魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編 作:ピーナ
「ロストロギアの回収任務? 僕に?」
意識が回復して、はやてにプロポーズして、幼馴染たちに怒りのインディグネイションをぶち込んでから数日経って、僕は職務に復帰していた。
翌日、シャマルに精密検査を受けさせられて異常が無かったから、僕自身が頼み込んで復帰させてもらった。
「そうや、カリムからの依頼でな。でも、今六課は開店休業状態で動けるのって私と八雲君くらいなんよ」
「そうだね」
僕は相槌を打ちながら、六課の現状を思い返す。
僕を除く前線メンバーは軒並み限界を超えた働きをしていたので、シャマルからドクターストップが掛かった。一番軽いシグナムでさえ、して良いのは書類仕事だけ、訓練すらNG、現場に出るのはもっての外との事だ。
「まあ、でもそれは今ミッドの部隊の大半はそんな感じやし、我がまま言えんのやけどな」
「だね。んじゃ、リハビリのついでにさっさと行きますか」
「そうやね。ヘリの準備は頼んであるから格納庫に行こか」
ヘリで揺られる事数十分、僕達は、カリムの連絡に有った場所に居た。
遺跡らしいけど、普通に洞窟って感じの所。僕が生き埋めになったのよりは大きいけど。
「つーか、何でこんな所にロストロギアが有るって分かったんだ?」
「話によると、聖王教会の古い書物に書かれてたらしいで。今の所何もないけど、何かあったら遅いから早めに回収しとくって事やそうや」
「なるほどね。…っと、開けた所に出たな。ん? ひょっとしてあれか?」
開けた所にはたくさんの花が咲いていて、その周りの雰囲気に似合わない機械が安置されていた。
何で洞窟で花が? と思ったけど、上の方が割れているらしく、光が差し込んでいた
「そうやろうね。それじゃ、私が封印するから、護衛とかよろしく」
「了解。ちゃっちゃと済ませて、帰ろうよ」
そう言いながら、僕達はそのロストロギアらしき物に近付いていく。こうやって軽口を叩いているけど、ちゃんと周りに注意を気を配っている。
こういうロストロギア関係の遺跡には防御用の何かが仕掛けられている事が多い。だから、今の所何もなかったから結構拍子抜けしている。…もしかして危険な物では無い? なら良いけど。
「さて、完全封印を…って、えっ?」
「どうしたはやて?」
僕が封印をしているはやての方に目をやると、何故かロストロギアが起動していた。…何故に?
「いや、どうして起動してんだよ!?」
「勝手に起動したんやって!」
「ちっ、何は起こるか分からんから、一応、フォースフィールド!」
暴走でどうなるか分からないから、僕達の身を護るための呪文を選択する。
その間にもロストロギアはどんどん動いて、というより光を放っている。これはひょっとして…結構ヤバい? フォースフィールドはその特性上、一回は確実に攻撃を防いでくれる。だから、暴発でのダメージは無いけど、洞窟内だから、生き埋めの可能性がある。ここは非難するべきか?
と、思ったら光は急激に弱くなっていく。
そして、その光の後には、幼い頃のはやてそっくりの少女が倒れていた。そっくりと言ったのは髪の色が違うのだ。はやての明るい茶色ではなく、黒髪。
「一体、何が? それにこの子は?」
「分からん。とりあえず、ロストロギアの封印とこの子の保護。封印は私がするから、八雲君は先にこの子を連れてヘリに」
「了解。ついでにシャマルに連絡入れて、検査の手配もしとく。後、ユーノに調査依頼もだな」
「やね。幸い、そこまで大きくないから、直接教会に送ればええし。画像データだけ先にユーノ君に送っとけばええやろ」
簡単に今後の方針を立てて、はやては完全封印に取り掛かり、僕は女の子を抱えて、ヘリに向かった。
しかし、違和感だよな。俺の奥さんのそっくりな女の子が突然出てくるなんて。
「簡単に言うと、今回見つかったロストロギアはその近くにいる人間二人の遺伝子情報を読み取って、その二人の遺伝子情報を合わせたクローンを、いわば子供を作るものだよ。名前はアイゼン・ゲベーアムッター。直訳するなら鉄の子宮。元は、確実に王族や貴族の血を残すために作られたらしい。それ以外にも色々使われてたらしいけど」
ユーノが調べた内容を教えてくれる。
「色々って?」
「良いようにも悪いようにもって事。例えば『二人の人間』っていうのは男女問わずだから、男性同士あるいは女性同士でも子供を作れる。古代ベルカの高貴な人間はそう言う趣味の人が多かったって言う話だし。戦争で怪我して子供が出来ないという場合でも作れる。ここが良いように。悪いようにって言うのは、簡単に子供を作れるから、そこから厳しい訓練をさせて何も考えられない兵士、軍団を作ってしまえる事。後期に作られたのだと、それ用に改造されている物もあるらしいよ。最初から都合のいいようにするためにね」
なるほどね…。使う人次第って訳か…。つーか、最後のは胸糞悪い話だな。
「まあ、完全封印したし、カリムに渡したから大丈夫やろ。ありがとうなユーノ君。無理言って」
「良いよ。そこまで忙しくなかったし。それじゃ、僕は僕達の部屋に帰るよ」
そう言ってユーノは立ち去って行った。
「…なあ、はやて、一つ提案があるんだけど」
「偶然やな、八雲君。私にもあるんや。一緒に言おか? せーの」
「「あの子を僕達(私達)の子供として迎えない?」」
…やっぱ、考えてきた事は同じか。ほっとけないよな。
「どういう生まれであれ、あの子は私と八雲君の血を引いた子や。そんな子をほっとくわけにはいかんよ」
「ていうか、たとえそうでなくても、僕らが拾った子なんだから、僕達が面倒見ないとね」
「やね。そんなら、様子見にいこか」
僕達は女の子の眠っている医務室に向かった。
その子は、医務室のベットでぐっすり眠っていた。
「やっぱり、小っちゃい頃のはやてにそっくりだな」
「そうかな? 自分の事やから、よう分からんわ。でも、この綺麗な黒髪は八雲君やな」
寝ている子を観察しながら、僕達は静かに言葉を交わす。大きすぎると目を覚ましちゃうからね。
「ん…ここは…?」
起こしちゃった? それとも、ぐっすり寝たから起きただけだろうか?
「起こしてしもたかー。ここはアースラっていう大きな船の中の部屋やよ」
「そうですか。…一応、自己紹介をしておきます。私はアイゼン・ゲベーアムッターによって作り出された、クローン体。名前は有りません」
何か…話し方が無機質な感じを受ける。僕がそう思っている間にも、女の子は話し続ける。
「あなた方は私に何をさせるのでしょう? 何を求めるのでしょう? 戦いですか? 殺しですか? どうせ、それくらいしか私には「なにもせんでええよ」…はあっ!?」
意表を突かれ、間抜けな声を出してしまう、女の子。
「なにもせんでええ。君は一人の人間として、ちゃんと成長して生きて行けばええんよ」
「だね。君の生まれとかそんなのはどうでもいい。君が子供で僕達は大人。そんで、君を僕達が助けた。しかも、その機械によって君は僕達の子供だ。なら大人が子供に望むのはすくすく成長して行く事だよ」
「で、でも…私にはそれしか…」
「子供の内からそれしかなんて言ってちゃだめだよ」
「子供は可能性の塊や。決めつけず、頑張れば何とかなるもんやで」
「それで君に話が有るんだけど、もし、君が良ければ、僕達の娘にならない?」
「娘…ですか?」
「そうや、娘や」
「どうして…どうして、そんな事を…」
「うーん、理由はいくつかあるけど、一番大きいのは僕らが君を一人にするのをほっとけないって事かな?」
「やね。たとえ君が私達と血が繋がっていなかったとしても、私達は同じ答えを出してたと思うで」
多分、これの奥底にあるのは、僕達が子供の頃に両親を亡くしている事が理由だと思う。
だからこそ、同じ境遇になる、なってしまう子をほっとけなかった。
「…よろしくお願いします。お父さん、お母さん」
その子は深々と頭を下げる。
「よろしくな。それじゃ、名前考えやんとなー」
「そうだね。…………『咲耶』ってどうかな?」
「綺麗な名前やけど、由来とかはあんの?」
「ほら、例の機械が置いてあった所、綺麗な花がいっぱい咲いてただろ? だから、『咲』の字は使いたかったんだよ。それで、響の良い感じでって事でね。どうかな?」
「私は良いと思うで」
「私も綺麗な響きだと思います。咲耶、咲耶。ふふ♪」
自分の名前を呟きながら笑顔になる咲耶。やっぱり女の子は笑顔に限る。
「そういや、僕達自己紹介してないんじゃない?」
「あー…うっかりや。そんじゃ、しとこかな。私は八神はやて。今日から、咲耶のママになります。よろしゅうな」
「僕は八神八雲。咲耶のパパだよ。よろしくね」
「私は…私は八神咲耶。お二人の娘です。これからよろしくお願いします」
これが僕とはやてが、愛娘咲耶と出会ったお話。
「まずは敬語を抜かんとな~」
「そうで、…そうだね。頑張るよ」
いかがだったでしょうか? 結構こじつけ感があるとは思います。
ちなみに、ここではまだ咲耶の両親の呼び方が「お父さん、お母さん」呼びなのですが、時間が経って自然に「パパ、ママ」呼びに変わっていきます。それにヴィヴィオの影響が有ったのは確実です。