ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜   作:烏山

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強者

~西軍エリア 旧食糧倉庫~

 

 

マナ    「……よかった!建物の中はまだ白いもやもやが無い!」

 

 

バールの能力はあくまで白い気体を発生させるものだったようで、窓が無く壁と扉だけ仕切られていて換気が行われていないこの建物の中はホワイトアウトが発生しておらず、電気が途切れ途切れでしか付いていないが外よりかは視界がはっきりしている。

 

 

マナ    「…あのヒトが追い付いてくる前にアレを見つけないと……。…もし、アレがなくても一応切り札はとってあるけど……精度が……」

 

 

キョロキョロと各部屋の入口につけられている案内表示を確認して進んで行くと、ある部屋の前で立ち止まった。

 

 

マナ    「あった!『小麦粉保管室』!!………いけないっ!急がないと!」

 

 

 

周囲に生じた白いもやに気付き、自分の来た道を振り返るが、奥の方は真っ白で何も見えなくなっている。

 

バールの声も聞こえてきたので慌てて室内に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

室内は入口の扉が一枚あるだけで窓はなく、明かりもほぼ皆無であったが、何かが詰まっている袋が大量に積まれていた。中身は小麦粉だろう。

 

 

マナ    「は、早くしないと!…えいっ!!」

 

 

ロッドのとがっている部分で袋を引き裂き中身の粉を飛散させる。

何回も繰り返していると辺りは外と同じように真っ白に染まった。

 

 

 

マナ    「…これで、もう大丈夫かな?(……あのヒトがこの部屋に入ってきたら、フォイエを使って……そうすれば『粉塵爆発』で………アレ?)」

 

 

 

ロッドを握りしめた時、あることに気付いた。

 

 

 

マナ    「(…これって、この場で使ったら確実に私も巻き込まれるよね?…それに一人部屋の外に出て廊下から撃っても建物が崩れる………どうしよう…)」

 

 

バール   「みみみみみ見えてたぜぇ~?こここここここの部屋に入ったろ~!?」

 

 

マナ    「(どうしよう!?追い詰められた!)」

 

 

 

ガチャ と言う扉を開く音がする。マナは無駄とは分かっていても見つからないようにしゃがんで震えていた。

 

 

 

マナ    「(もうダメだ……逃げ場は入口しかない……殺される…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バール   「なななななんだ~?こここここの部屋、まままままま真っ白で、なななななんにも見えないぞ~!?」

 

 

マナ    「(えっ!?)」

 

 

 

マナからもバールの姿は視認することはできなかったが、バールもマナを探している。声が聞こえる位置から考えるに数メートルも離れてなく、マナが物陰に隠れているわけではないのに。

 

 

マナ    「(…そうだ!小麦粉だ!…このヒトは自分の能力では視覚に影響を与えないけど、この舞っている小麦粉には視界が邪魔されるんだ!…今のうちに…)」

 

 

 

四つん這いになり、音を立てないようにして部屋の入口まで移動する。

バールは気付かずに誰もいない部屋の中で暴れ回っていた。

 

 

マナ    「(なんとか出れたけど、ここからどうしよう?……うまく行けばこのまま逃げれそうだけど…)」

 

 

退路を見つめながら考え込むが、それではダメだと考え直し、また部屋の中を見つめる。

 

 

 

マナ    「(でも、戦うにしても雷や炎を使うと粉塵爆発で私も巻き込まれちゃうし……普通に戦っても圧倒的にフリだし……『アレ』も当てられるかどうか分からないし……。……ん!?)」

 

 

ボンヤリと見える部屋の入り口を見て何かに気付き口元を緩めた。何か勝算を得られたようだ。

 

 

マナ    「(…この入口……行けるかもしれない!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~小麦粉倉庫内~

 

 

 

バール   「おおおおお女ぁあ!!ななななな何をしたぁ!!?おおおおお前も、ややややややっぱり、おおおおおおOSの力を、もももも持っていたのかぁ!?」

 

 

テキトウに両腕を振り回すが、それらはどれも空を切り裂くばかりで手ごたえが無い。

そのことにも怒りを覚えて暴走状態が悪化し続けているバールの耳はマナの声を捉えた。

 

 

マナ    「ふっふっふ!ここで私が火のテクニックを使って大爆発を起こしてアナタはお終いです!!」

 

 

 

バール   「(いいいいいつの間に外へっ!?ここここここれは小麦粉か!だだだだだからおおおおお俺の視界も、うううう奪われたのか!?)ばばばば馬鹿め!おおおおお前も巻き込まれるぞ!?」

 

 

 

マナ    「アナタを倒せるのなら構いません!!えい!!」

 

 

ブンッというロッドを振る音が聞こえた。危険を察しバールは部屋の入口へ慌てて向かった。

 

 

 

バール   「(くくくくくそっ!!まままま間に合わないか!?)」

 

 

入口までたどり着く小麦粉の影響がなくなりバールの視界は回復した。しかし、特にテクニックが発動している様子は無かった。

 

 

 

 

その代り、目の前には蒼い魔方陣と体を捩じっている水色の生物がいた。その後ろでマナは両手を前に出している。

 

 

 

バール   「こここここ、これは――――――――――!!!!!!」

 

 

 

『それ』が何か理解した瞬間、突如捩じっている方向とは逆向きに回転し、突撃してきた水色の生物が彼の胸部に触れている。

 

 

そのままドリルのように回転し、その高速の回転と突進に押され、自分の体も回転しながら飛ばされ壁を貫通し、外へ飛ばされていった。

 

 

 

バール   「(ミ、ミミミミミミラージュ・ブラスト!?……こここここ、このガキ………は、ハハハハッタリをぉ~!!)ぐああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

ドッゴ――――ン!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

バールは隣の建物も貫通し、演習場の外壁に叩きつけられた。変身は解け、白目を剥いて気絶している。

 

 

 

 

 

 

マナ    「……ハァ…ハァ……た、倒したの?私……殺し屋に?」

 

 

 

 

脱力しその場で体を崩し、膝立ちになる。術者が気絶したためか周囲の白いもやは消滅し始めた。

 

 

 

マナ    「…よかったぁ……。『ミラージュ・ブラスト』もうまくいったよぉ……」

 

 

 

『ミラージュ・ブラスト』。ヒューマンとニューマン限定の技で、あらゆる属性の精霊を召喚し、相手を攻撃する必殺技である。ちなみに今回マナが使用したのは氷の精霊コンルを召喚する【氷結ノ疾風】である。

 

 

 

マナ    「うっ…痛っ!!痛たたたたたた!!!」

 

 

バールに切り刻まれた痛みを思い出し、床を転げまわる。戦闘に集中していて忘れていたようだ。

 

 

マナ    「うぅ……こんなにダメージを受けたのは初めてだよ………。……動けるうちにバロンさんと合流しないと……」

 

 

 

ロッドを杖代わりにしてヨロヨロと食糧庫の出入り口へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~東軍エリア~

 

 

 

 

ディーン  「クソッ!あの武器、攻撃範囲が広すぎるだろ?!」

 

 

ナギサ   「迂闊に近づけないな…!」

 

 

青髪の男が使用する『レーザーカノン』の類の武器はチャージショットが極太レーザーで薙ぎ払いも可能なため攻撃範囲が非常に広く威力も高い。

 

 

青髪    「貴様ら!逃げてばかりでは勝てないぞ!?もう一発行くぞ!!」

 

 

すぐさまチャージを始める。

 

 

ディーン  「そろそろなんとかしねぇとマジでヤバいんじゃないか?」

 

 

ナギサ   「私に一つ作戦があるのだが……聞かないか?」

 

 

真直ぐで力強く、それでいて済んだ瞳でディーンを見つめた。何やらその作戦とやらに自信があるそうだ。

 

 

ディーン  「なんだ?」

 

 

ナギサ   「時間が無いから、要点だけ話す!…私が囮となり奴に近づき……武器を斬る!」

 

 

 

ディーン  「はぁ?」

 

 

ナギサ   「アナタにはそれまでに極力相手に接近してもらい、武器を壊したところに一太刀入れてもらいたい!…では作戦開始だ!」

 

 

本当に要点だけを述べると、すぐ青髪の男の元へ武器を構え駆けて行った。

 

 

ディーン  「ちょ…まっ!!………だぁ~もうちくしょー!!!」

 

 

頭をくしゃくしゃ書きながら半ばヤケクソでディーンもナギサの後を追った。

 

 

 

 

 

 

青髪    「……何か作戦を立ててきたな…?まぁ俺の戦術はこれだけで十分だ!」

 

 

チャージが完了し、砲口を向かってくるナギサに向ける。

 

 

 

ナギサ   「てぇやー!!」

 

 

剣を振り上げ高く飛んだ。その飛び方から着地地点は青髪の男の目の前のようだ。

しかし、青髪の男は口元を緩めた。

 

 

青髪    「ククッ!空中ではかわすことも出来ぬだろうに!!バカなお嬢さんだ!!」

 

 

 

トリガーを引き至近距離のナギサに向けて極太レーザーを放つ。

 

 

 

ナギサ   「それはどうかな!?はぁー!!」

 

 

 

振り下ろした大剣の峰の部分から大量のフォトンをジェットのように放出し、そのままナギサは直角に地面に急降下しレーザーを回避した。

 

 

 

 

 

青髪    「バカな!?やられ――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――ザンッ―――――――――――

 

 

 

 

 

慌てて盾にした『レーザーカノン』が両断された。

 

 

 

青髪    「(しまった!武器が!!…いや、それよりも男の方が―――――)」

 

 

 

ナギサ   「いけー!!!ディーン!!!」

 

 

 

セイバーをいつでも振り切ることができるように構えながらディーンは青髪の男に向かっていた。

その驚異的なスピードでわずか数秒あまりで青髪の男との距離を詰めていた。

 

 

 

ディーン  「ナイス作戦だ!ナギサ!!」

 

 

 

青髪    「…マズイ!!―――――――――――」

 

 

 

 

 

――――――――――ブァン――――――――――――

 

 

 

 

 

 

青髪    「ぐぐぐぐぐぐぅうう!!!!」

 

 

 

ディーン  「ウソだろ…!?」

 

 

 

 

 

青髪の男はディーンのセイバーを素手で押さえていた。そして、もう一方の手で殴り掛かる。

 

 

 

 

 

 

――――――――――ボカッ――――――――――――

 

 

 

 

 

 

ディーン  「ぐはっ!!」

 

 

 

がら空きの腹を思い切り殴られ、吹っ飛ばされた。

そして先ほどの間合いぐらいのところに落下し地面に叩きつけられた。

 

 

ナギサ   「大丈夫か!?」

 

 

ナギサもすぐに青髪から離れてディーンの元に駆け寄る。

 

 

ディーン  「……ってぇ……。まぁ、なんとか大丈夫だ…」

 

 

 

殴られたところを手で押さえながら立ち上がると、青髪の男の方を睨みつけた。

 

 

ディーン  「オイ!アンタ、武器を破壊されたんだ!もうアンタの負けだろう?止めにしないか?」

 

 

 

これを聞いた青髪の男は大笑いし始めた。

 

 

 

青髪    「ハハハハハハ!!!武器が破壊されたから俺が負けだと!?面白いことを言う!!だが、俺のレーザーカノンを破壊た動き、俺との間合いを詰めた速さ……確かに貴様らは強い!! 強き者同士の戦いはどちらかが倒れるまで決着が着かないものだろ?」

 

 

 

ディーン  「じゃあなんだ?丸腰でオレらの相手をすんのか?」

 

 

 

青髪    「フッ…それこそ貴様ら強者への礼儀に欠ける行為だ! おっと、まだ名を聞いていなかったな?強者の名は聞いておきたい!!」

 

 

ディーン  「あ?名前? …ディーン・オーシャン…」

 

 

 

ナギサ   「ナギサ・アーデルハイト・ハウザーだ……。貴方の名前も聞かせてもらおうか?」

 

 

 

青髪    「そうだな、俺も名乗っていなかったな!真の強者の戦いは名乗るところからというモノだと言うのにな…。…ゴルドー……ゴルドー・ドレイクだ!! …さてここからは本気で行かせてもらおうか!?」

 

 

 

ゴルドーが名乗りを終えて、右腕を点にかざすと彼の体を黒いオーラが包み始める。

 

 

 

ディーン  「……!!」

 

 

 




キャラクター設定

ベリアル・ロッソ―

種族:デューマン(男)
年齢:27歳
身長:178cm
体重:68kg
ICV:藤本たかひろ
詳細:ワスプの雇った元軍人。燃えるような赤い髪が特徴。性格はややナルシスト。使用武器はライフル系。ナギサに瞬殺されたが、決して弱いわけではない…多分。
赤い髪、ナルシスト、ICV、即死。わかる人にはわかるのではないのでしょうか?さぁ、諸君!上に注意して行こうw(GEネタです)
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