ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
~東軍エリア~
―――――――――――ゴ―――――――――ッ!!!!!!!!――
極太の熱線がナギサに向かって放出された。
しかし、ナギサはインフィニティブラストのフォトンと連結していた体内のエネルギーも吸収されたため疲労し、動けないでいた。
ディーン 「ナギサ――――!!!(ダメだ!間に合わない……だったら……)」
銃を構え、ナギサに向かって発砲した。
左腕に被弾するとナギサは横に飛ばされた。そのおかげで熱線の直撃は免れた。
ナギサ 「グッ…!!」
地面に叩きつけられたナギサは左腕を抑えてもがいている。熱線を少し掠ったようで軽く火傷も負っていた。
そこへディーンがすぐに駆け寄った。
ディーン 「大丈夫か!?」
ナギサ 「……ぐぅう………ハァ……ハァ……あぁ………貴方のおかげで助かった…」
ディーン 「いや、すまなかった……助けるためとはいえ、仲間に発砲するなんて…」
ナギサ 「…それについては……ハァ……構わない…。…しかし、あの熱線は強力だ……掠っただけで左腕の感覚が無くなっている……直撃していたら間違えなく死んでいた……」
ナギサは自分の左腕を見せた後、熱線が通過したビルを指さした。
ディーン 「やべぇな……」
ビルには熱線が触れた部分に巨大な穴が開いていて、コンクリートは熱でドロドロに溶け、穴の周りのコンクリートは赤く変色して、穴を広げている。
ゴルドー 「はっはっはっはっは!!!!ディーンよ!賢明な判断だったな!この技を直撃して形を保てるものは存在しない!!」
カツカツと四本の脚を鳴らしディーン達に接近する。
ディーン 「(…とりあえず、あの技を使うにはフォトンを一定量溜めないとダメなハズだ……。無暗に攻撃するのはかえって危険だな…)ナギサ…立てるか?」
ナギサ 「あぁ……しかし、この手では大剣(スティールハーツ)が扱えない……」
ディーン 「(クッ…実体を持つその剣が頼みの綱だったんだが……)とりあえず距離を取ろう……フォトンを吸収されたらまた使われる…!!」
ナギサ 「あぁ…!」
ナギサは差し出された手を握り、立ち上がると二人は近くの建物の中へと入りこんだ。
ゴルドー 「……敵前逃亡とは……愚かな……」
~東軍エリア 旧資料館~
入ってすぐに階段を上がり、一室に逃げ込んだ。彼らを追って階段を上ってくる音や壁を破壊する音が聞こえないことからゴルドーが建物に入ってくる様子はなかった。
ナギサ 「……うぐっ……!」
ディーン 「痛むか!?…今回復弾を撃ってやるからな!」
―――ビューン―――
緑色の光線がディーンの銃から放たれ、ナギサの左肩に当たるとみるみる傷を癒していった。それでも高熱による感覚麻痺まではまだ回復していないようで腕は動かせないようだ。
ナギサ 「すまない……ディーン……」
ディーン 「オレの撃った銃弾のせいでもある……気にしないでくれ…。…それよりアイツの能力について少しまとめてみた……聞いてくれ!」
ナギサは無言で頷き、ディーンの言葉に耳を寄せた。
ディーン 「まず吸収能力だが、アレは自分の周りの一定の範囲に存在するフォトンの形を崩壊させ、吸収するものだ……セイバーは無効化されたが、恐らく銃弾も効かないだろう……。…つまり、フォトンタイプの武器しか持っていない、オレではやつにダメージを与えることはできない…」
ナギサ 「そうだな……では、私のスティールハーツでしか奴を斬れないということか……」
ディーン 「そうだ……しかし、その腕では………」
ナギサ 「・・・・・・・」
ディーン 「…次に熱線だが、これは威力こそあるが、連射ができないうえ、軌道の変更も不可能なようだ……。……これらの弱点からなんとか策を練らないとな……」
ナギサ 「では、こんな作戦はどうだろう?」
何かを思いついたのか、手をポンと鳴らし真顔でディーンに提案した。
ナギサ 「ディーンが私のスティールハーツを使えばいいのでは?」
この提案に対し、ディーンは顔を渋くした。
ディーン 「確かにそれができればいいんだが、オレは大剣を扱ったことがほとんど
無いからなぁ……ザコ相手ならともかく、アイツを相手に戦えるかどうか……」
ナギサ 「……そうか……では、これはどうだろう? ディーンが体術で……」
ディーン 「無理だ…!」
何も案が浮かばず時間だけが過ぎて行った。
しかし、10分ほど経ったとき、状況は動き出した。
―――――ビィ――――ン―――――――――――
突如熱線がディーン達のいる部屋の壁を貫いた。
室内の紙資料が発火しあたりは炎に包まれた。
ディーン 「どういうことだ!?フォトンを吸収していないのになんで熱線が使える!?」
ナギサ 「それよりもここは危険だ!早く出よう!!」
ディーンの手をひっぱり階段を下りて外へ出ると、ゴルドーが腕を組んで彼らを眺めていた。
ゴルドー 「うむ、やはり外れたか…」
ディーン 「…どういうことだ? なんでフォトンの吸収もしてないのに熱線が放てるんだ!?」
ゴルドーは腕を組んだまま首を傾げた。
ゴルドー 「言ったはずだ…この世のものは全て循環していると……俺の放ったフォトンの熱線は別に消滅したわけではない… 光子となって飛散したのだ…… 時間はかかるが、その散り散りになった光子を吸収すれば、貴様らから吸収せずともこの技を使うことは可能だ!」
ディーン 「………そういうことか……(いよいよ厄介だな……でも、今撃ったってことは次のが来るまでインターバルがあるはずだ……その間になんとか………)……あ!ナギサ!?」
気付くとナギサがスティールハーツを片手で持ち、ゴルドーに向かって叫びながら走っていた。
ナギサ 「あああああああ!!!!!!!!」
その叫びは気合を入れるためのものでも、威嚇の類でもなく、ただ痛みに耐えきれずに声を発する悲痛なものに聞こえた。
ディーン 「ナギサ!無茶だ!!腕が折れるぞ!?」
ゴルドー 「ほぅ!面白い!!迎え撃とうではないか!?」
ゴルドーの前にたどり着き、一気に大剣を振り回そうとするが、イマイチ速さが出ず、軽く跳躍によってかわされてしまい……
ゴルドー 「ダラー――ッ!!!」
前足で思いっきり蹴り飛ばされてしまった。
腹を蹴られ、そのまま後ろに飛ばされたところを丁度ディーンが受け止めた。
ナギサ 「ガッ!!」
ディーン 「なんて無茶するんだ?!…両腕とも使えなくなったらどうするんだ!?」
ナギサ 「…悪い…… …しかし、どうしろというのだ?」
ディーン 「それを今考えてるんだよ!」
怒鳴られたナギサはなんとも言えない顔をしたが、ディーンはそれを気に掛ける余裕もなく、頭を抱える。
ディーン 「(考えろ!…アイツに疑問点は他になかったか!?ホントにフォトン武器は全て無効なのか!?……考えろ!…考えろ!!)」
ゴルドー 「ヌハハハハ!!!!詰んだな!貴様らでは俺を倒すことはできない!!その大剣は本来両手で使うモノのようだが、ナギサよ!貴様のその腕では十分に扱えまい!そしてディーン!!貴様はフォトンタイプの軽量武器しか使っていないなぁ?仮にお前がその大剣をつかったところで、かわすのは容易!!…貴様らはその大剣に頼ることしかできないため、2対1と言う利点を使えないのだよ!!」
ディーン 「(確かにその通りだ……せめて同時攻撃ができれば……使用できる武器があれば熱線の時の隙をつけばいけるハズなのに…… …熱線?…待てよ? アレもフォトンのはずだよな?無差別に吸収する能力なら放出した熱線も含まれんじゃないのか…? ………賭けに近いが、これしかない…!!!)ナギサ!!スティールハーツを貸してくれ!!」
ナギサ 「な、何を言っている!?扱えないといったのはアナタじゃないか!?」
ディーン 「うまく扱えないって言っただけだ! そんでお前はこれを使ってくれ!これなら片手でも負担無く使えるはずだ!」
ディーンは自分のセイバーをナギサに差出し、スティールハーツを受け取った。
…かと思ったら、すぐにスティールハーツをナノトランスし、かわりに銃を取り出した。
ディーン 「オラァ!!コイツでも受けやがれ!!」
銃を連射するがそれはゴルドーに触れる前に分解され、吸収されてしまった。
ゴルドー 「遠距離武器なら何とかなると思ったか?それとも単にやけになったか? どちらにせよ我が糧とさせてもらうぞ!?」
ナギサ 「貴方は何を考えているんだ!?効くわけがないだろう!?」
ディーン 「……一旦奴に熱線を使わせて隙を突く…オレがスティールハーツで奴に斬りかかったら続けてセイバーで攻めてくれ……」
ナギサ 「どういうことだ!?説明してくれ!」
困惑した表情でディーンに訴えるが、ディーンは真剣な顔つきでナギサの目を見つめた。
ディーン 「頼む!…オレを信じてくれ…!」
ゴルドー 「何を話し合っているのだ!?そろそろ撃たせて貰うがいいかね?」
手を前に押し出し、熱線発射のポーズをとると、すぐに赤いオーラが彼の右手の前に収束された。
ディーン 「よしっ…!!行くぞ!ナギサ!!」
ナギサ 「ちょっ!?………私を裏切るなよ!?」
走り始めると強気な表情で少し口を緩ませディーンに放った。
ゴルドー 「はぁあああああ!!!!!!!」
ディーン達が間合いに入ったと同時に熱線は放出された。…が、熱線はディーン達に当たることなくまたも建物を貫いた。
ディーンは放射と同時にスティールハーツを取り出し、ゴルドーに斬りかかった。
ゴルドー 「(しまった!外したか!…それにこの男、放射の隙をついて実体のある武器で…… だが、動けぬとはいえ素人の剣など止まって見えるわ!!!!) ダァアア!!」
空いていた左手でディーンの一撃を受け止めてしまった。
しかし、ディーンは……ニコリと笑い…ナギサの名を叫んだ。
ディーン 「ナギサぁああ!!!今ダァアア!!!」
ナギサ 「ハァアアア!!!!」
―――――――――ザスッ――――――――――――
ナギサ 「!?」
ゴルドー 「!?」
フォトンの刃が消滅することなくゴルドーの肩に突き刺さった。
ゴルドー 「ぐあああああああ!!!!!」
悲鳴を上げ、左手の力が抜けディーンのスティールハーツを離してしまった。
そこへディーンは剣を素早く引き、思いっきり縦に振り切った。
ディーン 「吹き飛べぇええええええ!!!!」
ゴルドー 「あああああああああ!!!!」
――――――――――――ダンッ―――――――――――――
防御も間に合わず、大剣はゴルドーの体を一刀両断した。
ゴルドー 「……な…なぜ、フォトンの武器で攻撃が……通った!?」
黒いオーラが彼の体を包み、元のヒトの姿に戻った。
かなりキツそうだが、足を踏ん張らせ、なんとか立っていた。
ディーン 「なんだ……アンタはこの弱点に気付いてなかったのか? ……アンタは熱線を放出しているときは吸収を行っていないんだ…」
ゴルドー 「!?」
ディーン 「まぁ、吸収能力は無意識に発動しているみたいだから気づかないのは無理ないのかもな……」
ゴルドー 「……どこで……気付いた……!?」
ディーン 「アンタの熱線もフォトンのハズなのに吸収されないのはおかしいなぁ…って思ってな…。まぁ、あの熱線だけ例外!ってことだったら完全にお手上げだったけどな…。…正直ギャンブルだったよ……」
ゴルドー 「そんな……不確定なことに……賭けたのか!?」
ディーン 「もともと戦場に絶対はないだろーよ?」
この言葉を聞くとゴルドーはうっすらと笑みを浮かべた。
ゴルドー 「……ふふっ………見事だ…!」
――――バタッ――――――
~東軍エリア メインストリート~
ナギサ 「貴方を信じてよかった…」
ゴルドーを破り管制塔に向かう途中、不意にナギサが口を開いた。
ディーン 「いきなりどうした?」
ナギサ 「いや、さっき戦いの時に『オレを信じてくれ』と言った貴方の顔を思い出してな……」
ディーン 「あぁ、咄嗟にでたセリフだな……あぁ…」
照れ隠しなのだろう。ディーンは一人で納得して終わらせようとしていた。
ナギサ 「ん?どうしたのだ?顔が少し赤くなっているぞ?」
グイッと下からディーンの顔を至近距離で覗き込んだ。
これに過剰に反応し、すぐさま後ろに下がり距離をとった。
ディーン 「だ、大丈夫だ!!それより早く管制塔に向かおう!!」
ナギサ 「そっちは逆方向だが? 貴方は本当に面白いな」
くすりと笑い管制塔の方へと振り返るとカツカツと足を進め直した。
ナギサの後姿を眺めながら赤面しつつ困った顔でディーンは頭を掻いていた。
ディーン 「(やっぱり、コイツは苦手だ……)」
はい!
次回からボス(ワスプ)戦に入ろうと思います!
…この章はいったい何話になるんだろうか?
ゴルドーがボスでよかったような気がするのは僕だけでしょうかw?
おし!弱音はイカン!!!気合入れてこの章のクライマックス執筆します!!
それではまた次話で!