ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
それでは30話です!
~廃墟内・倉庫~
マナ 「おじさんっ!!おじさん―――!!」
ライフルを投げ捨てて奴隷男のそばに駆け寄るマナ。その眼は少し涙ぐんでいる。
奴隷男 「……ぐっ…」
マナ 「ご、ごめんなさい…!わ…私のせいで……」
胸を押さえながらゆっくりとマナの方を向けて少し微笑んだ。
奴隷男 「………大丈夫…お嬢ちゃんのせいじゃない……。…それにこの出血量からして…心臓には当たってないみたいだ……」
マナ 「す…すぐに私がテクニックで…!!」
ナノトランサーからロッドを取り出し、祈るように握る。
マナ 「(…レスタは一度も成功したことがないけど……お願いっ!)エイッ!!」
奴隷男 「…?…お嬢ちゃん……?」
レスタは発動しなかった。光のフォトンすら出ておらず、はたからみたらただロッドを握って叫んでいる様にしか見えない。
それでもマナは何度も叫んだ。
マナ 「エイッ!!エイッ!!!…レスタッ!!レスタッ!!!レスタッ!!!!………」
最初の方は涙をこらえ、弱気を抑えるために大きな声を出していたが、だんだんと弱まっていき涙もポロポロと零れ落ち始めた。
マナ 「…レスタ………レス…タ……。…どうして…?…どうして私…光のテクニックが使えないの…?」
ロットを握っている両手から力がなくなり、床に落とす。カランカランという音が倉庫内に響く。
奴隷男 「……お嬢ちゃん…。…俺はこう見えて奴隷になる前は医者をしていた…。その俺から見てもこの出血量なら布か何かで血を抑えられれば………って、お嬢ちゃん?」
マナ 「…うして…?……どうして…?……なんで…?……」
頭をかかえ虚ろな目から涙を流しながらボソボソと呟いていて心ここにあらずな状態のマナに奴隷男の声は聞こえてないようだった。
奴隷男 「…オイ…お嬢ちゃん?テクニックはもう構わないから、とりあえず何か血を止めるものを……。…!?お嬢ちゃん!後ろだ!!」
痛みとマナの様子の変化のせいで気付かなかったのか、先ほど殴られて倒れていた男が、マナの投げたライフルを手に持ってマナの後ろに立っていた。
部下 「…あぁ~いて…やってくれたもんだなクソガキィ!!?」
ライフルの銃口をマナの後頭部に押し付け勝ち誇った顔で罵声を浴びせる。しかしマナの様子は一向に変化しない。…いや、変化はしている。どんどんと負のオーラのようなものを強く醸し出すようになった。
マナ 「………して…………?………どぅ………て…?………」
部下 「オイ!シカトこいてんじゃねぇぞ!?…お前は売られる予定だったが抵抗した場合は殺していいことになってんだ!死ねやコラ!!」
奴隷男 「お嬢ちゃん!!!」
トリガーを引こうとした瞬間、妙にはっきりとマナの声が聞こえた。ただ、それはマナの声のトーンではなかった。
マナ? 「…ドウシテ?」
刹那、黒いオーラがマナの体から後方に放出され、強力な重力が発生した。
部下の男は立っていることができずその場に倒れ、すごい力で床に押し付けられている。ライフルは既につぶれて使い物にならない。
部下 「ぎゃあああああああ!!!つ…つぶ……つぶれっ…!」
奴隷男 「(闇のテクニック!?…この子の力なのか!?…このな大規模なものは見たことがない…)」
十秒ほどたった時。
グチャ!
部下の男が全身から血を吹き出し完全に潰され絶命した。
マナは相変わらず虚ろな目から涙を流しながら頭をかかえ「どうして?どうして?」と呟いている。ただ違うのは体に黒いオーラをまとっていることだ。
30秒ほどして黒いオーラが消えた。マナも気を失ったのかそのまま前に倒れた。
マナより後ろの倉庫と部下の男は原型を留めておらず、倉庫はただの瓦礫の山で男は服と血と肉塊だけ残している。
そんな状況で取り残されたように奴隷男は唖然としていた。
~取引場所~
ファング 「なんだぁ?俺様の能力がわかった~?…言ってみろよ?」
ディーン 「…一つは皮膚の再生能力だ…だが、これはきっとオプションに過ぎないんだろうな……。…硬化、重量変化、性質変化…そして光沢の変化…これらをすべて満たす能力は……」
その場にいる全員がディーンの推理に注目する。
ディーン 「『金属変化』………。………違うか…?」
・・・・・
一瞬その場が静まり返った。しかし、すぐにファングが笑い出す。
ファング 「ギヒッ……ヒャハハハハハ!!!!!!こいつぁ傑作だよ!!」
ディーン 「……違うのか…?」
ファング 「ハハハ……あぁ?違ぇよ!全くその通りだから面白れぇんだよ!!そう、俺様の取り込んだ『地のOS』は俺様に、この姿の時肉体を『あらゆる個体金属』に変化させる能力を授けた!まぁ、俺様はSEEDフォームだからヒト型の時も使えんだけど、その場合は人体に一定量存在する金属元素と同じものにしかなれねぇからたかがしれてんだけどなぁ……。…だが、よく性質の変化まで見抜いたもんだな?この戦いでそこを意識して利用した覚えはねぇぞ?」
ディーン 「…あぁ…、それに気付いたのはここじゃない…。…レリクスでルミアのテクニックを喰らって無傷なのは鉄じゃあおかしいと思ったからな……」
ファング 「ヒハハ!!本当に気持ち悪いくらい見てやがんな~!…まぁ能力がわかったところでどうにかなるわけでもねぇだろ?能力フル活用で殺してやんよ!!」
またファングの体が白く光った。
光が消えるとその場にはいなかった。
ラグナ 「消えたっ!?」
ギラード 「違う!上!」
ファングはどういうわけか、100mほど空中にいた。
ラグナ 「どういうことだっ!?」
ファング 「この姿の跳躍力で重さが最も軽い金属であるマグネシウムになればこんなことは余裕なんだよ!!!!こっからがショータイムだ!!!」
地上によく聞こえるほどうるさい声で叫ぶとまた体を光らせた。
ディーン 「…!!まずいっ!!少しでも遠くに逃げ………」
ド――――――――ン!!!!!!!!!!!!!!!!
言い終える前に空中で急加速したファングが隕石のように降ってきた。落下地点を中心に巨大なクレーターが形成されていた。落下地点付近廃墟は全て瓦礫となった。
衝撃と風圧で吹き飛んだのか、砂に埋もれたのか、はたまた潰されたのか……そこにディーン達の姿は無かった。
ファング 「最も軽いマグネシウムで大ジャンプしてからの最も重いイリジウムでの落下……さらにこの巨体!!数回使えば町一つ潰せるぜぇ?……ってお~い?全員死んだか~?ヒャハハハハ!!!」
瓦礫の山の上で銀色の獅子が勝利の雄叫びを上げるように笑う…。
数分後…
もぞ…もぞもぞ…
砂の中で何かが動いている。
ファング 「あぁ?」
もぞもぞ・・・バフッ!
ディーン 「…はぁ~やっと出れた……」
頭から血を少し流しているが、それ以外に外傷が見当たらない。銃をナノトランスしてファングに向ける。
ファング 「なんの強がりだ~?」
ディーンはニヤリと口元をゆるめると銃のチャージを始める。
ディーン 「…アンタを倒す算段がついてね……。…来いよ…その隕石もどき打ち破ってやるよ…!」
……砂漠地帯に風が舞った…