ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
~モトゥブ・グラニグス鉱山・現在は使われていない発掘エリア~
ディーン 「…………なんだ……これは……?」
坑道をしばらく歩いてケルビンを探していたディーンたちの目の前には今、身体の一部が破損して息絶えているガーディアンズの制服を着たヒト達が倒れている。中には武器を持ったまま絶命している者のいることや、壁一面に血痕が残っていることから、ここで戦闘が行われたことがすぐに読み取れた。
そして、坑道の奥にポタポタと垂れて点線を描いている真新しい血痕もあった。この悲惨な光景を作り出した犯人の血か、それとも生き残った者の血か…それはわからない。
マナ 「……あ……あ………」
目の前の死体の山を見て口を押えながら涙目で硬直している。無理もない。何度かディーンと共にミッションに出て、危機的状態には陥ったことはあるが、惨殺された死体を見るのは恐らくこれが初めてなのであろう。
ラグナ 「…見るんじゃない!!」
とっさにマナの前に回り込み、視界をふさぐラグナ。流石である。
ローク 「…ガーディアンズに通信を入れてみます…」
ラグナ 「くそっ!何がどうなってんだ!?」
ディーン 「…ケルビンがやったのか…?」
ラグナ 「まさか…?あのオッサンが訓練を受けたガーディアンズ複数を相手にこの光景をつくれると…?…それこそ何がどうなってんだ?」
ディーン 「…でも…この奥から何かとても嫌なものを感じる…」
血の点線が続いている坑道の奥を指さす。やや下り坂になっており、ところどころ壊れかけの電灯が設置されているがその奥は見えない。そこから醸し出されるプレッシャーと目の前の光景からこの場にいる誰もがディーンと同じものを感じているに違いない。
ローク 「…ガーディアンズからは援軍をこちらに送るとのことですが、少々時間がかかるそうです。とりあえず我々だけでケルビンの捜索を続けましょう…」
ラグナ 「…了解だ…。…どうするマナちゃん?船に戻るか?」
少し落ち着いたようだが、まだ口を手で押さえている。
マナ 「……大丈夫です……私だけ戻るわけにはいきません…。…それに…こんな酷いことをするヒトを……許せません…!」
押さえていた手を放して、心配するラグナにそう返した。弱々しくだがどこか芯が通った調子だった。
ラグナ 「……わかった…犯人をぶっ潰そう!」
マナを安心させるためか満面の笑みで答えた。ラグナの笑みにはヒトを安心させる作用があるんじゃないかと思うほどホッとするものがある。これはディーンもわかっている。
坑道の奥に進めば進むほど、いやな感じは強くなっていった。それに反比例して血の点線は薄くなっていき、終いには消えてしまった。
ディーン 「(…この嫌な感じ…どこかで感じたことがある……でも少し違うような…)……マナ…。ホントに大丈夫か?この先にヤバいのがいるのは間違えないぞ?」
マナの方を向くと思っていたよりも落ち着いていた。やっぱりラグナスマイルの効果があったのだろう。
マナ 「そうですね…凄いやな気がします……。でも、大丈夫です!ラグナさんにロークさん…それにディーンさんがいます!…だから私もがんばります!!」
ディーン 「……。…そうか…!無茶はすんなよ?」
マナ 「ハイ!」
しばらく進んでいると広いところに出た。使い捨てられた鉱石採掘用の道具があたりに捨てられていることから、元採掘現場のようだ。しかし、電灯はほとんど壊れていて周りはよく見えない。『コーライル』の地下の広場の方がまだマシだ。さらに嫌な感じがさっきの坑道の比ではない。ここに何かいる…ディーンはそう確信が持てた。
ラグナ 「なんだぁ?ここは?」
ラグナが一人、前に出て落ちている採掘道具に手を伸ばした。
その時…
ローク 「!! 兄さん!!危ない!!」
??? 「ゲヒャ!!」
ラグナとディーンたちの間…つまりラグナの真後ろに黒い物体が上から現れ、着地した瞬間ラグナに横から殴り掛かった。その手はブレードのようになっていて殴り掛かったというよりは横斬りをしたと言える。
??? 「…死ネ!」
ザンッ……!!
ディーン 「!」
黒い物体越しにラグナを見ると、上半身が見当たらない。
マナ 「……ウ…ソ……?」
ラグナ 「ふぅ~アブネェ!」
突然のラグナの足元から声がした。そう。『コーライル』の研究員の銃弾を交わした時のように上半身だけでかわしたのだ。今回は後ろからの攻撃なので前屈のような体制をとっている。
??? 「…???」
マナ 「…え?…アレ?」
ローク 「…フフッ…兄さん、やっぱり綺麗にかわすね」
マナ 「えっ!?どういうことですか?」
ディーンは一度『コーライル』で見ているが、マナは所見なので何が起こったかよくわかっていない。というか暗くて今ラグナがどういう体制なのかを理解していない。
ローク 「あれは『竜首回避』と言う対人用見交わし術の一つでね、上半身を竜の首のように自在に動かしてその場を動かずに攻撃を交わし……」
ロークがここまで説明している間にラグナは前屈の状態で双剣のナノトランスを解き、それを握って、その体制から一気に体を回転させ、後ろにいる黒いカゲを切り裂いた。
ローク 「…カウンターを決める!…僕たち兄弟が幼いころから父さんに仕込まれた技だよ」
??? 「…!!あああああああ!!!!」
黒い影はその場を転げまわった。しかしすぐに起き上がった。
ラグナ 「ありゃ?浅かったか?両断したつもりだったんだけど……よぉし!もっかいいくか!」
ローク 「…兄さん!ちょっと待って……コイツ…」
ロークが黒い影にライトを当てて正体を確認した。
黒いコート、ソフトモヒカン…それは辛うじてケルビンと認識できた。しかし、返り血と自ら吐いたが黒く変色して全身不気味な黒で、目は白目で充血、口はつねに開きっぱなしでヨダレは垂れ流し状態、そして極めつけは二刀のブレードに変異した両腕。
もはやヒトとしての面影は無いに等しかった。
ラグナ 「なんだコイツ!?気持ちワル!!」
ローク 「間違いない…ケルビン・グラスだ…。…いったい何が!?」
ケルビン?「ゲヒャ…ゲヒャヒャ…。…知ッテルゾ、オマエ達。俺ノ会社ノ上デイツモ偉ソウニシテタ兄弟ダロ?」
ディーン 「(…やっぱりだ…この感じどこかで…でも全く同じじゃない…)」
そう考えながら片手剣とハンドガンを構える。その後ろでロークはツインハンドガンを、マナはロッドを構えた。
ケルビン?「オマエも知ッテイルゾ!俺ノ実験邪魔シタ奴!!…アトソコノ女ハ知ラナイ…?知ラナイ!?」
マナ 「…え、えっ!?」
黒目の無い目でマナを凝視する。3秒ほど経つとヒトとは思えない動きでマナに接近した。
ローク 「しまった!!」
ラグナ 「アブネェ!!」
しかし、ケルビンはマナの前で急に止まって間近で凝視する。
マナ 「ヒッ!…な、何…?」
ケルビン 「…コノ女…知ラナイケド…知ッテル…」
マナ 「え……?」
ケルビン 「ソウダ!!ソウダソウダ!!オマエハ俺トオ……」
ザシュ!!!!
ケルビン 「…オリョ…?」
ディーン 「…ソイツに触れんじゃねぇ…!」
ケルビンの左胸を片手剣で後ろから貫いていた。スタンモードではないようだ。
マナ 「…!!」
ディーン 「うらぁ!!」
刺した剣をそのまま左に動かして脇のあたりまで裂いて剣をケルビンから引き抜いた。ケルビンはその場に倒れた。
ラグナ 「!!!…お、オイ!…お前何やって…」
ディーン 「…アレは…もうヒトじゃない…」
ラグナ 「は?…!!!」
心臓を貫かれそのまま脇まで裂いたのに血は一滴も流れておらず、ケルビンはそのまま立ち上がろうとしている。
ラグナ 「!?!?」
ディーン 「…アレはおそらく…SEEDの類…それも以前グラールに現れたものよりも強力な…」
ラグナ 「!?SEED…だと!?」
ローク 「た、確かに生命力はあるようですが、なぜSEEDの類だと…!?」
ディーン 「似ているんだ…感じが……昔戦った、SEEDフォームになったヒトと…そいつはもっとしっかりと自我を保っていたんだが……」
ラグナ 「…イマイチ断定しかねるな…」
ケルビンは完全に起き上がりながら貫かれた左胸に手を当てている。
ケルビン 「…ヤッパリ痛クナイ…。…デモ…ムカツク…。オマエ等ノ体ニモ穴ヲアケル!!!」
両手のブレードを前に突き出し、ロークに向かって突進を始める。
それに対して、ツインハンドガンで何発もの弾丸を撃ち込むが、まるで効いていない。
ローク 「…!!」
ケルビンのブレードを上半身を横にずらして交わす。そして持っている銃にエネルギーをチャージさせ、ケルビンの腹と頭に突きつける。さきほど説明のあった『竜首回避』の拳銃バージョンである。
ケルビン 「ゲヒャ…!?」
ローク 「この距離ならどうだ!!」
カチャ…………ブォン!!!
引き金を引いた瞬間、ケルビンの頭が吹き飛び、腹に穴が開いた。そのまま倒れピクリとも動かなくなった。
ディーン 「…やったのか…!?」
マナ 「ロークさん大丈夫ですか!?」
ロークのもとに駆け寄りケガがないか確認する。さっきの攻撃は完全にかわしていたようなので傷は無かった。
ラグナ 「しかしまぁ…SEEDというよりゾンビだな、こりゃ…!ガーディアンズにどう報告するよ?」
ローク 「とりあえず、遺体の検視をして彼に何が起きたのか知るところからですね…」
マナ 「…ちょっとまってください…。…あ…アレ、なんです…か…!?」
倒れているケルビンを指さして、他の面々に訴えかける。
ディーン 「!?」
ラグナ 「なんだこりゃ!?」
ケルビンの体から黒い煙のようなものが現れ、身体を瞬く間に覆った。その煙はどんどん大きくなり半径3mほどの球状になった。
ラグナ 「……まだ復活するのか!?」
…ドス……ドス……ドス…
黒煙の中から足音が聞こえる。かなり大きい。
そして黒煙から足音の主が現れた。もうケルビン…いやヒトの面影は全く残っておらず、大きさは4、5mくらい、両手は鎌のようになっていて、下半身は別の生物と合成したかのように四足の生き物がくっ付いている。そして、腹に開いた穴もなくなっていて、頭も再生している。しかし、顔はヒトの顔ではなく、大きな黄色い宝石のようなものが一つ付いているだけである。
ディーン 「…キャリガイン…!?」
ラグナ 「オイオイ…マジでSEEDかよ…!?もうわけがわかんねぇぞ!?」
マナ 「…!!ロークさん!危ない!!」
ローク 「!!!」
黒煙から完全に出てきた途端、ロークに向かって行った。さっきヤラれたことを覚えていたのか偶然かはわからない。
巨体ゆえにさっきのような交わし方不可能である。
ローク 「(まずい!)」
キャリガインが両手の鎌を挟み込むように振りかざした。
ガキンッ!!!!
ローク 「!?」
キャリガインはロークの目の前で止まっていた。いや、これでは語弊がある。ロークの目の前にいるラグナが止めていた。
鎌は双剣で受け止め、突進もその力を前に押し出して止めている。しかし、かなりきついようでプルプルと腕が震えている。
ローク 「兄さん…!」
紹介するキャラがいないので新コーナー(?)
イメージボイス(Ⅰ)
登場人物の(作者の)イメージの声優を紹介したいです。
作者の妄想なので軽く、しょーもなく受け止めてください。
ただ声優がわかる人なら少し読みやすくなるかもしれませんw
ディーン…中村悠一
マナ…花澤香菜
フォレス…遊佐浩二
ジャン…梶裕貴
エレーナ…坂本真綾
ラグナ…小西克幸
こんな感じですw
自分もそこまで詳しくないので「この人のほうが良くない?」というのがあったらよろしくお願いします。それではまた次回!