魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編   作:ピーナ

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まだSS本編に入りません。


第一話 編成会議

はやてに機動六課の副部隊長(これだと、シグナムやヴィータとかぶって分かりにくいからこれから副長と呼ぶ事にする)の打診を受けた日から数日後、僕は本局の仕事場…ではなく、ミッドチルダの首都、クラナガンにある喫茶店に居た。サボタージュ、俗にいうサボりである。まあ、今日の仕事は終わらせてあるから厳密にはサボりとは言い難いのだが。

 

「管理局の切り札とまで言われている方が、こんな所でサボりですか」

 

そう僕に話しかける声がした。僕は声の方には振り向かずそのまま、

 

「うるせー、こっちは今日の仕事終わらせてからサボってんの。いうなれば自由行動の時間ってやつ。週の半分をサボってるようなどこぞの査察官さんとは違うっての」

 

と言い返した。

 

「…はやてに言うよ?」

「こっちこそ、シャッハに言うよ?」

 

とここまでいつも通りのテンプレの会話をした後、

 

「久しぶりだね、八雲」

「それでも、一か月と間開いてないだろ? ロッサ」

 

と普通に会話を始める。僕の目の前に座っているのは、ヴェロッサ・アコーズ査察官。古代ベルカ由来のレアスキルを持つ優秀な査察官で、僕の友人の一人だ。

 

「はは、そうだね。クロノと会うのなんて二か月に一回会えれば良い方だから、それに比べたら頻繁に会ってるね」

「僕の方はそこまで仕事の関係で開かないけど、それでもロッサよりは会わないね」

「ユーノ司書長とはどうなんだい?」

「ユーノとはなんだかんだ週2くらいのペースで会ってるかな。場合によってははやてより会ってる。まあ、同じ本局だし、アイツ誘わねーとまともに飯食わねえし」

「ははは、まるで彼氏彼女の関係だね」

「馬鹿言え、僕は十年前からはやて一筋だし、ユーノはなのは一筋だ。…だからこそさっさと結ばれろとは思うけど」

「僕としては友人皆が彼女持ちなんてやめて欲しいけどね」

「なら、作れば良いじゃん。ロッサならすぐ作れるでしょ。見た目良いし、家柄も良いし、高級取りだし」

「でもまだ、その気は無いんだよね」

「なら別に気にしなくても良いじゃん。彼女持ちの僕や家庭を持ってるクロノも普通にこうやって友達付き合いはできるんだしさ。付き合い始めはともかく、それなりに時間が経てばいつも通りに戻ると思うよ」

「そういうものかい?」

「そういうものだと思うよ」

 

ただし、なのはもユーノも片想いの期間が長かったから当分は周りに糖分を過剰に供給するバカップルになると思う。仕方ないよね。なのはもユーノも4年も片想いなんだから。僕とはやての8倍なんだぜ?

 

「さて、僕達の友人関係については置いておくとして、そろそろ本題に入るとしようか」

 

そうロッサが言った。そう、僕達はただサボって喫茶店で世間話をしに来たんじゃない。

 

「本局勤めが長くて地上本部の事知らないから、教えてもらおうと呼び出したんだったな。いつも通りだから忘れてた」

「君から呼び出しておいて…まあ、いい。地上本部の上層部の人員は数年前から変わっていないよ」

「レジアス中将か…。あのおっさん自体はそこまで嫌いじゃないんだよね」

「意外だね」

「そうか? あの人は確かにレアスキル持ちとかを嫌ってるらしいけど、たたき上げの人間からしたら仕方ない事だろ。犯罪者上がりを嫌うのも同じ」

「黒い噂もある人だけど、有能なのは間違いないからね。魔法至上主義の管理局で魔力保有せずに中将なんて地位に居るのがその証だ」

「でも、本局、『海』嫌いなのも有名だからなー。六課的には面倒な事この上ないかな」

「それは仕方ないね。本局と地上本部の上層部の仲が悪いのは昔からだから」

 

現場レベルではほとんどそういう事はないのだが、本局と地上本部の上層部は非常に仲が悪い。これは優秀な人材をどんどん本局が引き抜いていき、慢性的な地上本部の戦力不足からだと言われている。

 

「上層部以外はそれなりになんとかなるでしょ」

「はやても君も他の隊長陣もそれなりにいろんな所でコネを持ってるからね」

「六課は本部を地上に置くし活動も地上だから、地上部隊との連携は必須だからね」

「…こんなものかい?」

「うん、ありがとうロッサ。おっ、もうこんな時間か。それじゃあ僕はもう行くよ。支払いは僕がしておくよ。今日のお礼に」

「済まないね。しかし、何か用事があるのかい?」

「ちょっと、美人とデートをね」

 

そう言ってロッサと別れた。

 

 

まあ、といっても僕は今日は普通に仕事であって、本局に戻る訳だが。

現在、僕は本局の小さな会議室の前にいる。ここで美人さんと密会なわけだ。しかも二人。

 

「よっす、お二人さん。おまたせ」

「遅えぞ八雲」

「ゴメン。お詫びに今日の夕飯のデザートにアイス用意しとくから」

「…イチゴのだぞ」

「了解」

 

ヴィータのお願いに苦笑しながらもOKと僕は答えた。

そう、ここいる美人さん二人というのはヴィータと、

 

「二人とも相変わらずなの」

 

『管理局の白い悪魔』こと、なのはの事だ。

 

「…八雲君、何か失礼な事考えなかった?」

「いや、ソンナコトナイヨー」

「怪しいの」

「気のせいだって。それより本題に入ろうぜ」

 

何とか誤魔化す僕。…はじめて『ディバインバスター』を見た日からなのはだけは怒らせないと決めたのだから。

 

「六課の新人フォワードを決めるんだよね。それなら二人頼まれた子がいるんだ」

「頼まれた? 誰に」

「フェイトちゃんに。とりあえずその子達のデータを見て」

 

表示されたデータに有った顔写真は10歳くらい、丁度僕達が魔法と出会ったころの男の子と女の子だった。

 

「おいおい、こんな子供をフェイトが推薦して来たのかよ」

「うん。この子達、エリオとキャロはね、フェイトちゃんが保護責任者をしている子供なんだ」

「そういや、そんな話あったな。見覚えもあると思ってたけど、写真を見せてもらった事もあったな、たしか」

「そうだよ。で、その子達が管理局に入ったからフェイトちゃんがそばに居させたいんだって。ちなみに、管理局に入ったのはその子達の意思」

「甘いなあ…。まあ、フェイトらしいっちゃらしいか」

 

データを見ながらそう呟く僕。しかし二人とも才能は間違いなくある。この年で陸戦Bというランクをもつエリオ、陸戦C+ながら竜召喚という切り札持ちのキャロ。

しかし、この部隊では何があるか分からない。

 

「二人はどう思う?」

「私は良いと思うぞ。二人とも前線でやっていけるだけの能力はあると思う」

「私も。八雲君は?」

「僕としては反対。最前線ともいうべき六課で子供が戦うのは危なすぎる。能力的には全然OKなんだけどね」

「…ねえ、八雲君。昔話なんだけど良い?」

「どうした突然? よく分からないけど良いぞ」

「私と八雲君が魔法に出会ったジュエルシードの時の事覚えてる? もっと言うなら時の庭園で初めてクロノ君とリンディさんに会った時の事」

「うん、よく覚えてる」

「あの時のリンディさんの言葉は?」

 

なのはのその言葉を聞いて僕はハッとした。

その時と今は状況が良く似ている。僕の立場は子供から大人へ変わっているけれど…。

 

「そうだな。子供の想いを叶えてやるのも大人の務めか。分かった、この二人にしよう。…人数的に後二人か。能力的にエリオがガードウイング、キャロがフルバックか。なら後の二人はフロントアタッカーとセンターガードか」

「新人の教導的にもそれが良いね」

「部隊運用的にもそっちの方が良いんだよ」

「どういう事だ?」

「これは、僕個人の考えなんだけど、空戦魔導師は空戦魔導師と組んだ方が良いし陸戦魔導師は陸戦魔導師と組んだ方が確実に良いと思う。ただ、最前線の部隊はどうしてもいろんな所に対応できないといけないから混成の編制になっちゃうんだよ。だから、最小のツーマンセルは空戦同士、陸戦同士で組ませたいってのが僕の考え」

 

海などの空が開いている所ならともかく、建物内などの天井がある所では熟練の空戦魔導師でもない限り陸戦魔導師に分がある。どこで戦うか分からないので、空戦魔導師だけで部隊を編制するのはナンセンスだ。そして、部隊の保有ランク的に高ランクの魔導師を入れる事は出来ない。よって、陸戦魔導師の方が良いのだ。

 

「できれば、何年かツーマンセルで活躍してるコンビを纏めてスカウトしたいとこだね」

「うーん、コンビっていうのは難しいかな…」

「おっ、悪い、はやてから通信だ」

 

そう言ってヴィータが一旦席を離れた。

 

「結構条件絞ったからな。若手で才能のある陸戦魔導師、コンビでしかもポジションがフロントアタッカーとセンターガード」

「持って来たデータには一致する子達は居なかったし…困ったね。一回お開きにして別の日にする?」

「それしかないかな」

 

と解散ムードだった時、

 

「ちょうど、条件に合う奴らが居たぞ」

 

と、戻ってきたヴィータがそう言った。

 

「ホントに、ヴィータちゃん」

「ああ、さっきはやての通信中にリインが通りがかって、今度魔導師ランク試験の試験官をする話をしてたんだ。で、これがその二人のデータだ」

 

表示されたデータには二人の女の子の顔写真が表示されていた。

青い髪のショートカットの方がスバル・ナカジマ。たしか、はやてと個人的な付き合いのあるゲンヤ・ナカジマ三佐の娘さんだ。

そしてもう一人がオレンジの髪のティアナ・ランスター。

 

「ランスターか…」

「ん、八雲君何か言った?」

「いや何も。この二人は災害担当の部隊でフォワードトップとシューターをやっていて陸士の訓練校からコンビを組んでると」

「ああ、災害担当のフォワードトップとシューターは武装隊で言えばフロントアタッカーとセンターガードだ。コンビも二年組んでる。良いと思うんだがどうだ?」

「確かに、条件には当てはまるね…。そうだ、この子達もうすぐランク試験があるんだよね?」

「ああ、リインがそう言っていたな」

「ならそこで実際に見て決めるか」

「そうだね。その方が良いと思う」

「そんじゃ、そういう事で今日は解散」

 

こうして前線部隊の編成会議は幕を閉じたのだった。




SS本編は次からでしょう。多分。
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