魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編   作:ピーナ

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物語は待ったなし、初出動のお話です。


第四話 ファーストアラート

六課発足から少し経ったある日、僕は自分に宛がわれた執務室でも、訓練場でも無く、六課の隊舎内をのんびり歩いていた。もちろん業務時間内だ。

今は、ヘリの駐機場にいる。

 

「やっぱ、ヘリ…っていうか、乗り物はカッコイイねー」

 

僕がそう呟いていると、

 

「…っていうか、副長なにやってるんすか」

 

ヘリのパイロットスーツを着た青年が話しかけてきた。

 

「何って、サボり。ていうか、副長は止めてヴァイス。なんか気持ち悪い」

 

この青年―ヴァイス・グランセニック陸曹―との付き合いは結構長い。

一番最初出会ったのは、8年前ヴァイスが管理局に入局してすぐにシグナムの隊に配属された時だった。

年齢的にクロノやロッサに近いんだけど、個人的に二人より親しみやすい。

 

「了解。サボっていると、八神司令やシグナムの姐さんに怒られますよ」

「大丈夫。やらないとダメな奴はもう終わってるから」

 

残っているのは期限にかなり余裕のある物ばかり。後、書類仕事は得意だ。というより、慣れた。レティ提督がかなり無茶な量を回してきたのでそれをこなしている内に慣れた。

 

「それよりどうよ、最新型のこいつは?」

 

僕は僕達の横に止まっているヘリ、管理局武装隊の最新輸送ヘリ、JF704式ヘリコプター を指差しながら言う。

 

「凄いの一言ですよ。かなりの大人数を輸送できるサイズでありながら運動性も抜群。欠点が値段が高いだけですから」

「運用部でこれを採用した人も同じ事言ってた。ぶっちゃけ、六課の前線メンバーの輸送だけならこれ一機で足りるし」

「ただ、その分操縦も難しいっすよ」

「A級ライセンス持ちのヴァイスがそう言うって事はよっぽどだね」

「俺は大丈夫ですけど、乗りたてのひよっ子にはきついっすかね」

「まあ、一機種だけになる事は無いからその辺は問題無いと思うよ」

「小隊規模の運用だとここまでサイズいらないっすからね」

 

ヴァイスとヘリの運用について話していると六課の隊舎内に非常事態のアラートが鳴り響いた。

 

「はあ、面倒事だよ…。ヴァイス何時でも出せる様にしといて」

「了解っす」

 

アラートを聞いて慌ただしく動き出す整備の人達を見ながら僕はブリーフィングルームに向かった。

 

 

ブリーフィングルームにははやて、なのは、フェイトの六課の隊長陣がすでにいた。

 

「集まったみたいやね。それじゃ、時間無いし簡潔に状況説明を。六課が専任となっているロストロギア、レリックを輸送したリニアトレインがクラナガンの東の山岳部を運行中にガジェットにハッキングされて、占拠。今回はそれの奪還や。メンバーはヴィータとシグナムを除く前線部隊は全員参加。現場の指揮は八雲君、こっちの指揮は私…と言いたいんやけど、グリフィス君に任せる事になる。質問は?」

 

はやてが聞くが誰も無い。

 

「まあ、もし何かがあるなら移動中にグリフィス君にでも聞いて」

 

はやての言葉に皆頷く。

 

「あっ、そうだ。僕のサポートにリインを貸してくれる?」

「OKや。じゃあ、ヘリの用意が完了次第…」

「それは出来てると思う」

「なんで?」

「アラート聞いた時ヴァイスと一緒に居たから」

 

その言葉を聞いて三人がジト目になる。

 

「…八雲君、またサボってたの」

「もうちょっと、真面目にやってよ…」

「…これは、帰ってきたらおしおきやな」

「ま、まあ結果オーライだしさ。それより早く行こう、今回は時間との勝負だろ」

「そうだね。行こう、なのは、八雲」

 

そして、僕達はブリーフィングルームを出ようとする。

 

「八雲君」

 

すると、はやては僕を呼び止める。

 

「何? はや…」

 

僕は振り向きながら喋っていたけどそれを遮られる。はやての唇で。

たっぷり30秒はやてとキスをして、

 

「八雲君、頑張って」

 

と笑顔で見送られた。ここまでしてもらってやれなきゃ男じゃないよね。やってやるさ。

…やる気満々になったんは良かったのだけど、その後なのはとフェイトにいつものようにからかわれた。

 

 

 

全員がヘリに乗り込んで現場に向かって行く間、僕達出撃メンバーは簡単なブリーフィングを行う。

 

「今回の作戦はスターズ1、ライトニング1が作戦空域の制空権を確保した後スターズ3、4のコンビとライトニング3、4のコンビが列車に降下して中を制圧していく。列車の先頭車両からスターズが、後方からライトニングがだ。ここまではOK?」

「「「「はい」」」」

 

皆は返事をしたけど、いつもより返事が硬い。表情も硬い。やっぱり初出動で緊張してるのかな?

さて、どうしたものかな…

 

「皆、六課が指導してから今日までなのはと一緒にやって来た訓練を思い出して」

 

僕の言葉を聞いて皆が今までの厳しい訓練を思い出して全員が苦い顔をする。

 

「おー、流石は教導官さん。短い期間であんな表情させるなんてどんだけ、厳しいのやったんだよ」

「それが仕事だからね」

 

笑顔でそう答えるなのは。その笑顔には自分の教導の自信と新人の4人への信頼が窺える。

 

「でも、君達は弱音を吐かずその厳しい訓練をこなした。だから、僕達は自信をもって君達を送り出せる。だろ? なのは、フェイト」

 

僕の言葉に頷く二人。

 

「もし弱気になったら、そばにいるパートナーを、自分の使っているデバイスを、六課でやって来た事を信じて。それがきっと君達の力になるから」

「でも…私、失敗するのが怖くて…」

 

そう、弱気な事をいうキャロ。

皆少しはそう思っていると思う。初出動なんだし。でも、管理局員としての経験のあるスバルとティアナ

 

「失敗するのが怖いのは分かるよ。でも、今回はそれを気にしなくてもいい。何か失敗しても後ろには僕もなのはもフェイトも居る。僕達がフォローする。だから、安心して君達は全力で事に当たって欲しい」

「「「「はい!」」」」

 

皆は大きな声で返事をする。表情の硬さは取れていた。

 

「八雲君、現場までもうすぐです」

「了解。なのは、フェイト」

「分かってる。…皆、私は皆にこの状況を乗り越えられるように教導をやってきた。その成果見せてよね。スターズ1、高町なのは行きます!」

「私は色々忙しくて見てただけだけだから言えるのはこれだけだよ。頑張って! ライトニング1、フェイト・テスタロッサ行きます!」

 

二人はそう言って出撃した。彼女たちは歴戦のエースだから、この程度の敵に遅れなど取らない。

数分の後、作戦空域の確保が終わった。

 

「順番はスターズの二人から。ちゃんと、ヴァイスが降り易いように飛んでくれるから、降下に集中しなよ。後、僕とリインからの指示があるかもだから、ちゃんと通信にも気を向ける事。いいね?」

「「「「はい!」」」」

「良い返事だね。ヴァイス、さっき言った通りよろしく」

「さりげにハードルあげますねぇ。まあ、期待に応えるとしましょうか!」

 

軽口を叩きながらも、しっかりと列車の上空で降り易いようにつける、ヴァイス。そして、無事に4人は列車に降下した。

僕とリインはヘリでそのまま現場管制を行う。

 

「なんかさっきの八雲君、普段の感じと違ったです。隊長さん、って感じでした」

「まあ、一応六課の副長だしね。でも、僕自身もらしくないと思うよ」

 

たしかに、階級もそこそこあるし前の職場上色々な所で指揮を執って来たけど、よほどの事が無い限り一回だけの雇われ指揮官だったから、長期間、同じメンバーの指揮を執る経験はほとんどない。

もう一つ言うと、年下の子の指揮の経験もほとんどない。僕自身もまだ二十歳超えてないし。

なので、正直結構探り探りやってる。

 

「はやてちゃんも八雲君も初めての事ばかりですからねー」

「だね。まあ、それはなのはとフェイトも同じだけどな」

 

はやては自分の部隊運営が、なのはは長期間の教導が、フェイトは法務の仕事と小隊の指揮の同時進行が、僕は大きな部隊の指揮を任せられるのがそれぞれ初めてだった。

僕達幼馴染4人はそれぞれがそれぞれの夢のためにそれぞれの道へと進み、自然と会う機会が減った。とはいう物の、なんだかんだ2~3か月に一回は皆で遊びに行くし、年に1~2回はアリサとすずかを交えて遊ぶために海鳴に戻ったりもしている。…どこからか、リア充爆発しろの念を感じる。何度でも言うが僕ははやて一筋だ。

まあ、それはそれとして、僕は久しぶりに幼馴染たちと同じ部隊になったのだから、この一年間はきっとかけがえのない物になると思う。そして、その一年が僕達の未来に実りを与える物だとも思う。

 

「でも、ま、どんな立場になっても、やる事は変わらないよ。はやてと一緒にお互いが支え合って歩いていく。それだけだよ」

 

いろんな物が変わっていった10年間で変わらなかった僕の想い。色々な事が変わっていくだろうこれからの未来で絶対に変わらない僕の想い。

 

「違いますよ、八雲君。私達家族皆で、です」

「…だね。よし、今日は僕が夕食作ろうか?」

「楽しみです~♪ 私、ハンバーグが食べたいです!」

「OK、皆の分もちゃんと用意するから、守護騎士の皆を誘って僕達の部屋に来てね」

「分かりました~」

 

リインとこの後の予定を立てて、僕は現場の指揮に集中し直す。

まあ、結局僕が出張るような事態にはならなかった。

途中エリオが列車から落ちるって事態にはなったけど、それ以外は特に大きな問題も無く事件は解決した。

新人たちは僕達が思った以上にしっかりと仕事をこなしてくれた。もちろんなのはの教導の成果もあるだろう。でも、それよりも大きいのは4人の素質、そして自分たちで最前線に飛び込んできた意識だと思う。

これから先が楽しみな子たちだね。

 

夕飯は家族皆が時間を合わせることが出来たので、久しぶりに全員で食卓を囲んだ。やっぱり皆で食べる食事は楽しい。それに近況を聞いていると皆六課に馴染んだいるみたいで良かった。

食事が終わってからサボっていた件のおしおきをはやてから言い渡された。

…『一週間抱き枕の刑』だそうだ。これは厳しい罰だ。主に僕の理性が。

 




初出動…のはずなのに、戦闘シーンが無いって…。

次回はサウンドステージ01、六課海鳴へ行く、です。

新作案がいくつか思い浮かぶ今日この頃。とりあえず、時間がある時に活動報告を上げると思いますので、意見や感想をくれると嬉しいです。
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