ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
本日でこの小説……なんと一周年です!
あっと言う間でしたw
あとがきに色々書こうと思いますが、お時間があり、読んでやってもいいぜという方……目を通していただければと思います。
ある時から私は彼のことばかり見ていた。好きだったのだ、彼のことが。
勇気をもって告白するも失敗。私はあまりに彼のことを知らな過ぎた。
諦めるという考えは思い浮かばなかった。知った。調べた。彼のことを。
その辺の人よりも私は彼のことを知っている。好物、家族構成、その他個人情報…。 そんなことをしているうちには彼の方から私に声を掛けてくれるようになった。「ストーカー!」や「気持ち悪い!」などと言うが彼との距離は確実に縮まった。何より、彼の声が聴けるのが嬉しかった。
そして、私は彼の全てを知りたくなった。諮問の形、歯の数、内臓(なかみ)の色……。
彼の全てを知った時、彼は動かなくなっていた。
世間では彼は行方不明と言っているが、私は彼がどこにいるか知っている。私だけが……
彼の全てを知った私は、もう一度彼と会うべく、科学者の道を選んだ。彼を生き返らせるために様々なことを学び……知っていった。しかし、何を知ろうとも生命の再生という術にたどり着くことは無かった。
そんな時、一つの可能性にたどり着いた。『SEED』である。
人々が絶望と称し、恐れるそれに私は希望を感じた。神々しく見えた。
そして、生命の再生は可能であると言う、成功例に出会うことができたのだ。
そう、私自身だ。
原理はわからない…だけど、SEEDに殺された私はSEEDフォームとして蘇ることができた。気の遠くなるような時間をかけて私はその原理を導き出すため、無数の仮説を立て、それを証明するための知識を模索した。そして……その答えが出た。
……もう少しで、また彼に逢える―――――――
~旧海底カジノ・大ホール~
ディーン「………………」
シルル「(……凄い剣幕……こいつ…さっきまでとはまるで別人……)」
ディーンに銃を向けられたラヴカはクスクスと声をもらしながら、ゆっくりと彼らに歩み寄り始めた。
ディーン「……何、笑ってんだよ………その悪趣味な仮面に弾丸ブチ込むぞ…?」
ラヴカ「……フフフ………ディーン・オーシャン……やはり、貴方にヴィヴィアンを破壊することは不可能のようね……」
バンッ…!!
ディーンは思わず引き金を引いた。
放たれた青い弾丸はラヴカの顔面に向け真直ぐに飛んで行った。
ラヴカ「………接続(リンク)……」
そう彼女が呟くと、また彼女の前の空間が歪み、青い弾丸は吸い込まれていった。
ブォン!!!
突然後方で爆発音がした。何事かと振り返ると、トラップで動けなくなっていたヴィヴィアンの頭部が吹き飛び首元から黒煙が上がっていた。
ディーン「………なっ……ヴィヴィ…アン……?」
ラヴカ「今、貴方が彼女を破壊したのよ?」
ディーンの背後に突然現れ、耳元でそう呟く。これもまた『接続(リンク)』と言う能力を使ったのであろう。
ラヴカ「ディーン・オーシャン……貴方は4年前、イルミナス幹部であるヘルガ・ノイマンとの戦いの中でパートナーである、ヴィヴィアンを失った……いや、彼女を犠牲に貴方は英雄となった……と言ったところかしら?」
ガチャン・・・
脱力してディーンはハンドガンを落としてしまった。
ラヴカ「そして、今貴方が壊したのもヴィヴィアン……酷いものね……彼女はいったい何度貴方のために破壊されなくてはいけないのかしら?」
ディーン「…ヴィヴィ…アン………ヴィ・・・・・・アン……」
シルル「黙りなさいよ!!!アンタ!!!!」
ラヴカ「……そういえば、貴女もいたのね……忘れていたわ……」
シルル「ヒトのトラウマ掘り返して何が楽しいのよ!!!ふざけんじゃないわよ!!!」
ラヴカ「……よく吠えるのね………彼にはまだ生きていてもらう必要があるけれど、貴女には用がないわ………今度こそ死んでもらうわね?」
放心状態のディーンから離れ、シルルに歩み寄る。
シルル「……余裕ぶってんな!!!うおおおおおおお!!!!!!」
シルルの周辺の空間が蒼く歪み、彼女の体自身も輝き、そして巨大化した。
光の中から現れた彼女の姿は、異様に長い四肢と鋭い爪を持った凶暴な猫の獣人のような姿だった。
現れるや否や、ものすごいスピードでラヴカに向かって走り出した。
ラヴカ「(……ナノブラスト……たしかにアレは使用する際、周りの空間が若干歪み、使用者の質量も変化するため、私の計算が狂い『凍結(フリーズ)』が解除されたのね…)」
シルルの間合いに入り、もう腕を振るうだけで体を切り裂くことができる状態にも関わらず、ラヴカは特に大きな動作をすることなく、手を前に伸ばすだけだった。
ラヴカ「遮断(シャットアウト)」
そう呟くと、まるで見えない壁がラヴカの前にあるかのようにシルルの攻撃は弾き返された。
ラヴカ「……さて、これで分かったんじゃないかしら?私に傷一つ負わせることができないことを……おや?」
マナ「………う……うぅ……」
倒れていたマナが意識を取り戻し起き上がろうとしていた。
ラヴカ「………これは素晴らしいタイミングね………貴女の変身が切れるのを待とうと思っていたけれど、急がせて貰うわね………はぁああああああ!!!!!」
ラヴカの体から黒いオーラが現れ瞬く間に彼女を覆い巨大化した。
そして、黒いオーラの中から現れたのはヒト型ではあるが体長は3mを超えていて、禍々しい法衣のようなものを纏い浮遊している。そして、羽衣のように凶悪な鮫やウツボに似た生物を背後に控えている。
ラヴカ「さて……貴女は何秒で終わるかしら…?」
そういうと背後の生物が物凄いスピードでシルルに噛みついた。
シルル「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
するとシルルの変身が一瞬にして、解けヒトの姿に戻ったシルルがその場に倒れた。
一か所かまれただけなのに全身傷だらけでピクリとも動かなくなっていた。
ラヴカ「……貴女の体内に『ダメージ』をアップロードしたわ……さて、邪魔は居なくなった……彼をやってお終いね……」
マナ「……うぅ………え・・・?ギラード…さん?……シルル…ちゃん…?」
起き上がりあたりを見渡すと、自分の大切な人が傷だらけで倒れている姿を目の当たりにする。
マナ「…なん…で…?……どういうこと……?」
ラヴカ「……ディーン・オーシャン………貴方にも最高の絶望を絶望をプレゼントしてあげるわ……『読込(ロード)』!!!!」
背後の生物が口を大きく開き、その前の空間が歪むと、そこから数十機のヴィヴィアンが姿を現した。
しかも、それらの顔は青い直方体に覆われていた。
そのすべてがディーンの周りを囲った。
ディーン「……ひぃ……ヴィヴィアン…!!すまなかった!!……もう…もうやめてくれ!!!!」
ラヴカ「……『消去(デリート)』…」
音も立てずヴィヴィアン達は頭部を失い、その場に崩れ落ちた。
ディーン「ああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
悲痛な叫びがホール中に響き渡った。その叫びに気付きマナはディーンの存在を認識した。
マナ「…!?……ディーンさん!?……危ない!!!」
ラヴカ「………完了……。」
グサッ―――――
ディーンの腹部を両剣の刃が貫いていた。
腹から血を流し、口からも血を吐き、薄れゆく命の中で振り向くとそこには……
ディーン「………ヴィヴィ……アン………」
ズボッ……
刃を引き抜くとディーンはその場に倒れた。
そして意識の消える最後に自分を突き刺したヴィヴィアンの頭部が消える様を目のあたりにした。
マナ「……ディ……――-んさん……?」
一瞬放心状態になるとマナは体中から黒いオーラを出現させた。
ラヴカ「……待っていたわ……この時を………『数万年』もの間ね………」
本文読んでいただきありがとうございます。
一周年と言うことで、思うこともいろいろとありますのでお付き合いいただける方は読んでいただければ光栄です。
まずは読者の皆様に感謝の一言です!いや、一言では足りなそうです。それほど、この小説は読者の方に支えられているということです。
また、長期間空くことがしばしばあったことをここで改めて謝罪したいです。申し訳ありません。
では、ここから本題に入ろうと思います。
まず、この小説を書こうと思ったのが部活を引退して暇になったからと言うしょーも無い理由だったのです。なので、序盤の展開はけっこう勢いだけな感じがあったかもしれません。そんなこんなで登場キャラ数の多い小説になってしまいました。
主人公ディーンですが、この一年で成長することはできたのでしょうか?自分も成長できたかどうかわかりませんが、もし少しでも成長することができていたらそれは読者の皆様のおかげです。
実はこの作品、すでに後半に突入しています。もし、空白の3か月がなければもうクライマックスに入っていたのかもしれません。だから、自分としても最後まで書き上げたいです。また、日が空いてしまうこともあるかもしれませんが、応援していただければと思います。今後とも『ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜』をよろしくお願いします。
烏山