ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜   作:烏山

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エグゼキューター

~東軍 本部近く~

 

 

 

オレとナギサの前に立ちふさがった二人組のうち赤髪の方が前進しながら話し始めた。

 

 

赤髪    「やぁやぁ!正直まだ生き残っている奴らがいて安心したよ!なんかもう全員弱すぎてさ?なんか…白けちゃったって感じ?…君達がどの程度かは知らないけど、少しは楽しませてくれよな?」

 

 

饒舌な赤髪の男に対して青髪の男は頷くだけで終始沈黙を貫いた。

 

 

赤髪の男はオレ達に話し終えると振り向いて青髪の男に話しかけた。

 

 

赤髪    「つ~わけでダンナ?俺はあっちの黒髪ロングのセクスィーなネーちゃんをやるから、男の方はお願いできます?まぁ、デューマン同士仲良くやるんで、そっちは青髪同士なかよくやったってくださいな?」

 

 

青髪    「……フン…勝手にしろ…」

 

 

 

赤髪    「…さってと…それじゃあ黒髪ロングちゃん♪仲良くやろうぜ?…て…え!?」

 

 

 

 

髪をかき上げるキザな動作をしながら振り向いた赤髪の男は目の前で大剣を振りかぶろうとしているナギサに驚く。

 

 

 

ナギサ   「てやぁーーーー!!!!!」

 

 

 

 

―――――――ザンッ――――――――――

 

 

 

赤髪    「ぐぁはぁああ!!!!!!!!」

 

 

武器を構えることも防御もする間など与えられず横切りが綺麗に決まった。

しかし、胴体が真っ二つになることはなく、ものすごいスピードで横に飛ばされ、飛ばされた先にあった建物の壁を貫通した。

 

 

 

青髪    「ベリアルッ!!!」

 

 

 

さっきまで無表情だった青髪の男の表情が変わった。ベリアルと言うのはおそらく赤髪の男の名前だろう。

 

 

ベリアル  「……か……かは………」

 

 

白目を向いて血をドバッと吐くと、そのまま動かなくなった。動かなくなったと言ってもピクピクしているので死んでいるのではなく気絶したようである。

 

 

ナギサ   「…すまない…。あまりに隙だらけだったもので……つい…。安心しろ…峰打ちだ…」

 

 

『つい…』で倒してしまうとは…味方ながら恐ろしい強さだ。それに峰打ちと言ってもナギサの使っている大剣『スティールハーツ』は片面は刀として作用しているが、反対側の峰に当たる部分はかなりゴツく、ハンマーのようになつている。峰打ちといってもあの男は現在、生死をさまよっているに違いない。

 

 

ともかくこれで2対1。こちらが有利だ。

 

 

ディーン  「…オッサンよぉ…。アンタがどのくらい強いかは知らんが、オレ達が圧倒的に有利だ…!おとなしくここを通してはくれないか?」

 

 

青髪    「……圧倒的に有利…。ふざけたことを言う…。…俺をベリアルと同じと思ってくれるなよ?」

 

 

やっぱそうだろうな…。それにこの男のいう通り、さっきのチャラ男とは放っている殺気が全然違う。

 

 

最初に感じた殺気も全てこの男一人のものだったのだろう。

 

 

 

そう考えている間に青髪の男は武器のナノトランスを解除した。レーザーカノンの類のようだ。

 

 

その場に緊張が走る。

 

 

青髪    「何はともあれ、アイツとは一応長い付き合いだ…。仇討というわけではないが……貴様らは消し炭にしてくれよう!!」

 

 

 

 

 

 

~西軍 エリア~

 

 

 

 

 

僧の男とバロンは互角の戦いを繰り広げていた。バロンの銃弾は全て斧を盾にして防がれてしまい、僧の攻撃は距離を詰めることができずバロンには届かない…といった具合だ。

 

 

 

バロン   「(ったく…早く済ませてマナさんの方に行った奴をなんとかしねぇと…)」

 

 

 

僧     「フッフッフ……焦っておいでで?何、あやつが彼女をやる前に私が貴方に安らぎを与え、そして彼女も私が安らぎを与えましょう……」

 

 

 

バロンには安らぎと言う言葉が妙に引っかかった。

 

 

僧     「あぁ、申し訳ございません…。私……『ビガー・トードー』と申しまして、以前までグラール教団に仕える僧だったのですが、ある日悟ったのですよ……。ヒトが最も安らぎを得た表情をする時は……死んだ時だと……」

 

 

 

その法衣に似合わぬ邪悪な表情をし、そのあまりの気味の悪さにバロンは吐き気さえした。

 

 

ビガー   「その悟りを開いた翌日から私は多くの者をこの斧で救ってきたのですが……どういうワケか処刑人(エグゼキューター)等と言う不名誉な異名をいただき全銀河指名手配犯となってしまったのですよ……私はただ私はヒトを救いたいだけなのに……」

 

 

バロン   「…女も……殺したのか…?」

 

 

 

ビガー   「えぇ……もちろん…!女子供はいいですよ?…救われる寸前までは恐怖し泣き叫ぶのですが、私が斧を振りかざした後は…本当に安らかな顔を……」

 

 

   

 

バンッ!!!

 

 

弾丸がビガーの肩を貫いた。出血もしていることからスタンモードではないようだ。

しかし、ビガーは少し冷めた表情をするだけでこれと言って焦った様子も無くバロンを睨みつけた。

 

 

 

ビガー   「なんですか?僧の説法は最後まで聞くものですよ?それとも、早く私を救いたいのですか?」

 

 

バロン   「あぁ?救う?お前バカか?…男をどれだけ殺そうが知ったこっちゃねぇが、女性を平気で殺すようなやつを救うほど俺は甘くねぇぞ!?」

 

 

言っている内容にめちゃくちゃな部分が含まれているが、バロンは真剣な表情で手をクロスさせてツインハンドガンを構える。

 

 

 

バロン   「テメェは俺が裁く!」

 

 

 

ビガー   「…本当にあなたは救い甲斐がある…!!ならば全力で救ってあげましょう!!!」

 

 

狂気に満ちた笑顔で叫ぶと、体中から黒いオーラを発生させ、身体を包み巨大化していく。

 

 

 

バロン   「なんだ!?これは!?」

 

 

弾丸を黒いオーラに向かって放つが全く手ごたえがない。

 

 

すると黒いオーラの中から異形の者が現れた。

体長は4,5mほどでビジュアルはSEEDフォームによく似ているとされる生物インディベルラに酷似しているが、両手が巨大なトマホークタイプの斧になっている。

 

 

 

ビガー   「やはりこの姿は素晴らしい!!!すぐにでもアナタを救えそうだ!!」

 

 

バロン   「お前、さっきのハゲか!?なんだその姿は!?」

 

 

ビガー   「わが主、ワスプ様が授けてくれた、偉大なる救いの力!さぁ、安らぎを得なさい!!」

 

 

両手のトマホークを順番に回転しながら飛ばしてきた。

 

 

バロン   「(何が何だか理解できけど、ヴィジュアル的にはインディベルラで、攻撃パターンも似てる!軌道は読めた!)」

 

 

態勢を低く構え、斧の下を通って交わそうとした。

それを見たビガーは心の中で笑った。

 

 

 

 

バロン   「なっ!?」

 

 

 

急に斧の軌道が変わったのだ。

 

一本の斧がさらに低いところまで下りてきて、バロンの首を切断できる高さまで来た。

 

 

 

バロン   「ヤバいっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――サクッ!!!―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

上下真っ二つになった彼の帽子が宙を舞った。

 

 

 

どうやら切断されたのは帽子だけで済んだようだ。

バロンは地面に這いつくばりトマホークの直撃をかわした。

 

 

バロン   「なんだぁ?今のは!?」

 

 

ビガー   「まだですよ!?」

 

 

もう一本の斧がバロンの真上で一瞬停止すると、そのまま直角に落ちてきた。

 

 

 

 

ブァーーン!!!!

 

 

 

ギリギリ体を回転させ斧をかわす。斧が刺さった地面は大きなヒビが出来ている。…もし直撃ていたらどうなったかと考えると恐ろしい。

 

 

そして二つの斧は不自然な動きでビガーの両腕に戻って行った。

 

 

バロン  「なんだよその斧は!?有り得ない動きをするぞ!?」

 

 

ビガー   「……えぇ、これこそが私の得た、雷のOSの能力…」

 

 

バロン   「雷の…おず…?」

 

 

ビガー   「私は自分の斧をラジオコントロールすることができます。それは動きだけではなく、回転速度、回転方向も変幻自在でございます…。…アナタの使用武器は銃器の類のようですが、集中して狙いを定めなければいけない銃に対して、変幻自在の遠距離攻撃を可能とする双刃を有する私が圧倒的に有利……。…さぁ、大人しく救われなさい!!」

 

 

もう一度両手を振って、二本の斧を飛ばした。それらは別々の方向からバロンに襲い掛かった。

 

 

バロン   「(……アイツがなんであんな力を持ってるかはよくわからんが、俺がアイツに勝つにはあの斧を破壊しないと……この銃じゃ威力に欠けるな…)」

 

 

バロンは落ち着いてツインハンドガンをしまい、ショットガンを取り出した。

 

ビガー   「血迷いましたか!?確かにショットガンの威力なら、斧を破壊できるでしょう!しかし、連射向きでないその武器では一方は破壊できたとしても、もう一方がアナタを切り裂くでしょう!さぁ!安らぎの楽園へ逝きなさい!!!」

 

 

斧が急加速してバロンに向かって行く。もう2本ともバロンまで1m程の射程に入った。一本は右上から、もう一本は後ろから…逃げ場はない。

 

 

ビガー   「ひゃはぁ――――!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンッバン!!バン!!!

 

 

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。

 

3つの銃声が鳴り終わった時、2本の斧は同時に砕け、ビガーの腹部にも風穴が空いていた。

 

 

ビガー   「…!!なっ!?……何が…おき…!?」

 

 

 

喋っている途中で途切れたのは、一気に距離をつめたバロンにショットガンの銃口を頭に突きつけられたからである。よく見ると、そのショットガンはさっき持っていたモノとデザインが変わっている。

 

 

バロン   「確かに、ショットガンは連射に向かない銃だ……。だが、撃つたびに新しい銃に持ち替えれば連射も可能だ…」

 

 

ビガー   「あ…アナタ、まさか一発目の弾丸が発射されたのと同時にナノトランスと新しい銃の解除からの発砲を一瞬で行ったとでも言うのか!?」

 

 

バロン   「あぁ…その通りだ…。早撃ちの天才に不可能はないのさ!…じゃあタネ明かしも済んだところで…オレがオメェを処刑してやんよ…?」

 

 

ビガー   「!!!…まっ…待て……!!!」

 

 

 

バロン   「あばよ!処刑人(エグゼキューター)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バァン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

収束された散弾が放たれ、ビガーの頭部が吹き飛んだ。その後黒いオーラがビガーを包み、ヒトの姿に戻ったが、やはり頭部は吹き飛んでいた。OSの力で変身しても頭を飛ばされたのなら絶命するらしい。

 

 

 

 

バロンは胸ポケットからキャスト用の電子煙草を取り出し口にした。

 

 

バロン   「……死が救いってんなら本望だろーによ…。…ただ、間違っても楽園なんてところには行けねぇな……。…お前も……………俺も…」

 

 

 

 

 

 

~西軍 本部 ~

 

 

瓦礫の山の中、マナは生存者を捜索していた。

 

 

しかし、爆発の勢いが凄まじかったためか誰一人として原型を留めている者はいなかった。

 

 

マナ    「……酷い……酷い…酷い!!…なんで…なんでこんな酷いことを…」

 

 

涙目になりながらも必死にそれがこぼれるのを堪えて生存者を探し続けている。

すると何か音がするのに気付いた。

 

 

マナ    「な、何!?……もしかして生きてるヒト!?」

 

 

「……けて……くれ……」

 

 

 

今度は間違えなく聞き取れた。

 

 

 

マナ    「どこですか!?すぐに助けます!!」

 

 

 

声をした方を向くと体は瓦礫に埋もれながらもなんとか手だけは出して振って合図をしている。

 

 

 

マナ    「今行きます!!」

 

 

 

 

――――――ザッ――――――――――

 

 

 

刹那、マナを人影が追い越して行った。

 

 

マナ    「えっ!?」

 

 

そのヒトはバンダナをした男で声のする瓦礫のところで立ち止まった。

 

 

 

 

マナ    「(あ!他にも人がいたんだ!)そこに生存者がいるので救助に協力してもらえますかぁ!?」

 

 

 

その男はマナの方を向くとニヤリと笑った。…そして

 

 

 

マナ    「えっ!?」

 

 

 

その男は笑いながら瓦礫の上を踏みつけ始めた。瓦礫のしたから、「ぎゃあ」とか、「痛い」などと言う声と同時に「ぐちゃ」っと言う何かが潰れる音がした。

 

 

マナ    「な!!あ、アナタ、なんてことしてるんですか!?」

 

 

バンダナ  「あぁ?こ…ここにいる傭兵を皆殺しにしてるんだぁ~!お…お前、さ、さっきの放送聞いてなかったのか??」

 

 

マナ    「さ…さっきの放送って……爆弾を仕組んだとか…管制塔を制圧したとか…?」

 

 

バンダナ  「そ、そうそう!つかオメェ、か、可愛いな……。し、死に顔が、み、見たくなるぅ~」

 

 

バンダナの男は興奮しているのかハァハァと息を荒げている。

 

マナ    「…………貴方たちが…ここをこんな風にしたんですね…?」

 

 

真剣な表情でバンダナの男を睨む。

 

 

バンダナ  「あ…アぁ……、お、オレ達がやったんだ…。よ、傭兵を、こ、殺すためにな…。…こ、こんな風に!」

 

 

踏みつける脚に思いっきり力を入れた。

すると瓦礫のしたからこれまでとは比べ物にならないほど悲痛をまとった悲鳴がすると、それっきり何も声がしなくなった。

 

 

 

マナ    「!!!―――――――   …………さない……」

 

 

 

 

バンダナ  「な、なんだ~?こ、こえぇのか~?」

 

 

 

マナはロッドのナノトランスを解除して構え、さっきよりも強くバンダナの男を睨んだ。

 

 

 

 

 

 

マナ    「私は、ヒトの命を平気で奪う貴方たちを絶対に…………許さない!!!」




キャラクター設定

ビガー・トードー

種族:ニューマン(男)
年齢:33歳
身長:178cm
体重:58kg
ICV:山崎たくみ
詳細:元僧の快楽殺人機。歪んだ価値観で死こそがヒトの救いと思い込み殺人を繰り返すうちにヒトを救う(殺す)ことに喜びを感じるようになった。
指名手配の殺人鬼ということでワスプに目をつけられやとわれ兵として部下となり、OSの力を手にする。能力は自分の腕(斧)を電波によってラジコンのように遠隔操作すること。
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