2×××年×月13日。
○県○○市○×町の取材記録。
記録者、フリーランスの記者ーーーーー
この記録を見ているのは私以外だろうか。もしこの記録を見てるのが私以外なら、この記録を真っ当に活用してくれる人間が見てくれている事を願う。
初めにも書いてあるが私はフリー記者のーー、
先ず初めに私について軽く書いおく事にする。つまらない話だと思うが出来れば見てほしい。
私は極平凡な家庭に産まれ特に才能も実績も特筆したモノはない。平凡な学生時代をすごし高卒後には何の因果か大手の出版社の記者となった。あまり真面目でない自分だったが、意外と記者として真面目に仕事をした。真面目にしてたから自粛やら規制に大体数年で嫌気がさして独立してフリー記者となった。
自慢ではないがそれなりにスクープを見つけたこともある。この記録から三年前の○会社とヴィランとの癒着、結構世間を騒がせた事件をスクープした記者が私だ。 記事には名前は乗ってないが本当だ。別の記者に手柄を奪われた。
初め激怒したが、直ぐにゾッとすることになった……スクープから数日後にスクープを奪った記者が変わり果てた姿となって発見されたからだ。
もし自分が記事を自分が出していれば……それから取材が恐くなった。それは三年後の今まで続いた。
三年前を最後にスクープは見つけていない。誰もが知らないスクープを得るには其なりに危険に入らないと不可能。三年前の事で取材が怖くなり危険を避けるようになった私がスクープを取れる訳がない。書いてて情けなくなるが、私は安全に取材した情報をさも危険に飛び込んで入手した情報のように出版社に売り込む記者擬きとなり、記者として誇れる事なんて何一つない三年を過ごした。しかし此れから先は違う…つもりだ。
この記録を付ける理由、三年ぶりに腐った私が記者に戻り命の危険があると思える取材をするつもりだからだ。何も残さずに終わるのだけは避けるために、この記録を後の記者の為ともしもの時の遺書と兼任するモノとして残す事にした。
この取材の目的は初めにある通り○県、○○市、○×町。
特筆する所はなんと言っても公式の記録として◯×町は、オールマイトが現れてから世界でトップクラスに平和な日本の中でも、犯罪率が断トツに低いとされている町だ。記録の上ではあのオールマイトやエンデヴァーが活動した場所よりも治安が良い。
知りたがりの記者でなくても何故平和なのか気になる。だから初めて街の事を知った私は誰かが他の人間が調べてると自分で取材しようなんて思わなかった。
関わる切っ掛けは知り合いの勤めてるテレビ局で、世界で一番平和な町として特集が組まれると言う話を聞いた事からか。後日、調べた限り○○町は何の変哲もない普通の町で何の面白味もないとボツになった結果を聞いた。
そこで可笑しいと思った。理由がない何てあり得ないと。例えば先ず考えるのはヒーローだ。オールマイトに近いヒーローが町に専属していればなんとかなるかもしれない。結論としては違う。○○町を専任としているプロヒーローは一人。町が平和で副業しかしてないが、他の町で活動してた時の評価は実力派のヒーローらしい。トップランカーに比べて二段ほど落ちる。一級クラスだがとてもオールマイト以上に平和に繋がる影響力があると思えない。他で考えて警察官か。○○町の警察には可笑しさはない、ならヴィジランテか、ヴィジランテの活動も確認されてない。
何もない。テレビ局の知り合いと同じ結果になる。外から記録を調べた限りでは何もない。何か治安の良さに繋がる何か、良くも悪くも何か違うところがある筈なのに記録ではなにも見付からない。今の世の中では理由のない危険はあっても理由の無い平和はない。あまりにも不自然。必ず平和なら其なりの理由があるはずなのだ。問いただすとテレビ局の知り合いも同じ疑問を感じたそうなのに、上の方から取材の取り止めが決められたそうだ。
私は取材しようとは思わなかった。
勘として危険だと感じたからだ。
三年前から続いて危険だから避けた。
しかし一緒に知り合いの話を聞いていた記者が動いた。◯◯という出版社時代からの先輩記者。私より先にフリーランスの記者となっていた尊敬する記者。この先輩の後を追ってフリーの記者となったとも言える。
そんな先輩が取材に出て僅か数日後に最終的な結論を出した。町が平和な理由に特別な原因は無い。そう、つまりは、たまたまその町の犯罪率が低いとした。
ありえない
初め結果を聞いた時は混乱した。虚偽が許せず上司に楯突いて大手新聞社から首にされ、凶悪ヴィラン組織の悪行を単独スクープした事もある勇気と正義感のある先輩…。見付からなかったと言うならまだ判るが、僅か数日で取材を諦めてどう考えても間違った結論をだすってなんだ。明らかに…事実を歪めていた。
腐った私とは違う正真正銘の記者。そう思っていただけにショックだった。
それから先輩は消息をたった。
最後に目撃されたのは例の町。
警察には相談はしてある。先輩が消息不明になった場所がこの町だと伝えた。記者として情報の秘匿なんて事もせずこの町の異常も伝えた。異常についてどう判断されるか判らないけど、少なくとも探索願いは出したので警察も探してくれる筈。
最低限やれることはやった。
その上で私は件の町の取材を行うことにした。
どう考えても先輩が行方不明の原因は町に関係している。私より修羅場を潜り抜けてきた先輩が行方不明と言うことは、危険は相応にある事は間違いない。本音を言えば避けたい。しかし取材をしない訳にはいかない。
別に先輩を助けようなんて思ってない。
こんな商売をしていれば何時不幸に不本意に終わるかわからない。先輩とはお互いに取材で最悪な事が起きても、それを理由に取材をしないと約束をしていた。取材が仇の様なそれだと記者として客観的な視点が保たれないからだ。
理由は、あの町の取材に出された結論を聞いて初めは先輩に落胆した。しかし最後に目撃された場所を考えると先輩は取材を継続していた。なら何故、あんな判りやすい断念した様な取材の結果を話したのか。何故、私に可笑しいとわかる取材の結果を話したのか。
恐らく…先輩は自分でも避けるほど危険だと伝えて、私が万一にも取材しようなんて思わないようにするつもりだったんだろう。つまり危険と判れば私が取材を避けると思われた。気付くと…無性に腹が立った。
先輩に腐った記者と思われていた。
自覚があるからこそ腹が立つってヤツだ。
もし、もし町の取材を避けるなら、先輩に腐ってると思われた事を肯定する事になる。それは自分で腐ってると思うのとは訳が違う。自他共に腐ってる事を認めるなんて事になる。……自分でも変なプライドだと思うが、其だけは嫌だと思えた。
意地に面子。これが私が危険と思える取材をしに行こうと思った理由だ。町に何が隠されているのか。何が潜んでいるのか。私は絶対に暴いて見せるつもりだ……無理だった場合の記録を残しておいて何だが必ず見付ける。
取材初日
○月×日
外からは判らない。なら内になる現地に行かなければいけない。足で現地の情報を得る事にしした。
当事者の◯◯町の住民からの聞き取り調査から始める。朝から夕方まで、今日一日件の町で取材をした結果、特に情報はなかった。今日歩いた○○町は平穏そのもので一番平和な町だと言うのは間違いなさそうだ。
気になる事はあった。
何だろうか。住民の反応がすこぶる悪い。避けられてる感じだ。記者だと避けられる事はたまにある要る。しかし避ける住民ばかりなのは変だ。
住民が何か知ってる?まさか町ぐるみで何かを隠しているのか?流石にそれは無い…と思いたい。村社会ならともかく普通の町ではあり得ない。あり得ない筈だ。
一日の成果、住民からはこの町が平和な理由の有力な情報は得られなかった。先輩についても何人かは目撃したような事を言うけど、行方不明に成っていこうの手懸かりがない。町も平和なだけで特段可笑しな事はない。住民の対応が不自然だと少し感じた事ぐらい
明日も引き続き住民に取材をしようと思う。
取材二日目
ーー
取材三日目
今日で取材三日目。
今は取材をやった帰りで、初日から続いて三回目の聞き取りをしてきたが、進展がない。
ある意味進展があったか。
不味いというか、悪い意味で
どうやら私は町の住民から警戒をされはじめたようだ。二日目辺りは気のせいかと思ったが気のせいじゃない。その手の気配には敏感でないと生き残れない。だから危険の中にあるスクープを逃してきた……
とにかく、住民に警戒されると言うことは、町の住民が何かを隠している。初日にあり得ないと思った可能性が出てきた。目眩がしてきた。先輩も同じことに気づいて私にあんな事を。
何にしても不味い。先輩の事を考えて更に慎重に動かなければ、住民への聞き込みは避けることにしよう。住民がダメとなると選択肢が大分少なくなる。
とは言え明日は予定がある。
この地域を担当する唯一のプロヒーローの事務所に聞き込み。この町唯一専属のヒーロー事務所に電話して明日取材するアポは取れている。町を専任とするヒーローで重要な情報が確実にありそうだが、なるべく行きたくはなかった。
この町では副業だけでランキング、ヴィランらしい見掛けのヒーローの上位陣。顔で人を判断するのはあれだが……事務所紹介に出てる顔をみると…見た目だけの話なんだろうか…墓穴、虎穴に入るような気持ちになる。危険を覚悟で取材としても……自分から地雷を踏む様な事はしたくないだろう。
取材4日目。
ヒーロー事務所に行って無事に帰ってきた。
なんというのか生で見るとさらに濃い人で、やはり見掛けだけでなく本当にヒーローなのか…
昼頃、予定通りの時間にヒーロー事務所についた。そこで「ほっほっほっ……記者さんよく来てくれましたねぇ」とヒーロー名『ゲマ』という顔だけ出したローブを衣装を来た顔色がゾンビみたいなヒーローに挨拶をされた。
ヴィランみたいな見た目のこの町以外で活動してた時は実力派ヒーローとして上位。ヒーロー歴は長い大ベテラン。今は副業ぐらいで活発な活動はしてないが子供大好きな実力派ヒーローとしてそれなりに有名……私が親だとしたら子供を近づけたくないと思う。
サイドキックは二人ともどちらも異形系、馬と牛っぽい。…服が肌の色に近くて一瞬全裸に見えた。
ゲマにこの町が平和な理由を聞くと、神のお陰とか意味のわからない話を聞かされた。住民のモラルが高いとか誤魔化されると思ったのにぶっ飛んだ話を聞かされた。しかし詳しく話を聞くとただぶっ飛んだ話でなく、語っている神が聖書の神やら宗教的なモノでなく……実在する誰かの事を言ってるようだ。
狂信者の目、これ以上聞くのは危険だと感じゲマからの取材は簡単に済ませた。成果としては大きくあったと言える。この町に何者か…世界で一番町を平和にする様な相当な人物が居るようだ。
取材五日目
取材六日目
取材七日目
進展はしているが……
誰かに取材をせずに町を歩き回って二日目だが、住民から何度か止められたりした。恐らく件の誰かに近寄らせないように…大体暫くすれば止められる事がない。しかしある特定の場所は時間に関係なしに止められる。止められた先になにかある。記者として培ってきた危機感がこれでもかと警鐘を鳴らしていて……明日行って見ようと思う。
○区○番地
取材八日目
該当地区に入り、いきなり驚く相手と遭遇した。三人組で二人は知っていた。DJヒーローのプレゼントマイク、ネズミの様な特徴的な姿は雄英の校長、二人ともプロヒーロー、あと一人は誰か判らないがあの立ち振舞いは恐らく同じくプロヒーロー。三人のプロヒーローか。
気になりコソッリつけた。プロヒーローなら直ぐに気付くと思ったが、意外と気付かない。三人は酷くやつれた顔をしていた。会話が聞こえる範囲に近づいても何の反応もない。相当に疲れてるのだろうか?
会話内容を聞くと生徒のスカウトをしてきた帰り?雄英の直接スカウトなんて聞いたことがない。それだけスカウト相手は有望と言うことだろうか。三人が居た場所も含めて考えると…この町の秘密に関係があると思えた。
思いきって三人に取材をしてみた。すげなくあしらわれて、唯一ヴィラン組織が有ることは否定された。最後にスカウトした相手について聞くと、スカウトに成功してるように聞こえるんだが……なんで後悔している風だったんだ?