ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜   作:烏山

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元々は前回の話と今回の話で一つの話にする予定だったので更新の間隔が短くなっています。

何か誤字脱字などあれば指摘していただけるとありがたいです。


正体

~『コーライル』地下実験用広場~

 

さっきの狭い実験室とは違い、広々とした何もない空間が広がっている。壁はいくつもの降りたシャッターになっている。体育館のような作りで部屋を囲むように高い通路がある。

 

明かりは天井に薄暗い電灯があるだけで、薄暗くなっている。

 

ディーン 「(…フォレスも言っていたけど、ラグナが本当に強いとは…。あの強さだったらすぐにカタが付くだろう…)……ケルビンッ!どこだ!?」

 

薄暗い空間を見回すが、姿は見えない…。しかし…

 

ケルビン 「クックック…来たのは君の方だったか…」

 

なんらかの装置を使っているのか部屋全体からケルビンの声が聞こえる。

 

ケルビン 「…どこの回し者かは後で調べさせてもらうとして、このことを知られてしまったからには生かして帰すつもりはないよ…」

 

ガーーーーーーッ

 

壁のシャッターが開く音がする。そしてそこからヒト型の何かがたくさん出てくる。

 

ディーン 「なんだ…?」

 

そのヒト型はディーンに近づいてきて、両手に持っているナイフのような武器でディーンに攻撃をしかける。

 

ディーン 「うおっと…!」

 

攻撃をかわして、目を凝らしてそのヒト型をよく見る。

 

ディーン 「『シノワビート』か…」

 

『シノワビート』…近距離戦闘用に作られたヒト型の機械兵器。両手のナイフのような武器で攻撃する他、火炎系のテクニックの使用、テレポートのようなことも行う。それらが20機ほどでディーンを囲んでいる。

 

ケルビン 「…その男を…殺せ!!」

 

ケルビンの号令と共にすべてのシノワビートがディーンに襲い掛かる。

 

ディーン 「(この数じゃリーチの短いセイバー系やハンドガンはやりづらいな…。…ヴィヴィアン…久々に使わせてもらうぜ…?)」

 

ディーンはナノトランサーから両剣を取り出した。ディーンには似合わない可憐なデザインのその両剣の名は『ヴィヴィアン』。かつてのパートナー・ヴィヴィアンの形見である。

 

ディーン 「こいよ…ガラクタ軍団…!!」

 

ブゥン!ブゥン!ズバッ!

 

踊るように両剣を振り回し、襲い掛かってくるシノワビートを一機、また一機と両断していく。

 

ケルビン 「な…なんという…」

 

シノワビートはあっという間に半数ほどになってしまった。

 

ディーン 「なんだ?もうかかってこないのか…?」

 

残ったシノワビートはディーンから距離をとり、何かを念じるように手を合わせた。

 

ケルビン 「クックック……消し炭になるがいい!!!」

 

ディーンを囲む形で陣を組んだシノワビート達から一斉に火炎が放射された。

 

ディーン 「…逃げ場無しか…。…それなら…」

 

両剣ヴィヴィアンのフォトン出力が音を立てて上昇した。

 

そして一方向の炎に向かって両剣と体を回転させながらダイブした。

 

両剣に触れる前に炎は回転によって生じた凄まじい風によって掻き消された。そのまま突っ込んだ先にいた三機のシノワビートを撃破した。

 

ディーン 「…これで陣からは抜け出したな…」

 

ケルビン 「な、何だ今のは!?」

 

ディーン 「両剣のフォトンアーツ・『トルネードダンス』。…体躯を竜巻のように回転させ、身体ごと前方に突っ込む技だ…。さてと……囲まれてなきゃこっちのもんだ!…行くぞ!」

 

直後、近くにいる順にシノワビートを両断していった。ものの十数秒で残り7機だったシノワビートは全滅した。

 

ディーン 「オラ!おっさん!こんなガラクタじゃあオレは殺せねぇ…諦めて出てこい!」

 

ケルビン 「…ククッ…クハハハハハ!!!」

 

ディーン 「…どした?おかしくなったか?」

 

ケルビン 「何を勝った気でいるんだ?…出てこい!」

 

まだ開いてなかったシャッターが開き中から大型の機械が数機出てきた。

 

ディーン 「…『シノワ・ヒドキ』か…厄介だな…」

 

『シノワ・ヒドキ』…元々はグラール教団が開発した大型ガード・マシナリー。機動力、攻撃力が優れており両手についているブレードはあらゆるものを両断する。

 

ディーン 「(倒せない相手じゃないが、この数とやり合うのは少し分が悪いな…どうするか…?)」

 

シノワ・ヒドキを見つめながらそう考えていると、実験室と繋がっている扉が開いた。

 

ラグナ  「ディーン無事かぁ~!…って、こりゃまたデッカイのがたくさんいたもんだ」

 

呑気にやってきたラグナが頭を掻きながらシノワ・ヒドキを見上げている。

 

ケルビン 「ほぅ…君も来たのか?…やはりうちのスタッフでは力不足か…」

 

ラグナ  「おっと、どこから声出してんだ?…まぁいいや…それよりもケルビン!…俺の顔覚えてねぇのか?」

 

ケルビン 「はて?…私の知り合いに眼帯を掛けている者はいなかったと思うが?」

 

ラグナ  「そうかい…。なら、いいや。まずはこの物騒な機械を片付けるとするかな?」

 

そういうと剣をナノトランスし、そのかわりに体中から青く光る炎のようなものを出し始めた。そしてそれらはラグナの右腕に集まっていく。

その青い光に反応したのかシノワ・ヒドキ達もラグナの方に近づく。

 

ラグナ  「ディーン…ちょい危ないかもしんねぇから俺の後ろに来てくれ」

 

ディーン 「あ…あぁ」

 

とりあえず走ってラグナの後ろに着く。ディーンが後ろに来るとラグナは腕を振り上げた。

 

ケルビン 「??…何をする気か知らないが、そのシノワ・ヒドキ達は改造を施されたもので本来のシノワ・ヒドキの能力を大きく上まわ…」

 

ケルビンが言い終わる前にラグナは腕を振り下ろした。腕に集まっていた青い光は巨大な剣のような形になり、前方20mほどにいたシノワ・ヒドキ達を粉々に粉砕した。

 

ケルビン 「なっ!?」

 

ラグナ  「オラッもう一発だ!」

 

今度は腕を横に薙ぎ払った。青い光の剣がシノワ・ヒドキに当たるたびに爆発が起こる。

改造シノワ・ヒドキ軍団は、ラグナのたった二発攻撃で全滅した。

 

ラグナの青い光のおかげで、この部屋全体を見渡すことができたが、ケルビンはどこにもいなかった。

 

ケルビン 「…な…何をした…?」

 

ラグナ  「なんだ、知らねぇのか?俺等デューマンの固有能力『インフィニティ・ブラスト』。よくわかんねぇけど、体内に蓄積したフォトンを武器化して体と融合してこんな感じでブッぱなす技だ。」

 

青い光でラグナ自身の顔も照らされている。

 

ケルビン 「…そ、その顔…」

 

ラグナ  「なんだ?…やっと思い出したのか?」

 

ケルビン 「…な、なぜアナタが……バカな!!…どこでバレたんだ……  ブツンッ…」

 

通信の切れるような音がした後、ケルビンの声は全くしなくなった。

 

ディーン 「オイ!出てこい!」

 

ラグナ  「あぁ~多分ここにはもういねぇよ。あそこ見てみろ」

 

部屋の天井の四隅に設置されている4台カメラを指さした。

 

ディーン 「!!」

 

ラグナ  「…多分赤外線カメラだ。これで逃げながら俺等の様子を見てマイクかなんかで話してたんだろうな…。…やつぁ多分もう会社の外だろうな」

 

ディーン 「なんで、そうだと言い切れるんだ?」

 

ラグナ  「お前はホンット質問攻めだなぁ」

 

また、ラグナは頭を掻いた。

 

ラグナ  「…広くて暗い部屋に逃げたこと、装置での会話、あのカメラ、それにあのオッサンの性格を考えると妥当な結論だと言えるワケよ…。それより、ガーディアンズへの連絡と閉じ込められている人を保護しねぇとな…」

 

 

 

 

その後、駆け付けたガーディアンズによって実験をしていた研究員は全員逮捕され、実験体にされていた人は全員保護され、すでに何らかの実験に使われた人は病院に運ばれた。

しかし、首謀者のケルビン・グラスだけは発見されず、指名手配となった。

『コーライル』には親会社である『ヴイーヴル社』から新しい代表が派遣されることになり、無関係の社員は路頭に迷うことはなかった。

 

このことは翌日、ニュースで大きく取り扱われた。無論ディーンとラグナのことも紹介された。

 

 

 

~『コーライル』親会社『ヴイーヴル社』・社長室~

 

デスクに座っている男…つまり『ヴイーヴル社』の社長である。とても若く20代半ばくらいである。その人物がニュースで取り扱われているディーンとラグナの姿を見ている。

 

???  「そうか……こんなところにいたのか…」

 

その男はテレビの電源を切った。

 

 

 

~数日後・ギルド~

 

ディーン、マナがロビーでテレビを見ている。

 

チャーチャーチャー♪

 

ニュースが始まった。

 

ハル   「グラールチャンネル5!ヘッドラインニュース!今日のニュースをピィ~ックアップ~!!」

 

マナ   「わぁ~…やっぱりハルさんスタイルいいなぁ…」

 

ディーン 「そうか?…エレーナの方がよくねぇか?」

 

そう言い切った瞬間、ディーンは自分の背後に凄まじい殺気を感じた。

 

エレーナ 「ディーン様?セクハラですよ?」

 

エレーナが不気味な笑顔で後ろに立っていた。顔は笑っているが明らかに怒っている。ラグナと勝手にミッションに出た次の日からずっとこんな調子である。

 

ディーン 「す、すまん…!別にそういった感情は…。…そ、それよりコレ『コーライル』についてじゃね?」

 

ハル   「先日、『コーライル』での人体実験について親会社『ヴイーヴル社』の社長、ローク・ワイバーン氏が会見を開きました。その様子をご覧ください」

 

ディーン 「(ワイバーン?どっかで聞いたような…)」

 

会見の映像が流された。『コーライル』の今後の処分についてや被害者へのケア、無関係の社員への対応についての発表だった。

 

マナ   「アレ?なんかこの社長さん、ラグナさんに似てないですか?」

 

ディーン 「…そーいえば…」

 

種族はヒューマンのようだが顔つきが似ている。髪も短髪だがラグナと同じ銀髪。ただ、表情がラグナと比べて硬く、とても真面目そうで、そういった面では全く似ていない。

 

ディーン 「つか、ラグナは?今日まだ見てないけど…」

 

マナ   「ラグナさんならまだ寝てるんじゃないですか?」

 

ディーン 「マジで?もう10時過ぎてるけど?」

 

マナ   「ディーンさんも人のこと言えないですよ…起きてきたのさっきだったですし…」

 

噂をするとラグナが眠そうに起きてきた。

 

ラグナ  「ねみぃなぁオイ…」

 

マナ   「あ、噂をすれば…」

 

ラグナ  「お~う、マナちゃんおはよ~!今日もかわいいねぇ♪」

 

マナ   「もう~ラグナさんったら♪」

 

マナは照れてニヤニヤになる。

 

ラグナ  「お~エレーナちゃんもぉ♪今日も綺麗だ…ね…?」

 

エレーナの不気味な笑顔を見てラグナは固まった。

 

ラグナ  「アハ…ハハハ…。お~、ディーンもいたか~。そうだ、せっかくみんないるワケだから俺のことでも話すかな?」

 

ディーン 「(なんでこのタイミングに?)」

 

マナ   「俺のこと…?」

 

 

ラグナが話始めようとする瞬間…

 

???  「すみません!こちらのギルドにラグナ・ワイバーンという方はいらっしゃいますか?」

 

1人の男がギルドに入ってきた。

 

エレーナ 「え、えぇ…。ラグナ様ならこちらに…・って、えぇ!?」

 

マナ   「ウソ!?」

 

ディーン 「!?」

 

ラグナ  「あちゃー…もう来ちゃったか」

 

 

 

訪ねてきた男は、今テレビで会見の映像に出ていた『ヴイーヴル社』社長・ローク・ワイバーンだった。

 

 

 

ラグナ  「おっす、ローク、久しぶりっ!思ったより来るのが早かったな!」

 

ローク  「全く、どこに行っていたと思ったら……。…会社には帰ってきて貰うよ?会長が勝手していたら社員の示しにつかないんだよ…兄さん?」

 

 

 

 

マナ   「…か……会長…?」

 

ディーン 「…に、兄さん…?」

 

二人が一斉にラグナの方を見た。

 

 

 

 

 

 

 

ラグナ  「ま……こういうコト…♪」

 

 

 




キャラクター設定(Ⅸ)
ローク・ワイバーン
種族:ヒューマン(男)
年齢:26
身長:180cm
体重:66kg
髪色:銀
髪型:短髪
詳細:『コーライル』親会社『ヴイーヴル(フランスのワイバーン)社』の社長でラグナの2つ年下の弟。(会社は亡くなった父から継いだもの)ナンパな兄とは違い、硬派で生真面目。ただし、兄の能力については認めている。本人も若くして社長をしているだけあって仕事能力は凄まじい。あらゆる事業で成功している。幼少の時から兄弟そろって父親にしこまれたため、戦闘能力も高く、ツインハンドガンを使うレンジャータイプ。
名前の由来は、ラグナと同じでラグナロクから。
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