ファンタシースターポータブル外伝〜After the tragedy〜 作:烏山
目の前には、大きさが普通のサイズの5倍くらいの『ル・ダッゴ』が触手をうねうねと動かしながらこちらの様子を覗っている。
1年ほど前から変異した新種の原生生物が姿を現していると聞いたが、それとは恐らく違ったものだろう。本来の『ル・ダッゴ』と違っているのは大きさだけで、その他に変化している部分は見当たらなかった。
自然に生まれてきた大きさの異なる個体だと考えられる。
その特異個体が触手の動きを止めた。
ディーン「……来るぞ!」
『ル・ダッゴ』が6本の触手のうち前の2本をオレ達のいるところに向けて振り下ろしてきた。
ドゴーーン!!!
体が大きい分動きが読みやすかったから、避けるのは容易かった。しかし、威力は凄まじいもので地面が抉れていた。
ディーン「なんつー威力だ…。…オイ!二人とも無事か!?」
地面が抉れたせいで発生した土煙で二人の姿が見えない。
マナ「は、ハイ…!なんとか避けられました」
ジャン「お、同じく!」
ディーン「よし、固まってると狙われやすい。やつを三方向から囲むぞ!」
マナ&ジャン「了解!」
オレ達は散開して『ル・ダッゴ』を囲むことに成功した。配置は『ル・ダッゴ』の右前方にオレ、左横にマナ、背後にジャンといった形だ。
移動中、オレは銃をチャージしながら自分の持ち場についた。
ディーン「おし!攻めるぞ!!はぁーー!!!」
マナ「えい!」
ジャン「うりゃ!」
オレのチャージショット、マナの【ラ・ゾンデ】、ジャンのナイフの一撃は、タイミングこそ多少の誤差があったがすべてヒットした。
……が、
オオオオオオオ!!!!!!
奇声を上げたがそれは断末魔ではなく、怒りの表れだった。
怒りにまかせて全ての触手を乱舞させた。
ドガン!!バコン!!!
ディーン「グハッ!!」
マナ「きゃっ!!」
触手の届くちょうどいい範囲内にいたオレとマナは触手で叩き飛ばされた。
ナイフで攻撃したジャンはまだ『ル・ダッゴ』の後頭部付近にいたので触手は当たらなかった。
ジャン「大丈夫っスか!!??」
ディーン「オレは大丈夫だ!直撃は避けた。それよりも…」
マナ「……う~~…うぅ…」
マナがうめき声を上げながら倒れている。
ジャン「マナさん!!??」
ディーン「多分頭を打って気絶したんだろう……コイツをマナから遠ざけるぞ!!」
ダッダッダ!!!
オレはわざと音を立てながら『ル・ダッゴ』の後ろ側に回り込んだ。
『ル・ダッゴ』はオレを追うように体を回転させた。
ディーン「銃撃はあんま効果がないみたいだったな……。…それなら…」
ダッ!…ザンッ!!
走った勢いで、して剣の届く範囲のところまで飛んで頭に一太刀入れた。
しかし、予想以上に表面が硬く、浅くしか斬れていなかった。
ディーン「チッ…!」
ジャン「ディーンさん!!!危ないッス!!!」
ディーン「はっ!?」
次の瞬間、回り込むかのように伸びた触手がオレの体に巻きついた。
ディーン「ガッ!!」
締め付ける力が強く全身の骨が軋んだ。
ジャン「!!ディーンさん!!!」
『ル・ダッゴ』はオレを巻きつけた触手をグルグルと回し、思いっきり投げた。
ディーン「ガァアアアア!!!」
空気抵抗で空中分解するんじゃないかと言うくらいの勢いで投げられた。そして…
バゴーッン!!!!
崩れた岩でできた山に激突した。
ディーン「ガハッ!!!!」
かなり血を出したようだ。液体が体を伝っていく感じがした。
しかし、眼を開けてみると血は思ったほど出ていない。それに液体はとっても熱い。
ディーン「…そうか…ここは源泉に栓をしていた瓦礫の山か……」
液体は血ではなく、源泉のお湯だった。
ディーン「…って熱っ!…流石源泉だな……。……待てよ・・?」
~ジャンのいるあたり~
ジャン「ぐわっ!!」
1人で応戦していたジャンは攻撃することができず盾で攻撃を防ぐのが精いっぱいであった。その防御も限界で盾ごと吹っ飛ばされた。
ジャン「…くそっ…俺だけじゃ…」
『ル・ダッゴ』が触手を振り上げジャンに止めの一撃を加えようとした。
…しかし
ビューーン!!!
ジャン「え!?」
フォトンの弾丸が『ル・ダッゴ』の触手にヒットした。『ル・ダッゴ』の注意は弾丸が飛んできた方に向いた。
ディーン「やっぱり普通の攻撃は効いてないみたいだな……オラ!タコ助!こっちに来いや!!」
銃を連射しながら挑発をすると『ル・ダッゴ』はディーンの方に向かって行った。
ジャン「…いったい何を考えて……」
『ル・ダッゴ』がディーンから3mほど離れたところに来た時、ディーンは連射をやめて、チャージを始めた。
そこに前の触手2本を伸ばして攻撃してきた。
ディーン「ていっ!!」
剣で触手の攻撃を弾いた。防御に集中すればそこまで難しいことではなかった。
ディーン「ほら?どーした?触手じゃオレは倒せないぜ?」
この挑発の言葉が通じたかのように『ル・ダッゴ』は高く飛び上がりディーンめがけてプレスをしようとした。
ディーン「…来たな?とうっ!」
これを瓦礫の山から下りてこれをかわした。そのかわりに『ル・ダッゴ』が瓦礫の山に乗っかる形になった。
ディーン「……ぶっ飛べ!!!」
めちゃくちゃ溜めたチャージショットを放った。
ジャン「ダメッス!あいつに射撃は通らないッス!!」
しかし、弾丸は『ル・ダッゴ』ではなく、その下の瓦礫の部分に当たった。
ジャン「外した!?」
バゴーン!!!!!
爆発が起きた。そのせいで瓦礫は吹き飛んだようだ。そして…
オオオオオオオオ!!!!!
『ル・ダッゴ』が悲鳴を上げている。
ディーン「……へっ!うまくいったか…」
そう、瓦礫が爆破されたことで源泉に栓をしていたものがなくなり、熱湯が噴出したのだ。それが『ル・ダッゴ』に直撃。『ル・ダッゴ』は変色し始めた。
ディーン「どんなにデカくて硬い皮膚を持っていようが、結局は寒冷地に生息する熱耐性を持たない生物……いい茹で上がり具合じゃねぇか?」
ディーンが剣を構える。
オオオオオオオ!!!!!!
怒り狂った『ル・ダッゴ』が触手の渾身の一撃をディーンに叩きつけようとしてきた。
ジャン「危ない!!!」
ディーン「……タコ助が…動きがわかりやす過ぎなんだよ・・・」
ザシュ!!!!!
『ル・ダッゴ』の触手を切断した。触手は地面に落ちた。
オオオオオオオオオオオ!!!!!!
またも『ル・ダッゴ』の悲痛な叫びだ。
ジャン「!?なんで!?あんなに硬かったのに…」
ディーン「タコは熱処理すると刃物が通りやすくなるからな…こいつタコっぽいからもしかしたらと思って試したんだが、ビンゴのようだ…!」
そう言うと、剣を構え直して『ル・ダッゴ』に向かって走って行った。
ディーン「…タコ助…。…これで終わりだ!!!」
オオオオオオオオオオオオオオ!!!!
残りの触手で総攻撃をしてきたが、触手を縫うようにして『ル・ダッゴ』の懐に潜り込んだ。
剣の刀身からはフォトンがあふれ出している。
ジャン「…あれは、さっきの・・・!」
ディーン「らぁあああああ!!!!!!!」
ザン!!ザン!!ザン!!……ザン!!!……ザザザン!!!!!
インフィニットストームが吹き荒れた。
『ル・ダッゴ』はバラバラに吹き飛んだ。
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ディーン「…ふぅ~、終わった…っと…」
ディーンが剣を収めた。
ジャン「…す…すげぇ…」
ディーン「…オイ、ジャン!源泉も復活したし、オレ等の依頼は達成したってことでいいんだよな?」
そういえば元々はそういう依頼だった。
ジャン「い、一応、村に戻って温泉に通じたかどうか確認してもらう必要があるッス!」
ディーン「…そうだな…、まぁどの道村にはもどるつもりだったからな…」
二人は帰路につこうとした。
ディーン「…なんか忘れてねぇか?」
ジャン「…そういえば…?」
そう話していると…
マナ「…ふ、二人とも…ひ、酷いですぅ!」
マナが半泣きで追いかけてきた。
ディーン&ジャン「あぁ!そうだ!マナだ!」
マナ「そ、そんなぁ~ホントに忘れてたんですかぁ~?!」
ディーン「すまんすまん…じゃあ帰ろうぜ?」
マナ「えっ!?もう置いてったことはスルーするんですか!?…それよりもあの『ル・ダッゴ』はどうしたんですか!?」
ジャン「ディーンさんが倒したッスよ?」
マナ「えっ!?ウソ!?スゴイです!…源泉は?」
ディーン「岩破壊して復活させたぞ?」
マナ「え~っ、わ、私何もしてないじゃないですか!?…それより、二人ともなんだか仲良くなってませんか?」
ディーンとジャンがお互いの顔を見る。
ディーン「そうか?最初からこんな感じじゃなかったか?」
ジャン「ディーンさん、まじパネェッスよ!同行できて光栄ッス!」
マナ「………」
そんなこんなで3人は洞窟を出て村に向かって行った。
紹介するようなキャラクターが切れたので今回はキャラクター紹介はお休みです。この作品への質問などありましたら、どうぞ遠慮なく…