大魔王inヒーロー学校   作:ソウクイ

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第8話

 

バーンさま&葉隠チームVSプロヒーローチーム。プロヒーロー相手に攻撃不能と言うハンデまで背負った模擬戦闘の結果は……

 

バーンさまチームの完全勝利!!

 

 

なのだが……不可解、勝利してクラスメイトの所に戻ったバーンさまの心情はこれだった。

プロヒーローVS模擬戦初の素人学生という圧倒的に不利な条件での模擬戦闘。結果はバーンさまと葉隠透の素人組がプロ相手に勝利!

 

背後からの葉隠による半泣きになりながらの奇襲アタックからの拘束、反撃しようとすれば動くと核を爆発させるというありふれた脅迫、もしダメなら一般人を人質にとったという嘘も追加するつもりだったが相手は動きを止めた。ヒーローの動きを封じて、見事なコンビプレイによる勝利を飾った。

 

真っ当な脅迫をして仲間との連携による追い討ち、なんと非の打ち所のない勝利でないだろうか。ヴィランとして、もといヴィラン"役"としてほぼ完璧ではないだろうか。オマケにヒーロー、ヴィランどちらの陣営にも怪我なしときた。

 

文句なしの作戦勝ち。他の模擬戦では活躍した生徒は誉められていた。その事からバーンさまも模擬戦闘の活躍でクラスでの評価、そして親近感もうなぎ登りと予想するのも可笑しな事でない。

 

模擬戦後には友好的になってくれるクラスメイトとの会話を想像しながら、”戦友”の葉隠を脇に抱え内心ウキウキしながら他生徒の待つモニター室に戻った。

 

お通夜みたいな空気だった。

 

 

想像だにしない空気、オールマイトから模擬戦闘の評価は、ヴィランにしか見えなかったと称賛されバーンさまがMVPとされた。ナゼか誉められてる気がしない。

 

バーンさまとともに勝って特に怪我もない葉隠がなぜか心配されたり慰められていた。バーン様の所には誰も来ない。周りの反応にバーンさまはもしかして親近感が上がってないのかと察した。察してしまった。

 

 

何故なのか。

何が悪かったのだろうか。 

 

模擬戦闘内容を簡単に纏めると核を脅しに使い奇襲をしての勝ち。御互いに怪我もしてない。他と比べて尤も平和的に迅速に終わった。

 

バーンさまは最善の行動をしたと思う。

 

先ず今回の模擬戦、ただでさえプロを相手にするのに事前にバーンさまは直接攻撃をルールで禁止された。つまりハンデを負わされた。

 

ハンデがあったからこそ考えた。

 

プロでなく生徒(バーンさま)がハンデ。普通に当たり前に考えてハンデの対象が逆。そもそも攻撃禁止なんて枷がなくてもプロヒーロー相手に1年生に勝ち目があるわけない。そう考えるのは……まぁ…その…変ではない。町が平和でプロヒーローの活動を直に見る機会がなかったバーンさまは勝ち目がないと思った。

 

プロヒーローが勝って当たり前の勝負。"普通なら"勝ち目がない勝負。勝ち目が無いのだろうか?と疑問を感じた。

 

負け確定の勝負を最後にする理由がない。これは授業なのだからどこかに勝機が用意されてると考えた。勝ち目が何なのか考えた。

 

バーンさまの模擬戦は最後、何回も見ることになった他生徒の模擬戦を見てその答えを見付けた。先ずバーンさまは不思議に思った。

 

模擬戦でヴィラン役の生徒が、ヒーロー役と殆んど変わらなかった事を、ヒーロー役とヴィラン(犯罪者)役なのに、ヴィラン側が正々堂々と戦いすぎている事に疑問を感じた。

 

ヴィラン役はヴィランを想定して動かないといけないはず。なのにヴィラン役が人質、虚偽、脅迫、罠など平和主義なバーンさまでも簡単に思いつくヴィランが当然すべき事を誰もしていなかった。軽く考えても…ヴィランならビルを崩してヒーローもろとも生き埋めぐらいするだろう。核を持ってるヴィランなら毒ガスやら地雷などのブービートラップぐらい用意してるだろう。もうヴィランというよりテロリストだが。何故ヴィランとして動かないのか。答えは彼等が目指してるのはヒーローでヴィランでないからだ。

 

何よりも最初から用意されていた核設定。まるでヴィラン役が利用する為にあるとしか思えない設定。なのになんでヴィラン役が核を誰も利用しないのかバーンさまは心底不思議に感じた。

 

そこまで考えて気付いた。

プロヒーロー相手でも勝ち目は最初からあった。

 

模擬戦だからといって戦闘の必要が無い。バーンさまはヴィラン役がプロヒーロー相手に勝てる可能性とは、ヴィランとして核設定を使う事だと、幾らプロヒーローでも核を人質に取られたらどうにも成らない。核の威力なら山奥でもなければ自分の命だけでなく多数の命が人質になる。もし避難させた設定でも人質をとったなど嘘をつける。人質が嘘でも向こうは確認なんて出来ない。人質が無くてもヴィランの自爆をヒーローが認めて良いのか。

 

核と知った上でたった二人で核をどうにかしようとする事から間違い。ヴィラン側の迎撃が有ると考えるとヒーローが来てるのも気付いてる設定だろう。此処まで考えると根本的にヒーロー側が勝てる設定か怪しい。

 

甘く見ても勝てたと言えるのは、唯一核の利用なんて出来ない速攻で氷結させた生徒ぐらい。

 

更に考えるとバーンさまは攻撃禁止、相棒の葉隠の個性も透明。相手はプロヒーロー、他の生徒の様に真っ正面からだと勝てない。搦め手を使えと言ってるようなモノだ。あえて勝てないと思わせる条件にしたのはこの事を気付かせる為だと考えた。 

 

こうしてバーンさまはヴィラン役としての作戦を思い付いてしまう。

 

模擬戦前にパートナーの葉隠にも伝えると考案と作戦は葉隠から同意をえられた。その同意の声が震えていたのはプロ相手に戦う事への緊張だろうと思われた。その証拠に奇襲で半泣きになった事からもプロを恐れていたんだろうと思われる。終わった後に何度もミッドナイト達に謝っていた。

 

そう言う訳で簡単に勝利する方法に気付いたバーンさまは、見事に核の脅しと奇襲の合わせ技で勝利した。プロ二人もこれが正解だとばかりにアッサリと大人しく敗けを認めたから間違いなく正解だろう。予定通りでも負けるのは辛かったのか二人の目は相澤に似た目になっていたが。

 

しかしそうなのに……普通なら勝ち目のないプロ相手にもキチンと考えれば勝てると言う正解を引き当てての勝利なのに……なんでクラスメイトの反応が悪かったのか、バーンさまは家に帰ってからも気になった。反省会に呼ばれなかった事も含めて。

 

バーンさまは自宅に帰ってからパソコンを起動し、頼れる相手に相談した…

 

勝ち目がない設定とプロの名前など、守秘義務なんて考えないバーンさまが状況を大体纏めネットの某チャンネル経由で知り合った相手、STさんに相談した。直ぐに答えが示された。

 

プロヒーローミッドナイトの個性は眠り香、相手を眠らせる能力、そう脅されたとしても個性を使えばヒーロー側が勝っていたとネット民に推測された。勝利確定の前に二人ともミッドナイトに近づいてしまったので否定できない。つまりお情けの勝利と全員が判っていたから反応が微妙だったんだろうと言うことか。

 

バーンさまは戦闘なんてしたことがないド素人。見逃す事は仕方ないとも思うが…しかし個性を使わないと言う大きすぎる手加減までされてた事に気付かなかったのは…流石に恥ずかしいと思う。

 

相手の個性を考え速攻で無力化しないといけない相手がいる。もし同じ模擬戦があればミッドナイトは、優先的にバーンさまに狙われるだろう。因みにもうひとつの反省会に呼ばれなかった理由を聞くと………頑張れなど励ましのコメントがもらえた。

 

 

 

 

励まされたのにモヤモヤした翌日。雄英に行こうとすると雄英前がマスコミでごった返していた。バーンさまはなんだろうかと遠目に様子を観察した。

 

「雄英の生徒さんですね!インタビューお願いしまーす!!」

 

「オールマイトが雄英の教師になったというのは本当ですか!」

 

どうやらオールマイトが教師になった事で来たみたいだ。

 

マスコミが虫の様にワラワラいて邪魔だ。全く誰がオールマイトが教師になったことを漏らしたの…は?…バーンさまはふと思い出す。

 

昨日のネットでの相談にオールマイトの名前を出してたような気がした……。

 

生徒達がインタビューされて迷惑している。バーンさまは口下手でインタビューされたりするのは嫌だったが、後ろめたい事もあり他の生徒の身代わりに成ろうとマスコミの集う場所に突入する。自分の身を犠牲にしようと気合いを入れて歩くバーンさまはまさに……

 

 

バーンさまがマスコミに向かい進む。

それに気付くマスコミ。

 

 

海を裂いたモーゼの如く(マスコミが逃げて)道が開けた。

 

マスコミと一般人も一緒に逃げていく。

あと生徒の一部も…

 

「……」

 

いや、これで、マスコミをどうにかすると言う目的は達した。なにもしてないのに登校を邪魔するマスコミが居なくなる。代わりに心にダメージを負ったバーンさまは無言で校舎に入っていく。余談だが雄英にヴィランの親玉が入っていったと事実無根の通報が寄せられたとか。

 

 

学校についてホームルーム。

 

髭ぐらい剃れよと思う相澤が昨日の動画を見たと言い、危険行為をした爆豪と無茶をした緑谷に注意をした。バーンさまには何か言いたげに見ただけで何もいわない。

 

言わなかった事は昨日の詰めの甘さについての事だろうとバーンさまは予想。言わないのは勝利を単純に喜んだバーンさまに同情してだろうかと、バーンさまは昨日より深く恥ずかしくなる。さらに固く次は絶対に問答無用にミッドナイトを仕留める事を決意した。

 

それはともかく今日はクラス委員長決めがあるようだ。

 

「委員長やる!」

 

「なんの私が委員長やるよ!!」

 

「おいらのマニュフェストは女子のスカート股した30センチ!」

 

バーンさまの中学の頃は誰もなりたがらなかったクラス委員長だが、学校ぽいイベントがきたぁ!と騒いだり俺が私がなると積極的なクラスメイト達……バーンさまは不良ぽい人以外なら誰でも良いやと開始早々無関係を決め込む。そんなんだから友達が出来ない。いや関係な……クラス委員決めだ!

 

「……積極的で大変よろしいね。ただ当然だがクラス委員長はこのクラス全員に指示をしないといけないのは判っているな?全員だからな?先に言っておくが俺は色々とクラスの事を頼むぞ」

 

クラスが途端に静かになった。

 

相澤が有る角の生えた生徒の方を見て言うと半分が押し黙った。そうだろうなと相澤は思う。生徒の中にヤバイのがいるからなと、いったいヤバイのは誰のことなのだろうか。

 

「投票により公平に決めよう!!」

 

「あ、ああそれがいいな!!恨みっこなしだぜ!」

 

眼鏡の生徒の提言により委員長決めは投票で決まることになった。投票は自分に入れてもいいルール。当然委員長に成りたいと言った生徒は自分に入れると思われたが、投票の結果はゼロが多い。ゼロなのは声に出して立候補していた生徒も。つまり自分に投票する生徒は殆ど出なかったと言うことだ。立候補しても自分には入れないフェアーな生徒ばかりだったんだろう。流石はヒーロー科。

 

模擬戦闘の評価を語った事でか副委員長に痴女疑惑の少女八百万、委員長に技を出すのに骨を折るクレイジーさが目立ったのか緑谷、この二人がなることになった。二人とも予想外だったのか冷や汗を掻いて固まっていた。

 

因みにバーンさまは自分に一票あった事に驚いていた。念のために言うがバーンさまは自分以外に入れていたので自票ではない。やはり友人の票だろうか?それとも戦友か。

 

バーンさまは上機嫌のまま昼食時間を迎える。バーンさまはお弁当派だが今日は忘れたので学食に向かう。バーンさまが並ぼうとすると並んでた列が消失した。バーンさまは何時も何でこうなるのかと思いながらも邪魔になると取り敢えず麻婆丼の食券を購入。

 

 

厨房前で顔面に変なコック帽を被った学食の人から真っ赤な麻婆丼を貰う。あのコック帽で前が見えるんだろうか?と思いながら席を探す。テーブル席は誰かしら使っている。相席しかない。話す機会を自分から作っていこうと、使われてるテーブルに向かう。恐る恐る座っても良いか聞いた。

 

…ナゼかテーブルごと譲られた。

 

そしてナゼか何人も座っていたテーブル席に一人、バーンさまは何時もの事だと、高校になっても何時ものことで避けられる。友達100人計画未だに一人、計画を下降修正しようかと思い悩む。

 

学食を作っている変なコック帽の人は、クックヒーローランチラッシュというプロヒーローという話が聞こえてきた。

 

クックとは料理。ヒーローなら戦闘が本分。回復系など特殊なモノでなければ戦闘力があるはずだろう。名前と合わせて考えると敵を料理するヒーロー?丸いピンクの星の戦士のコック帽付きみたいに敵を調理するんだろうか。バーンさまに凶悪な存在だと認識される。

 

それは余談で本題は、学食とは思えないぐらい美味しいという声。声に加えて様々な匂いがバーンさまの食欲を刺激する。麻婆丼がある。食事が冷めたら勿体ないと早速食べようするバーンさま。

 

 

スピーカーから警報音

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

スピーカーから聞こえてきた声に食事が止まりざわつく食堂。周りの声から判断するとセキュリティ3とは侵入者が出た時の警報らしい。バーンさまが生徒手帳から事前に覚えていたセキュリティ3の内容とも一致する。他の学校なら間違って侵入するなんて事もあるだろうが雄英には防衛装置がある。防犯装置が故障でもしてない限り、侵入者は…強行に入ってきたと思われる。つまりはヴィラン。

 

他もヴィランの侵入と判断したのか生徒達が騒いでいる。それか災害の警報と誤解して逃げるのに慌ててるのか?我先に逃げようと秩序を失くして渋滞を起こしている。小中校で避難訓練をしたことがない。ヒーロー関係者を育成する高校の生徒のわりに行動が酷すぎると思う。パニックを治める側がパニックする側になっている。周りの反応があれすぎると冷静になる時もある。バーンさまの心境はまさにそれだ。

 

本来は昼食の時間。まだ一口も食べてない熱々の麻婆丼を見た。美味しそうだ。今逃げたら冷める。冷めたら美味しさが少なくなる。どうせ廊下の様子だと直ぐには逃げられない。食べようか?しかしヴィランが侵入してる時に食べるのはどうか。バーンさまは席を離れ外を見て直接確認する事にした。

 

なんと校門前から侵入して騒いでるのはマスコミだ。教師がマスコミの前に出ている様子も見えた。ヴィランでない。ヴィランじゃないんだろうか。校門の一部が壊された様に見える…マスコミがやった?校門を破壊してヴィランが侵入している?それか破壊したのもマスコミか。

 

バーンさまはマスコミだろうと言うことにして食事することにした。 

 

ドン

 

それは遠くから聞こえた小さな音だった。騒動に比べて小さすぎて普通は聞こえない音、だがバーンさまにはその音がやけにハッキリと聞こえた。

 

落ちていく丼。

 

逃げようとした誰かがバーンさまの使っていたテーブルに強く当たったのだろうか。バーンさまの使っていたテーブルから手付かずの麻婆丼が落ちていく光景が見えた。

 

 

バーンさまは無意識に手を伸ばすが、それは…

 

 

遠すぎた……

 

 

 

ガシャン

 

 

生徒たちの群れる地面に落ちてその姿は見えないが末路は判る。誰かの悲鳴が漏れた。まるでその一角だけ全員一度に冷水をかけられた様に生徒たちはたちまち静になりソソクサと離れていく。

 

残ったのは床にある残骸。

 

結局騒ぎはヴィランでなくマスコミが侵入防止の装置を破壊し侵入して起きた事らしい。昼間の騒ぎは無駄だった。つまり麻婆丼は無駄な犠牲。クラスに戻ると委員長がメガネの人、飯田という生徒に変わっていた。先程の騒ぎで活躍していたそうだ。麻婆丼を助けるのには間に合わなかったが……

 

 

バーンさまは無言で帰宅した。

 

 

 

 

 

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