魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編   作:ピーナ

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話が重いです。重くて書いていて辛いです。


第八話 今へと至る道

ホテル・アグスタの警備任務は一応無事に終わった。一応と書いたのは上がって来た報告書の中にティアナのフレンドリーファイア未遂が書かれていたから。まあ、その後なのはがフォローしたから大丈夫だろう。

…彼女が焦るのも分かる。なのはの教導は今の所地味で厳しく分かり辛い。でも、とても理に叶ったやり方なのだ。説明すべきかな? でも、それは干渉しすぎな気もするしな。

 

「八雲さん、なんか考え事っすか?」

「おお、ヴァイス。まあね」

 

食事しながら考えていたのを見つけたヴァイスが僕の向かいに座って話しかけてきた。

 

「そういや、ティアナの奴、自主練していましたよ」

「ん? 向上心があって良いじゃん」

「いや、それはそうなんですけど、実はですね…」

 

周りに気を遣い、小さい声で話し出すヴァイス。

ヴァイスが言うには、ヴァイスがヘリの整備中、偶然自主練に励むティアナを発見。仕事中だったけど、ホテル・アグスタの一件を知っていたからそれとなく観察をストームレイダーに任せていたらしい。すると整備が終わるまでの4、5時間ほどぶっ続けで自主練してたらしい。

流石にどうかと思ったのでその日は止めに入ったらしい。

なのはの教導は厳しい。しかし、緊急の任務があっても対処出来る様に余力が出来る様にはしてある。

 

「まあ、今も特に問題が無いんなら良いんじゃない? もし、次見かけたら、教えて。その時に対処するから」

「了解。それとなく、気にかけておくっす」

 

その日はそれで別れた。その時はまさかあんな事になるとは思ってなかったから。

 

 

 

あんな事―ティアナが自己流の近接戦を仕掛けて、なのはがキレて撃墜させた事。

僕がヴァイスが話を聞いた時何かしていれば変わったかもしれない。

模擬戦だったのが不幸中の幸いだ。実戦だったら命に関わる。

そして、間が悪い事に、ガジェットがクラナガンの近くの海上に出現した。

 

「今回は―」

「はやて」

 

僕ははやての言葉を遮る。

 

「どうしたん、八雲君?」

「今回は僕が、僕一人で行く」

「どうして?」

「ライトニングはともかく、スターズは今ボロボロ。連携なんて望めない。なら、それの修復が先だろ。このくらいの案件なら僕一人で十分だしね」

 

とりあえず今出来るのは話し合いの時間を用意する事くらいだと思う。

 

「…分かった。出撃はエレメント1だけ。頼むで、八雲君」

「はいよ」

 

そう言って僕は単身ヘリに乗り込む。

 

 

 

はやてサイド(過去回想を含みます)

 

八雲君の出撃を見送った私達は、六課のブリーフィングルームに集まった。

 

「まずは、ティアナや皆に私達の過去と私の教導の意味を知ってもらおうかな」

 

幼い少年少女たちが居る画像が映し出される。それを見ながらなのはちゃんが話し始める。

 

「私が魔法と出会ったのは今から10年前。海鳴の街に落ちたロストロギア、ジュエルシードを集めるため。私はこの一件でフェイトちゃんや八雲君達と知り合ったの」

 

画像が切り替わる。なのはちゃんのスターライト・ブレイカーの画像に。

 

「集束砲撃!?」

「そんな!? こんな大威力の魔法を撃ったら、ダメージが残りますよ!?」

 

新人たちは口々にそういう。彼女達も魔法について勉強をしている。幼い子供が大威力の魔法を使う危険性も知っているのだ。

 

「その年の暮れに、次は私が関係する事件が、俗にいう『闇の書事件』が起こったんよ」

 

画像は守護騎士となのはちゃん達の戦闘シーンに切り替わっている。

 

「この事件は、管理局のアーカイブでそこそこの事は知れるから、興味があればみるとええよ」

「この大きなロストロギア関連の事件で、私となのは、八雲とはやてはエースとして有名になった。それぞれがそれぞれの道を見つけて、はやてはキャリア、私は執務官の道を」

「私と八雲君は前線での仕事に就いていたの」

「それから二年、一つ目の転機が起こった。とある管理世界での任務の時の事。その時はなのは、八雲、ヴィータの三人で行動してたんだ。普通ならエース級3人が出張るようなものじゃなかったんだけど…」

 

映像が切り替わり、新人たちが息をのむ。そこには、痛々しく傷ついたなのはちゃんが写っていたから。

 

「…話、続けるよ? 幸い、治癒魔法も使える八雲が居て応急処置が出来たから、命に別状は無かったし後遺症も残らなかったんだけど…」

「あの時は辛かった。全治2か月、リハビリ含めて半年も掛かったもん。…それで、私がこの事件で学んだ事はね、この怪我を負う原因が無茶をしてきた自分だったから、自分が教える子達にはしっかり強固な土台を組んでからにしようって事。だから、基礎で地味な事ばっかりだったんだけど…ゴメンね、ティアナ。それが、ティアナを焦らせちゃったんだね」

 

ティアナは膝に握った拳を置いて下を向いている。その拳には涙が落ちている。

 

「…それは、私と八雲君の責任もある。私らはティアナの事情も知ってたんやし」

「どういう事ですか?」

 

そう聞くのはティアナの相棒でもあるスバル。心なしか言葉には怒りが含まれている。

…まあ、仕方の無い事だろう。

 

「皆に聞くけど、八雲君はこの舞台でも最高の魔導師ランク空戦SS+を持ってる。やのに、前に所属していたのは前線じゃなくて本局運用部。これっておかしいと思わへん?」

「たしかに…」

「こういう事になったんわな、今から6年前クラナガンで起きた事件が関係してる。ある時、違法魔導師が逃げたのを首都航空隊が追ってたんや。八雲君は当時、本局の地上部隊に籍を置いてて、その任務の支援をしてたんやけど、その時に首都航空隊の一人の空尉が落とされたんや。八雲君はその人の治療をして一命を取り留めたんやけど…」

 

思い出すだけで胸糞悪うなる話や。でも、話さなアカンな。これも、皆の為やし。

 

「結局犯人は本局の地上部隊が逮捕。その時地上本部のお偉いさんが入院中のその空尉に言葉が『犯人を追いつめておきながら手柄を本局の奴に奪われるとは何事か! お前は栄誉有る首都航空隊の恥だ!』って言ったんよ。偶然居合わせた八雲君はその場でそのお偉いさんをボッコボコ。それが原因で八雲君は懲戒免職直前まで行ったんやけど、それまで仕事で関わった人ら、この部隊の設立にも力を貸してくれた人らとかなが裏から手をまわして、謹慎処分と運用部への左遷と言う形になったんよ」

「その空尉って言うのは…」

「ティーダ・ランスター。ティアナのお兄さんやよ」

 

ちなみに、今ティーダさんは時空管理局の本局の運用部でレティ提督の副官みたいな仕事をしている。ケガが大きく激しい戦闘こそ出来ないが、有能なのに変わりはないのでレティ提督が復帰後すぐに引き抜いたのだった。階級は三等海佐でレティ提督曰く「将来は提督ね」らしい。

八雲君はその時がきっかけでなおかつ元同僚でもあるので付き合いがあるし、私もその縁で何度か食事をした事がある。

実は、六課に引き抜こうとも思っていたが、それはレティ提督に阻止された。「そこまで、有能な人材は渡せないわよ」との事だ。

 

「話はこんなもんかな? 後は当事者のなのはちゃんとティアナに任せるわ。私は現場の様子を確認しに行ってくるから」

 

そうして、私は立ち去った。後はきっと何とかなるだろう。全力全開がモットーのなのはちゃんなら。

…恋もそれで行けばええのに。と、思うのは私だけではないはずだ。

 

 

 

「八雲さん、着いたっすよ!」

「ヴァイス、降ろしたら僕の後ろに行ってな。前に出たら…」

「出たら?」

「撃墜しちゃうかも」

「怖っ!? まあ、間違ってもそんな真似しませんよ」

「だよね。じゃあ、ちゃっちゃと済ませてきますか」

 

僕はセットアップしてから飛び出した。

 

「さて、ガラクタになってもらうよ。無数の流星よ彼の地より来たれ! メテオスウォーム!」

 

詠唱の終了と共に詠唱通り無数の流星がガジェット達を潰していく。撃ち終わった頃には、すべてが破壊されていた。

 

『残存有りません。お疲れ様です~』

「お疲れ、リイン。そっちの話し合いはどうなった?」

『こっちも終わった。後はなのはちゃん達がどうにかするだけや』

「そっか…」

『そっちにはもうすぐ捜査を依頼しとる108の人が行くと思うから、その人らが来たら戻ってきて』

「了解」

 

ヘリに戻って連絡を待つ事にする。

それから少しして、現場の引き継ぎをして僕は隊舎に戻った。

ヘリポートにはティアナが居た。彼女は僕に「兄さんを助けてくれて、ありがとうございます」と感謝の言葉を言った。

僕としては凄く当たり前の事をやっただけなんだけど、それでも感謝の言葉は嬉しかった。

…これで、六課は一つになって事に当たれるかな?




さて、過去話でした。
ティーダさんは殉職こそしていませんが、前線に立つのは厳しいので執務官の道は閉ざされています。ティアナはそれを継いだ形です。
ちなみに八雲はティーダさんにティアナの事を見守って欲しいと頼んでいます。シスコンも若干あるでしょうが、それよりもたった一人の家族を思う気持ちの方が強いです。

術技説明

メテオスウォーム

無数の隕石を降らす無属性魔法。
オーバーリミッツ専用の魔法を除けば攻撃範囲はトップを誇る。
「こういう、一対多で地形を気にしなければ凄い便利だね」

次回は六課の休日、ついにヴィヴィオがやって来ます。
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