ニヤニヤしながら見てください(笑)
春眠暁を覚えずという言葉がある。春の夜は寝心地がよく朝が来るのを忘れ、寝過ごしてしまうという意味だ。今は桜はとっくに散って桜の木には緑の葉が存在感を示しているけど。
「寝過ごした……」
昨日あず姉に相談してモヤモヤが少し解消されたのはいいけどそれのおかげか深い眠りにつき過ぎてしまった。
「10時って…完璧寝坊だよ。純たちの朝ごはんつくってないし…」
幸い今日は土曜日で学校はない。だけど親は仕事で、弟たちはお腹を空かせているはずだ。そんななかで私一人ぐっすり眠っていた私は多少の罪悪感が込み上げてくる。
「ごめんねほんとに……」
なんて独り言を呟き階段を降りる。リビングの扉を開けとっくに起きているであろう純と沙南に「ごめんね」と謝ろうとしたがふとリビングが賑やかなのに気がついた。
「あはは!まさ兄もう1回!もう1回やって!」
「沙南も!沙南も!」
「よーし!捕まってろよ2人とも!そりゃよ!」
「「きゃははは!」」
「ま、雅紀!?」
リビングには純と沙南がなぜか家にいる雅紀の腕にしがみついて遊んでいる。
「おー沙綾起きたか。おはよう」
「お姉ちゃんお寝坊さん!」
「おはよう。ってそうじゃなくて!なんで雅紀が?」
「ん?ああ、今日部活休みなんだけど早く起きちまって部屋に閉じこもんのもどうかと思った結果山吹家に遊びに来た」
「なるほど…ってそれよりも!」
私は朝ごはんを作れなかったことを2人に謝る。すると2人は笑顔で言った。
「まさ兄が作ってくれたよ!沙南まさ兄のご飯好き!」
「え、雅紀が作ってくれたの?ごめんね。部活で疲れてるのに迷惑かけちゃって」
「別にそれくらい平気だ。沙綾の方が家の手伝いで疲れてるだろうし頼るときは頼ってくれ。沙綾の分もあるからちゃんと食えよ?」
「あ、ありがとう…」
「まさ兄のご飯姉ちゃんと同じくらい美味かった!」
「そっかよかったね!ちゃんとお兄ちゃんにお礼言った?」
「うん!まさ兄また作ってね!」
「またいつでも言ってくれな?兄ちゃん飛んでくるから!」
「「うん!」」
2人の無邪気な笑顔は雅紀と私にとって疲れた体にとても効果的で癒される。私はテーブルの椅子に座り雅紀が作ってくれた朝食に手を伸ばす。スクランブルエッグに箸を入れ口に入れた。
「お、美味しい…」
「それはよかった」
家事スキルにも抜かりないとは女である私としてはなぜか負けた気がして悔しかった。
「ああ、そういえばおばさんが今日は私が晩ご飯作るから沙綾は1日体をしっかり休ませないってさ」
「そっか…なんだか頼りっぱなしだね私」
「別にいいんじゃないか?おばさんたちも大変だろうけど最近調子良いみたいだし、しょっちゅう怠けてる訳じゃないしバチが当たるかよ」
「それならいいけど…」
「まさ兄!遊び行こ!遊び!」
「沙南も行く!」
「こら2人ともお兄ちゃんに迷惑かけたらダメだよ」
「大丈夫だよ沙綾。よし2人とも遊びに行くか!」
「「うん!」」
この3人見てると兄弟妹っていうより親子に見えるんだけど。ってなると私はお母さん…?いや何言ってるんだろう私は。
「ん?沙綾なんで顔赤くなってんだ?」
「なってない!!」
「なってんじゃん」
「そ、それより!2人とも車には気をつけて行くんだよ?」
私は話を無理やり変えて2人に注意を促す。
「お姉ちゃんも行こうよ!」
「私も?」
「うん!お姉ちゃんとも遊びたい!」
「いいんじゃねえの?4人でどっか行こうぜ?」
「んー、分かった。支度するからちょっと待っててね!」
私は食器を片付けてから身支度を整えてリビングに戻ってきた。
「じゃあ行くか」
「うん!」
「楽しみ!」
出かける前にお店の中に行って2人に出かけることを伝えるとお母さんは「なんだか親子みたいね」なんて言い出してまたからかわられた。バイトの人も「デート楽しんで」なんて言うから顔が熱くて仕方がない。お父さんはなぜか泣いていたけど。
「よし!2人ともどこ行きたい?」
「水族館!」
「水族館!」
「水族館か〜この辺あったっけ?」
「確か電車で何駅か進んだところに新しくできた気がするよ」
「じゃあそこ行くか!」
私たちは近くの駅で切符を購入して水族館へと向かった。道中私と雅紀の間に純と沙南を挟んで手を繋いでいたら沙南に「お姉ちゃんとまさ兄お父さんとお母さんみたいだね!」と爆弾発言。雅紀は雅紀で「じゃあ2人は兄ちゃんたちの子どもだな」なんていうから恥ずかしくて仕方がなかった。
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3駅分電車に乗ってそこから徒歩10分近くで今回のメイン水族館へとやってきた。
「チケット買ってきたぞ」
土曜日ということもあり、人が多い。雅紀が混雑するかとチケットを1人で買ってきた。
「ありがとう。いくら?」
「いいよこのくらい。貯金山ほどあるし、普段金使わないから使い道こんな時くらいしかないからな」
3人分の値段を聞いたら雅紀に軽くあしらわれた。それでも納得しない私はお昼を奢ることで雅紀はしぶしぶ納得した。
「わーお魚さんがいっぱい!!」
「美味しそう……」
「じ、純ヨダレ出てるから…ていうか食べれないから!」
「それにしても水族館なんて懐かしいな」
中に入るとそこには大きな水槽にいる沢山の魚が目に映った。そういえば水族館に来たのは小学低年の時に私と雅紀の家族で来た以来だったっけ?雅紀が大きいサメを見て泣いていたのを今でも覚えてる。
「雅紀はもうサメさん怖くないのかな〜?」
「なんでそんなしょうもないこと覚えてんだよ…ていうかサメさんはやめろ」
雅紀をからかうと顔を赤くしてツッコミをいれる。私はそれがおかしくてつい笑ってしまった。
「あっちにも沢山いる!」
「こら沙南!はぐれちゃうから手繋いで行くよ!」
さすがにこんなところで迷子になられては困るし私たちは周りに迷惑がかからないように、2人ずつ手を繋いで館内を歩いた。
館内を歩いて暫く、雅紀はある看板を見ていた。
「お、もうすぐイルカショーがあるみたいだぞ?」
「見たい見たい!」
「あと20分くらいだしもうちょっとしたら行ってみるか」
「「うん!」」
息が合うように返事をする2人に私は笑みをこぼす。いつの間にか大きくなった2人だけど心はまだまだ子どもだなと思った。
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それからそろそろイルカショーが始まる時間になってきたから私たちはショーがあるブースへとやってきた。
「前の席ががいい!」
「いいけどイルカさん水飛ばしてきてびしょ濡れなっちゃうぞ?」
「う、じゃあ後ろがいい」
「ははは!純が濡れないで見えやすい席に行こうな」
雅紀は純に優しく微笑んで頭を撫でながらそう言う。雅紀って小さい子の相手をするのがとても上手い。従妹にあこがいるからのもあるのか年下相手にしっかりしている。
「ここがいいんじゃない?」
「そうだな。純、沙南ここでいいか?」
「濡れない?」
「絶対とは言えないけどびしょ濡れにはならないと思うよ」
「じゃあここにする!」
沙南はそう言って椅子に座る。私と雅紀も2人を間に挟んで座った。席に着くとショーはすぐに始まった。
『みなさ〜ん!今日は来てくれてありがとう〜!イルカさんたちも喜んでるよ〜!』
女のスタッフさんがそう言うと3匹のイルカが高くジャンプして水しぶきをあげた。
「すごい!すごい!」
「イルカさーん!」
2人はとても楽しそうにショーを見ていた。雅紀の方をチラっと見ると小さい男の子みたいにはしゃいでいた。
途中でイルカがこっち方面にきて高くジャンプする。当然水しぶきはこちら側に飛んできて前の人たちはかなりびしょ濡れになっていた。宙を舞った水は私たちの所にも多少飛んできて服に軽く水がついた。
「うえ〜」
「あちゃ〜はい、ハンカチだよ」
ハンカチを純に渡して顔をと服を拭かせた。
「濡れちゃった……」
「さ、沙南?主語と述語をちゃんと使わないとなんか変な意味になってるからな?」
「ん?どういうこと?」
「雅紀!何言ってんの!?」
「わ、悪い」
悪気はないんだろうけど雅紀って本当に天然なところあるから今みたいな。
それから数分してショーは幕を閉じた。2人はテンションMAX状態プラスいい歳した青年1人もテンションMAX状態だった。
「沙南お腹減った〜」
「もう昼だしな。食堂で昼飯にするか」
「そうだね!あ、ここは私が持つからね!」
「はいはい」
私たちは食堂に足を進めた。食堂につくとそこは結構人がいて席を確保するのに大変そうだった。
「席取るのも大変そうだね〜」
「沙綾、俺が席取っとくから3人で買ってこいよ。俺はなんか適当なの買っといて」
「分かった。2人とも行こうか」
「沙南もまさ兄と待ってる!」
「え?それでいいの?」
沙南は昔から雅紀のこと大好きだからねえ、少しでも一緒にいたいんだろうね。
「うん!」
「じゃあ沙南はお子様ランチでいいかな?」
「それがいい!」
「じゃあ行ってくるね」
私と純はフードコーナに行こうとした。だけど私は足を止めてしまった。なんと沙南が雅紀の腕にだきついていた。まるで恋人のように。
「まさ兄行こう?」
「どこが空いてるかな〜って沙南暑いんだけど?」
「迷子になっちゃうから…」
「手じゃだめなの?」
「だめ」
「はあ、まあいいや。席探すぞ〜」
「…うん!」
んー?あれ?沙南ってもしかして雅紀のこと異性として好きなの?あの顔思いっきり恋をしてる乙女の顔だよ。確かに雅紀は沙南にとても優しいけど恋に発展しちゃうとは……でも私だって雅紀のこと……。
「お姉ちゃんまだー?」
「ご、ごめんごめん行こうか」
とりあえず今は忘れよう。私はフードコーナーへと向かった。
「お姉ちゃんこれ美味しい!」
「よかったね、沙南」
「お姉ちゃんのちょっとちょうだい?」
「いいけど純、自分の分食べれなくなっちゃうよ?」
「食べれるよ!」
「じゃあはい!」
「美味しい!」
「純、口にケチャップついてる。取ってやるから顔こっち向けてみ?」
「ありがとうまさ兄!」
4人で賑やかに食事をする。雅紀が優しい顔をしてケチャップ拭いてあげてる姿見るとドキッとしてしまう。
こういう姿を見るだけでドキッてしてしまうって本当に雅紀のこと好きなんだなあ私。
「沙綾、ご飯粒ついてる」
「え?私も!?どこ?」
「ここ」
「んー取れた?」
「いやまだ。ったくこれだよ」
そういって雅紀は手を伸ばし、私の口元についてるご飯粒を取った。
「沙綾もまだまだお子様だな」
そういうと雅紀は手に取ったご飯粒をパクッと食べてしまった。
「あ、ありがとう//」
「お姉ちゃん顔赤い」
「う、う〜//」
「まあいい歳してこの醜態は恥ずかしいよな」
その理由で赤いわけじゃないんだけど…あんまり考えないようにしてたけどやっぱりダメだよ。
私は雅紀がやっぱり好きだ。でも今はダメ。それを伝えるのはもうしばらく先の話にしよう。
1話で終わらせるつもりが思ったより長くて前半、後半に分けることにしました。
ニヤニヤはまだ続きそうです。みんなはどうでしょうか。
多分ニヤニヤしてるのは自分だけでしょうね(笑)