魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編   作:ピーナ

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話が…重い…


第十四話 支え合うという事

警備から帰ってきたなのはと仕事から帰って来たユーノに僕は謝る事しか出来なかった。

二人は「気にしなくていい。八雲君があそこまで頑張ってこういう結果なのだから誰が居ても結果は変わらなかったよ」と言ってくれた。

…頑張った? 僕が? 確かに全力は尽くしたつもりだ。でも、心のどこかに油断が慢心があった。だからあんな初歩的な罠にかかってヴィヴィオをさらわれるという結果を生んでしまった。

もしも、僕が油断をしなければヴィヴィオはさらわれなかったかもしれない。でも、あの時は完全に目の前の相手に気を取られていた。ヴィヴィオを狙ってきているというのは気付いていたはずなのに。

気付けた事を気付けなかった自分自身が嫌になる。こんな大事な時に心の緩みを持ってしまった自分に罪悪感を感じる。

しかし、状況は僕の気持ちを待ってはくれない。はやてがさらわれた今、六課の責任者として色々仕事をしないといけない。

…本音を言うなら全部を投げ出してはやてを探しに行きたい。でも、そんな公私混同を許される立場じゃない事は分かっている。なのはとユーノ、それに守護騎士の皆も同じ気持ちのはずだ。でも、皆こなさなければいけない仕事をこなしている。僕だけそれをしないなんてわがままは出来ない。

忙しすぎる状況でその気持ちを無理やり押し殺して僕は仕事に没頭する。そうでもしなきゃやってられない。

六課の機能はほとんど停止している。負傷した隊員は治療を最優先、動ける人らは少しでも手がかりになるものが無いか、戦闘の行われた現場を調査している。

そんな中僕は地上本部に来ていた。一人の人間に会うために。

 

「オーリス・ゲイズ三佐ですね?」

「六課の霧島八雲三佐…管理局の切り札とまで呼ばれる方が何の用ですか?」

 

僕の疑念を確信に代える為に。

 

「少し聞きたい事がありまして。あなたの父上、レジアス中将について…ね」

 

歩きながら話し始める。

 

「今回の地上本部と六課の襲撃事件、個人的に気になる事がありましてね」

「気になる事とは?」

「管理局側が相手の戦力を読み間違えていたのはあると思うんですよね。ただ、それだけで落とされるほど地上本部も地上の管理局の部隊も脆くはない。なら、今回はここまでの被害になったか? 通信機能やら防衛システムやらが軒並み麻痺させられたから…ですよね?」

「ええ、そうですね」

「普通、そういうのって極秘中の極秘の情報のはずです。しかし、相手はまるで分っている様に行動をしてきた」

「霧島三佐は内部に内通者がいると?」

「ありていに言えば。もっと言うならば一番怪しいのはレジアス中将と思っています」

「なっ、何を根拠に…」

「一つ目、警備網と防衛システムをすべて完璧に把握できる人間は限られてきます。この地上本部のトップであるレジアス中将にその権利が無いはずがありません。二つ目、相手がジェイル・スカリエッティという、稀代の天才技術者である事。昔、地上本部の戦力低下に待ったをかけるために戦闘機人や人造魔導師の案を出したレジアス中将です。その後も研究を続けていた可能性は有ります。スカリエッティとつながっている可能性もね」

「下らない妄想はいい加減にしていただきたい物ですね」

「妄想って、こりゃ手厳しいお言葉で。でもね、後顧の憂いを立たないと安心して部下たちを送り出せはしないんですよ」

 

おそらく、六課はこのままレリック専任からスカリエッティ逮捕の為に任務がシフトチェンジするだろう。つまりこの前の敵と再び相対する事になる。その時、どういうメンバーがどこに来るのか、それが分かるだけでこっちは著しく不利になる。あの子達を危険に晒す。それを避けるためには何としても尻尾を掴まないといけない。

 

「あなたは入局10年ですよね」

「そうですね。気付けばもうそんなになります」

「中将は40年です。あなたの上司が自分の命惜しさにあなたや自分の騎士に犯罪行為を行わせていた時も…」

 

オーリス三佐は話を続けているけど、僕の耳には全く入ってこない。

目の前の女はさっきなんて言った? はやてが自分の命惜しさに僕や守護騎士の皆に犯罪行為をさせていた?

その時、僕の中の何かがキレた。

僕は目の前の女の首を掴みそのまま壁に叩きつける。もちろん首はそのまま持っている。

 

「はやてが命惜しさに僕達に犯罪をさせていただ!? ふざけんな! 何も知らねえくせに適当な事言ってんじゃねえ! 僕達は確かに犯罪者さ。それは否定しない。僕達が背負うべきものだから。でもな、はやては違う! ロストロギアを違法所持していたのが罪!? んなもん、そこまで何もできなかった管理局が悪いんだろうが! はやての所に来たのは完全に偶然だぞ! 魔導師襲撃は完全に僕達の意思でやった事だ! それを「八雲!」」

 

僕を呼ぶ声がした、振り向くとアインスが居た。

 

「一体、何をしている!」

「止めんなよ!」

「少々強引だが止めるぞ」

 

アインスは僕の首裏に手刀を叩き込む。そして、僕の意識は闇に飲まれていった。

 

目覚めると、間借りしている108部隊の僕の部屋のベットに居た。

さっきの事を思いだして自己嫌悪に陥る。

確かにオーリス三佐の言葉は許せなかった。偏見に満ちた言葉。でも、そんなのこの10年で言われてきた事なんて結構あったはずだった。

でも、今回こんなにキレたのは何でだろう?

そんなのは考えるまでも無い。今の僕にそういうのを流せるほどの余裕が無いのだ。

はやてとヴィヴィオがさらわれて、その手がかりは無し。調査も進展せず、責任のある立場だから動けない。挙句の果てにはいつもなら聞き流せるものに過剰反応してキレる。正直限界かも。

 

「何が…何が管理局の切り札だよ…女の子一人、世界で一番大切な人一人守れなくて!」

 

もう何もいらない。 

そもそも必要だったか分からないけど、富も地位も名声もそんな物は僕にとって価値がない。

それよりも無事にはやてとヴィヴィオが帰ってきてまた皆で笑えればいい。

でもさ、

 

「僕はどうすれば良いんだよ…」

 

僕しか居ないこの部屋でその問いに答えを返してくれる人はいない。

 

「んなもん、簡単だ。私達を頼ってくれよ」

 

いつの間にか部屋のドアが開けられていた。

そこにはさっきの言葉を言ったヴィータとその後ろにシグナムとアインスが居た。

 

「昔から思っていたがお前は何もかもを背負い過ぎだ。いつも主だけでなく高町やテスタロッサのフォローもしつつ、今回の件で責任を全部背負い込もうとしている」

「でも、それは僕のやるべき事だから…」

「背負い込むのは八雲の性分だから仕方ない。でも、何も一人でそれをする必要はないのではないか? 私もシグナムもヴィータもここには今いないがシャマルもザフィーラもリインも君の事が家族として大好きだ。だからこそ、辛いときには頼って欲しい」

 

…今さら思う。どうして僕はこんな事に気付かなかったんだろう。十年前のクリスマスにはやては僕に「これからの事は一緒に歩いて行く事で支えていけると思う。もちろんそれは私一人だけじゃなくて、時には家の子達の力も借りるけどな」と言ってくれた。嬉しいけど、でも、多分それだけじゃダメなんだ。一方通行じゃダメなんだ。僕達はお互いがお互いを支え合って生きていく。

はやてだけじゃない。シグナムにヴィータ、シャマルにザフィーラ、アインスにリイン。家族皆で一緒にだ。

誰かが何かを背負い込んだのなら皆でそれを持つ。そうすれば辛さは減る。

よく言うじゃないか。「辛い事、悲しい事は八等分。幸せな事、嬉しい事は八倍」って。

 

「ありがとう、皆。そうだよね、はやてやなのは達に他の人も頼れとか言っておきながら、自分が出来てなくて潰れちゃ意味ないよね。僕は僕の出来る事をする。皆、力を貸してくれる?」

「「「もちろん!」」」

「そんじゃ、もう一仕事行きますか。シグナムとヴィータは何時事態が動くか分からないからゆっくり休んでて。僕は一つ行かないといけないから。アインス、ついて来てくれる?」

「分かった。しかし、どこへ?」

「僕の古巣」

 

僕は動き出す。もう迷わない。たとえ迷ったとしても僕には頼りになる家族がいる。だから、もう迷う事は無い。

 

さて、僕の古巣、本局運用部にやって来た、僕とアインス。

ここに来たのはとあるものを借りるためだ。

 

「久しぶりね、八雲君。それにアインスさん」

「お久しぶりです、レティ提督。今日はお願いが有って来ました」

「…何かしら?」

「壊れた六課の隊舎の代わりの仮隊舎として、廃艦直前のアースラを使わせてほしいんです」

「理由を聞こうかしら」

「今、六課は108に間借りしています。新しい隊舎が出来るまでそこを間借りするのは無理でしょう。それに、事態はどうなるか分かりません。部隊の運用に柔軟性を求めるために本部ごと動かせるほうが良いと思いまして。でも、艦船をそう簡単に使わせてはもらえないでしょう。だから、廃艦前のアースラを上げました。それに…」

「それに?」

「アースラは僕に、いや僕達にとっては凄く縁のある船ですし、高レベルのロストロギア事件を解決に導いた時の船でも有るんで、縁起が良いんですよ」

「分かったわ。書類なんかはこっちでやっておくからあなたも休みなさい。顔から疲れが出てるわよ」

「…ありがとうございます」

「引き渡しは19日。良いわね」

「はい。では失礼します」

 

これで、とりあえず本拠地の確保は出来たかな。

 

「アインス、少し寝る。108までの運転、任せた」

「分かっている。ゆっくり休んでくれ」

 

助手席に座ってすぐ僕は眠りに落ちる。どうやらかなり疲れていたらしい。

 

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