魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編 作:ピーナ
時間が流れて、春。ついに機動六課は始動の日を迎えた。迎えたのだが…
「…どうして君が今ここに居るんだい? 八雲。今日は六課始動の日だろ」
そう、僕に話しかけたのはロッサ。僕達が話しているのは時空管理局の本局の廊下だ。
「そうなんだけどさ、運用部の最後の仕事が思った以上に長引いちゃって、後始末の書類仕事が今日まであったのさ。クロノとかレティ提督は別にいいって言ってくれたんだけど、途中で投げ出すのは嫌だったからさ」
「はやてには言ってあるのかい?」
「もちろん。上司だしね。ちゃんとOK貰ったからここに居るんだよ」
「それは分かったけど、どうして君は今ベンチでコーヒーを飲んでのんびりしているんだい?」
「いやー、今戻ると始動式の真っ最中になるから、今はここでのんびりしてる」
「それは…サボりになるんじゃないかい?」
「どうだろ? もう、お昼だから微妙ではあると思うよ。それより一緒に昼飯でもどうだ?」
「いいよ…と言いたい所だけど、今日は忙しいんだ。悪いね」
「珍しい事もあるもんだ。こりゃ、明日は雨だな」
「たまにはこういう事もあるさ。代わりにユーノ司書長なんてどうだい? それじゃ、僕はこれで」
それだけ言ってロッサは立ち去って行った。
僕はロッサの提案に乗ってユーノに連絡を入れる。
『八雲、何の様だい?』
「久しぶり。今暇? っていうか、ちゃんとご飯食べてる?」
『今は少し司書の仕事が空いたから、論文書いてる所。ご飯は…』
そこで言葉が詰まるユーノ。映像通信だから表情が丸見えなので、よく分かるが冷や汗を掻いている。
「…また、カロ○ーメイトで済ましていただろ」
『ウィ○ーも飲んだけどね』
多分、業者以外でこれらを箱買いするのはユーノ位だろう。毎回、フェイトに会いに来たプレシアさんやアリシア、リニスやアルフに頼んで買ってきてもらってるし。
「そういう問題じゃないと思うんだけどさ。まあいいや、それなら一緒に昼飯でもどう?」
『あれ? 今日って六課始動の日じゃなかったっけ』
「そうだけど、僕は個人的な用事で本局に今居るんだよ」
『なるほど、分かった。食堂の入口で待ってて』
「了解。早めに来てね」
そう言って通信を終える。
ユーノと合流して僕達は昼食を始めた。
「ユーノ、本当にちゃんとご飯食べないと体に悪いよ」
「分かってるんだけどね。どうしても仕事を始めると集中しちゃって」
「…その集中力をなのはに向けてやれよ」
「向けたいんだけどね…」
二人とも恋愛に関して言うならかなり奥手だよね。
「さっさと付き合って、なのはに愛妻弁当作って貰えよ」
「あいさ…、何言ってるのさ、八雲!」
顔を赤くして大きな声を出すユーノ。
「これぐらいで恥ずかしがるなよ。なのは料理上手いし、ユーノが頼めば作ってくれるよ」
「そうかな?」
「まあ、まずは告白しないとね」
「…だよね。八雲はいつ、はやてと結婚するつもりなのさ?」
おっとユーノの癖に反撃か?
「まあ、さすがに今年は無理かな? クロノも結婚は20歳位だったし、それも十分早いからそこまで焦りはしてないよ」
「でも、はやては待ってるんじゃない?」
「うん、だと思う。ユーノ達は知ってるだろうけど、10年前の告白ははやてからだったからさ、プロポーズは僕からしたいんだよ。なんかのきっかけが有ったら出来るだけ早くには言おうとは思ってる。準備はしてあるし」
「準備?」
「ミッドにそういうのが有るか知らないけど、日本だと大体プロポーズの時に指輪を贈るんだよ。こっち暮らしも長くなったけど、プロポーズするなら指輪を贈りたいなって」
「ミッドにも聖王教会での結婚式で指輪を贈る儀式があるから、近いのはあるね。準備って事は…」
「気が早いけど、もう指輪は用意してある。後は本当にきっかけかな」
「…なんか、八雲がそこまで考えているって思うと、告白一つ出来ない自分が恥ずかしいよ」
「まあ、恋愛事なんて人それそれのペースで進めれば良いんじゃない? 僕達には僕達の、ユーノ達にはユーノ達のペースがあるんだしさ」
「そうかもね」
僕とはやての関係も、ユーノとなのはの関係も、それぞれが動いてきた結果だ。そこにはずれはない。
100組のカップルが居るなら、多分100通りに答えが存在する。周りから「それは違うだろう」と思われていても、当人たちがそれでいいのならそれは当人たちにとって正しい答えなのだ。
「さて、それじゃ僕は行くよ。午後からは本格的に六課の仕事しないと」
「新人たちの面倒かい?」
「ま、そんな所。はやてやなのはやフェイトの負担も減らさないとね」
あの三人は真面目で責任感が強い。
それは普通に良い事なんだけど、彼女たちはそれが度が過ぎる。度が過ぎてパンクしそうになる。それを誰かがセーブするように持っていかないといけない。普段はお互いがお互いのその部分に気付いて、三人で出かけたりして息抜きをしているのだが、今回は「他の二人が頑張っているのだから」と思っていつも以上に頑張り過ぎる気がする。頑張るなとは言えないし、頑張り過ぎるなと言っても聞かないので、出来るところは僕がサポートをするしかない。
なのはには教導の手伝いをヴィータと一緒に、フェイトはある程度ライトニングの新人たちの面倒を、はやては引き受けられる書類のサポートと恋人として日常の生活を。
幸いと言っていいのかは微妙な所だけど僕は体力に自信がある。まあ、これも転生特典の内だったんだけどね。出来る事はやらないと。
「それで、八雲自身がパンクしない?」
「大丈夫、あの三人と違ってガス抜きはちゃんと出来るから」
「たしかのそうだね。子供の頃から妙に大人ぽかったし」
「そうかな?」
たしかに、ユーノと出会ったころは小学生の体に高校生の精神だから、子供からみたらそう見えていたんだろう。
…良く考えると違和感あるだろうな、それ。
さて、本局から六課の隊舎に戻ってきた僕は、併設されている訓練エリアに向かった。
「早速やってるねー」
「八雲君、本局の仕事終わったの?」
そう話しかけたのは新人たちの訓練をモニターで見ていたなのはだった。
「まあ、そんなに量が残ってたわけじゃないしね。で、どうよ? 新人たちは」
「凄い良い子たちだよ。これからが楽しみだね。まずは基礎訓練から入って、確実で安全な戦術を教えてって感じだから、1~2週くらいはフル出動を避けたいかな」
「了解。緊急で出ないといけなかったら、僕とヴィータとシグナムの3人で片付けるから新人はある程度任せるよ。本格的に僕とヴィータの手が必要になってきたら言ってな」
「分かってる。あ、そうだフォワードの皆に紹介しないと」
そう言って僕はなのはに連れて行かれた。
新人の皆の訓練が終わったのでそれを見計らって、僕となのはは新人たちの所に行った。
「みんな、お疲れ様。今から休憩なんだけど、その前に紹介したい人が居るんだ。八雲君」
「はいはい。僕は霧島八雲、ここ機動六課の副長で君達前線部隊の指揮を任されています。よろしくね」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
若い子は元気が有っていいね。
「じゃあ、親睦を深めるという意味で八雲君に質問をしていこう! どんどん聞いて行ってね」
「ちょっ、なのは!?」
「じゃあ、はい!」
手を上げたのは青髪のショートカットの女の子。
「はい、スバル」
「なのはさんと仲良いですけど、霧島さんは付き合っているんですか?」
「付き合っていないよ。なのはとは幼馴染だね。後、僕の名前は下の名前で構わないよ」
「そうだねー、初めて会ったのは…9歳の時だね。後、八雲君は付き合っている人が居るしね」
「「「誰ですか!」」」
食いついたのは女子3人。本当に女の子はコイバナ好きだね。
「はやてちゃんだよ」
「はやてちゃんって…」
「6課の隊長の八神はやて二佐だよ。もう付き合って10年になるし、同棲もしてるし、ずっとバカップルだよ」
「…そこまで言わなくても良いんじゃない? んで、他の質問はある?」
「ポジションは何処ですか?」
そう聞くのはまじめそうな雰囲気のオレンジ髪の女の子。
「一応、フロントアタッカーで登録してあるけど、やろうと思えばどこでも。仕事の関係でいろいろな所の穴埋めしてたら自然に出来る様になったって感じだけど」
「仕事の関係と言うのは?」
「前の所属が本局の運用部でそこでいろんな仕事をさせられたからね。元々幅広く魔法を使えたのが理由だったけど、気付いたらどのポジションでも仕事出来る様になってた」
なれない所での仕事で疲れた日々を思い出しただけで、なんかげんなりするわ…。
「僕もそろそろ、仕事に戻るよ。なんか聞きたい事とか、質問とかがあったり、アドバイスが必要なら何時でも話を聞くよ」
「「「「はい!」」」」
新人たちの元気な返事を聞いて僕は隊舎に戻っていった。
それから僕は今日は大した仕事が無かったので、そのまま自室に戻った。
その夜に帰って来たルームメイトがはやてでお互い妙に気恥ずかしかったのは僕達だけの秘密だ。
ただ、この部屋割りにしたアインスとシャマルにはグッジョブと言わざるおえない。
次は初出動のお話になると思います。
恐らく更新は年を明けてからになると思います。