魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~ StrikerS編 作:ピーナ
さて、夕食からの買い物から帰って来たのだが…、量が多い。
六課メンバー+アリサとすずか、の分だから、量も多いのは当たり前だ。しかも、約二名凄く食べる。
作る物はカレーにした。ぶっちゃけ、鉄板で何かを焼いて食べるか、カレーの二択だった。
「いやー、約20人分だから、凄い量になったな」
「ホンマやね。まずは具材の下準備からやな。…って、このフルーツたちは?」
カレーに関係の無いフルーツやらが入った袋を指差すはやて。
「それは、アリサとすずかのリクエスト」
「この材料やと…あれやね」
「良いじゃない、久しぶりに食べたかったんだもん」
「私も。中学の頃は結構食べてたよね」
「私も食べるのはなんだかんだで久しぶりやなー」
「「「フルーツパフェ・ウィズ・チョコレートバナ~ヌおいしおいし!」」」
三人が声を合わせてそう言う。長ったらしい名前だが、皆結構気に入っているらしく、結構な頻度で頼まれる。言ってしまえばチョコレートクリームとバナナのタルトをフルーツパフェに入れただけなんだけどね。
ただ、桃子さんにもお墨付きを頂いた一品だったりする。
元は前世の時、模擬店の目玉メニューにするためにテイルズに出てきたこれを作ってみようと思ったのがきっかけだったと思う。もう、10年以上前で記憶が薄れてきている。
「しかし、このコテージ料理に使う物揃い過ぎだろ…」
「アンタが居るから、充実させたのよ。それに、なんだかんだ言ってはやてもなのはもフェイトも料理上手いしね」
「『一家に一人、霧島八雲』だからね」
「ああ、そんな事言われた時期があったなあ。中学の時に」
中学の時、家庭科の授業で僕の料理やら裁縫やらのスキルを見たクラスメイト達が『一家に一人、霧島八雲』と言い出した。
…気付いた時には全校に広がっていた。人の噂の広がる力を舐めていた。マジで知らない上級生に話しかけられたときはビックリした。
「はいはい、昔話はその辺にして、料理始めるで」
はやてが手を叩いてそう言った。
僕達は協力して料理を始める。皆が帰ってくるまでに何とか終わらせたいな。
「八神隊長に霧島副隊長!?」
「隊長たちが自ら料理を!?」
「そんなの私達がやります!」
帰ってきた新人たちがそう驚きの声を上げる。まあ、帰ってきて自分の上司が料理していたら驚くか。
「まあ、時間あったし、やる事も無かったから。それに料理は趣味なんよ」
「ウチの飯は僕とはやてでやってるからね」
「二人の料理はギガうまだぞ。ありがたくいただけ」
「「「「はい!」」」」
「おっ、嬉しい事言ってくれるね。そんなヴィータには後で僕特製のデザートをあげよう」
「ホントに!」
目を輝かすヴィータ。いつもは結構キリっとしてるんだけど、こういう時は容姿相応の反応を見せる。
「八雲君、冷蔵庫の中のあれって…」
「なのは、もう見ちゃったか。そうだよ。アリサとすずかのリクエストでね」
「はやての料理に八雲のデザート、それに翠屋のケーキ…今回の出張任務は豪華だね」
「やったです~」
帰って来たメンバーが続々集まってくる。
「さて、楽しい食事会を始めようか」
「八雲特製のデザートって何なんだ?」
「ふふ、それは来てからのお楽しみやで、ヴィータ」
さて、食事も終わり、お昼の内に市内に設置したセンサーやら何やらの反応街なので、お風呂にしようと話になったのだが、実はここにお風呂は付いていない。以前皆で来た時は夏だったから、水浴びでOKだったけど、今回は水浴びにはまだ早い。
と言う訳で僕達は海鳴スパラクーア、いわゆるスーパー銭湯にやって来た。
「えーっと、大人12人子供3人です。お会計は僕がしとくから先行っておいて」
まあ、風呂なんてあっという間に終わるしね。大体、男性より女性の方が長風呂って相場が決まってるし。
僕が会計を済ませて更衣室に向かうと、何故か皆更衣室の入口に居た。
「どしたの皆?」
「あっ、八雲。あのね…」
事情を説明するフェイト。
簡単にまとめると、フェイトとキャロはエリオとお風呂に入りたい。しかし、エリオは恥ずかしがって入りたがらない。という事だった。はてさて、どうしたものか…。えっと、たしか…。
「よし、じゃあ僕と入るか」
「はい!」
僕はエリオを連れて更衣室に向かう。
『フェイト、後でエリオを子供用露天風呂に向かわす。そこで、拾え。あそこ確か12歳以上の男子は入れないから、丁度良いだろ』
『分かった。…ありがとうね、八雲』
『気にすんな。いつも頑張ってるぶんのボーナスとでも考えておけば良いよ』
はやての苦労を少しでも持てるように頑張らないとね。これもその一環って訳で。
「うーん、しかしここに誰かと来るのは結構な違和感だな」
「そうなんですか?」
「うん。大体来るときは家族みんなで来るし」
「そうなると、男性は副隊長だけなんですね」
「そうだよ。それと副隊長は付けなくていいよ」
「はい。…八雲さんって服の上からだと分からなかったけど、しっかりとした体なんですね」
「まあ、前線の仕事だからね。ちゃんと鍛えてはいるよ」
ていうか、鍛えていないとやってられない。
「…僕も早く大きく、強くなりたいです」
そう呟くエリオ。エリオの出自はフェイトから聞いている。
プロジェクトF。フェイトの母親でもあるプレシアさんも一時関わっていた人造魔導師製造プロジェクト。違法で中止になったはずなのに、今でも裏で続けられているらしい。
そんなエリオをフェイトは研究所から引き取った。
「恩返しとかそういう事?」
「…多分、そうだと思います」
「焦る事は無いよ。この先少しずつ返していけば良い」
時間はどんな人だろうと等しく流れる。大人になるのも強くなるのも、ある程度時間が必要になる。困った事に焦ってもどうにもならない。むしろ焦るとあまりいい事にならない方が多い。
「そういう物ですか?」
「そういう物だよ。特にフェイトは優しいからね。今は頼ってやりな。甘えな。背伸びしたい気持ちも分かるけどね。つーか、エリオは良い子やな」
僕はエリオの頭をついつい撫でる。丁度良い高さにあったし。
大人の気持ちと子供の気持ち、結構相反するものがある。
少し歳を重ねて分かったのは、子供の頃の気持ちって忘れてしまうって事。
『自分も子供の頃があったのだから、大人になっても分かる』と思っていたけど、実際なってみると分からない。今のエリオへの言葉だって、大人であるフェイトの方に立って答えてるし。
「もう子供じゃないんだなあ…」
「? 何か言いました?」
「いや、何も。あっ、そうだ、ここの子供用露天風呂結構景色が良いから行ってこれば?」
「じゃあ、行ってきます」
そう言ってエリオは露天風呂の方に歩いていった。
さて、フェイトに連絡入れようかね。
はやてサイド
「それじゃ、私少し子供用露天風呂の方に行ってくるね」
私達幼馴染組でお風呂を楽しんでいる時、フェイトちゃんがそう言った。
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「そこにエリオがいるって」
「あー…さっき、八雲君が言ったんやな」
「そうだよ。流石夫婦だね」
「ホント、夫婦よね」
「誰がどう見ても夫婦なの」
「昔から知ってる私達は何年も前から夫婦だと思ってるよ」
皆の連続攻撃…もとい連続口撃。お風呂に入っている事を抜きにして私の顔は赤いと思う。付き合い出してから中学卒業するまでの5年とちょっとで慣れたと思ったけど、久しぶりで耐性が無くなっていたみたいだった。
「はやてをからかうのはこの辺にしてちょっと行ってくるよ」
フェイトちゃんはそう言って露天の方に向かった。
やっぱりからかってたんやね。
「で、最近八雲とはどうなのよ」
「どう、って何も変わらへんよ。最近は仕事も忙しいし」
「なるほど、何も変わらず二人はラブラブなんだね」
「…うん」
恥ずかしいけど否定する必要が無いから私は認めた。認めないのなら長引くだけだし。
「じゃあ、最近変わった事とかは?」
「うーん、何かあったっけ…」
「なのは、その辺どうなの?」
「私が知る限りだと今までと変わらないと思うよ」
六課が始まっても何かが変わったって事は無い、と思う。いや…
「あっ…」
思い出した最近二人だからやってる事。でも、それを言うのは凄く恥ずかしい。からかわれるのとは比にならない位。
「その反応は何かあるわね。言っちゃいなさいよ~」
そういうアリサちゃん。
昔、八雲君が「アリサは本当好奇心旺盛娘だからグイグイ来るよな」と言っていたが、その通りだ。
ただ、アリサちゃんは相談した時真摯に聞いてくれるし、ちゃんとその相談の答えを出してくれる。頼りになる親友だ。
…ホンマ、なんで彼氏おらんのやろ? 美人、気は強いけど優しいし、才色兼備を具現化した子やのに。周りの男は見る目が無いな。
八雲君は「いや、アリサは、いやすずかもだけど男としてハードルが高すぎる。『高嶺の花』って言葉がピッタリくるし」と言っていたけど、二人とも女の子なのだ。気にしすぎだと思う。
まあ、二人とも「まだ、別に彼氏とか良いかな。勉強したい事いっぱいあるし」と言っていたんやけど。
「…しょに……ろ…てる」
自分の物とは思えないほどのか細い声が出た。音が響くお風呂でも聞こえなかったらしく、
「もう一回お願い」
そう言ってアリサちゃんは近付いてくる。アリサちゃんだけじゃなくて、なのはちゃんとすずかちゃんも近付いてくる。
「一緒にお風呂入っています…」
「…マジ?」
「…マジや」
「…きっかけは何なの?」
「…最初は、疲れてボケとった時にお風呂入ったら八雲君が居ったんよ。でも、最近は出来る限り一緒に居たいからやね」
同じ部隊と言ってもお互い忙しくて、一緒に居れる時間は案外少ない。と言ってもそれより前よりは増えたんやけどね。
「ホント、何時になったらアンタ達は結婚するのよ…」
「うーん、それは分からんなあ。今年はちょっと無理っぽいし。まだ、焦る事はないやろ。私達まだ二十歳にもなってへんし。それより…」
「それより?」
「私はそこに居る、4年も片想いしとる子の方が早よしろと思うんやけど、どう思う、二人とも?」
さて、ここから私の反撃のターンやで。
「たしかにねえ。なのはとユーノも何時くっつくのか焦らすわよね」
「もう出会って10年になるのにね」
「あうう…」
なのはちゃんは口までお湯に浸かってぶくぶく言わせてる。まだ、こういうのに耐性が無いから顔は真っ赤だ。付き合ったらこれでは済まんのやで。
「…ていうか、ぶっちゃけあっちはどうなのよ?」
恥ずかしがって周りに気の行ってないなのはちゃんを置いておいて、アリサちゃんは私に聞いてきた。
「ユーノ君もなのはちゃんの事は好きみたい。でも、付き合い長すぎて言い出すタイミングが分からんのやって」
八雲君曰く「僕達幼馴染ってかなり仲良いだろ? ユーノとなのはも。『友人』『幼馴染』って関係が心地良いんだよ。その先に踏み出す勇気が無い。なまじ、この関係が長くなった事でな」と言っていた。
私達も近い感じがあるから分かる。
ただ私達の場合は、「もう、ほとんど結婚ようなものだし、別にこのままでも良いんじゃないかな?」みたいな事やけど。
ちなみに、私達はこれを解決する方法も思いついたが突拍子も無く、あり得ないから笑い話になった。
「まあ、恋愛なんて人それぞれのペースで進めるしかないんちゃう?」
「出会って半年で付き合うのも居れば、十年経っても恋人にならないのも居るしね」
「ウチのお姉ちゃん達みたいに、中々結婚しないカップルもいるしね」
「あはは…耳が痛いわ」
「はやてちゃん達は年齢的にまだ早いくらいよ。でもお姉ちゃんと恭也さんは全然身を固めててもおかしくない年齢なのに二人で仕事してて結婚する様子もないし」
「私と八雲君の近い未来が見えるわ…」
まあ、私達も忍さん達も本人が幸せなら良いとは思うんやけどね。
…しかし、お仕事中やのにこんなに気が抜けとってええんやろうか? でも、八雲君なら「はやては普段から頑張りすぎ。少しは気抜いていく方が良いよ」とか言いそうやな。
自分ではよく分からんけど、私の事をよく見ててくれる八雲君が言うならそうなんだろう。なら、今の状態は私にとって悪くないって事やね。
予定では海鳴篇は二話で終わる予定だったのですが、長くなりました。
フルーツパフェ・ウィズ・チョコレートバナ~ヌおいしおいしはちょっとビバマガでレシピが乗っていたのでネタとして使ってみました。