深海戦線猟綺譚 ~兵装実験艦夕張・パンドラの社~   作:八切武士

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分割再投稿ラスト4つめです。

厚木基地に辿り着いた夕張を待ち受けていたのは、“大本営”の方から来た男であった。
夕張さんの明日はどっちだ?

※短い、次章への繋ぎみたいな文章となります。


 【第一章 <起> 海原に一滴、零れ落ちて 第四話】

 

 

【厚木基地・海軍飛行場】

 

 

 肩をそっと揺すられる感触で私は目を醒ました。

 

「そろそろ着くわよ」

「あ、どうも」

 

 一緒に乗り込んでいた女性自衛官が起こしてくれた様だ。

 どうやら無事内地へ戻ってこれたらしい。

 既に着陸態勢に入っていた輸送機は程なくして無事着陸し、私はほっと息を吐いた。

 がばっと開いた後部の扉から降りて周囲を見回していると、豆粒みたいな飛行機を格納庫へ引っ張ってゆく妖精さん達が見えた。

 見た感じ、陸軍機の様だ。

 

(ああ、そっか)

 

 硫黄島では気づかなかったが、基地航空隊が輸送機を護衛していたに違いない。

 格納庫の中で補給を済ませたら、復路で又護衛任務に従事するのだろう。

 

「失礼、″夕張”さんですね、新規浮上艦の?」

 

 一人得心して頷いていると、背後から声がかかった。

 振り返ると、背広を着た男性が立っている。

 

「はい、えっと?」

「“大本営”の特殊艦艇管理部生活案件課、山口です」

「大本営?」

「はい、まぁ、同じなのは名前だけで、それも俗称なのですが……こちらへ」

 

 一瞬言葉に詰まった私の様子を見て、山口と名乗った男性は頷き背後を指して歩き始めた。

 

「簡単に言えば、“大本営”はあなた方“艦娘”に関する一切合切を管理する為に創設された機関です、最初は防衛省の内部組織として作るという話もあったんですが、色々ありまして」

 

 そう言えば、昨日読んだ資料でもその辺りは少し触れられていた気がする。

 

(今は、海軍と陸軍じゃなくて、陸海空の“自衛隊”なのよね)

 

 ある意味、過去の戦争の遺物の様な自分達だが、それを管理する機関の俗称も、又過去の遺物から取られているのが、何とも懐古主義的だ。

 とは言え、“防衛省”よりは、“大本営”の方が馴染みがある。

 

(ま、私たちだけだったら、軍令部とかの方が良かったのかも知れないけど)

 

「でも、実際には生活面のご相談にのったり、養子縁組について支援したりとか、その、“銃後”ですかね、そっちの仕事が多いので、防衛省と分けられてるのは正しいんじゃないかと思いますね、勿論、常時防衛省や自衛隊と横断的に連携してる部署もありますが……」

 

(養子縁組か)

 

 そう言えば、猶予期間の内に日本国民としての本名を決めないといけない事を思い出した。

 艦娘は個体識別番号となる艦籍番号を持つ他、人間としての戸籍も持つらしい。

 確かに個人名が無いと、他の“夕張”に会った時に困る。

 

(早い内に決めないとなぁ……)

 

「取りあえず、迎えの車を回してあります、高級車とはいきませんが、目的地に着く事は保証しますよ」

 

 片目をつむってみせる山口に苦笑して、私は歩き出した。

 

 私はこうして、再び(?)日本の地を踏んだ。

 余りにもあっけなく。

 

 そう、余りにもあっけなさ過ぎた。

 疑うべきだった。

 

 でも、私は疑う事すら知らなかったのだ。

 

 To Be Countinued......





再投稿ラストです……
最初からこの形で投稿しておくんだった。
こっちの方がすっきりしてますね。

よろしければ次章もご愛顧いただければ幸いです。
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