深海戦線猟綺譚 ~兵装実験艦夕張・パンドラの社~ 作:八切武士
今回も前回とは別の意味で夢見の悪さを引きずっている夕張さん。
果たして彼女は無事、「家具:分娩台」が実装された悪夢から脱出できるのでしょうか?
※今回はエロと言うよりは、多量の下ネタが含まれています。
その辺が許容できない方はスキップされた方が良いかも……
【???:???】
「……」
何か声をかけられて物思いから醒める。
「ふふっ……夕張、寝てた?んっ!」
「ふむ……睡眠不足か、っと、ここの所、よく眠れているのかな?」
(別に、普通に寝てますけど)
河田先生は、由良の耳朶に何事か囁きながらカルテに走り書きをする。
「これは……きついな、何か最近ストレスを感じる事は何かあるかな?」
(ちょっと、書類仕事ばっかりなんで、ちょっと息抜きしたいかなとは思いますけど)
「ふっ、は、確かに運動不足はストレス要因の一つだ、少し、エクササイズした方がよさそうだね……ぐ」
「……ね、そうね」
なま暖かい部屋の中は、むっとする生物臭が充満していた。
河田先生に抱きついていた由良が立ち上がると、怒張したままのピストンヘッドがぶるんと引きずり出される。
冷却水まみれという事は、由良のシリンダは湿式ライナーなのだろう。
「では、治療を始めよう、夕張くん……“恐縮だが”下着を脱いでくれ」
(は?)
「先生、そう言うのが好きなら、由良にも言ってくれればいいのに、ね?」
妖しく笑う由良は、一糸纏わぬ全裸だ。
まとめていない彼女の髪は床まで届いて引きずる程の長さがある。
広げれば体を覆ってしまいそうにボリューミーな髪量なのに、とても艶々でふわふわとしていて、触れたくなってしまう。
嫌々視線を動かすと、河田先生も、白衣しか着ていない様だ。
まるで風呂上がりのローブじみた着こなし。
合わせ目から放り出されている巨大なあれが、自重をものともせずにピストンヘッドを天に向け、クランクの空回りでびくんびくんと震えている。
なんなのだ、この状況は?
(ていうか、何で、脱いでるのよ!)
夕張は、自分が中腰になって、制服のタイツを脱ぎ始めるのを意識した。
素直にショーツまで脱ごうとしているのに内心慌てるが、手が止まらない。
「素直に協力してくれて感謝する、“恐縮だが”それを渡していただけるかな……ふむ、擬体からの異常漏出物はなさそうだ」
(うわ……)
受け取ったショーツを、躊躇いもせずに覆面の様に装着した姿に、一瞬意識が停止する。
鼻を鳴らす音と共に、じわっと、クロッチの部分に濡れ染みが浮き出してくる。
(え、もしかして……舐めてる?)
「もう、先生!」
憤慨した由良の声と共に、河田先生の頭にもう一枚ショーツが被せられる。
パンツの仮面に、パンツの帽子。
何なんだこれは。
少なくとも、あのショーツはもう履けない事は確かだが。
「では、治療を始めよう、“恐縮だが”そこに載ってくれないか?」
河田先生が指さした先を見ると、そこには、何故か、分娩台があった。
(は?)
素直に立ち上がる体に焦りながら首を回すと、由良がからからと手術用の機械台を押してくるのが目に入る。
機械台の上には、メスやボーンカッター等の外科用器具の代わりに、大小色とりどりの様々な震動器具が満載されていた。
どっちかというと、整体器具……いや、もう、ジャンルは“ジョークグッズ”である。
一応、膣鏡(クスコ)も添えられているが、到底、本来の目的に使うとは思えない。
更に不安感を煽るのは、洗面器に放り込まれた特大シリンジと、点滴スタンド、それにぶら下がっているイリガートルの4点セットだ。
一応、イリガートルは流動食を胃に流し込むのにも使うらしいけど、一緒に添えられているのが洗面器だと、どう考えても艦娘には無用のアレ……浣腸に使うセットとしか思えない。
洗面器の中で妙に手際よく蛍光色に輝く妖しい粘液を調合し始めた由良の横を通り抜け、分娩台に腰を下ろす。
頭の中では思考が渦巻いているが、体が指一本自由にならない。
(……これ、高速修復材だ……って、冷静に分析してる場合じゃないわ!)
「大丈夫、肛門科の助手してた事もあるし、痛くしないから……ねっ」
(ねっ、じゃないっ!あ~、どーしよ)
洗面器に刺さったシリンジのピストンが引かれると、光る液体がたっぷりと筒に満たされてゆく。
「……産科の診察はインターン以来だが、まぁ、何とかなるだろう、幸い検体観察の機会には恵まれているのでね」
パン屋のトングで遊ぶ様にカチカチと膣鏡を鳴らしている河田先生の隣で、由良が顔を赤らめてくねくね、いや、ゆらゆらと体を揺らしている。
ショーツ2枚を装備した怪人と、全裸で乱れ髪を揺らしている由良のツーショットはなかなか精神的にキツい。
特殊プレイは二人のプライベートに止めて欲しい。
切にそう願う。
履いてない状態で分娩台に固定されそうな状況でそれを見ているともなれば、悪夢以外の何ものでもない。
大体、意志とは真逆の“自発的行動”で、体は脚を広げてしまっているのだ。
(あぁ、もう……すーすーするんですけど……)
今ほど、制服のスカートが短い事を恨んだ事はない。
この体勢だと、隠れて欲しい所が全然隠れてくれない。
ぺたぺたと歩み寄ってきた由良が顔をのぞき込む。
「大丈夫、由良は夕張の事も好きだから、あなたとは私と同じだから……」
顔だけはいつもと同じに微笑んでいた由良の表情に、ふと、かげりが生じた。
「夕張には、由良の事……分かって欲しいな」
妙に寂しそうに呟く由良の顔を見ていると、凄まじい衝撃に体が揺すられ、分娩台から放り出されてしまう。
床が冷たい。
固定されていないものが震動で飛び散る中、世界の震動とは無縁に由良は佇んでいた。
少しの間、不思議そうに周囲を見回して、首を振る。
「もう、そんな時間……早いなぁ、じゃあね夕張……おはようの時間だから、ね?」
【艦娘療養所:夕張の自室】
世界が崩壊し、光が差しこむ。
そして、気が付くと、夕張の体はベッドから中途半端にずり落ちていた。
後頭部を床につけた状態で、両肩に体重の大半がかかる体勢。
ベッドにもたれ掛かった腰から先はベッド上でみっともなく開脚している。
まるで誰かにツームストンパイルドライバーを食らわされでもした様な惨状だ。
(……ああ、分娩台って……これかぁ……いたた……)
凄まじく不自然な体勢で眠っていた為、体中の間接が妙な感じだ。
ひとまず体を捻って、下半身を床に落とす。
寝起きのせいか、割と激しく床に腰を落としてしまい、どす、とか嫌な衝撃が走る。
別に痛い訳ではないが、正直、寝起きの気分としてはかなりひどい。
「……う~」
唸りながら床を這いずり、ベッドの脚を探り当てて、つかまり立ちをする。
洗面台の鏡に目をやると、もしゃもしゃ髪で目をしょぼしょぼさせた生き物と目があった。
身につけているのは少々のびてオーバーサイズ気味のシャツにショーツだけだ。
我ながら何ともだらしない格好に少々呆れる。
(まぁ、誰に見られるわけでも……って、見られてるよね、何回も)
寝間着なんてわざわざ着ないので、大体いつも似た様な格好で寝てる訳で、正直、今まで余り気にした事は無かったが、由良には大分あられのない姿というのを見られているとは思う。
取り敢えず顔の周りでもしゃもしゃに乱れた毛に手櫛をいれて、いつもの様にリボンでまとめる。
それだけで髪がすっ、と纏まってしまうのだから、艦娘の体は便利なものだ。
しかし、鏡の中の自分は、少し目が充血している気がした。
(冷却水がちょっと足りないかな……)
机の上に出しっぱなしになっていた、ペットボトルから飲みのこしのミネラルウォーターをあおる。
しかし、さっきの夢は本当にひどかった。
幾ら、昨晩衝撃の事実が発覚したからとは言え、自分の夢に、由良と河田先生の事をあんな形で出演させてしまうとは。
摩耶さん辺りだったら……
『んだぁ?欲求不満かよ、まぁ、ここじゃ流石に艦砲は撃てねぇしなぁ、よっしゃ、一発、タイマンでもすっか!』
とか言い出しそうだ。
まぁ、実際、昨晩の事を考えると摩耶さんの方でも彼女なりに鬱憤は溜まっているのだろう。
流石に重巡相手に一対一で殴り合って、立っていられる自信はない。
刺激するのは止めておいた方が良さそうだ。
(しかし、4、5人と一度にって……5P、6P……なに、おつまみチーズ感覚なの?)
とりあえず、新しい下着を身につけ、シャツとホットパンツ姿でつっかけに足をつっこむ。
そろそろ、朝食の時間だ。
To Be Countinued...
前回に続き、少々お下品な話になってすみません。
今回の由良さん、河田先生は夕張さんの悪夢の産物なので、現実の二人とは概ね関係ない感じです。
次回は、現実世界の方で夕張さんを驚きが襲います。
恐縮ですが、次回も読んでいたければ幸いです。