魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編   作:ピーナ

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さて、JS事件も無事に終わりました。


第十七話 世界で一番大好きな君に

はやてサイド

 

 

スカリエッティ事件が終わった日から早くも10日経ち、ミッドも秋っぽさを増してきた。

今、機動六課仮隊舎のアースラは今まで隊舎が有った所の近くの海に降ろされている。

事件のあらましを言うと、スカリエッティ一味は全員逮捕、罪を認め協力を申し出た戦闘機人達―チンク・セイン・オットー・ノーヴェ・ディエチ・ウェンディ・ディード―と召喚士ルーテシア・アルピーノ、融合騎アギト、それに私達の昔なじみである吉野大和君は海上隔離施設へ行って更生プログラムを受講中である。

そこで分かったのは大和君が戦闘機人の子達に案外慕われていたという事。…ハーレム作れるんちゃうかな?

それ以外の管理局の協力をしなかった、スカリエッティと、それに従う戦闘機人達―ウーノ・トーレ・クアットロ・セッテ―はそれぞれ監獄に送られそこで裁判を待つ事になるだろう。

ほぼ全員の逮捕に当たった六課の前線メンバーはほとんど全員が入院している。でも、皆元気でやってる。あっ、後、なのはちゃんに助けられたヴィヴィオも検査の結果異常が無くて今はなのはちゃんと同じ病室で休んでいる。

私はさらわれただけやったし、簡単な検査を受けた後、部隊長として前線の皆が休める様に事後処理に当たっている。

無事に終わったスカリエッティ事件。でも…私の気持ちは重く、暗いままだ。

理由は八雲君がまだ目を覚まさないから。

 

私と吉野君が洞窟から脱出して数秒後、洞窟の入り口は崩壊して、完全に塞がれた。私はその場で取り乱してしまったけど、そこを何とかしてくれたのは吉野君だった。

彼は私にロングアーチに連絡を入れさせ、スカリエッティのアジトに居る人を聞き出し、アジトに居たフェイトちゃんに話をしていた。内容はここにセインを連れて来て欲しいという事。そして、その子の持つ特殊能力(インヒューレントスキルというらしい)を使って地中を潜って八雲君を助けて欲しいと頼んでくれた。本当に、セインと吉野君には感謝してもしきれない。

こうして助け出された八雲君やけど、意識は失ったまま回復しない。

シャマルの見立てではこの5年での高難度の仕事で溜まったダメージに一週間に2回も使ったオーバーリミッツのダメージ、極度の魔力と体力消費、今回の戦闘での肉体へのダメージが合わさっての事らしい。命に別状はないけど何時目覚めるか分からないらしい。明日目覚めるか、一か月掛かるか、一年経っても目を覚まさないか…。

その事で私は目の前が真っ暗になって倒れそうになったけど、そんな弱音を吐いている暇は無い。だから、私はひたすら仕事に打ち込んだ。何かをやってないと、最悪の事態を考えてしまいそうで…。

実際、寝ていると八雲君が離れていったり、…考えたくないけど、死んでしまうという悪夢ばっかり見る。

自分が病気で苦しかった時ですらこんな夢見なかったのになあ。

横を見て、八雲君がいないベットを見て、枕を濡らして、眠れないから仕事をする。こんな生活をしていたら、ついにアインスとシャマルに無理やり仕事を止められた。

ううん、二人だけやない。休養中のなのはちゃんやフェイトちゃん、なのはちゃんとヴィヴィオの為に休暇を取っていたユーノ君、シグナムにヴィータにリイン、たまたま来ていたクロノ君とカリムとロッサにも。

そして、皆に八雲君の眠っている病室に押し込められた。

私は眠っている八雲君の手を握り、話しかける。その手は暖かい。

 

「なあ、八雲君。何時まで寝とんの? そろそろ起きる頃とちゃう? お願いやから、目を覚ましてよ…。もう一回私の名前を、いつもみたいに『はやて』って呼んでよ…」

 

私は泣き出していた。

管理局内では六課を「奇跡の部隊」とか呼んでいるし、私の評価も上がっているらしい。でも、今の私にそんなものは何の価値も無い。そんなものより八雲君が目を覚まして、私の名前を呼んでくれるだけで良い。ただ、それだけで良い。

泣き疲れたのか、私はそのままベットの傍で眠りについた。不思議とその時は悪い夢を見なかった。

 

 

 

「うん…ここは?」

 

目を覚ました僕の眼に映ったのはどこかで見た覚えのある天井だった。

 

『ここはアースラの医務室です。マスターがここで目を覚ますのは、十年前の闇の書事件以来です』

「ああ、二回ほど気絶して運び込まれてたな。叢雲、今日何日?」

『九月二十九日です』

「…僕、十日も寝てたのかよ」

 

こりゃ、いろんな人に迷惑かけたなあ。

ふと、右手を誰かに握られてるのに気付く。僕は十日間眠り続けて強張った体を無理やり動かし、体を起こす。

そこには僕の手を握りしめながら眠っているはやてがいた。その顔には涙の跡が見て取れる。

 

「やっぱ、泣かせちゃったかあ…」

 

あの時の行動に後悔は無いけど、それでも、大切な人を泣かせたという事には罪悪感を感じる。

 

「しかし、この状況、10年前を思い出すなあ…」

 

僕はそう呟いた。僕とはやてが恋人になった日。その日にそっくりだ。違うのは今僕達は19歳なのと、今回ははやてを泣かせてしまっている事だ。

手持無沙汰になった僕は空いていた左手で彼女の頭を撫でる。はやての髪がサラサラだから、結構気持ち良くて好きだったりする。

 

「う、ううん…」

 

起こしちゃったかな? そう思い手を放す。

 

「何か頭を撫でられとった気がするけど…」

「おはようはやて」

「おはよう八雲君。…八雲君?」

「そうだよ。…って、なんかこの前も同じ感じのことやった気がするよ」

「八雲君!」

 

これまたこの前と同じように僕に抱き着いてくるはやて。この前と決定的に違うのは、はやてが泣いている事。

 

「ゴメン、はやて」

「ううん、謝らんでええよ。これは嬉し涙やから」

「そっか…」

 

そのまま、全身僕の上に乗るはやて。

 

「…お帰り、八雲君」

「…ただいま、はやて」

 

どっちからともなく近付いていって、口づけをする。最初は啄むように。どんどん深く激しく。会えなかった時間を埋めるように。

 

「そういや、事件ってどうなったのさ」

「…こういう雰囲気の時にそういう事聞く? まあ、気になるんは分かるけどな」

「その…ゴメン」

「別に怒ってへんよ。そういう真面目な所も好きやし。事件はめでたく解決や。ヴィヴィオも帰って来た」

「そっか…良かった」

「これで六課の最大の任務も終わりや。後の半年は、今までよりゆっくり出来るで」

「だな」

 

そっか、ゆっくりできるか。…ひょっとしてこれは神様のくれたチャンスなんじゃ? まあ、あの神様だけど。

 

「はやて、話があるんだけど…良いかな?」

「ええけど、何?」

 

僕は大きく深呼吸してから、

 

「僕は…十年前のクリスマスにはやてに言った言葉、その時の気持ちは今でも変わらない。この先も絶対に変わらない。でも、一つ変えたいものがある。だから改めて言うよ。はやて、これからずっと僕の一番近くで僕と一緒に歩いていってくれますか?」

「そんなん、答えは十年前から決まっとる。八雲君、私はこれからずっと八雲君の一番近くにいる。管理局辞めても、私達がおじいちゃんおばあちゃんになってもや。私は貴方の一番近くで貴方と一緒に歩いていきます」

「ありがとう、はやて」

「こちらこそや。これで、私達もついにその…」

「夫婦だな。まさか、半年前の冗談がこんなに早く本当になるとはね」

 

まあ、皆からしたらやっとなんだと言いそうだけど。

 

『おめでとうございます。マスター、はやて』

「ありがとう、叢雲。でも、君には見られてたんだよなあ」

「ホンマ、結構恥ずかしいな」

『アレもお渡しになっては?』

「おっ、そうだな。叢雲、出して」

 

デバイスの拡張領域にしまっておいた小箱を取り出す。

 

「これは?」

「決まってるじゃん。僕達は地球生まれなんだぜ? いわゆるエンゲージリングだよ。左手出して」

 

そして僕は差し出されたはやての左手の薬指に指輪をはめる。サイズも完璧。

 

「でも、サイズなんてよく分かったなあ」

「あー、去年、今まで使ってた手袋が破れて新しいのをシャマルからもらっただろ」

「そうやったね。アレもピッタリやったよ」

「あれな…実は僕が作ったんだよ。はやての手や指のサイズはその時シャマルに調べてもらったんだよ」

「やっぱり、八雲君器用やよね」

 

編み物を始めたきっかけはリインのサイズのセーターやらを作るためだった。そしたら案外楽しくなって色々作って皆に渡している。

 

「ん? なんで、八雲君がその時手袋渡さんだん?」

「確かに何でだろ? そうだ、その時忙しくて合間合間に作っていて、完成したけど、中々渡しに行く時間が無くて、シャマルに頼んだんだった」

「そういや、その時忙しかったもんね。…指輪ありがとうな。大事にするよ」

「喜んでもらえて何よりです。叢雲もありがとうな」

『いえいえ』

「それじゃ、不束者だけど、これからもよろしくな。はやて」

「こっちこそ、よろしくお願いします。あなた」

 

おおう、名前呼びも良いけど、あなたと呼ばれるのも良いね。

 

『マスター、イチャつくのもよろしいですが周りも気になさっては?』

「周り?」

『…では、失礼して』

 

叢雲はドアを開ける。ここは電子ロックだから叢雲でも開けれる。実際見たのは初めてだけど。

そして、開いたドアからなのはとフェイトとユーノが入って来た。

 

「…何やってるん?」

 

声色が絶対零度ではやてが聞く。怒ってらっしゃいますねー。

 

「えっと…その…」

 

しどろもどろの三人。まあ、こんなはやてを見るのは初めてだろうし。

 

「まあまあ、はやて落ち着いて。で、三人は何処から聞いてたの?」

「えーっと、八雲君が叢雲に日付を聞いた時かな」

 

僕が日付を聞いた時って…ほとんど最初からじゃん!

 

「まあ、良いや。どのみち皆には言う気だったし」

「そうやね」

「んじゃ、とりあえず…えーっと、知ってると思うけど僕、霧島八雲と」

「私、八神はやては結婚します! 式がいつになるかはまだ分からんけど、籍は入れて、ちゃんと正式に家族になる」

「という訳です」

「「「おめでとう! 二人とも!」」」

「「ありがとう、皆!」」

 

素直に祝ってくれるのは嬉しい。僕達の事を応援してくれた幼馴染たちだからなおさらね。

 

「さて…それはそれとして、盗み聞きしてたのには変わりないよね? この前ディバインバスター食らったし」

「そやねえ。とりあえず逃がさんよ。バインド!」

「この狭い空間だから僕達にも被害が出るかもね。だから、フォースフィールド!」

 

光が僕達を包む。これで、一回は攻撃を受けない。

 

「さて、久しぶりだから、手加減できるかねえ…」

「怖いよ、八雲!」

「まあ、そんなんどうでも良いや。たっぷり寝たから魔力も全回復だし。叢雲!」

『…Mode Release Over Limit』

「八雲、それはやりすぎだよ!」

「やり過ぎって、こちとら、一世一代のプロポーズを一部始終聞かれてたんだよ! 天光満ところに我はあり、黄泉の門開くところに汝あり、盗み聞きしてた奴らに神の雷! インディグネイション!」

 

僕の最終奥義が火を噴いた。

この後、何があったか来た、シャマルに病み上がりに何をやっていると数時間正座でお説教された。足がしびれるよ…。あっ、皆に婚約の報告するの忘れてた。

 




ストライカーズ本編で残すのは最終日のみとなりました。
大筋はここでおしまいです。
この後は合間にいくつか話を挟んで最終日になるとは思います。ここで更新速度もぐっと遅くなります。

追記

と上で書いているのですが、アンケートで聞こうと思います。期間は三月十日まで。参加してくださると嬉しいです
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