ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
~パルム・ローゼノム演習所付近の新市街地~
先ほどの爆発で人々が混乱し逃げ惑う中、一人の少女が片手に端末を持って人々の流れに逆らって走っていた。
金髪の少女 「……やっぱりだ…この爆弾、さっき観測された怪電波とリンクしてる。 …!?ちょっ、ちょっと待って!?もう一つある!?……しかも、この反応…もしかして相当大きい!?」
端末の画面にはこの周辺のマップが表示されており、場所によって様々な色で分けられている。さっき爆発があった所は黄色く表示されているが、一か所広い範囲で赤く表示されている部分があった。
金髪の少女 「これが爆発したら本当にヤバいっしょ!? 撤去には時間がかかりそうだし…そもそも正確な位置がわからないから… ……何処かから電波で遠隔操作してるんだと思うんだけど… ジャミングができればあるいは……」
誰もいなくなった通りで腕を組んで考えこんでいた。すると、何かを思いついたかのように顔を上げると連絡用の端末を取り出して操作し誰かに繋いだ。
端末の画面には長い銀髪の青年が映っていた。
銀髪青年 「あぁ、エミリアか!どうやら無事みたいだな! 君が『変な電波があるから調査に行く』って飛び出して一時間も経たないうちに爆発するなんて……」
エミリア 「あ~はいはい…あたしは大丈夫でーす… ――――って、そんなことより聞いて、シズル! 爆弾がもう一個あったの!それも大きさがさっき爆発した奴の比じゃないの!」
シズル 「なんだって!? …爆弾についてもう少し詳しく聞かせてくれないか!?」
エミリア 「演習場…多分、あそこの管制塔から出ている電波とリンクしてるから、遠隔操作型のリモコン爆弾だと思う…」
シズル 「演習場!?…確か、今バロンとナギサが居るんじゃなかったか!? 彼らに連絡は着かないのか!?」
エミリア 「…ううん、なんか妨害電波が演習場を囲むように発生してるから連絡はできてない………。 ―――そ・こ・で!アンタに頼みがあるんだけど?」
シズル 「…頼み?―――あぁ、そういうことだな!引き受けよう!」
エミリア 「ふっふ~!流石!分かったみたいだね!よろしくぅ!」
エミリアは通信を切ると何処かへと走り始めた。
~管制室~
ワスプ 「ホラホラぁ!!青髪クン~!逃げてばっかいると、爆弾爆発しちゃうよ~!?」
空中から右手の平の銃口から光弾を連射するワスプに対し、ディーンは防戦一方だった。
ディーン 「(……くっそ、多分あの光弾も喰らったらさっきみたいに動けなくなるな… 電気だから間接的に触れてもアウトだから防御も無理だ… それよりも厄介なのは飛行能力だ… 上から狙われるのは回避もし辛い上に、こっちの攻撃がほとんど届かない… 銃を使うにしても、ああ動かれると狙うのも難しい…… ―――――どうする?)」
光弾をかわしつつ、この状況を打破する策を考えるが、これと言ったものは思いつかない。
ワスプ 「考えるよりとりあえず銃でも撃ってみればいいのに~…一発くらいあたるかもよ?」
攻撃の手を止め首を傾げてディーンのことを自分の圧倒的有利な状態を見せつけるかのように見下ろす。
ディーン 「………(ただ無理に攻めなければ、アイツの攻撃をかわすのはそう難しくない……ナギサたちの援軍を待つこともアリかもしれないな……)」
ワスプの問いかけに全く反応せず、ひたすら策を練り続けていた。
しかし、この態度がワスプを一変させることとなった。
ワスプ 「お~い青髪クン~?聞いてる~?返事くらいしてくんな~い?」
ディーン 「・・・・・・(だが、あの二人だけで黒スーツを倒せるか?)」
ワスプ 「オーイ。シカトすんなー?」
ディーン 「……(それに時間がかかり過ぎて爆弾が爆発したらそれこそ最悪だ… やはりコイツはオレ一人で――――――)」
焦点をワスプに合わせ直すと、左手の巨大ブラスターの銃口を向けられていた。
ディーン 「なっ…!?」
ワスプ 「僕の話を…………聞けぇええええええ!!!!!」
――――――ゴ―――――――――――――――――――――――――――
ブラスターからゴルドーの熱線よりも太い光線が薙ぎ払うように放たれた。
ディーンはその攻撃に反応することができなかったが、ワスプは当てるつもりがなかったようで、ディーンの足元をギリギリの部分を通るように光線を薙ぎ払ったようだ。
光線が通った部分は下の階まで貫通しており、高圧の電流に焼かれたため周りは真っ黒に焦げていた。
ディーン 「(……なん…だ?…今のは!? 威力も速度も反則じゃねぇか!?)」
黒く染まった足場を目にして、ディーンはつい一歩後ずさりしてしまった。
ワスプ 「『電流収束砲』!僕の攻撃の中で最も殺傷能力に特化した技だよ~? 僕は無視されるのが大嫌いでさ~ あんまり反応が無いときは ツイツイぶっ放しちゃうんだよねぇ~ まぁ、充電もすぐ終わるからいいんだけどさぁ~ 次は当てにいくよ~?」
ディーン 「・・・(マジでどうする!?)」
~~~
バロン 「あぁあああああああ!!!!!」
怒り狂ったか様に奇声を上げショットガンを乱射するバロン。
その弾丸を掻い潜りナギサはバロンとの距離をつめ間合いに入った。
ナギサ 「目を覚ませぇ!バロン―――!!!」
大剣をバロンに向かって振りかざす。相手がバロンだからだろうか?手加減無用の全力の一撃である。
バロン 「あああああああ!!!!」
――――ガキンッ!!――――
ショットガンを盾にナギサの一撃を防いだ。 大剣はショットガンを半分ほど切断したが、バロンには届かなかった。
ナギサ 「…くっ!」
剣を引こうとするが、すでにバロンはショットガンから手を離し、拳を引いていた。
バロン 「がああああああ!!!!!」
――――ゴスッ!!!―――――
ナギサ 「!!が……はっ!!!」
殺人特化のプログラムを打ち込まれたため、リミッターの解除されたバロンの拳がナギサの腹部を打った。
殴られたナギサは口から血を吐きながら後方へ飛ばされた。
マナ 「だ、大丈夫ですか!?ナギサさん!!」
目の前に飛ばされたナギサに慌てて駆け寄る。
呼吸ができず殴られたところを必死に抑えているナギサの背中をさすって呼吸を落ち着かせた。
ナギサ 「………ハァ……ハァ……すまない……もう大丈夫だ……。……それよりもアイツから目を離さない方がいい!」
バロンの方を向き直ると、新しい武器を換装し彼女たちに銃口を向けている。
…ツインハンドガンだ。
ナギサ 「……厄介だな…。作戦を一つ思いついたのだが、あの武器で来られると少し難しくなる……」
マナ 「どういう作戦ですか?」
ナギサの顔を覗き込むようにして不思議そうに問う。
しかしナギサは視線をバロンに向けたまま険しい表情をしていた。
ナギサ 「……今はとりあえず、隠れよう…!そこで作戦を話す…!出口まで走るんだ!」
そう言うとすぐに立ち上がり、管制室の出入り口まで走り始めた。
マナも慌ててナギサを追うと、後ろから弾丸が複数飛んでくるがそれらが二人に当たることは無かった。
無事に出入り口までたどり着くと、近くいあった柱の影に隠れた。
ナギサ 「……どうやら攻撃力や防御の反応速度は強化されているが、射撃の命中精度は格段に落ちているな…」
腕を組んでバロンの変化について考察を述べているナギサの横でマナは心配そうに声を発した。
マナ 「…あ、あの…、ディーンさんを一人置いてきちゃいましたけど、大丈夫なんでしょうか? あの蜂みたいなヒトとバロンさんの二人で攻められたら流石に……」
ナギサ 「ん?あぁ、その点については心配はいらないと思うぞ? ワスプは『カタキウチ』と言っていた。何かはわからないが個人的にディーンに恨みがあるようだ。 恐らくディーンは自分の力だけで倒すつもりなのだろう… それより作戦を伝える…」
マナ 「………はい……――――――――」
―――――――――――
管制室から出てきたバロンはツインハンドガンを構えたままあたりを見渡していた。
ナギサ 「……よし、出てきたぞ… マナ、手筈通りに頼む!」
マナ 「……本当に…やるんですか?」
苦渋の表情を浮かべ、頼りなさげにロッドを握っていた。
ナギサ 「―――気持ちはわかる…だが、本当につらいのは女性を気付着けないと言うポリシーを無視され無理やり戦わされているアイツだ… アイツを救うにはワスプを倒す他にこれしかない!」
マナ 「……でも…」
――――パァン!!――――――
マナの態度に痺れを切らしたナギサの平手がマナの頬を打った。
マナ 「――――いったぁ?!………え?」
頬を抑えてナギサの顔を見ると、今にも泣きだしそうな表情をしていた。
ナギサ 「…………アイツは…バロンは…そのポリシーを…捨ててまで私を救ってくれたんだ…… だから…私はもう……これ以上アイツにポリシーに反することをさせたくないんだ! すまない……手が出てしまった…… だが…頼む……アイツを助けてやってくれ……」
頭を下げるナギサの言葉を聞いて先ほどのバロンとのやり取りを思い返す。
マナ 「(…さっきバロンさんが言ってたことは…こういうことだったんだ………ナギサさんも……分ってるんだ……私がこんなんじゃダメだ…!)」
マナは強くロッドを握り直した。
マナ 「……バロンさんを……助けましょう…!!」
ナギサ 「……感謝する……!! では、作戦開始だ!」
そういうと、すぐにナギサは柱の影から飛び出しバロンに向かって走り出した。
ナギサ 「行くぞ!バロン!!(…おそらく奴を停止させるには、マナの強力な電気技でショートさせ一度停止させるのが一番だ… しかし、やつの武器はツインハンドガン… 同時に二か所を攻撃できる…)」
バロン 「あああああああ!!!!」
ナギサを見つけると二つの銃口から弾丸を連射した。
ナギサ 「…(この攻撃を避けるのは容易だ… しかし、接近戦が得意でないマナが避けるのは難しい…… だから、一旦私が接近戦を取り…………)」
ナギサはバロンを間合いに入れると剣を振りかざした。
防御に転じようと銃をクロスさせて胴体を守るが――
ナギサ 「――――――私の狙いは……腕だ!!!」
―――――――ザンッ!!!―――――――――――――
急に剣の軌道を変化させ、バロンの右腕を肘から斬りおとした。そのままナギサは転ぶようにバロンとの距離を取った。
バロン 「ああああああああ!!!!!」
バロンの悲鳴が廊下に響く中、ナギサの声が悲鳴を突き抜けた。
ナギサ 「マナぁあ!! 今だぁあ!!」
マナ 「は、はい!!……やぁああ!!!」
柱の影から出てきてロッドをふるうと、雷でできた巨大な矢がバロンに向かって放たれた。
ナギサ 「(よしっ!これで成こ……)―――なっ!?」
バロンの方を向くと、残った腕に握ったハンドガンの銃口をナギサに向けていた。
ナギサ 「(……まずい!今撃たれたら……)…くっ――――」
両腕を自分の顔隠すように交差させた。しかし次に聞こえたのは銃声ではなかった―――
バロン 「………フッ……」
ナギサ 「―――えっ!?」
――――――バリリリリリリリリリリリ――――――――――――――
マナの雷のテクニック『ゾンデ』がバロンに直撃すると、凄まじい音を立ててバロンの全身に電撃が走った後、バロンは体中から煙を出しながらその場に倒れた。
マナ 「………や、やったの?」
恐る恐るバロンに近づくが、すでにナギサが倒れたバロンを抱きかかえていた。
マナ 「………ナギサさん……。 バロンさんは…?」
ナギサ 「……大丈夫だ……今は強力な電撃を受けて機能を停止しているだけだ… それにコイツはキャストだから腕も修復できる……」
ナギサは振り返らずに答えた。 ナギサの様子を心配して近づいた時、バロンの表情を見て、マナは驚いた。
それはバロンがゾンデを受ける直前に作った表情だった。
マナ 「―――――――笑ってる…」
ナギサに銃を向けた後、バロンは笑顔を作ると銃を降ろした。そしてゾンデをなんの抵抗もせずに受けたのだ。
ナギサ 「………フッ……フフッ……本当に……本当に…大したポリシーだよ…」
ナギサはボロボロと涙を流してバロンを抱きしめた。
~管制室~
ワスプ 「ん~?今、外で音がしたけど決着が着いたのかな? まぁ、どちらにせよ僕らも決着をつけないかい?」
管制室は既にワスプが何発もブラスターによる攻撃を行ったことが容易にわかるほど焦げた穴がたくさん空いていた。壁にも長い穴が空いていて外の景色を望むことができた。
その部屋の壁際でディーンは息を荒げていた。
ワスプ 「さっきから部屋の端を逃げ回ってるけど、そろそろ攻めてくれないかな?僕もつまらないんだよねぇ~?追い詰められたんだったら潔く死んでくれない?」
ディーン 「……オレが追い詰められたって?……くはは…ははは………何言ってんだ?お前?」
壁に寄りかかりながらディーンは不気味に笑い始めた。
ワスプ 「んにゃ?おかしくなっちゃった?」
ディーン 「……追い詰められたのは………―――――――――」
ディーン 「――――――――――お前だよ………!!」
マナが説教されまくりかもしれんです…
成長できるよ(笑)
それではまた次回。