雄英襲撃という一大イベントはバーンさまの威光とご活躍により見事に解決した!!
バーンさまのお陰で対オールマイトの怪人、(辛うじて生存してる)脳無の確保に成功。バーンさまのお陰でヴィラン連合の主要人員を(同士討ちで)捕縛に成功。活動限界に近いオールマイトは無理する必要も無かった(活躍が無くなった)。
USJ内に散らされた他の生徒達も自力でヴィランを倒し戻ってきた。
敢えて悪いことと言えば、早く終わりすぎてオールマイト含めて雄英の教師陣を事件が終わった後に到着させる事になった事か。オールマイト含めたプロヒーローである教師が出遅れてほぼ終わってから到着。
襲撃そのものは雄英の失態。つまり雄英の教師は自分達の失態の尻拭いを生徒達にして貰ったことになる。しかも自分達は生徒の危機に出遅れた。これを気にしないというならヒーロー以前に大人としてどうかという話。
生徒達が助かった事は嬉しい。しかし自分達の油断で危険を招き入れ危険にも殆んど何も出来なかった事は気にしてしまう。特に活躍した生徒が警戒していた相手だと言うのも複雑な心境になる要因か。
因みにその警戒された生徒のお方は…ヴィラン連合襲撃後に帰宅し…雄英へのヴィラン襲撃のテレビニュースを見てようやく本当にヴィランの襲撃があったと認識したとか…。
ヴィラン連合に襲撃をされた事もあり少しの休校の後、雄英は普通に再開した。生徒や親の様子を見る家庭訪問など特にはなかった。
ヴィラン(犯罪者)に侵入襲撃され生徒が襲われたのに酷くアッサリとした対応、ルール無用の生きるか死ぬかの戦い、相手が弱くなければ悲惨な事になる戦い。そんな戦いの後なのに生徒へのメンタルケアなどはない。
まぁヒーローを目指して居る生徒だからその程度気にしなくても良いと思ったんだろう。それに自力で乗り越えられなければヒーローに成れないと思ったんだろうか。子供が大事な親なら止めさせたいだろう。
ヴィラン襲撃が事実だと知った後、繊細なバーンさまは家庭訪問で確認がなかった事に驚かされた。バーンさまは生徒への気遣いメンタルケアは大事だと思う。少なくともバーンさまは襲撃事件により多大な精神的なダメージをおっている。バーンさまは気遣いが切実にほしい。
未だに地面から這い出てきたので潰した黒い男の感触が足に残っている。ゴキブリを足裏で潰した様な感触がずっと残っている。あと、何よりも、クラスでハブられてる感じなのを相談したい。ヴィラン襲撃後の登校でナゼか更に距離感が開いてる感じがした。
まぁしかし包帯グルグルで大怪我をしてる風な担任。そんな相澤に気遣いをして欲しいと繊細な心の持ち主の御方が頼めるわけもない。怪我が治ってないのに授業。家庭訪問が無かった事も合わせてヒーロー業のブラックさが見えてしまう。
「相澤先生大丈夫なんすか!?」
「安静にしておかなければいけないのでは」
包帯まみれの相澤を心配するクラスメイトの声多数。バーンさまは心配されてるのがちょっと羨ましい。そんな心配の声に相澤はバッサリと自分の怪我はどうでもいいといい。戦いは終わってないという。教室は緊迫した空気に包まれた。それは!!
「体育祭だ」
バーンさまは相澤の似合わない精一杯のギャグだろうかと思う。ギャグと言えば初日の自己紹介に使う予定だったギャグと比べると、ギャグセンスは自分の勝ちだなと確信した。特に意味はない。
「「「おおおおお!!!」」」
教室中に興奮した声がわいてでた。
バーンさまはその反応に驚かされた。
たかが体育祭に反応しすぎでないかと思う。雄英の体育祭は普通の体育祭ではない。雄英体育祭をある理由で見なくなったバーンさまは雄英の体育祭がどういうモノか忘れていた。
現代のオリンピックとまで言われる雄英の体育祭!!
スカウト目的でヒーローも見てる!
全国のテレビに放送もされる!
有名なヒーローを目指すなら外せないイベントだ!
だ、そうだ。
クラスメイトが興奮してる様子に体育祭の事を思い出す。最後に見たのは二年前。見るのを止めてしまう事故が起きた事を思い出す。
その事故は放送事故……
「「「……」」」
強制的に沈黙する教室。
バーンさまは普段から無意識に威圧感を出していたが、その威圧感が某魔王を自称するヴィラン並みとなると…
二年前の体育祭で放送されたバーンさまがみてしまったおぞましい事故。それはムキムキ男子生徒によるモーレツ全裸サービス。二年前の事なのに記憶力のあるバーンさまは克明に覚えていた。
全裸の男子。
画風が違うニッコリ笑顔。
バーンさまの精神を犯した。
バーンさまは最近見たお気に入りの猫動画を必死に思い出す。猫が戯れる記憶が全裸男子の記憶を押し退け威圧感は薄れていく。
ホッとし威圧から解放された生徒や相澤はさっきの威圧感を出した犯人は判ったが、何で威圧感を出したか気にはなるが目に見える地雷を踏みたくないのでスルーする事にした。静かになったのは都合がいいし。
バーンさまの威圧感からは解放され話し合いは再開する。
「…襲撃があった直後ですがよろしいんですか」
委員長から常識的な質問が飛んだ。確かに侵入された事を考えれば警備の見直しなど色々とやることが有る筈。体育祭をやる暇が有るんだろうかと普通は思う。
それに捕まったヴィラン連合の主犯とされるヴィランが脱走したというニュースもある。ヴィラン連合かまた何かしてくる危険がある。ヴィラン連合に限らず目立つためや面白半分に真似をするヴィランが居ないとも限らない。
返答として中断して雄英がヴィランに負けたと見せるわけに訳にいかない。例年の数倍の警備のプロヒーローを呼び警備を厳重にするそうだ。ヴィランに負けてない事を示すのが重要だと。
雄英が生徒の安全は二の次にしてる発言か。しかし当の生徒達は中止に成ってないと喜んでいた。バーン様としては体育祭はどうでも良かった。
ヒーローに成るなら体育祭は重要なイベントだが、バーン様にヒーローに成ろうと自主的に雄英に来ていない。一応雄英に来る事になりヒーローに成ることも候補の1つにはしていたが、ヴィラン連合襲撃後などの対応からブラックさが垣間見えるヒーローに成りたい思えるわけがない。いやそれより何よりも体育祭への思い出が放送事故…当たり前だが体育祭に参加する意欲が持てるわけがない。
授業は終わり帰る時間。
外が騒がしい。
他のクラスの生徒が多数1ーAのクラス前に来ていた。
バーンさまは脳内の全裸を追い出すために猫の動画を見ていた。猫好きが反応するのも期待していた。皆バーンさまの方を見ない。
「な、なんだ!なんの集まりだ」
人の集まりに困惑する1ーAの生徒達。
意外な相手が答えた。
「ハッ!敵情視察だろ」
爆豪はバカにするように吐き捨てた。
「敵情?どういうことだよ爆豪」
「大方!ヴィランの襲撃を跳ね返した奴等を体育祭前に見ておきたかったんだろ!は!見ても無駄だ、どけ!邪魔だモブ共!!」
体育祭を前にして全方位にA組の印象を悪くしていた。教室前で集まるという迷惑行為をしてる相手も悪いのだが……敵情視察か。悪く言えば事故にあった人間を見にきたゲスな野次馬か?
野次馬とは違う人間もいた。
「B組のものだけどよー!A組はえらく調子に乗ってんな」
「普通科はヒーロー科への編入狙ってるんだ」
爆豪の発言に反発するようにB組の生徒。あと顔色が悪い普通科の生徒が宣戦布告をしていった。バーンさまが見るとトーンダウン、チンピラが噛みつきそうな顔でバーンさまを見ていた。
そんな爆豪が公共放送される体育祭に出て大丈夫かと心配になる。炎上したら襲撃事件も合わせて教師の人は大変だ。雄英の教師達が大丈夫か心配するバーンさまは雄英にとって良い生徒だろう。
そんなとても良い生徒に心配される教師が集まり、体育祭についての警備諸々の話し合いをしている。
今の議題は…心優しいある良い生徒について
「彼が体育祭に出場するの…いいんですか?」
ミッドナイトは目下最大の問題を口に出す。プロヒーロー、教師陣は誰もが困った顔をしている。体育祭に出たら駄目そうな生徒、話題の対象は勿論チンピラ…でなくナゼか優等生のバーンさまだ。
「「「ウ~ム」」」
全員が頭を悩ませた。
粉砕された入学試験の会場
初日の個性テストの惨事
そしてUSJでのご活躍()
此までやって来たことを思い出せば体育祭の会場が無事で済むかどうか……
全員が沈黙。先ず初日に町規模の会場を丸ごと粉砕、個性テストで戦場跡地にした。襲撃事件では対オールマイトの(少なくともプロヒーローを圧倒する様な)怪人を身体能力だけで圧倒した。見ている側曰く未だ未だ余力がありそうに見えたという保証あり。
「やっぱ…大惨事になる想像しか出来ねぇかなぁ」
呟きに全員が頷いた。
「本人には悪いけど…普通に参加してもらうのは…ちょっと」
「…まぁそのままだと体育祭に手加減抜きの私が出る様なモノですしね」
トゥルーフォームのオールマイト(何十年も不動のナンバーワン)からの評価。甲子園にトップクラスの大リーグ選手が参加するのとどちらが酷いだろう。いや(怪獣の方の)ゴジ◯が乱入か?
「前にやった模擬戦並みの制限をつけてもらうぐらいしないと…」
「流石に公平性云々いってられませんよね…」
個性は千者万別、十人十色、どんなに能力に差があっても卑怯なんて事もないが、最低限の安全性が無いのは不味いので妥当か。ここで言う最低限のラインは命となる。
「仮に制限するとして…何処まで制限するんだ。模擬戦の時みたいに全面的な攻撃禁止ってのは幾らなんでも……それぐらいしなきゃダメか」
「…致命傷にならないぐらい」
「本当に最低限!?」
「てか、本人が手加減できんの?」
「襲撃したヴィランの被害は、確か半死半生な名ありヴィラン一人、腕が折られたリーダー格一人…、モザイク必至な怪人一人だっけか?…死人ゼロ!!手加減できてるな!安心だな!」
「それまったく安心できませんよね!?」
「そう言えばその腕が折れたリーダーでしたか言えば…折られたのに治されてたんでしたよねイレイザー」
「…ええ、何のつもりなのか自分が折った腕を短時間で治してましたね」
全国的に治癒個性は希少なモノ…しかしナゼか対象の生徒だと治癒出来るぐらいでは驚くのは無理だ。しかしヒーローに出来なかった場合の損失を考えると責任の重圧は更に増えた。
「治癒出来るからって腕を折るとかダメだろ」
「むしろ治癒できるから過激な事をしそうですよね」
「ヴィランだからでクラスメイト相手にはもう少し手加減してくれますかね…」
「何にしても実際に手加減出来るかどうか実地で確認するしかないのさ」
…誰が実地で確認をとると言うんだろうか。危険度を考えれば実地は模擬戦の様に生徒の前に教師がやらないとダメだろう。視線は一人に集まった。担任だ。
「担任として頑張ってくれよイレイザー!」
誰もが視線だけで何も言わない中で、プレゼントマイクがグッとサインでそう言った。それを受けて相澤は…
「くっ…」
「イレイザー!?」
相澤は突然苦しそうにし校長の方に向く。
「…スミマセン、怪我の容態が思わしくないようです」
「うん、さっきまで平然としてたよな」
「なので代理を山田、プレゼントマイクに…」
「ホワイ!?…い、いやいや!代わりとかならエクトプラズムに頼むべきだろ!?」
エクトプラズム、煙の様な分身を作れる。分体であれば本体さえ巻き込まれなければどんな致死的な攻撃でも受けても死ぬことはない。肉人形?ダミー人形扱いで、戦闘での安全の確認をする人材としては最適だろう。…本体ごと巻き添えにしそうな可能性は有りそうだが
「む、確かにワレが適役なのだろうが、すまない。他の生徒にも練習を頼まれていて体育祭までに取れる時間が…」
「そう言うことらしいので、やはり確認については代理としてプレゼントマイクに頼みたいと思います」
「ファ!?」
結局は山田にもどってきた。
「それなら仕方ないのさ!マイク頼んだよ!」
「有無を言わさぬ即決!?せめて誰がやるか話し合いで決めない!?」
山田の抗議に全員が目を逸らした。
「なぁ…いっそ出場を辞退して貰うのは…」
山田が酷いことを言い出した。
「は、どんな理由で…」
「USJでやり過ぎてたろ…あの脳無とか言うの相手に」
「……俺(プロヒーロー)を圧倒した対オールマイトを名乗るヴィラン相手に、(立場上は)生徒がやり過ぎたって言うのを問題にするのか」
脳無は担任のプロヒーローですら圧倒した化物。倒してくれていないとどうなっていたか。あの脳無と戦えばオールマイトですら危険だった可能性もある。結果だけ見れば建物の損壊だけで脳無を殺さずに拘束している。それで後からやり過ぎだと言うのは…
「じゃあ!…ほら…あれだ…素行に問題があるからとか?」
「彼の素行に問題ってなにか心当たりでも」
「授業態度…」
「授業は真面目に受けてくれてますよ。プレゼントマイクの時は違うんですか?」
「…うん、真面目に受けてくれてたな。あーー他の生徒となにかあったりとかは?」
「誰かと諍いを起こした何て話は聞いたことはないですね。 まだ入学から日にちが経っていないので確定ではありませんが…現時点での評価は」
「……現時点での評価は?」
「優等生ですね」
問題行動は全く確認されてないのでそう言う評価になる。素の威圧感で心身が疲弊させられるが…それは問題という事にも出来ない
「教師としてこう言ってはダメですが意外な程に何もしませんよね」
「……ほんとな…」
「本性を隠してるとかねぇの?」
「いえ、担任や同じ中学の生徒に確認を彼が中学時優等生だったと校長が話してましたし。隠している事は……校長どうしたんです」
根津はちょっと躊躇いがちにいった。
「その中学時代の事についてなんだけど、優等生だって評価は間違いないけど……実は彼には相当数の手下、下僕が居たらしいのさ」
優等生だったという話が根本的に可笑しくなる情報だ。
「校長!?聞いてませんよそれは!隠していたんですか!」
「隠してないのさ。ボクもちょっと前に教えられたのさ」
校長が何かどす黒い気配を纏っている。どうやら校長も最近聞いたようだ。今さらになって情報が来る校長の情報の確認先も気になるがそれよりも…バーンさまの事が優先だった。
「過去に素行に問題あったとなると…」
「……今は本性を隠してるだけと言う事なんですね」
教師達の顔に警戒心がありありと浮かんでいる。根津は慌てて補足をいれた。
「いやいや昔も素行には問題ないのさ。中学での評価も優等生だって言ったよね」
「どう言うことです。手下が居たんですよね」
「正確には自称の手下や配下なのさ」
「自称…ですか」
「本人は手下に成った事を承諾してないし自称手下に命令どころか干渉する事すら無いって話らしいよ」
全員が何か言いたい言葉を飲み込んだ顔をしてお互いに顔を見合わせた。勝手に手下になる。本来なら信じられない話だが…
「つい最近遭遇したあれが実例なんですかね」
心当たりがあった。
「…ヴィラン連合のチンピラが寝返った話だよな」
「あれと同じことが中学でもですか……」
ヴィラン襲撃の時に救援に向かった教師が始めに見た光景が、バーン様の配下の様に振る舞うヴィランたち。その光景に極自然と襲撃したヴィランの首領だと思った教師が居たとか……。
オールマイトが気まずそうな顔をしている。誤解した誰かが覚悟を決めた顔で田中と戦おうとする寸前となり、イレイザーか生徒がバーン様について証言しなければどうなっていたか。
「イレイザー…本当にあの時って勝手に襲撃にきたヴィランが寝返ってたの。彼が何か言ったんじゃないの」
現場にいた相澤に視線は向いた
「……田中自身はヴィランたちに一言も話し掛けたりもしていませんでした。…いきなり裏切ってましたね」
「……単に強い方に寝返っただけか?」
「それだよな。寝返ったのあの脳無ってのを倒したあとみたいだしな」
USJにきたヴィランは適当に集められたチンピラだと確認が取れている。そんな仲間意識のないヴィランなら、弱いヴィランより強いヴィランに付くのは極自然なことだ。……まぁ少し可笑しな点は強いヴィランと認識されたのが、ヒーロー科の生徒だったと言うことだろうか。
因みにちゃんと連合のヴィランたちは捕まってる。寝返ったヴィランが捕まるときにバーンさまの立場を教えられたが、信じたヴィランが居たかどうか…。
「前の襲撃がそれとしても中学時代はどうしてだと思う。彼は手下を作ろうなんて事はしてないのさ」
「それは…単純に強そうだから手下になったとか?」
「そう言うのなら良いんだけど、その手下の規模と数がちょっとね。多すぎるのさ。強そうだとかそう言う理由だけで手下になったと思えないのさ」
「校長はどうしてだと思うんですか」
「うん個性の影響じゃないかと思うのさ」
「個性の?」
「大魔王って個性の名前的に誰かを手下にするみたいな効果がありそうじゃない?本人の意思と関係なく」
「いやいや!そんなの……」
「無いと断言はできないよね」
「彼の個性届けの内容ですが、大魔王みたいな事ができるでしたよね…。大魔王と言えば自分から進んで配下になる洗脳染みたカリスマが…?」
「洗脳か…」
「手下などを本人が望んでない場合の方が怖いですね。本人の意思に関係なく発揮している洗脳能力となりますし…」
「本人が無意識の洗脳って最悪だな」
「仮に洗脳とかあったら生徒がヤバくね?」
「今の所は手下になった様な子は居ないわよ」
悲しいことにバーンさまの近くに誰も近寄ってこないので見てわかる…。
「時間経過で効果があるってパターンかもよ」
「あの洗脳は憶測ですよね?」
「うん邪推って言ってもいいよ」
「邪推!?」
「邪推なんだけど、少しでも洗脳染みた力がある可能性があると不安なのさ。体育祭の参加して観客とかに効果があったりするかもって考えると…」
「……」
プレゼントマイクは嬉しそうだが、他はどうするかという感じで顔を見合わせる。やはり辞退を頼むしか…だが全国に注目される雄英の体育祭、出たい大きなモノだという認識がある。出来れば本人のためにも出させたい。本来ならリスクを避けて辞退を頼むだろうが、それは酷いことではないか。バーン様に恐怖してる自覚もある。恐怖から差別してるのでないかとも思う。
根本の部分はお節介なまでに善人しか居ないプロヒーローの教師。なるべくなら出場辞退は避けたいと思う。先ず考えたのは洗脳疑惑についてどうにかできないか。
「姿を隠すと言うことでどうにか…いえ何でも無いです」
口に出して駄目だろうと途中でやめた。
「姿を?…あぁ洗脳の条件が姿で効果があると思ってですね」
「えぇそうですが…」
「ふむ仮に洗脳がある前提で考えると洗脳の条件はなんでしょうか。幾らなんでも無条件なんて事はあり得ないでしょう」
「目線か声で洗脳するのがメジャーだけど…イレイザー、ヴィランが手下になったときに話したりしてないのよね?」
「……いえ話しかけたりはしてませんでしたね」
「ならイレイザーみたいに目線…?」
「それか他の体の何処かの部位か……」
「さっき言ってた姿を隠す発言の意味はこれか?目を含めて姿そのものを見せなきゃ洗脳の効果が無くなるかもって事だよな」
「そうですが駄目ですよね」
「…試すぐらい良いんじゃないですか。洗脳とか抜きにも彼はそのままの姿で出るのが…その、あれですし」
誰も否定をしなかった。
「ですがジャージ以外はルール違反になりますよ」
「そこら辺は個性の問題だって事で特例で許可する事は出来るのさ」
権力者が認めるならルールという障害が無くなる。しかしそれでも大きすぎる問題は他にもある。
「体育祭で全身を隠すようにと誰が本人に頼むんですか」
そう、誰が頼むのか。
普通なら体育祭で一人だけ全身を隠せなんて言われれば怒るだろう。さらに理由としては疑惑をだした本人が邪推という洗脳疑惑か…姿をそのまま出すのは不味いと言うのか。バーンさまがどう反応するか。
幾らプロヒーローでも殺傷しそうな地雷を自分から踏むことは避けたい。
普通に考えて頼むのは担任か。
「ぐ、怪我が…」
「イレイザーが辛そうだしこれもマイクに頼むのさ!」
「ふぁ!?」
「…すまないが頑張ってくれよ」
「ひでぇよマイフレンド!!てかまた決定!?拒否権は!?てか!別に頼むのぐらいは怪我があっても問題ないだろ!?」
山田の事は皆がスルーして話を続ける。
「本人が姿を隠すことを拒否した場合は…」
「洗脳なんて無いことが確認出来なければ…辞退を願うしかないのさ」
「……その洗脳が無いかどうかも含めて全て山田に調べて貰うしかないですね」
「ふぁ!?」
「うん、プレゼントマイクには諸々、頑張ってもらうしかないのさ」
二人が結託して一人を貶めていた。
皆が気の毒そうに山田を見ていた。
「俺っち一人だと物理的に無理だかんね??俺っちもやること有るんだし」
プレゼントマイクだけでないが、プロヒーローとしての仕事、教師としての仕事、ヴィラン襲撃について警備の見直し。全国に放送される体育祭の準備もある。激務であり余裕なんてあるわけがない。其所に追加される危険な業務。時間がない。
「……確認する時間ある?」
「なんとか…なるのさ!」
教師達はお通夜の様な空気をだしているのを根津は気付かない、ことにした。
「そう言えば…全身を隠すという事になる場合は、具体的にはどんなモノで全身を隠すんです」
「それは全身を隠せるローブ…いえ…体育祭で動いてたら脱げそうですか」
「簡単に脱げないので、成るべく体育祭で浮かない格好にしないと駄目だよな」
「全身を隠して浮かない…フルアーマー装備?」
「いやヒーローコスチュームみたいなのは駄目だろ」
「どんな格好にするかは本人の希望次第かな。……準備したりする必要もあるから急いで確認頼むのさプレゼントマイク!」
「……校長、なんか俺に怨みない??」
それから時は流れて体育祭当日
最低限の手加減は可能とされた。無意識の洗脳等は…不明。しかしバーン様は体育祭に無事に出場することになった。なってしまった。
「おい…おい山田」
「ほ、本人の希望だから」
相澤は震えた声で山田の肩を掴んで揺さぶり山田も震えた声でそう言っていた。
雄英の1ーAが入場。
生徒の中に
禍々しい黒い空気を発した大型のマスコットの様な着ぐるみが一体いた。