ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜   作:烏山

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『死なせない』

…テンゴウグからマナをギリギリのタイミングで守ったとき、 オレはガーディアンズ時代の実力に戻った気でいた。うかれていた。 やっていること自体はたまにやっているショボイ仕事と変わらないのにもかかわらず…

 

それは、『少女をモンスターから守った』ということで自分を英雄かなんかだと思ったからであろう。

 

だから「死なせない」なんてらしくもないことを軽々しく口にしてしまったのだ。

 

 

だが、今はなんだ?

 

目の前の『オンマゴウグ』を見て足が震えている。恐くてしょうがない。

 

ディーン「…なんで、オンマゴウグが…?…目撃情報は無かったんじゃ…?」

 

確かにフォレスはそう言っていた。どういうことだ?

 

フォレスがウソを教えたのか、情報自体が間違っていたのか、はたまた偶然今この地方に到着したオンマゴウグに出くわしたのか?いずれにせよ目の前に巨大な怪物がいる現実は変わらない。とても勝てる気はしない… ともなれば選択肢は一つだ。

 

ディーン「…逃げるぞ!」

 

そうマナの方を向き、呼びかけた。

 

 

…しかし…

 

 

マナ「……あっ…あ……ムリ……こんな……」

 

完全に飲まれていた。オレの声は届いていないようだ。

 

ディーン「オイ!!」

 

マナ「…えっ?…は、はい!」

 

マナは我に返った。 だが一歩遅かった。 オンマゴウグは振り上げた腕を、振り下ろすモーションに入っていた。 狙いはマナだ!

 

マナ「…え?」

 

ディーン「かわせぇ!!!!」

 

 

 

ドゥゴォォオオオオン!!!!!!!

 

 

 

マナはオンマゴウグの拳の50cm程前で尻餅をついていた。逃げようとした動きをしたおかげでかわせたようだ。

 

拳は地面を粉砕していた。

 

マナ「……ひっ……」

 

ディーン「何やってんだ!?早く逃げるんだ!!」

 

マナ「……ム……ムリ…です……体に……力が……」

 

震えた声で訴えてきた。

 

 

そうしているうちにオンマゴウグは次の構えに入っていた。あの構え…石投げか?!

 

 

『石投げ』…オンマゴウグの攻撃パターンの一つとして燃えている石をばらまくものがある。 石と言っても大きく、どちらかと言うと岩だ。

 

あの状態でまともに食らえばただでは済まない。

 

ディーン「立って逃げるんだ!!死ぬぞ!!!」

 

 

 

…「死ぬぞ」この言葉が引っ掛かった。

 

「死なせない」と言ったばかりなのに… …なんてオレは無責任なんだろうか?

 

 

オンマゴウグが手を振り払おうとする。

 

 

………まただ。 またマナとヴィヴィアンが重なった。確かにヴィヴィアンと共にオンマゴウグを倒したことはあるが、そうじゃなかった…

 

 

…初めてあった時は、「初のミッションに同行」ということで思い出した。テンゴウグを倒した時は自分の力がガーディアンズ時代に戻ったと錯覚したからパートナーがヴィヴィアンに思えたのだろう。

 

そして…今… またパートナーを守りきれなかったという状況に陥りかけているからそう思えたのだろう……

 

 

 

 

 

そう…どれもヴィヴィアンを犠牲にしてしまったことへの後悔のあらわれだったんだ。何度も見た、あの時の夢もそうだろう。

今まで、過去から逃げていたから気づかなかったんだ…。自分にウソをついて戦いから逃げていた。

 

…オレはもう逃げたくない… …オレはもう後悔はしたくない、

 

 

 

…もう誰も「死なせない」!!!!

 

 

 

ディーン「ヴィヴィアンンンン!!!!!」

 

 

思わずそう叫んでいた。体も勝手に動いていた…

 

 

………

私は今度こそ本当に「死」を覚悟した。 「もうだめだ」…そう思った。

 

そんな私の耳にディーンさんの叫び声が入ってきた。人の名前だろうか?

 

そのあと一瞬だった。

 

すぐ目の前に黒い影が現れた。

 

 

ディーン「らぁあああああああ!!!!!」

 

その動きは目で追えるものではなかった。私に当たるはずだった岩が次々とはじかれていった。

 

マナ「…………」

 

全ての岩を弾いた後、ディーンさんは後ろ向きのまま声をかけた。

 

ディーン「……わるい…『死なせない』とか偉そうなこと言ったくせに、逃げることばっか考えて………」

 

ディーンさんが振り返った。

 

ディーン「…でも、絶対に『死なせない』…」

 

相変わらず表情は全然変わらないけど…悲しげな眼が少しだけ温かい眼になっていた…。

 

 

…………

 

体が軽い。自然と動く。オンマゴウグの動きが見える。

 

まるで本当にガーディアンズ時代のようだ。

 

オンマゴウグの攻撃を回避しつつ、オレは距離を詰めた。そして…

 

ディーン「せいっ!!!」

 

オレの剣がオンマゴウグの腹部を切り裂いた。

 

グガウゥゥッゥ!!!

 

 

うめき声をあげた。深く入ったようだが流石に一撃で仕留めるのは無理だったようだ。

 

なら、もう一回だ!

 

ディーン「うらぁ!」

 

 

ガスッ!!

 

ディーン「・・・・何っ・・・!?」

 

 

オンマゴウグの脚がオレを蹴り飛ばした。腕の動きばかりに注意していたせいか足への警戒がまるでなかったオレは10mほどぶっとんだ。

 

とっさに武器を盾にして直撃は避けたが、強靭な脚だ。なんだかクラクラする。

 

マナ「ディーンさん!!!血が!!」

 

額から血が流れていた。直撃していないわけだから、地面にぶつかった時だろう。

 

 

バッサバッサ…!!

 

オンマゴウグが翼を動かし始めた。

 

ディーン「…くそ!空へ逃げる気か…!」

 

空に逃げられたらオレの攻撃は届かない。銃もあるがこの状態で正確に狙いをつけられることは無理そうだ。なんとしても飛び立つ前に仕留めないと…

 

 

オレが起き上がってオンマゴウグのところへ走り出そうとした時…

 

 

ドゥーン!!!!!!

 

 

 

雷がオンマゴウグの翼を貫いた。

 

 

グガァァァァアア!!!!!

 

 

若干浮き上がっていたオンマゴウグはそのまま地面に落ちた。

 

 

ふとマナの方を見ると起き上がりロッドを構えていた。

 

マナ「ディーンさん今です!!!」

 

ディーン「…頼りになるパートナーだ…!」

 

オレはそう呟くと銃をチャージしながらオンマゴウグのもとへ駈け出した。

 

オンマゴウグは起き上がり、向かってくるオレに拳をぶつけようとしてきた。

 

オレはそれをかわし、オンマゴウグの懐に入った。そして、至近距離で顔面に向けてチャージショットを放った。

 

 

ビューーン!!!!

 

 

グゴァアアアア!!!

 

オンマゴウグが悲鳴を上げ、膝をついた。

 

続けてオレは『クレアサベラ』のフォトン出力を最大にした。

 

ディーン「…これで、終わりだ!!!!オォオオオオオ!!!!!」

 

 

 

 

…ズゥアン!!!!!……

 

 

膝をつき、低いところに来たオンマゴウグの頭を切り裂いた。

 

グギャアアア!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

断末魔を上げたあと、膝から崩れ落ち、倒れ、そのまま動かなくなった。

 

 

マナ「やっ…やったの?倒したの?」

 

マナがどうしていいかわからない顔をしている。

 

ディーン「あぁ…オレ達の勝ちだ…!ナイスアシストだ!」

 

マナ「え…そんなぁ…。私なんかディーンさんがいなかったら今頃……。そ、それよりディーンさん!血が!早く治療しないと…!!!」

 

そういえば額から血が出てたな。止めを刺す時とか忘れてたけど…

 

ディーン「大丈夫、こんなのはケガのうちには……」

 

バタッ!

 

マナ「ちょ・・・ディーンさん!?ディーンさん!!!!しっかりしてください!!

 

ここから先のことはオレの記憶にはない。

 

 

~マイシップ~

 

ディーン「ん?…」

 

目を覚ますとマナが心配そうに覗き込んでいた。

 

マナ「あ、よかった…気が付いた。」

 

ディーン「あぁ、悪いな…手間かけさせた…。…マイシップまで運んでくれたのか?」

 

マナ「いえ、とても一人では運べないと思って、ディーンさんを原生生物に見つからないようなところに動かして、村に人を呼びに行ってその人達に手伝ってもらいました。」

 

ディーン「…そうか…ありがとう…」

 

マナ「そ、そんな!お礼なんて・・・わ、私も…」

 

なんだか言うのをためらうように止めたが、すぐに口を開いた。

 

マナ「私も、ディーンさんを『死なせない』ですもん!」

 

最初に会った時の頼りなさがウソのようだ。

 

マナ「だから、私ももっともっと強くなってディーンさんの役に立てるようになりたいです!」

 

ディーン「そうか……それじゃあこれからもよろしく頼むよ…オレもまだ一人では戦いきれない…」

 

マナ「はい!…ところでディーンさん。気になったことがあるんですけどいいですか?」

 

ディーン「なんだ?」

 

マナ「『ヴィヴィアン』て誰ですか?オンマゴウグの攻撃から私を助けようとした時にそう叫んでましたけど……あの、私自己紹介しましたよね?私、マナって名前なんですけど、もしかして覚えられてませんでした?」

 

あ…あの時かぁああ!!!!

 

とっさにそう叫んだけど、今思うとめちゃくちゃ恥ずかしい!!

 

ディーン「あ、あれはだなぁ……」

 

マナ「いいんです…私みたいな、ちんちくりん覚える価値ないですもんね…うっ……」

 

ディーン「そういうんじゃないから…!…ちょ、涙目になってる!?」

 

マナ「…ぐすっ……そういえば私の名前全然呼んでくれませんでしたしね…うっ…ううぅ…」

 

ディーン「いや…聞こう!オレの話を!」

 

 

 

……こうして、新しいパートナー『マナ』との初のミッションを終えた。

 




キャラクター設定(Ⅲ)
フォレス・アーラニヤカ


種族:ニューマン
年齢:42歳
身長:179cm
体重:67kg
髪色:黄緑
髪型:センター分けの長髪
詳細:マナの父親でギルドのマスター。特徴は敬語口調と常の微笑んでいるかのように細い目。この目はマナには遺伝しなかった(マナはパッチリお目め)過去の経歴は不明。目的も不明。マナとの親子関係の良し悪しも不明。とにかく謎の人物。
名前の由来は英語の「forest(森)」から。名字のアーラニヤカもフォレスが先につきました。アーラニヤカ、「森林書」とは秘密が書いてある経典のことなのです。謎の人物にはもってこいの名前ですね。
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