「あなたは何故、そんなに頑張るんですか?」
「急にどうしたんだ?」
「あなたがウルトラマンと言っても限界があるはずです。なのに何故……」
「うーん……限界を超えるため、か? 限界を超えた時、初めて掴み取れるものがある。それを掴み取るため……かな?」
「……私にはよく分かりません」
「焦ることないぜアナ その内分かるときがくるさ」
そう言って、男は……アスカ・シンはアナの頭を撫でるのだった。
◇━◇━◇━◇━◇
絶対魔獣戦線バビロニア。人類史最後の特異点で立香たちは『金星の女神 イシュタル』、『花の魔術師 マーリン』、『アナ』、『風の風来坊 クレナイ・ガイ』と共に三女神同盟の一柱『ゴルゴーン』討伐のため、彼女が待ち受ける鮮血神殿に乗り込んだ。
対峙するゴルゴーン。彼女の後ろには壁にとらわれた巨大な石像が一つ。
突撃するアナ。皆が彼女をサポートし、石像に辿り着いた彼女は離さず持っていたあの石を取り出した。
「来ましたよ、アスカ……いつまで眠っているんですか……?」
少女の頬に一筋の涙が流れ、それが石像に落ちる。
「町の皆も…ギルガメッシュ王も…あなたが帰ってくるのを待ってるッ…!」
───目覚めてッ!
高く振り上げた石…否。『リーフラッシャー』を石像の胸に叩きつける。次の瞬間、アナの祈りに答えるかのように、リーフラッシャーから石像へ、淡い光が宿る。
「させるかぁぁぁぁッ!!!」
石像を目覚めさすまいと、ゴルゴーンが全力で石化の魔眼を使う。
襲い掛かる石化光線。立香たちは動けず、オーブもゴルゴーンとの戦闘で体力を失っている。
血の如き、赤黒い光がアナを包み込む。
しかし───
『待ってくれッ! 彼女はまだ生きてるッ! しかもこれは新たな魔力反応ッ! ゴルゴーンなんて比べ物にならないッ! 間違いないッ! この波形パターンは
───
次の瞬間、石化光線を押し返し、目映い光がゴルゴーンに命中する。
光の原点、石像があった場所から、アナを手に乗せ、彼が降り立つ。
銀、蒼、紅に染まった体。胸から肩にかけて走る黄金のプロテクター。胸のカラータイマーの輝きは大空の如し。
彼こそが光の超人、ウルトラマンダイナである。
「アスカ…遅いですよ」
「わりぃ。でも、もう大丈夫だッ!」
「アスカさんッ!」
「ガイッ! まだいけるかッ!?」
「───はいッ!」
ガイの言葉を受け、立ち上がるオーブ。
そんな彼らに、ゴルゴーンは苛立ち、怒りの声で問いかける。
「何故だッ! 何故、貴様らは邪魔をするッ! 何故、人間のような下等でつまらない生き物に寄り添うッ!」
「別に理由なんかねぇッ! 今まで、そうやってきたッ!ただ、それだけだッ! 行くぞ、ガイッ!」
「はいッ!」
二人はその身に光を宿し、自身の宝具を発動する。
無論、それをゴルゴーンが無視する筈もない。彼女も全力で魔眼を開放し、再びダイナたちを物言わぬ石へ変えようとする。
「石となれぇぇぇぇッ!」
放たれる破滅の一撃。
だが、闇が光を容易く飲み込むように、光もまた、闇を切り裂く。
「ソルジェント光線ッ!」
「オーブスプリームカリバァァァァッ!!!」
僅かな均衡。
ぶつかり合った闇と光はほんの僅かな時間を競り合い、光が闇を押し返した。
二つの光は石化光線を打ち破り、ゴルゴーンを呑み込む。
ゴルゴーンは断末魔の叫びを上げ、爆散するのだった。