ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
~20年前・ヴイーヴル社~
当時ラグナは8歳、ロークは6歳。
ラグナ 「キャッホ~~~!!!!!」
社員 「あっ!坊ちゃん!ダメですよ!オフィスを走り回ったら!!」
ラグナ 「えぇ~…だって今日の分の勉強全部終わっちゃったし、ロークはまだ終わってないから暇なんだもん~!!おじさん!あそぼーぜ!!」
社員 「今日の分って…まだ午前中じゃないか!ホントに終わったんですか?」
ラグナ 「終わったよ!数学も、公用語も、経済学も!」
社員 「…すごいな……。…じゃあロークお坊ちゃんを手伝ってあげては?」
ラグナ 「あっ!そうだな!そうしてくる~!」
…兄さんはこの時からあらゆる面で才能を発揮していた。…それに比べて僕は…できる方ではあるが、兄さんには及ばない存在だった。
~15年前~
ローク 「父様~!父様に言われていた経営学の本読み終わりました!」
父 「…そうか…。…それでローク?お前は何回その本を読んだんだ?」
ローク 「えっ…?…い、一回ですけど…」
父 「……オマエの兄さんはこの本を5回は読んでいたぞ?それにこの本は一回読んだくらいで理解できるものではない!…もう一度読み返してきなさい!」
ローク 「……ハイ……」
僕は早く父様に認められたかった。そしてこの会社を僕に任せてほしかった…。なのに父様はいつも兄さんばかり見ていた。
~10年前~
この頃、僕は兄さんと3日に一度は手合わせをしていた。
ローク 「せいっ!たぁ!!とぅ!!!」
ラグナ 「おっと!うぃっと!あぶねっと!!」
ローク 「そんな!…あっ!」
ラグナ 「一本いただき♪」
ペシッ!
ローク 「あたっ!」
ラグナ 「おしかったな~!今回はなかなか危なかったよ!ロークぅ?お前腕をあげたんじゃないか?」
竜首回避を完全にマスターしていた兄さんに僕の攻撃が当たることはなく、僕が兄さんに勝ったことは一度もなかった。
僕をフォローする周りのヒトは「2年も歳の差があるんだからしかたない」というが、明らかにそれだけでは無いと僕が一番感じていた。
父 「おぉ!ラグナよ、また腕を上げたようだな!回避から反撃に転じる際の動きに無駄が見当たらなくなってきたぞ!」
ラグナ 「いやぁ!自分ではよくわかんないんですがねぇ~!父さんがそう言うんじゃそうなのかな?ハハハ」
ローク 「父さん……」
父 「ローク…!オマエはまだまだ動きに無理があり過ぎる!ラグナを毎回最前線で見ているのだから、少しは見て学ぶことも覚えるんだ!」
ローク 「………」
父 「返事はどうした?」
ローク 「……はい…」
正直兄さんのことが恨めしかった、憎かった……兄さんさえいなければこんなに比べられることは無かったと考える日々だった…
しかし…父がどちらを跡継ぎに任命するかと言うとき、この考えを持っていた自分を許せなくなった…
~3年前~
父 「お前たちもわかっていると思うが…今日お前たちを呼んだのは他でもない…この会社の次期社長を発表する。…私もいい年だ。今月いっぱいで隠居させてもらうよ…」
これを言われた時…いや、ずっと前から僕は自分の名前が言われないことをわかっていた。
それでも、もしかしたら…と考えてもいた。
父 「伸ばしたところで何もない。…早速だが、告げるぞ?」
……
父 「…ラグナ…。…会社はお前に預ける…」
ラグナ 「!!!オレッ!?」
この時兄さんは本当に予想外というような反応をしていた。でも、僕には嫌味な反応としか受け取ることができなかった。
父 「…お前は少々軽いところがあるが、やるべきことは全て簡易にこなし、お前の持つ経営の才能はSEED事変からの復興には必要なものだ。お前の手腕を持ってすればヴイーヴル社は…いや、グラール全体を立て直すことができる…」
ラグナ 「…えぇ…えぇ…じゃあ、ロークはどうするんでしょうか?」
父 「……ローク、お前は、まだ若い…お前の能力があれば他の企業でも十分に活躍することも自分で事業を起こすこともできよう……好きにしなさい…。…しかし、ここに残ることは許さん!ヴイーヴルと言う空に座するワイバーンはただ唯一だ!」
この父の無責任な言葉に我を忘れ、本気で父を殴ろうとした。
しかし、それは無理だった。…先客がいたのだ…。
ガッ!!
兄さんが父さんの胸倉をつかんでいた。いつもヘラヘラとしていた兄とは別人みたいな恐ろしく、力強い形相だった。
父 「な!何をするラグナ!!??」
ラグナ 「父様よぉ…!それはないんじゃねぇのか!?コイツがどれだけこの会社を継ぎたかったか知らないわけじゃねぇだろ!?俺なんかよりもずっとこの会社のこと考えてたんだぞ!?」
父 「そ…そんな簡単な問題では無い…のだ!…お前の才能を持ってすれば……」
ラグナ 「…アンタはいっつもそうだ!!いつも俺ばっかでロークのことを見てやってねぇ!…そんなんだからコイツの才能を見落とすんだよ!!コイツは俺なんかよりもずっと大事なもんを持ってる!」
父 「な…なんだというのだ……」
ラグナ 「…本当に父親かよ……。努力…コイツは人一倍…いや、百倍努力できる!…そんなこと俺にはできねぇ!…俺はただ言われたことをやることしかできなかった!だから会社をもとに戻すことはできてもそれ以上はできねぇ!…でも、コイツなら…ロークならできる!言われたこと以上のことができる!…本当に会社をでかくできんのはコイツだよ!」
父 「………」
驚いた。兄さんがそんな風に僕のことをみていたなんて知らなかった。
そういうと、兄さんは父さんから手を放した。
ラグナ 「……ヴイーヴル社にワイバーンは唯一なんだろ?だったら問題ねぇよ…」
父 「…?どういうコトだ…!?」
ラグナ 「俺達は二人で一つ……つまり二つ頭を持った一匹のワイバーン……『双頭の翼竜』だ!!」
父 「…そんな屁理屈が通用するものか…!?」
ラグナ 「…屁理屈じゃねぇ……本当に俺は会社経営をするためにコイツが必要だ…!…下らない家のポリシーなんて俺は認めない!」
父 「ふ…ふざけるな!!…ゴホッゴホッ!!グハッ…!!」
ローク 「!!父さん!!」
溺愛していた兄さんにそんなことを言われたショックか、年のせいかはわからないが、父さんは倒れて、そのまま帰らぬ人となった。
兄さんは葬式には参加したものの、墓参りには一度も言っていない様子である。
その後、兄さんの考えに異見するものは無く、ヴイーヴル社初の二人の社長が誕生した。しかし、会社を立て直し終わると兄さんは隠居し、そして会社を飛び出して行った。
今思うと、今の僕は兄さんがいなくてはありえないものと言える。そしてそれは今も言えることである。
キャリガインの突進を止めてくれなかったら、多分僕は死んでいた。
~今~
ローク 「兄さん!!」
ラグナ 「…ちっとキツイな…!…でも…こりゃチャンスだ……ローク!!俺の考えてることわかるか!?」
キャリガインの両手は兄さんによってふさがれている。しかし脚は自由に動かせるため、突進は続いていてこのままでは兄さんは押し負けをして轢かれてしまう…。
なら、僕のすることは一つ…
ローク 「もちろんだ兄さん!!」
僕は腕を横に広げ、その状態でチャージをしてやや内側に弾丸を放った。
兄さんの脚の近くを通り過ぎ、キャリガインの下半身の生物の黄色い部分に命中した。
グギャアアアアアア!!!
ローク 「よしっ!やっぱりだ!」
ラグナ 「オラァ!!!」
兄さんはそのままキャリガインを押し返し、腕を剣で貫いて地面に拘束した。
ラグナ 「これでうごけねぇ…な?」
そのまま新しく二本の剣を出現させ、キャリガインの胸にある黄色い部分を突き刺した。
グギャアアアアアア!!!!!!!!!!
ラグナ 「やっぱりここが効くんだな・・・?みんな!顔の黄色い部分を狙ってくれ!!」
ディーン 「あぁ!!」
マナ 「は、ハイ!!」
ローク 「了解!!」
ドーーーーーーン!!!!!
ディーンとロークのチャージショットとマナのノス・ゾンデがキャリガインの顔についていた黄色い宝石のようなものを砕いた。
するとみるみると小さくなっていき、元のケルビンの姿に戻った。ただ、さっきの傷は残っており、生きてはいないようだ。
マナ 「も、戻った!?…どういうことでしょうか?というかまた復活しませんよね!?」
ラグナ 「…恐らくアレが核かなんかだったんだ…!それがこいつをSEEDフォームにしていたみたいだな…だからもう復活もないだろうな」
ディーン 「…確かに今思えばわかりやすい弱点だが、よくあの状況で二人ともあそこが弱点だと気付いたな…?」
ローク 「…兄さんが考えていたことがなんとなくわかった気がして……」
照れくさそうにそういったロークにラグナは肩を組んだ。
ラグナ 「そう!俺等意外と一心同体!一心同体のワイバーン…『双頭の翼竜』だからな!」
ディーンとマナの若干いいとこ取りでした…