ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜   作:烏山

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~管制塔前~

 

 

ワスプに追い打ちを駆けるべく、大剣(スティールハーツ)を振り切ろうとするが、どういうワケか足が不自然に動き、ナギサは転倒してしまった。

 

 

ナギサ   「…!?」

 

 

誰よりも当の本人が驚いていた。

さらに起き上がろうとしても体が不自然な動きをするだけで、全く起き上がることができない。

 

 

そんなナギサを見下ろして、ケタケタと笑いながらワスプがナギサに近づいた。

 

 

ワスプ   「どうしたの~?お姉さん~?スゴイ困った表情してるよ~?まるでさ~…」

 

 

ナギサ   「……ぐぅ…」

 

 

ワスプ   「―――『手を動かそうとしたら足が動いただと!?』って言わんばかりの表情だよ~?」

 

 

倒れているナギサの真横に立つと、ナギサ顔をを真上から覗き込むようにして眺め、口元を不気味に歪めそう言い放った。

 

 

ナギサ   「…なっ!?……き、貴様!何をした!?」

 

 

 

 

ワスプ   「べっつにぃ~? ただ、斬られた時に僕の中の電気を剣を媒体にお姉さんの体に流しただけだよ~?」

 

 

ナギサ   「(どういうことだ?!それでなんで体が……)」

 

 

 

ワスプ   「あっはっはぁ~!!また困ってる~、かっわい~! …じゃあ、次は痛がってる顔が見たいなぁ~♪」

 

 

両手に持っているマシンガンの銃口をナギサに向け、ペロリと舌を出すと引き金に指を当てた。

 

 

ワスプ   「いっつぁ しょーたいむ!!!」

 

 

ナギサ   「………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――ダンッ!!!―――ダンッ!!―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナギサ   「…………!?」

 

 

ワスプ   「いぃぃぃぃてぇえええ!!!」

 

 

2丁のマシンガンには、各方向から飛んで来た青い弾丸と、紫の弾丸が被弾し破壊された。

 

 

それぞれの弾丸が飛んで来た方向にはハンドガンを構えるディーンと、ロッドを構えているマナの横でライフルの銃口を向けているバロンの姿があった。

 

 

ディーン  「お前が妙な技を使うことは分かったよ……でも、その能力はお前と直接接触しなければ発動しないんじゃないか?」

 

 

 

バロン   「…だったら簡単だ!俺が撃ち殺してやるよ!……つーわけでソコの青いの!オメーは引っ込んでろ!」

 

 

マナ    「ちょ…!ちょっとバロンさん!? そんなこと言わないでみんなで一緒に戦いましょうよ~!!」

 

 

ワスプ   「痛ってってぇ……… …まぁ、ぶっちゃけ青髪クンの考えは間違えでは無いんだけどさぁって……… って、はぁ!? な~んで君ら生きてんの!? …つーか、このお姉さんが生きてるのも結構ビックリなんだけど……君らどうやってあの弾丸の雨をしのいだんよ!?」

 

 

痛みを抑えるかのように両手に息を吹きかけ、マナとバロンの方を見るや否や早口でそう言った。なんだか忙しい男だ。

 

 

バロン   「はぁ!? 舐めんなよ!?あの程度の攻撃、全部撃ち落とせるんだよ!」

 

 

マシンガンから放たれる無数の弾丸を撃ち落とすなど不可能と思われることだが、彼の技術とマナ、ナギサのサポートがあったのならあり得ない話では無いと思えてしまう。

そもそも今、こうして話をしているのだからそれを成し得たのは間違えない話である。

 

 

ワスプ   「ふぅ~~!こりゃまたバケモノがいたもんだね…! ていうか、青髪クン?君より絶対あの黒スーツクンの方が強そうだけど、本当に君がファングさんを殺したの?」

 

 

急にディーンの方に向き直ると、疑わしい表情でディーンの顔を凝視した。

 

 

ディーン  「…ファング…? あのオッサンが使ってきたOSといい、お前やっぱり五芒星(ペンタクル)と関係あるのか!?」

 

 

ディーンのこの問いに対して、ワスプは腹を抱えてバカにしたように笑い出した。

 

 

ワスプ   「およ!?…やっぱり君だったみたいだね!いっやぁ~!一回目の傭兵狩りで見つけられるなんてついてるなぁ~! …っと、僕が五芒星(ペンタクル)と関係あるかって? ヒャッハッハッハッハ!!!!関係者も何も僕がその五芒星(ペンタクル)の一角だよ! …さてさて、青髪クンがファングさんを殺したのは間違えなさそうだから、こっからは傭兵狩りじゃなくて『カタキウチ』ってことでヤラして貰っちゃうけど、おーけぃ?」

 

 

ディーン  「お前が……五芒星(ペンタクル)だと…!? …ん?ちょっと待て!!オレ達は確かにファングを倒したけど、直接殺したワケじゃないぞ!?」

 

 

そう、ディーン達との戦闘の後、ファングは逃亡を図ったが、何者かに殺害され、ディーン達が発見した時にはすでに死んでいた。

 

 

ワスプ   「へっへ~…ウソはいけないなぁ~… うちには情報収集に特化したメンバーが居てさ、そいつがファングさんを殺したのは青髪クンって言ってんのさ!悪いけど問答無用で死んでもらうよ?」

 

 

ディーン  「(情報収集に特化したメンバー?…マルコも確かそんなこと言ってたな… 恐らく五芒星(ペンタクル)の情報はソイツが頼りなんだろう… じゃあなんでソイツは嘘を…!? ―――まさか!!)…オイ!ワス―――――」

 

 

 

 

 

 

―――――ドゥン!!――――――――

 

 

 

 

 

 

紫の弾丸がワスプとディーンの体を掠めた。

 

 

 

 

ディーン  「はっ!?」

 

 

自分の頬に手を当てると血がうっすら出ていた。スタンモードでは無いようだ。

 

 

ワスプ   「ふ~…どうやら長話が過ぎたみたいだねぇ…」

 

 

弾丸の飛んで来た方向にはものすごい形相でライフルを構え、次の一撃をいつでも発射することが可能な状態のバロンがいた。

 

 

マナ    「ちょっと!!バロンさん!!ディーンさんに当たったらどうするんですか!」

 

 

バロン   「大丈夫!彼には当てませんよ! オーイ!!話込んでんじゃねぇぞ!!早くそのバイザーヤローをぶっ殺して終わりにしよーや!」

 

 

 

ディーン  「(アイツ……むちゃくちゃだろ!?)…っ!うおっ!」

 

 

 

バロンに気を取られてワスプから視線を外した僅かな時間で、ワスプは手の平をディーンに向け、そこから銃口が出現した。

 

 

 

 

 

 

―――――ビュン!!――――

 

 

 

 

 

ディーン  「…クッ――!」

 

 

 

銃を向けられたことに気付き、すぐに回避をしようとするが間に合わず、手の平に仕込まれていた銃口から放たれた銃弾がディーンの左肩を貫いた。

 

 

傷口を抑えるために手を伸ばそうとした。だが―――――

 

 

ディーン  「―――んな!?」

 

 

 

右腕を動かしたはずなのに、何故か左足が上がった。

そしてそのままバランスを崩して転倒してしまった。

 

 

ディーン  「!?てめぇ……何しやがった!?」

 

 

地を這いつくばりながら、ワスプの顔を睨みつけた。

 

 

ワスプ   「ふっふふ~♪ さて問題です!ヒトは脳からの指令で体を動かしています!では!その指令の伝達方法はなんでしょーうか!?」

 

 

銃口を向け、ニヤニヤしながら質問に問題を返してきた。

 

 

ディーン  「………――――電気信号……!?」

 

 

 

ワスプ   「ピンポンピンポン大正解―――!!! 青髪クンも気付いたみたいだねぇ~! そう!!僕の『この姿での能力』は、『脳からの電気信号を混乱させる電気の発電』!! つまりさっき僕が君に打ち込んだ弾丸は僕の発電した電気を帯びさせていてね!青髪クンの体に当たった時に一気に電気が脳まで回ってね…ご覧の有様さ!最低でも5分はその状態が続くよぉ!」

 

 

ディーン  「!!……クソがぁああ…!!」

 

 

腕を動かして地面を叩こうとするも能力のせいで足が動いてしまいその程度の動作すら許されない。

 

 

ワスプ   「青髪クン、思ったよりアッケなかったね! あの世に逝ってファングさんに会ったらよろしく伝えといてねぇ! ぐっばぁい!!」

 

 

銃口ををディーンの顔に押し付け、不気味な笑顔で送ろうとする。

 

 

 

 

ナギサ   「なるほど……5分で戻るのか…!」

 

 

 

ワスプ   「はにゃ?」

 

 

 

 

 

 

――――――ザンッ!!――――

 

 

 

 

剣を振る音がした直後、ワスプの片腕が宙を舞った。

 

 

ワスプ   「ガッ!!!」

 

 

 

突然の斬撃で回避も反撃も出来ず腕を斬り落とされ、慌ててナギサから距離を取った。

その表情は斬られた直後こそ焦りを見せていたが、距離を取った後は、また口元に不気味な笑みを浮かべた余裕の表情を作り直した。

 

 

ワスプ   「酷いことするねぇ~ 僕がキャストじゃなかったら出血多量で死ぬレベルのダメージだよ? …それにお姉さん、まだ電気を流してからまだ微妙に5分経ってないと思うんだけど… ―――なんで動けるの?」

 

 

やはり本心は動揺しているのか、どことなく早口であった。

 

 

ナギサ   「あぁ、まだ思うように動かないが、この状態でどこを動かそうとすると、どこが動くかを理解した…どうやら手を動かそうとすると、それとは反対側の足が動くみたいだ…足を動かそうとすると反対の腕だったな。 本当は体を一刀両断するつもりだったのだが、やはりこの状態では難しいな!」

 

 

無表情で淡々とそう告げるナギサ。―――この短時間で電気信号が混乱した状態で動くなど本来ありえない話だが、ナギサはやってのけた。

一気に形勢逆転である。

 

 

ワスプ   「(ん~あの状態で動かれたのは予想外だったなぁ… 腕も斬られちゃったしこのままここで続けるのは分が悪いなぁ~)…さてと… ちょっとここは戦略的撤退をさせてもらっていいかな?」

 

 

そう言うと背中に装着してある飛行ユニットを発動させる。

 

 

バロン   「テメッ!!逃がすかよ!!」

 

 

空へと逃げるワスプに向かってライフルを連射するが、綺麗に全弾かわされてしまった。そしてある高さまで到着すると管制塔の最上階へ入り込んだ。

 

 

マナ    「アレ?なんで建物の中に逃げたんでしょう? 飛べるんだったらもっと遠くへ行き場良いのに…」

 

 

不思議そうな顔で首を傾げるマナ。バロンは銃をナノトランスしてマナの横に立った。

 

 

バロン   「誘い込んでいるのでしょう… もしくは単に片腕では飛行しづらいと言うのも考えられますが、恐らく罠ですね……」

 

 

ナギサ   「……罠だとしても行くしかないだろう……奴を抑えなければ町が爆破されてしまう……」

 

 

そう言って管制塔の入口に向かって歩き出すナギサ。異論は無いようでその後ろにマナとバロンが続いた。

 

 

ディーン  「お、オイッ!」

 

 

ナギサ   「なんだ?」

 

 

 

ディーン  「誰かおぶってくんない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~管制塔 最上階廊下~

 

 

道中は特に罠もなく、ただ、ワスプに殺されたであろう警備員の死体が数体倒れていた。

 

 

マナ    「……警備のヒトまで……あのヒト、許せない…!」

 

 

怒りを露わにし表情を険しくしているマナの後ろを、バロンがディーンの背負いながら不機嫌そうに歩いていた。

 

 

バロン   「……ったく、なんで俺が野郎を背負わなきゃいけねぇんよ?」

 

 

ディーン  「さっきから同じことばっか言ってんじゃねぇよ…! つーか嫌ならナギサに任せればよかったじゃねぇか? 最初ナギサがやろうとしたのに、お前が背負うって言い出したんじゃねぇか?」

 

 

バロン   「お前マジで殺すよ? 女性に野郎を担がせるなんて真似、フェミニストとして許せるわけねぇだろ!?そもそも、お前をナギサさんに触れさせたくねぇ!汚れる!つーかお前、何ナギサさんのこと呼び捨てにしてんだよ!?」

 

 

ディーン  「はぁ~!?だったら黙って運べよ!何も言わなきゃ平和に済んだだろ!?つーか別にいいだろ!?これがオレのスタンスなの!対等な立場の奴には呼び捨てにするの!お前みたいな紳士(へんたい)と一緒にすんな!」

 

 

バロン   「あ~!マジで切れた!お前、降りろ!そんで10発ぐらい殴らせろ!」

 

 

ディーン  「あ~いいよ、降りてやるよ!とっくに5分経って体は自由に動くんだよ!お前のノロいパンチなんて当たんねぇよ!」

 

 

バロン   「はぁ!?お前何!?なんで動けるようになったのに負ぶわれてんの!?何なの?ホモなの!?殺されたいの!?」

 

 

ディーン  「何一人で勘違いしてんの?バカなの?死ぬの?お前に苦労させるために決ま――――――――ギャン!!」

 

 

バロンから下りて口げんかをしている所へモノメイトのケースが飛んできてディーンの顔面に直撃した。

 

 

バロン   「ぎゃははははは!!!!ざまぁ――――!!!―――ガフン!!」

 

 

バロンの顔面にもヒットした。

前方には管制室のゲートの前で明らかに不機嫌な表情をしたナギサがいた。彼女が投げたのだ。

 

 

ナギサ   「貴方達いい加減にしろ!!これから共同戦線を取る者同士が今からそんなことでどうする!? もっと緊張感を持たないか!?」

 

 

 

ディーン&バロン  「……さーせん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲートをくぐり、管制室に入ると、その中には10数名ほどの管制員の死体が転がっている中、中央で椅子に座ってこちらを向いているワスプの姿がった。

 

 

ワスプ   「おっ!来たね!いらっしゃ~い!まぁ死体(ゴミ)散らかってるけどゆっくりしていってよ!」

 

 

相変わらずの非情な余裕の笑みを浮かべている。

 

 

マナ    「貴方が…このヒト達を!?」

 

 

我慢の限界なのかすでにロッドを構え戦闘態勢に入っているマナがワスプに怒鳴るように分かり切った答えを問う。

 

 

ワスプ   「ピンポ~ン!でも、安心してくれ!僕は彼らの死体を無駄にはしないよ!」

 

 

マナ    「どういうこと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワスプ   「こういうコトだよ!!!」

 

 

 

椅子から立ち上がり両手を広げると、ワスプの体を黒いオーラが包み込んだ。

SEEDフォーム化である。

 

 

 

ナギサ   「こいつも使うのか!」

 

 

 

 

 

ワスプ   「おおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 

――――――バリリリリリリリリリリ!!!!―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

マナ    「きゃあ!!」

 

 

 

凄まじい電撃が黒いオーラの中から放たれた。それはディーン達に当たることは無かったが、あたりに倒れている死体に降り注いだ。

 

 

 

そして、黒いもやの中から異形と化したワスプが姿を現した。

 

 

ワスプ   「さてさてさてぇええええ!!!ここからが最高の『しょーたいむ』だぁ!!」

 

 

上半身は機械のヒト、下半身は機械の蜂のような姿をしており背中からは高速流動しているフォトンの羽が生えており浮遊している。右手は指先が全て銃口になっており、手の平もレーザーカノンの様になっている。左手は巨大なブラスター状の武器で、下半身の蜂の針の部分に当たる部分も銃口になっている。まさに全身武器と言う言葉を体現したような姿だ。

 

 

ナギサ   「……ディーン…確か彼らはSEEDフォームを元にした姿に変異すると言っていたが、私はあんなSEEDフォームを見たことがないぞ?」

 

 

ディーン  「…アイツは五芒星(ペンタクル)って言うOSを使う連中の親玉みたいなもんで、アイツら自身、元々SEEDフォームでそこへOSを投与したらしいんだ…。だから、独自の変化をすることができる……」

 

 

ナギサ   「……なぜ、貴方はそのOSのことについてそこまで知っているのだ?」

 

 

ディーン  「………それは…」

 

 

黙り込んでしまったディーンの様子を見て、ナギサは何かを察したようにディーンからワスプへと視線を動かし武器を構えた。

 

 

ナギサ   「…後で話せることを話してくれ!―――まずはアレを倒そう… 不気味な姿をしているが4対1なら勝機は十分にあるだろう…!」

 

 

 

この言葉に続くようにディーンとバロンも武器を構えた。

 

 

 

ワスプ   「『4対1』ね……それはどうかな?」

 

 

 

次の瞬間、ワスプが黒いオーラの中から放った電撃を受けた10数体の死体がまるでゾンビの様に起き上がった。そして、ディーンたちの前に立ちふさがった。

 

 

 

ディーン  「!?」

 

 

 

 

 

 

ワスプ   「……これだと『4対17』だけど、勝算はある感じかな?」

 




ん~少し長くなってしまったかもしれません。


ここまで読んでくださった方!ありがとうございます!



それではまた次回!
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