それでもいいというのならどうぞ。
タイタス幕間~お願いタイタス!~
力には、振るうべき時がある。
人には、戦うべき時がある。
そして、そのマッスルは誰かのためにある。
◇━◇━◇━◇━◇
「──全て、あの宇宙人のせいだと思うの」
「あの、刑部姫さん? 急にどうされたのですか?」
ノウム・カルデアの食堂。そこにある一席にマシュと刑部姫が向かい合って座っていた。その珍しい組み合わせに、食堂に来た者たちは何事かと好奇心で視線を向けてしまう。
本人たちはそんなことに気づかず、刑部姫はぐちぐちと語る。
「昔のまーちゃんってさ、もっとスマートだったじゃん。ノベルゲーとかなら間違いなく『受け』側の人間だったじゃん」
「は、はぁ…?(受けとはなんなのでしょうか?)」
「そりゃね、いろんな所を渡り歩いて来たから多少の筋肉がつくのは仕方ないよ? ていっても、前みたいな細マッチョなら何も問題なかったの。薄い本のネタにもなったし」
「そ、そうですか…今の先輩も、その…大変魅力的だと思いますが…///」
「マシュちゃんにとってはね。でも私には違うの。だって「なに話してるの、おっきー?」ひょわあああッ!?」
突然の声に刑部姫は驚き、マシュは声をかけてきた少年、今さっき話の話題となっていたまーちゃんこと、藤丸立香とその彼の肩に乗る半透明の小さな小人『ウルトラマンタイタスに返すのだった。
「先輩、タイタスさん。トレーニングお疲れ様です」
「そうでもないよ。今日のメニューもいつも通りだったし。もう慣れたものさ」
『うむ。スクワット5000回もスムーズに出来るようになってきたな』
「いや、まーちゃん。普通の人は5000回もスクワット無理だからね。英霊でも片手で数えるくらいしか出来ないからね。なんでそんなになっちゃうの…」
「なんでって…やっぱり、みんなを助けるためかな? 少しでも鍛えて、みんなの負担にならないようにしたいしさ。それにストレッチも意外と慣れたら苦じゃないよ。それに、一度駄目でも再度挑戦すればいいし。そう、再度挑戦すれば───」
「……? まーちゃん、どうし「再度挑戦…」え?」
「再度、挑戦……再度……サイド………
───はいッ! サイドチェストォォォッ!」
バチーンッ!、と刑部姫の額に、立香の筋肉の膨張によって弾けとんだ服の破片が直撃する。
「ナイスポーズです、先輩」
『うむ。見事な仕上がりだ』
だが、彼女はそんな額の痛みに気にせず、叫んだ。
「なんなのッ!? その爽やかスマイルの下にある合成写真のようなゴリマッチョッ! 私のまーちゃんを返してッ! 細マッチョだったあの頃のまーちゃんに戻ってッ!」
「おっきーも鍛える?」
「嫌だからッ! 姫はそんなマッチョになりたくないからッ!」
「まぁまぁ。そう言わずに」
『刑部姫くん。今から君もウルトラマッスルだッ!』
「先輩、私も同行しますね」
「やめてぇぇぇッ! お姫様抱っこという嬉しい筈のシチュエーションをトレーニング連行という絶望に変えないでぇぇぇッ!!」
だが、彼女の叫びは誰にも届かず、彼女は立香たちの手でトレーニングルームへと連れていかれた。
トレーニングルームには既に先客として『アシュヴァッターマン』と『クー・フーリン』、そしてスカサハがいた。二人が倒れ、スカサハが涼しい顔で立っている所から相当な扱きを受けていたのだろう。
そんなスカサハがルームに入ってきた立香たちに気づく。
「おや、マスターか。こんなところまでどうした?」
「ちょっとトレーニングをね。そういうスカサハは……見れば分かるか。大丈夫、二人とも?」
「な、何とか…な…」
「いつも殺りすぎなんだよ…」
「まったく情けない。少しはマスターを見習ったらどうだ? 聞けば、そこの馬鹿弟子の投げた槍を弾き返したそうではないか」
「違いますよ 俺じゃなくて、タイタスがやったんですよ」
「同じことだ。今のお前はその異星の戦士と一つになっているのだろう? なら、そやつの力はお前の力でもある。
せっかくだ。ここで一つ、交わってみるか?」
スカサハが槍を向け、その意思を見せる。
立香はすぐさま刑部姫たちを離れさせ、刑部姫はトレーニングを逃れられた事を喜ばしく思っているが、ただ先伸ばしになったことを気づいていない。
「行くぞ、タイタスッ!!」
『うむッ!』
立香は自身の右腕に装着された手甲型のアイテム『タイガスパーク』のスライドする。
【カモン!】
「力の賢者ッ! タイタスッ!」
立香が変身に必要なキーホルダー型のアイテム『ウルトラマンタイタスキーホルダー』を前に掲げ、右手で握るとタイガスパークが反応。手甲のクリスタル奥では光が集まり、一人の戦士を形取る。
「バディィィッ! ゴオオオッ!!」
【ウルトラマンタイタス!】
立香がスパークを掲げるとクリスタルから光が溢れ、その光は立香を包み、一人の戦士へと変身させた。
はち切れんばかりの、しかし洗礼された全身の筋肉を彩る黒と赤、そして銀のボディ。胸の中心と額にはU40の戦士であることを示す『スターシンボル』。
この戦士こそ『力の賢者』。またの名をウルトラマンタイタスである。
「──タァッ!」
「ナイスマスキュラーッ! 肩に恐竜戦車乗せてんのかッ!」
「──イィッ!!」
「ナイスバックッ! 背中にベリアル宿ってるぜッ!」
「──タッスィッ!!!」
「胸のスターが輝いていますッ!」
「「「仕上がってるよ(てます)ッ! 仕上がってるよ(てます)ッ! ウルトラマッスルはいズトーンッ!!」」」
「ねぇ。なんでみんなして筋肉を誉めてるの? ねえ、なんでッ!?」
「ふむ。見事な筋肉だ。思わず見とれてしまったぞ」
「ありがとう。だが、このウルトラマッスルは鑑賞するために鍛えた訳ではない」
「分かっているとも。では見せてもらおう、その力をッ! このスカサハにッ!」
「賢者の拳はッ! 全てを砕くッ!!」
次の瞬間、互いに向かって駆け出すタイタスとスカサハ。
力の賢者の本気の拳、影の女王の投擲した槍、二つがぶつかったとき、ノウム・カルデアが揺れたのはまた別のお話で…
お願いタイタス! メッチャかちたーい!
お願いタイタス! メッチャ痩せたい! イエス!
お願いタイタス! メッチャ勝ちたいから!
うー! あー! 筋肉にお願いだ~♪