大魔王inヒーロー学校   作:ソウクイ

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第6話

 

雄英高校入学から2日目。

バーンさまは昨日と同じく早めに起きた。

 

朝食を食べ歯磨きなどした後に壮絶に似合わない雄英の制服を着て外に出た。だから姿を想像してはいけない。森の様な庭を抜けると玄関の門、玄関近くにまるで家みたいに大きな犬小屋と看板が立てられた小屋がある。犬小屋ポチの家と書いてあるから間違いなく犬小屋だろう。犬小屋のサイズ的に体長何mの犬か想像するのは怖い。

 

バーンさまは犬小屋を不自然に見ないようにしながら通りすぎようとした。だがバーンさまが近付くとガチャンと大きな扉が開き何かが出てきた。

 

それは金属ボディな巨漢なオッサンぽい謎の生き物。

 

「おお!おはようございますである!!バー、ゲフン!ゲフン!タロウサマ!今日も登校で有りますね!行ってらっしゃいませ!お家の防衛はこのキンg、ポチめにお任せくだされ!」

 

「…………」

 

バーンさまは無視して外に出る。あの謎の生き物、バーンさまが父親を起こす時に洞窟に入っている時に出会い、何故か主にされ庭に住み着かれ家まで建てられた。保健所に連絡したら引き取ってくれるだろうかと考えながら学校に向かった。

 

 

 

バーンさま2回目の雄英高校への登校。

 

昨日の個性テスト最期のツッコミに親しみを持たれたと期待しての登校だ。

 

バーンさまが入ると初日のようにクラスに訪れる静寂、何時もの事だとバーンさまは気にしない。気にしないったら気にしない。席につくとクラスメイトとの距離は目測およそ半径95センチ。

 

距離は95センチ、昨日は目測およそ一メートル、差し引き一日で五センチ分も親しみを持たれたという事だ!まさに快挙!一日で五センチなら10日後には50センチ、20日後には、バーンさまの明るい未来は確定ではないだろうか。

 

「……」

 

嬉しさに含み笑いをすると距離が二メートルとなった。

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校、雄英は講師には現役のプロヒーローを雇っている。しかも実力派ばかり。今の世で実力のあるプロヒーローとはアイドルやスーパースターと同義に近い、さらに雄英は人材だけでなく設備もこの上なく充実していてる。その潤沢さは恐ろしい程だ。例えば実技試験に町一つ丸々再現した会場が複数作られ1つの会場に1台で億単位の巨大ロボを使ってると言えば少しは想像がつくだろうか。

 

今年の雄英は更にスゴい。今年度の講師にはなんと平和の象徴と呼ばれるナンバーワンヒーローもいる。絶大な人気のあるナンバーワンヒーローオールマイトが教師。

 

長年活躍している不動のナンバー1、その期間はうん十年、生徒にとっては産まれる前から今までずっと活躍してきたトップヒーロー。活躍を見て育ってきた。自分達の目指すヒーローの頂き。今日はそんなオールマイトが行う授業。

 

 

 

オールマイトの登場はまだかとソワソワする生徒達。バーンさまは一番後ろの席で腕組をし目をつむっている。まるで興味がないと言う態度。実際にはオールマイトにサイン貰えないだろうかと考えていた。

 

バーンさまは特に熱烈なファンでもないが父親が好きみたいだからだ。けして売ろうとか考えていない。…ネットオークションでサインの値段を見たりしたが本当にそんな意図はない。

 

「わたーしーがーーー……ドアから来たぁ!!」

 

ヒーローコスチュームに身を包んだ筋肉の巨漢が入ってきた。巨漢という所で勝手に住み着いたポチと名乗る謎の生き物を思い出してしまうが、流石に失礼かと思う。

 

『オールマイトきたぁ!!』

 

「すげぇ!生オールマイトだ!」 

 

「あのコスチュームはシルバーエイジのだ!」

 

1-Aのクラスに入ってきたナンバーワンの姿に歓声の様な声が上がる。ただ教師が入ってきただけなのにその熱気は下手なアイドルのコンサートにも負けないかもしれない。実際にヒーローを目指す雄英ヒーロー科生徒にとってオールマイトはアイドルと言っても間違いでない!筋肉巨漢のアイドルとは業が深い。

 

熱狂に乗りきれてないバーンさま、学校の授業でなんでヒーローコスチュームなんだろうかと空気の読めない事を思っていた。熱狂が静まるまでクラスの生徒を覚えるように見ていたオールマイトだが、バーンさまを見て止まった。

 

 

「……」

 

大魔王とナンバーワンヒーローが見つめあう形になった。

 

「「「……っ!」」」

 

 

どちらも相手に対し何も言わない。教室に確かに満たされた息苦しい重い空気。一触即発に感じる緊迫感、何分、何十分いつ終わるか判らない息苦しさを感じたのは緊張による錯覚。実際には数秒でオールマイトから目を逸らしていた。オールマイトが目をそらした瞬間に空気が弛緩し、生徒はホッと息を吐くとさっきのオールマイトは一体なんだったのか考えた。

 

終始顔だけは笑顔のオールマイトの思いは不明、しかし生徒に向ける視線ではない。いったいオールマイトは何を考えていたのだろう。因みにもう片方の当事者は特に何も考えてない。 

 

 

オールマイト登場の熱気が消えて不安そうな生徒たち。オールマイトはハッと自分のせいで微妙になったクラスの空気に気づきゴホン!!と大きく咳払い。

 

 

「HAHAHAゴメンゴメン!少し見すぎたね!君の頭にある角が立派で目が奪われてしまってたよ!」

 

((お、オールマイト!!!??))

 

バーンさまにニコヤカに謝る。しかし空気はまた凍る。喧嘩を売ってるもしくは挑発に聞こえる台詞、バーンさまは頷きオールマイトの言葉を問題にはしなかった。

 

バーンさまが気にしなかった事で空気はホッと平常に戻った。ただナンバーワンヒーローの不自然な態度は本人を除いて生徒たちの記憶に残った。 

 

当然だが見詰めていたのが角の事が理由だと信じた者は先ず居ない。よほど純粋かよほどバカでなければ信じない。当のバーンさまが普通に褒められたと信じてるのは純粋だからだ!

 

「さて!気を取り直して授業だ!初に私の授業でやることだけど、みんなにはこれから模擬戦闘をしてもらおうと思っている」

 

 

残った微妙な空気を吹っ飛ばすほどの台詞を言い放ったオールマイト。まだ入学から数日でなんの訓練も受けてない。なのにいきなりの模擬戦という事に全員が驚く。

まだ入学試験はロボ相手だったが今度は対人。個性を人に向けた事のある生徒なんてまず居ないだろう。気をつけても思わぬ事故もあり得る。生徒の能力任せで始めるというのは危険ではないだろうか。

 

「うわぁ模擬戦闘かぁ……ん?このクラスで模擬戦闘……このクラスのメンバー……で!?」

 

生徒達は有ることに気付いた。

気付いてしまった。

 

「……や、やべぇよ」

 

生徒の顔色が悪い。それをバーンさまは当然だと思う。対人戦とは戦闘だろう。手加減できるか不明な個性で攻撃される。逆でもあいてを傷付けることになる。ヒーローを志しておいてクラスメイトを傷付ける事に抵抗を感じない訳がない。それは顔色も悪くなる。

 

特に危険なのはバーンさま公認クラス一危険そうな爆発が個性の不良ぽい生徒、氷を使うツートンカラー、何を出してくるか判らない真面目そうな痴女、個性把握テスト上位陣。そんな相手との戦いが怖いのは当然だろうと。

 

そんな上位陣を突き放してトップに立ったのは誰か、バーンさまは昨日の自分のテスト結果を素で忘れ顔色が悪い生徒達に仲間意識を持った。

 

クラスメイトも仲間意識を持ったからこそバーンさまに視線を向けてくるんだろう。怯えた感じの視線を。

 

 

地獄に叩き落とされた様な空気にオールマイトは汗を垂らしたが発言は撤回しない。もとい出来なかった。少し不味いかなと思ったが新人教師に臨機応変は厳しいのだ。予定通りに進行する。

 

「そ、それじゃあ!早速だけど!コスチュームに着替えて移動してね!」

 

着替えると来たのは大きなモニターのある部屋。

 

そこでは模擬戦闘をするのに生徒達は其々の個性に合わせたコスチュームに身を包んでいる。コスチュームを見比べ楽し気なクラスメイト、全員が総じてヒーローか変態か痴女らしいと思える格好、バーンさまの格好も『大魔王』と言う個性に合わせた服装だ。とても似合っていた。……ヒーローだろうか?

 

 

黒い貴族風な服に黒いマントなんで黒ばかりなのか。カラスの様な生徒も黒ばかりだが外見と合わると黒ばかりなのは可笑しくないが、なら特に黒くないバーンさまが黒ばかりなのはなぜなのか。どう見ても悪役の衣裳。よくてダークヒーローなコスチューム。とても似合っておられる。試験の時の貰ったローブ?動きにくかったのでタンスに封印された。

 

今回其々のコスチュームはお任せも出来るが、直接業者にコスチュームの希望を述べる事ができた。因みにバーンさまは希望をしていたが、この黒い衣裳には希望が1つも当てはまっていない。

 

提案したのはふもっふか猫系の着ぐるみ衣装。可愛らしい衣装で人気間違いなしだった。何故黒い衣装に?欠片も既望にカスッてない。世界の理が消去したか。誰かに焼却処分でもされたのだろうか。

 

「みんな似合ってるじゃないか!」

 

オールマイトの似合っているという台詞には今度は逆に一人だけ誉め言葉にとれずに微妙な気分となる。偶然か自分からだいぶ離れた所にいる友みたいな愛嬌のある格好が良かったとバーンさまは思った。

 

チームの組分け。

 

ヴィランチームとヒーローチームに二人一組で別れるようだ。二人一組の決め方はクジ引き。

 

バーンさまはチーム決めがくじ引きによるランダムだった事に心底安堵した。中学は偶数のクラスなのに余った一人が何故か居らず二人一組になれなかったバーンさま。

 

他のクラスメイトからすると……この組分けでバーンさまの相棒は絶対に決まる。言い換えるとクラスの誰かが確実に犠牲になる。なんの犠牲かは知らないが。

 

「さ!くじを引いて!」

 

組分けが始まった。20数発分装填できるリボルバーに一発の実弾が入ったロシアンルーレットをするような気分での組分けが。外れ枠は不良だろうなとバーンさまは思う。

 

「こ、これは…………よっしゃぁぁ!!!」

 

「神様!仏さま!お願いします!」

 

「お、お!!生き残った!おれ生き残ったよ!」

 

「はぁ、はぁ……いやだ引きたくねぇ……こわいよ」

 

「ヒーローが逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ」

 

一部、くじを引くのに感情込めすぎでないだろうか?とはいえバーンさまも誰になるだろうかとドキドキした。彼等と同じように(?)模擬戦闘は怖い。しかし恐怖を共に乗り越え友になるのが友情の王道。バーンさまという恐怖と模擬戦闘を乗り越え友が出きるだろうか。あれ?

 

「……」

 

全ての組分けは終わった。バーンさまとコンビになった幸運な人物は誰か。

 

コンビは見えない人だった。

また一人だった訳じゃない。

エア友達の亜種でもない。

 

葉隠透という透明化という個性を持ったインビジブル少女がコンビに選ばれたのだ。

 

手袋と靴だけ見える。それしか着てない。つまり15の少女が屋外で同年代の中で真っ裸。 色付きの液体でも掛けられたら大惨事でないか?またはイレイザーの個性の無効化、能力云々でない部分でとても不安なパートナー。

 

「よ、よろしくね田中さ…くん!わ、私は葉隠透、です!見た通り、あ、見えないか。見えない通り!私の個性は透明になる事ができる個性だよ!……役に立てるかわかんないけど!パートナーだから一緒に……が、がんばろうね!……ごめんなさい!」

 

葉隠はとても元気よくバーンさまに挨拶をした。最後の謝罪はよくわからない。

 

本人が見えていたら涙目で目線が合ってない事とガクガク小鹿の様に震えてる足が見えただろう。そんな事は気付かないバーンさま、15年生きてきて初めてフレンドリー(?)に女の子に挨拶されたと思ったバーンさまは……

 

「フッ……フッフッフッフ……フハハハハハハハ!!」

 

最初は底冷えする様な小さな笑い声その次には高笑い。葉隠はなにか怒らせたのかと震えている。クラスメイトも警戒し、オールマイトは何が起きても良いように身構える。そんな中でバーンさまは高笑いを止めるとこう言った。

 

「共に全てを制そうか」

 

一緒に世界征服しようと言われた?何故かそんな言葉に聞こえた。周りにもそう聞こえた。バーンさまは一緒にがんばろう!といったつもりだ。なんでこの言葉を使ったのか本人としても謎だ。緊張して言葉の選択が混線した。まともに少女と会話をした事がない弊害ということだろう。あと好感度がやたら高くなった。ただの挨拶でバーンさまの好感度は爆上がりチョロいんだ。

 

なにか模擬戦闘の範疇を遥かに超えた重たいモノを感じた葉隠は『あの制するの、この模擬戦だけで良いからね?』と小声で言うのが精一杯。

 

 

バーンさまに友好的なパートナーができ、バーンさまの模擬戦闘へのやる気は0からスカウターがボンと爆発する位に上がっている。相乗して対戦相手の危険度も、若干、少し、跳ね上がったかもしれない。

 

 

そんなバーンさま組の対戦相手、あるかもしれない白熱した勝負による友情物語を彩る対抗相手。はたまた事故の犠牲者、対戦相手に選ばれたのは…ミッドナイト&セメントス。

 

 

 

二人とも教師、プロヒーロー、 

おいまてと思わず葉隠は言ってしまう。

 

「あのなんで教師のお二人が私たちの相手なんです!?」

 

葉隠の抗議にミッドナイトは単純明快に納得する答えを言った。    

 

「ぶっちゃけ生徒が相手なのは危な過ぎるし…」

 

「「「ああ」」」

 

納得の声が多数、バーンさまも納得した。

確かに(全裸の)葉隠は危な過ぎると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




バーンさまのコスチュームはドラクエ、ピサロ風
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