ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
~廃墟前・取引場所~
廃墟の中から大柄のビーストが出てきた。ファングだ。両脇に武装した男が二人ついている。
ファング 「…ったく、どぉいうことだぁ?!奴隷に逃げられたってよぉ?!看守は何やってたのよ!?」
右横の男 「…申し訳ございません…。看守は気絶しており……」
ファング 「『申し訳ございません』で済んだら世の中色々と必要なくなんだよ!!ホラ見ろ!!取引先がお待ちしてらっしゃんぞ!?」
廃墟の外ではすでに取引相手と思われる、身分の高そうな肥満体型の男と黒スーツの従者数人がファングを待っていた。ファングが出てくるのを見ると『おぉ!』と言わんばかりの表情でファングに駆け寄った。
肥満男 「おぉ!!ファングよ!待ちかねたぞ!」
これに対してファングは、いつもとは別人のような態度で貴族張りのお辞儀をした。
ファング 「お待たせしました…デブ……デイブ卿!」
デイブ 「オイ!てめー今、デブって言っただろ!?」
ファング 「そんな、私があなた様にそのようなことを申すわけがないでしょう?…空耳では?」
この返しに明らかに腑に落ちない様子だったが、デイブは話を進めた。
デイブ 「…ったく…まぁいい!それで?手に入れたという緑髪の娘はどこにおる!?」
ファング 「ぁあぁ…そのことについてなのですが、少々こちらの不手際で、奴隷どもの脱走を許してしまいましてね…。現在、全力で捜索しておりますので、もう暫しお待ちいただきたい…」
これを聞いたデイブはファングに掴みかかった。しかし、慎重さがかなりあるので、胸倉ではなく、横腹あたりを掴んでいた。
デイブ 「どういうことじゃ!!お主も商人ならば、取引先の希望に完全に答えぬか!?ワシは今すぐ、その緑髪の娘で遊びたいのじゃ!」
言い終えた後、上を見ると物凄い形相のファングの顔があった。
ファング 「…離せよ変態デブ野郎…喰うぞコラ?」
デイブ 「…ヒッ!!」
すぐさま手を離して、ファングから距離を取った。
デイブ 「わ、わかった…!す、少しの間待ってやろうぞ…!!…だから食べないで…」
ファングは表情をさっきまでの営業スマイルに戻した。
ファング 「ご理解いただけて光栄でございます…今しばらくお待ちを…」
廃墟の方に向かって歩き出したが、何かを察してファングは振り返った。その眼は、あの肉食獣のような眼になっていた。
ファング 「…臭うぞ~?」
~取引場所・周辺の廃墟の二階~
廃墟に空いた穴から大弓でファングを狙うギラードと通信機器を操作しているているヤマトがそこにはいた。
ヤマト 「ギラード、今拾ったの奴らの会話を聞いたでござるか?」
ギラード 「…えぇ…奴隷が逃げたって……。…緑髪の娘って言ってたからマナのことね…」
弓を構えたまま振り返らずに答えた。
ギラード 「じゃあ、人質に恐れることなく射っていいのね…?」
ヤマト 「うむ!…作戦開始でござる!!」
ビュンッ!!
一本のフォトンの朱い矢がファングに向かって放たれた。
~取引場所~
ファング 「…あぁ、やっぱり臭った通りだぁ……オラッ!」
左横の男 「エッ?!」
左横にいた男の肩を掴んで自分の前に寄せた。
ビュァアン!!!
朱い矢が盾にされた男にヒットした。その男はそのまま気絶した。スタンモードだったようだ。
ギラード 「(…防がれた!!)」
デイブ 「!!!…こ、これはどういうことじゃ!!ファング!?」
ファングの方を向くとすでにグレネードランチャーを矢が飛んで来た方向に構えている。
ファング 「…った~く、なんでバレたかねぇ?…デイブ卿~?危ないんで下がっててもらえますかぁ~?」
ドゴ―――――ン!!!!
廃墟に着弾すると大爆発が起こり倒壊した。
ファング 「さぁて、まだ臭うぜぇ?」
ドゴ――――ン!!!!!!!
細路地の方にも一発放ち、爆発で細路地を形成していた、二つの廃墟が半壊する。大量の土煙で周りは茶色一色になり、ほとんど見通すことができない。
ファング 「…この匂い…!…なるほどなぁ…!!」
武器をグレネードランチャーから、ツインクローに変更する。
刹那、土煙の中から蒼いフォトンのセイバーでファングに斬りかかろうとするディーンが現れた。
グァン!!!!
ディーンのセイバーとファングのツインクローがぶつかり、押し合いになる。
ディーン 「ファングゥうううううう―――!!!!!!」
ファング 「……来やがったな死にぞこないぃぃぃぃ!!!喰い殺してやんよ!!!」
~廃墟内部~
部下A 「オイ!なんだ今の音は!!外で何が起きている!?」
部下B 「知るか!!とりあえず奴隷の捜索は後だ!!一旦外の様子を見に行くぞ!!」
二人は走って去って行った。
奴隷男 「…行ったか…。…行くぞ?お嬢ちゃん…」
マナ 「…あ…あの、今スゴイ音がしましたよ?外でいったい何が…?」
奴隷男 「わからん…。だが、奴らに不利益な何かあったのは間違いない…この混乱に乗じてお嬢ちゃんのコートとナノトランサーを取り返そう…!」
マナ 「ハイ!」
人気のなくなった廃墟の中を二人は駆けていく。