大魔王inヒーロー学校   作:ソウクイ

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第7話

 

「ねぇセメントスあの子達初回にしては中々やると思わない。今年の一年生は教えがいが有りそうね」

 

「いえ、ミッドナイト、模擬戦を見るのも良いですが、そろそろ…我々の模擬戦について話しましょう」

 

「………そうね」

 

1年A組の模擬戦闘の対戦相手として呼ばれたのは、私ミッドナイトとセメントス。模擬戦の話……特別な最後にやる模擬戦、ヒーロー側が私とセメントスによるプロヒーローのコンビ、ヴィラン役側は入学したての学生チーム。

 

しかも学生チームの一人には個性の攻撃禁止というとても大きなハンデを負わせる事になっての対戦。プロヒーローでなくど素人の生徒側にハンデ。ヒーローでなくヴィランが制限されるとか現実にありえない設定、言うまでもなくプロヒーロー側が圧倒的に優位。勝てなきゃ恥なレベル。普通に見ると生徒への授業を利用した虐め。普通なら…ね。

 

セメントスは白い顔で判りにくいけど顔色は悪い。私の顔色も同じ感じって見なくてもわかる。これから私たちがする模擬戦闘……なんで、脳裏に三途の川とか棺桶とか物騒な単語がチラつくのかしらねぇ。

 

……相手が地獄の帝王の息子だからよねえええええ!!

 

あーーー…勘弁してよ。プロヒーローの私たちが最後に参加するこの模擬戦の目的は…、建前としては模擬戦の最後にプロヒーローの見本を見せるって事よ。

 

本題は確認。地獄の帝王の息子が対人戦で手加減出来るかどうか。最低でも此だけは確認しないとね。生徒じゃあぶな過ぎるから教師が相手。切実に教師の安全も考えてほしい。プロヒーローだろ?プロヒーローだからってモノにも限度があるわ!!!!

 

もうやだ。まだ20代のころに遭遇した私が知る限り災厄のヴィラン、私もイレイザーやマイクみたいに六年前に秘匿された事件に参加した当事者なのよね。

 

私は途中でリタイア、最終的に地獄の帝王は怪我のないオールマイトでようやく何とかなった相手、その息子さまはサイズ感は違うけど、試験見れば力を継承してる……つまりオールマイトクラスと想定しないといけない。

 

想定する力はオールマイトで手加減できるかとても怪しい。そんな相手と模擬戦?

 

死ねと?

確認とかしなくてもアウトじゃない?

こんなのする前に手加減の練習とかすべしよね?

 

なんで私なのよ!!

 

オールマイトは色々と問題があるから参加はダメ、分体だけなら万一の時も大丈夫なエクトプラズム先生はこんな時に別件で学校に居ない!!万一の時のストッパーになるイレイザーも試験当日には外に応援に呼ばれてる!!

 

他だと危険度が変わらない。押し付けあいになって結果公平にくじを引いた。で、私が外れの貧乏くじを引いたってこと!!

 

模擬戦日にち変えてイレイザーとかいる日にすれば良いわよね?他の生徒と分けるのがダメ?自由な校風が売りなのに融通が効かないってなに?

 

此処まで来たら逃げれない、生徒のみてるまえで逃げるわけにもいかない。勝つとか以前に生存の心配があるけど、無様な結果は避けたい。対戦までまだ時間はある。セメントスと打合せ…

 

「遺書とかいるでしょうか」

 

「打ち合わせ初っぱなの台詞がそれ!?」

 

「あ、スミマセン、実技試験の事を思い出しまして」

 

何てことを思い出させるのよ…。

 

入試の実技試験、先ず思い出すのが素手でロボを砕いていた光景。素手、あのロボって相手が相手だからただの入試用じゃなく、装甲が増築されて増強系のプロの攻撃でも其れなりに耐えれるって太鼓判があったロボットなのよね。軽く一撃で壊せるのオールマイトぐらいじゃない?

 

個性で強化と思ってたけど素の身体能力って疑惑が、サイズがダウンしてるのに地獄の帝王のパワーを引き継いでそう…怪我なしのオールマイトとマトモに殴りあってた地獄の帝王のパワー…セメントスの頑丈な身体でも砕ける。セメントスより柔い肌の乙女の私なんて言わずもがな!!

 

あと、試験ではそんな物理攻撃より恐ろしい攻撃の数々も見せられた。まぁ…だから、なんだけど、今回は用意された特別なルールもある。

 

「情けないけど向こうは攻撃禁止のルールなんだし大丈夫よ」 

 

ほんと情けないけど攻撃は禁止ってハンデを貰ってる。肝心の手加減できるか確認できない?そこはね、理不尽なルールだけどこれを守ってくれるなら最低限の安全は保証出来るって事になるから…手加減とかできるかはまた別の機会に…先ずは最低限のハードルの確認から…

 

攻撃禁止、さらにコンビは攻撃的でないタイプ、コスチュームにも攻撃を補助するモノはない。攻撃能力がほぼない二人にハンデありでプロ二人と戦う。

 

「模擬戦として成立します?」

 

たしかに根本的に模擬戦として成り立たない話に思えるけど

 

「……攻撃以外の手札もきっとありそうだし」

 

「…そう…ですね。…攻撃がないとしてどう動くでしょうか。なにをしてくるのか……」

 

「個性の名前がわかってるなら、大体どんな事ができるか判るんだけど……」

 

「わかりませんよ。彼の個性ですが……何なのでしょう。確かにそうだなと納得出来る個性名なんですが」

 

「……納得できるってのが意味不明よね…」

 

個性『大魔王』

 

なにその個性名って思うわ(白目)

 

だれが付けたのよ。幾らなんでもそんな個性名を付けるなんて無いでしょう。幾ら親がアレでも普通なら付けた側の常識疑う!…本人と、あの更地になった試験会場をみてなければね。ホント思えないわ。これ迄の経歴だと何かしたなんて事もない。直接攻撃禁止も本人は了承してくれた。

 

それでも本人知ってたら怖いわ。

攻撃禁止でもやっぱりこわい。

なにをしてくるのか

 

「情報が足りない。試験の情報以外に何かないの」

 

「あのイレイザーが用意してくれた個性把握テストの録画がありますが……見ますか?」

 

「は?そんなのあるなら早く教えてよ!」

 

まだ模擬戦まで時間が有るにしてももっと早く教えてよ!なんでこんな後に言うのよ。

 

「……いえ、その、より絶望感が増すので見ない方がいいかも…」

 

「何をいってるの。ヒーローが絶望に屈して良いわけないでしょ。まして生徒を相手にハンデを貰って教師が絶望するなんてないわ!……攻撃ありなら恥も外聞もなく模擬戦なんて拒否したけどね!」

 

本音は今でも止めたい。けど相手はどんな存在だろうとハンデ付きの生徒。そこまでされたならプロヒーローの教師はド素人の生徒相手には勝たないと…そう思いながら私は映像を見た。

 

「みなきゃよかったかも」

 

なんで個性把握するテストで戦場みたいになってるの?走る勢いだけでも攻撃に成るじゃない!これがあったから小型の帝王とかイレイザーが言ったの。これ攻撃禁止でも不味くない?攻撃するつもりがない動作の余波で下手したら死ぬわけ?対策は……兎に角、近付かないぐらい?元から近づこうと思ってなかったし意味ない。

 

「予想は出来てたけど………スピードパワー全て並外れてるわね」

 

「計測不能が多く正確には判りませんが、単純な戦闘力だと、雄英の三年生……トップクラスのプロヒーローを含めても彼以上は……」

 

それオールマイトも入ってる?とは聞けない。答えが怖いから。それと一応攻撃以外の手札は幾つか判ったけど……

 

「実技試験のも含めて個性が多彩ね……」

 

ビーム、火、氷、風、爆発、で空まで飛んでる。他に何ができるのか…本当にまさに個性名『大魔王』なんてヤバイ名前を冠せるモノだわね。私が担任でなくて心底良かったと思う。けど初めての対戦相手にされてるから運がいいとは言えない!

 

「……どうしましょう。普通に飛んでましたし。自分の個性だと空を飛べる相手はきびしいです。それに……」

 

飛ばなかったからって、セメントスのコンクリで拘束しようとしても、あれだけのパワーあったら物量で攻めても多分突破されるわよね。オールマイトクラスと思うなら、突破どころかコンクリートを跳ね返すなんて事もできそう……。技術も経験も個性も無意味にする突き抜けたパワーって酷い。オールマイトと相対したヴィランはこんな気分かしら。今回ヒーローの側なのに…

 

いえ、セメントスなら手加減抜きに殺すきでやったら何とか、って、流石に初の模擬戦の生徒相手にやったらアウトすぎるわ。殺す気でも相手が死ぬとまるで思えなくてもね!

 

セメントスが可能なのは足止めぐらいかしら、セメントスは私を見た。

私に期待してる感じの視線。

 

「ミッドナイトの個性が有効ではないですか……たしか彼の親の地獄の帝王には効いたと聞きましたが?」

 

あーそれ知ってたの、まぁ私の個性は確かに効いた。しっかりと…効いた…効いてしまった…

 

「あのどうしたんですか」

 

「私の個性はたしかに効いたわよ?だけど……ふふ」

 

「みっ、ミッドナイト?」

 

「寝惚けた状態になって攻撃がより苛烈に無差別になってね…寝てない時の方がましだったの…うふふ…うふ」

 

あの時、寝たと思ってやった!!と思ったら次の瞬間に、お空を飛んだのよねーー。

 

次に気付いたら全身打撲と骨折で入院してた。で、入院で動けない状態で教えられた。帝王が寝た後には帝王が起こしてた惨事は大惨事になってたって事をね……つまり私はヒーローなのに大惨事を引き起こしてた。

 

「ミッドナイト!?ミッドナイト!大丈夫ですか!?別の意味で顔が18禁になってますよ!?」

 

「ん、ごめんなさい。私の個性が有効かどうかよね…効くかわからないけど、効いちゃうとね…ほら、寝たら親みたいに寝ぼけて……個性攻撃の禁止なんてルールも忘れて、下手したら実技試験で使った攻撃をしてくるかも……しれないのよ……ね、だから……」

 

下手したら大惨事の二回目が雄英でリトライ!……死んでも個性なんて使えないわ。

 

「…ミッドナイトすみません。わかりました。個性の使用はしなくても良いですから。絶対に使わないで良いですから」

 

私は深く頷いた。

 

って、あれ?

 

私から個性抜いたら鞭しか無い。此でもプロヒーローだし一年生が相手なら鞭だけでも十分過ぎる。ただの一年ならね。

 

他の一年生徒が大きさが多少違うネコとしたら、一人だけライオン。大型の猛獣相手に鞭だけって感じ。本気で振った鞭が直撃してもダメージあるか怪しい。本命の武器(個性)ないと話に成らない。

 

セメトスは遠距離……必然的に私の立ち位置は中衛か前衛、近付くのはダメなのに近接か中衛、近接はダメだから鞭、私も足留め出来るかどうか。あんなの相手に足留め…鞭で足止めよね、ダメージ有るか怪しいけど、鞭で一方的に叩いて相手に直接の攻撃しないってルール守れって…確認しなきゃいけないんけど………キレそう。

 

こうなると鞭もあんまりダメね…って事になる……此方も実質的に攻撃禁止と変わんない?

 

あ、胃液が出てきそうになった。

 

「ふ、ふふふふ生徒に限界を超える要求をしてる私たち教師が簡単に諦める訳にはいかないのよね…」

 

「そ、そうですね。諦めたらダメですよね。いくら力があっても相手は入学したての生徒、戦闘技術と戦略と経験では此方が確実に上です。十分に勝ち目はあります………だから死ぬ覚悟を決めたみたいな顔をしないでください模擬戦ですから。相手は攻撃禁止ですから」

 

「…私の方も個性縛りなんだけど」

 

黙らないでよ。

 

「…いっそ直接の対峙は避けましょうか」

 

「核狙いってこと?」

 

「そうです。幸い此方はヒーロー側、核に触れるだけで勝ちが狙えます。ヴィラン役に力だけでは勝てないと見せてやりましょう」

 

戦闘を避けて核の確保、学生相手に情けないけど、学生詐欺な相手だし、マトモに撃破とか怖いし無理だろうし仕方ないんだけど、セメントスの発言に引っ掛かるモノが……

 

「…彼がヴィラン役というのは幸いなの?仮定でもやっちゃいけない感じが、しない?」

 

「……」

 

お互い無言になる。

 

 

 

 

それから淡々と作戦を練りながら他の生徒の対戦を見ながら自分達の番を待った。処刑時間を待つ囚人の気持ちがよくわかった気がする。

 

「さぁ!いよいよラストだ!セメントスにミッドナイト、葉隠少女に田中少年、準備はいいかい!」

 

いよいよ処刑、ちがった学生詐欺と透明少女VSプロヒーロー組の戦闘訓練は開始された。

 

ヴィラン役は時間内ビルの中の核設定の模型を守るかヒーローを倒せば勝ち。ヒーロー役は時間内にヴィラン役に確保テープを巻くか核の模型に触れたら勝利。ヒーローに有利なルール、触れただけで勝てるって言うのは初めだからこその甘い設定よね。

 

まぁ本当なら甘いルールでもヒーロー側が不利なんだろうけどね。ヒーロー役は勿論ヒーローとして行動しなければいけないけど、ヴィラン役はヴィラン(犯罪者)として動く事になる。ヴィラン役にやってはいけない事のルールなんてない。

 

だけどヒーロー科志望の生徒がいきなりヴィランの様な事が出来るわけがない。此れまでの模擬戦闘、一部ヴィランかもと言えない生徒が居たけど、それでも本当のヴィランと比べたらまだヒーロー側、ヒーロー候補が本気でいきなりヴィラン役に成れたらそれこそ問題がある。

 

将来的にはヴィラン対策の為にも、苛烈だったり卑劣だったりする本場のヴィランの行動をしていかなきゃいけないんけど、初っぱなからヴィランの思考なんて先ず持てるわけない。そう雄英のヒーロー科の生徒は腐ってもヒーロー候補だから

 

 

 

 

 

 

 

「ヒーローに告げる。速やかに降伏しろ。拒否するなら核を爆発させる」

 

 

 

 

 

 

 

 

ただのヴィランがいた。

 

 

 

 

 

 

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