ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜   作:烏山

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リビングデット

 

 

ワスプ   「さぁ~!!思う存分殺し合ってくれ~!!…まぁ、管制員達はもう死んでるけれどもw?」

 

 

ワスプの電撃を浴びた死体たちが起き上がり、そしてディーン達に向かってゆっくりと歩み寄る。まるでパニック系ホラー映画のワンシーンだ。

 

 

 

それらに対して、ディーンとナギサは前衛として近距離戦をし、バロンとマナは後方から援護射撃を行うことにした。

 

 

バロン   「オイオイ……こりゃどういうことだ? これもアイツの能力ってやつか?」

 

 

面倒くさそうな表情でそう言い捨てると、起き上がった管制員達の死体に向けてショットガンのトリガーに掛けている指に力を入れる。

 

 

マナ    「バロンさん!あの人たちはここの管制員じゃないんですか!?」

 

 

慌ててバロンに駆け寄り、銃を下げるように促すが、バロンは無表情のまま紳士モードで続けた。

 

 

バロン   「…えぇ…、しかしアレはもう死体であり、どういう原理で動いているかはわかりかねますが、敵の道具と化しています…。倒さなければこちらが死体になるだけですよ?」

 

 

さっきまでと同じ口調ではあるが、どこか冷徹で機械的なセリフだった。しかし、言っていることは最もであるのだが、マナは納得ができない様子だ。

 

 

マナ    「あのヒト達がもう殺されていたとしても、罪のないあのヒト達をこれ以上傷つけることはできない!!」

 

 

涙目で訴えかけるとバロンは銃口を管制員の屍に向けたままマナの方に首を動かした。そして、切ない表情をして口を開いた。

 

 

バロン   「……こんな酷な事を女性に言うのはフェミニストとして堪えるものがありますが……あなたの事を考えた私の意見を言います……」

 

 

ここまで言った時、突如一体の管制員の屍がマナの方を向いているバロンに飛びかかった。

 

 

 

マナ    「あっ!バロンさん危な―――――――――――」

 

 

 

 

 

 

―――――ビュン!!!――――――

 

 

 

 

 

マナ    「・・・・・・あ・・・・・・」

 

 

ショットガンの銃口から、収束された光弾が放たれ、飛びかかって来た管制員の首元に当たった。

着弾するや否や首から上は完全に吹き飛び、残った胴体がボトリと床に落ちた。

血の飛沫が飛び散り、その一滴がマナの頬にかかった。

 

 

バロン   「……もし、貴女が彼らと戦うことができないのなら…………貴女は傭兵を辞めるべきだ…」

 

 

マナ    「………え…?」

 

 

突然のグロシーンと今の発言で思考が混乱してるマナに向けてバロンは続けた。

 

 

バロン   「……貴女はあのバンダナの男に勝った。それは貴女が強いことの証明になるかもしれない…。そして貴女は優しさを持っている。 強さと優しさ……この二つは強者の資格かもしれない……ですが、傭兵にはこの二つよりも大事なものがあります……」

 

 

マナ    「……大事な……もの?」

 

 

バロン   「……非情さ……。 時として傭兵は……いや、ヒトは皆、非情な判断をせざるを得ない時がある……。…判断の甘さ故に自分や仲間を危険な目に遭わせてしまう…。今の状況が正にそうだ……あの管制員達を倒すのを躊躇うことで、貴女や私たちにも危険が及ぶ……最悪、死にいたる…。」

 

 

その死という言葉がマナの頭の中で響いた。

 

 

バロン   「…………全部を救うことなんてできない…だったらせめて…せめて自分の救えるモノを救うしかないだろ!?」

 

 

さっきまでマナに対していた、冷たく優しい言葉ではなく、厳しいが熱い言葉だった。

 

 

―――――――――ビュンッ――ビュンビュン!!―――――――――

 

 

 

言い終えて銃口と同じ方向に向き直ると、次々に管制員を撃ち抜いていく。

 

 

その表情はさっきまでの冷徹で機械的なものでなく、何かを堪えているような顔だった。

 

 

マナ    「……(このヒトも…バロンさんも辛いんだ……それなのに私や皆を守るために……。……それなのに私は……)」

 

 

――――――

 

 

ナギサ   「…なんなんだ!?コイツ等は!?斬っても斬っても起き上がってくるぞ?」

 

 

ディーン  「………(…ヤツのヒトの形態の能力は脳からの電気信号を混乱させるものだった…。…恐らく、これはその能力を強化したもので――――――――――)」

 

 

次々に襲い来る不死の軍団を斬りながら考えに更けていると、一体の管制員の屍がディーンの背後を取った。

 

 

ディーン  「―――しまっ―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――ドゥオ―――ン!!!!!―――――――――――――

 

 

 

一筋の雷が、ディーンに襲い掛かった管制員の体を頭から貫いた。

 

 

ディーン  「!?」

 

 

振り返ると精悍な顔つきでロッドを握っているマナの姿があった。

 

 

マナ    「ディーンさん!大丈夫ですか!?」

 

 

ディーン  「……マナ……お前……」

 

 

マナ    「大丈夫です…!このヒト達と戦うのは辛いけど……みんなが…傷つくのはもっと辛いから……」

 

 

ぐっとロッドを握りしめるマナの横でショットガンを構えているバロンに目をやる。

 

 

ディーン  「………アイツ……。…フッ……」

 

 

ディーンは元の方向に向き直り、セイバーとハンドガンを構える。

 

 

ディーン  「よし!!背中は預けたぞ!!」

 

 

 

血塗られた床を蹴って攻め込んだ。

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

ワスプ   「あっりゃあ~…あの女の子、てっきり戦わないもんだと思ったらやるもんだねぇ~…」

 

 

空中で戦況を眺めながら右手の指をくねくねと動かしている。まさに高みの見物と言うワケだ。

 

 

ワスプ   「それにしても彼女を戦うように促したのは黒スーツの彼なのかな?…声からして多分キャストだけど………。……ふふふ~面白いことにしっちゃお~!!」

 

 

そういうと、ゆっくりと下降を始めた。

 

 

 

――――――――――

 

 

管制員は何人かは動かなくなったが、あまり数は減っておらず、倒しても倒しても起き上がってくる。

 

 

ナギサ   「アイツは心臓を貫いたはずだぞ?なんでまだ動くんだ!?」

 

 

やや疲労の表情を見せ、少し息も上がっている。

 

 

ディーンも同じく疲労していたが、この倒しては起き上がるの無限ループを抜け出すための策を戦いながら考えていた。そんな彼の目に先ほどマナのテクニックが貫いた管制員の屍が映った。

 

 

ディーン  「(…アレはさっきマナが倒した………。相変わらず威力はスゴイな……頭が吹き飛んでる…。……それよりなんで動きが止まったんだ?いや、止まったきっかけは頭が飛んだからだろう……他の止まった奴らも頭を切り落とされたり、飛ばされたりしてるからな……。問題はなんで頭を飛ばしたら止まったかだ………ヤツのヒト型の時の能力から考えると脳に影響を与える力だとは思うんだが……)」

 

 

―――――バタッ――――バタ――――バタ――――――

 

 

 

動いていた管制員達が一斉に倒れ始めた。

 

 

ディーン  「!?…なんだ!?」

 

 

 

 

 

 

ワスプ   「ん~~彼等じゃやっぱり役不足だったねぇ~…ゴミを再利用しても結局はゴミなのかな?」

 

 

さっきまで高所を浮遊していたワスプがディーン達の前に降りてきた。

 

 

ディーン  「………今度はお前自身が相手するのか?」

 

 

ワスプ   「まぁ、それでもいいんだけど、流石に僕一人じゃキツイかな? 正直言うと僕ってファングさんみたいに鉄壁の防御力があるわけでも無いし、シエンさんみたいに怒涛の攻撃ができるわけでも無いし、ラヴカさんみたいに――――ってあのヒトの能力知らないや!!」

 

 

ディーン  「(『シエン』…『ラヴカ』…? 他の五芒星のメンバーか?)」

 

 

ワスプ   「…とまぁ、こんなイカツイ見た目してて申し訳ないけど、僕自身はそんな強くないんだよね! だから君らと4対1なんてやったら多分死ぬね、僕が。」

 

 

軽々しい口調にイライラしながらも前衛のナギサとディーンは警戒心を解かずにワスプの話に耳を傾けていた。

 

 

ナギサ   「では、大人しく市街地にセットした爆弾を解除するんだな?」

 

 

ワスプ   「ん~、それはいやだな!あの爆弾すっごく綺麗に爆発するんだよ!流石にそれは見たいんだよね♪ …だからさぁ―――――――」

 

 

ここで妙に間を開けた。4人に緊張が走った。

 

 

 

ワスプ   「こうさせてもらうワァ!!!」

 

 

刹那、ワスプの尾の『針』から発射されたレーザー弾がナギサとディーンの間をすり抜け、真直ぐマナへと向かって行く。

 

 

マナ    「…え?…わ、私!?」

 

突然自分が狙われたことに驚き、横へと避けるがレーザーは角度を補正してマナを逃がさない。

 

 

 

ナギサ   「バロン!!貴方の銃弾で相殺させるんだ!!」

 

 

バロン   「了解です!!」

 

 

タイミングを合わせ、後は自分の目の前を通り過ぎる時に撃つだけである。

 

 

ワスプ   「………違うよ? 僕の狙いはその娘じゃない――――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バロンの目の前を通り過ぎるコンマ数秒前、トリガーを引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワスプ   「―――――――――――――――――――――君だよ――――――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――ドォン!!!!――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バロン   「……なっ!?」

 

 

 

 

バロンの射撃は外れた。

レーザー弾が突如軌道をバロンへと変えたのだ。

 

急な方向転換と射撃の反動でかわすことができず、レーザー弾はバロンの右胸に被弾し、彼はそのまま床に倒れた。

 

 

 

 

マナ    「バロンさん!!」

 

 

倒れたバロンに駆け寄る。見た限り外傷は無いようだ。そして、ゆっくりと体制を起き上がらせる。

 

 

マナ    「大丈夫ですか?立てま―――――――――――きゃあ!!!」

 

 

 

マナの顔をみるや、いきなりショットガンで殴り飛ばした。

 

 

 

ナギサ   「!?」

 

 

 

ディーン  「!!??」

 

 

 

マナ    「………うぐぅ……」

 

 

ショットガンで殴り飛ばされたマナは床に激しく叩きつけられたが、どうにか立ち上がることができた。

 

 

ナギサ   「どうした!!お前が女性に……それも仲間に手を挙げるとは……いったいどうしたとい―――――――――――――」

 

 

 

――――――ドォン!!――――――――

 

 

バロンの撃った銃弾がナギサの真横を通り抜けた。

 

 

 

ナギサ   「………え……?」

 

 

 

ワスプ   「ギャハハハハハ!!!!さいっこーだよ!!君、いくらなんでもバカ過ぎでしょ?僕の能力に決まってんジャン!!ホラホラ~…青髪クン分かってるみたいだから教えてあげたら~?僕の能力~♪」

 

 

ディーン  「………他人の脳をコントロールする力か…?」

 

 

 

ワスプ   「ピンポンピンポンまたまた大正解~~!!!なるほどねぇ、君がファングさんを殺せた理由がわかったよ! 戦闘力もさることながら、恐るべきはその洞察力!ってとこかい? ハハハ!!僕の能力についてだったね!そう、僕の『この姿での能力』は『感電させた脳を持つ無生物の脳を操る能力』!!…と、言っても結局操れるのは死体位なんだけどね…。 でも、三日に一回だけ使用可能な『針』から発射されるレーザー弾は、被弾した『機械』の脳(メインブレイン)に僕の設定したプログラムを上書きすることができるのさ!」

 

 

機械……それにはキャストも含まれてしまうのである。

 

 

バロンの方に目をやると、今度はマナに銃を向けている。

 

 

ナギサ   「やめろぉ!!やめるんだバロン!!」

 

 

大声で叫ぶが、バロンには全く銃を降ろす気配がない。

 

 

ワスプ   「ハッハッハァ~!!!無駄だよ~!!今の彼は『君たちを皆殺しにして♪』って言うプログラムに従っている只の殺人人形だからさ~!! それより、早く加勢してあげないと、あの緑の女の子殺されちゃうよ?いいの?」

 

 

ディーン  「……行くぞ!ナギサ!」

 

 

ナギサ   「…くっ…!」

 

 

自分の仲間が、仲間に襲い掛かっているという現実が彼女を精神的にも追い込んでいた。

 

 

二人はマナのところへ走り出した。

 

 

 

ワスプ   「あぁ、ちょっと待って!」

 

 

 

――ビュン!!――

 

 

 

ディーン  「!!」

 

 

 

ワスプの右手の指から放たれた光弾がディーンの足元の床に被弾した。

ナギサとディーンは足を止めた。

 

ワスプ   「青髪クンは残って~!一応、僕、ファングさんの『カタキウチ』しに来たわけだから!君一人くらいなら、僕でもラクショーだしね♪」

 

 

この形態だと表情が分からないが、ヒトの形態の時の不気味な笑みが思い出される。

 

 

ディーン  「………ナギサ…マナを頼む…!」

 

 

ナギサ   「…大丈夫なのか?貴方一人で……?」

 

 

 

ディーン  「……安心してくれ…こんな虫野郎には負けないさ……。だから、マナと…アイツを助けてやってくれ!」

 

 

 

ナギサ   「――――――――――――わかった――――――」

 

 

 

お互いに背を向けて、それぞれの戦場へと走り出した。

 

 




ワスプの能力まとめ

ヒト形態
・少しでも感電させた相手の電気信号を狂わせる電流の発電。感電したものは5分ほど手を動かそうとしたら足が、足を動かそうとしたら手が動いてしまう。ほぼ行動不能となる。しかし、麻痺をさせているわけでは無いので痛覚は健在。

SEED形態
・電気で攻撃し、感電させた脳を持つ無生物(要は死体)の脳を活動可能な状態にし、電気信号を操り自在に動かすことができる。ただし、脳が吹き飛ばされたり、脳が一定以上のダメージを受けると効果が切れる。また、脳がすでに吹き飛ばされていたりする死体や、脳がすでに腐敗している古い死体には使えない。また、この電撃自体にも大した殺傷能力はない。
・3日に一度「針」からレーザー弾を発射できる。これに被弾した機械(マシナリー、キャスト)は自我を失いレーザーに登録されたプログラムに忠実な人形となる。これも殺傷能力は低い。
・雷のテクニックの使用。殺傷能力はそこそこ。
・???
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