた。目は黄色く光っており、口を見ると、収まりきらないキバのような犬歯に裂けた口元、まるで人間だったとは思えない姿に変わり果てていた。
「この程度に私に勝てると思っているのか?愚かな人間共だ。さぁ、次はどいつだ?」
その声は低く殺意に満ちていた。
「ひっ、怯むなーかかるんだ槍部隊!」
「う、うぉおおおおお!!!!」
「ザシュッ、バシュ、グサッ」
平和な集落ではまず響かないはずの鈍い音が無数に響き渡る。よくみると、藍華の周りには赤黒い血が飛び散っており、無数の死体が転がっている。首がないものや内臓が飛びでたもの、四肢がもがれているに原形がないもの。まさに地獄絵図だ。
「家長様どうなされますか?」
「仕方ない巫女を呼べ」
「はっ!」
家長は、藍華対策として予め用意していた巫女を、家臣に呼びに行かせた。すると藍華の後ろから。
「お前達、目指すは家長だー!!」
佐助が男達を鼓舞しながら家長に向かい突撃していった。しかし家長までの間には火縄銃部隊に弓部隊が待ち構えている。もちろんそのまま突っ込んだら死んでしまうが、佐助達の後ろから、まるで天狗のような速さで藍華が突っ込んでいった。
「うりゃあああああ!邪魔だー!!道を開けやがれ!!!」
「う、撃てー!」
「撃ち方用意、撃てー!」
「バーン!バーン!バーン!」
無数に休む間もなく撃たれる無数の弾に弓矢、まるで大量の蜂が襲ってくるようだった。避けようが無かった、しかし藍華は。
「妖狐秘術、結界 防!」
無数の弾や弓矢が藍華の前で弾かれていく、これも藍華の能力の一つである結界だ。結界は防御用や攻撃用と多彩にある。
「これで終わりだー!家長!」
私は火縄銃部隊と弓部隊を蹴散らし家長の首を飛ばすように右手を振り払おうとした。その時だった、家長の横にいた家臣が。
「今だ!」
すると家臣が連れてきた巫女が大きな声で叫んだ。
「はぁああああああああ!」
「うわぁ、なんだなんだあの巫女さんいきなり叫び出して、並大抵のお祓いなんかが藍華に聞くかよ」
巫女の声に驚いた佐助は一瞬怯んだが、そんなお祓いは藍華には聞かないと返したが、その藍華に視線を移すと。
「くぅっ...ぐわぁぁぁ!!!!」
「藍華!?大丈夫か!」
藍華はうずくまり苦しがっていた。どうやら巫女のお祓いは、半分妖怪である藍華には聞いたらしい。
「ふっふっふっ、哀れなやつよ藍華。この我に歯向かうとこうなるのだよ。はっはっはっ!!!」
「やりましたね、家長様」
「貴様ら、よくも藍華を、許さない...みんなかかれ〜!!!!」
「や、やめるんだ。さ...佐助...」
私は弱っている中、なんとか声を振り絞り佐助に叫ぶが時すでに遅し、佐助達は既に家長に向かって突撃していた。
「撃てー!」
「バーン!!バーン!!」
「ぐわぁぁぁ!!!!」
「ぎゃああああ!!!!」
再び響き渡る無数の火縄銃と集落の男達の叫び声。弱った私の視界に見えるのは、次々と殺されていく集落の男達の姿、そして...。
「喰らいやがれ!」
「バーン!!」
「ぐわぁぁぁ!!!!」
佐助も火縄銃の餌食になり、私の目の前で倒れた。佐助は最後の力を振り絞り私にこう伝えた。
「ら...藍華、俺達はもうダメだ。だが、お前だ...けは集落...を救ってくれると信じてるか...ら...な...」
「佐助、佐助?佐助!!!!」
佐助は藍華に遺言を言い残し絶命した。そして集落の男達も一人残らず絶命した 。
「くっ、くそっ...守れなかった...守れなかった...」
私は集落を守れなかった悔しさからか、涙を流し始めた。
「無様だな、本当に笑わせてくれるよ。よしこの集落に隠れている女と子供、そして年寄りを全員殺せ、そして集落に火をつけてこい」
「家長、それだけはやめろ!頼むからあの人達だけは見逃してくれ」
私はせめて隠れている人達を助けようと必死に家長に訴えかけたが、もちろん家長はそんな私の声に耳を傾けなかった。
(数分後)
「家長様全員見つけ、縄で全員縛りました」
「よし、油を撒き火をつけろ、そして女と子供どもが見てる前でこいつを殺す。ほら、今から火だるまになる奴らに何か言い残すことはないか?」
「みなさんを守ることが出来ずに申し訳ございませんでした...恨むのでしたら恨んでもらっても結構です」
私は涙を流しながら、必死に謝罪した。
「お狐様は十分戦いましたよ」
「だから私達は恨みません、お狐様今までありがとうございました!」
「よーし、お前ら火をつけろ」
家長の合図とともに、予め撒いた油に火がつけられた。そしてあっという間に集落の人々に燃え移り、身動きのとれない人々は叫ぶことしかできなかった。
「熱い!熱い!」
「ママー!!熱いよー!!!」
「ぎゃああああああああああああ!!!!」
私は燃え盛る集落の人々を、ただただ眺めることしかできなかった。
「よーしじゃあこいつを殺すか、この日本刀でな」
家長は日本刀を振りかざし、藍華の首めがけて振り下ろした。
「死ねぇええええ妖怪がぁああああ!!!!」
(佐助、お前との約束守れなかったよ...)
私はそう心に思った次の瞬間、急に辺りが暗くなった。
「うわっ、なんだ!?いきなり辺りが暗く」
家長が驚いたその暗さは、普通の暗さではなく、まるで光すらないまっくらな暗闇のようだった。そしてその暗闇は数秒で跡形も無く消え去った。
「なんだったんだ一体、せっかくの妖怪退治が台無しじゃないかよ。よし気を取り直してと、あれ?あいつは何処に消えた」
家長は驚いた。何故なら、巫女によって弱らされていた藍華の姿がないのである。そう、まるで神隠しにあったかの如く。
「くっ、まだ近くにいるはずだ。者共、早く探し出せ!」
「はい、家長様!」
「何処に行きやがったあの化け物め」
家長達は消えた藍華を探しに燃え盛る集落をあとにした。
?「ふふふ...もう大丈夫よ。さぁ藍華さん、私と共に参りましょう楽園の地幻想郷へ...。」
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。
今回はこの話の主人公となる藍華の話を執筆してみました。
八雲藍華の設定ですが年齢は20歳で半人半獣つまり人間と妖怪(妖狐)のハーフとなります。
あと能力ですが覚譜「封印されし九尾伝説」と結界「防」は思いつきで考えました。
〇能力の説明は文中を参照にもう1つの小説「幻想野球異変」と並行しながら製作してますので次回までゆっくりお待ち頂けましたら嬉しいです。