夢を追うあなたのそばで   作:夜助

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ホント最近寒い

皆さんも風邪ひかないように気を付けてくださいね。


立ちはだかる壁

全体アップを終え今はキャッチボールの最中。俺は快斗とペアを組み肩を十分に暖める。

 

「辞め!集合!」

 

『はい!』

 

主将の合図で監督の元へと走る。

 

「じゃあ今からシートノックに移るから。内野手メンバーはボール回しから。外野手は宇津木先生にノックを打ってもらってから連携プレーに入る。それ以外は基礎トレーニング」

 

『はい!』

 

入部初日からいいところを見せようとした俺だが待っていたのはまさかの基礎トレーニング。才のあるやつを使わないとはな。こういうのって宝の持ち腐れって言うんだっけ?

 

俺はため息を吐きながらトレーニング場へと向かう。

 

「おい、待て」

 

「はい?」

 

俺を呼び止めたのは他でもない監督の木原監督だ。見た目からして還暦を迎えるくらいの感じだ。

 

「お前さん名前は?」

 

「萩野雅紀ですが」

 

「萩野…そうか、呼び止めて悪かった。早く行け」

 

「は、はい」

 

なんだったのだろうか。聞こうとしたが監督は違うところへと行ってしまった。

 

「おやおや。挨拶では大口叩いてたやつが隅っこで基礎トレーニングとはマヌケもいいところだね」

 

嫌味ったらしく言ってきたのは小坂雅人。どうでもいいが腹が立つ。もう1回滅多打ちにしてやろうか。

 

「まあ、初日なんてそんなもんだろうよ。それよりいいところ見せようとしてマヌケなプレイだけは辞めてくれよ?笑いすぎて息できなくなるかもだから」

 

「くっ!それはメンバーになってから言いたまえ!」

 

逃げるように去っていった小坂を見送り俺はトレーニング場へと向かった。

 

「遅いぞ雅紀」

 

「悪い悪い。しかし困ったな、この調子だとまともに野球が出来るのは当分先だぞ?」

 

「そうなんだよな。それに加えてお前は生意気な口聞いたしな」

 

ぐうの音も出ない事を言われ少し落ち込む俺。そんな生意気だったか?

 

「せめてアピールする場面さえあればいいんだけどな」

 

「それならいいのがあるぞ」

 

「なんだよ」

 

「今週の日曜日に2、3年生と俺たち1年で紅白戦があるんだよ。まあ所謂、歓迎会みたいなやつだな。その試合でいい選手を探すってのが監督たちの考え方らしい」

 

なんか前に読んでた野球漫画に出てきたやつみたいなことするんだな。だけどそれを聞いて俺はやる気がみなぎってきた。

 

「なるほどな。じゃあそれまでに俺のボール完璧に捕れるようになってくれよな」

 

「……努力はする」

 

その後俺たちは基礎トレーニングを永遠とし、全くもって楽しくない高校野球初日を終えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま」

 

「お帰りまーくん!もうお姉ちゃん寂しくて堪らなかったよ!」

 

案の定、家の玄関を開けたら姉ちゃんがラグビーか思わせるほどの勢いで抱きついてきた。

 

「姉ちゃん、分かったからとりあえず離れて。後、お客さんいるから」

 

「ほえ?お客さん?」

 

「ど、どうも…お邪魔します」

 

「まーくんこの子は?」

 

「こいつは西島快斗。俺とバッテリー組むやつ。快斗、この人が俺の姉の萩野梓。一応陸上部のエース」

 

「梓です!一応エースしてますってまーくん!一応は失礼すぎるよ!」

 

「ノリツッコミなんていつの間に覚えたんだよ。ていうか今から庭使うからちょっとうるさいかもだけどよろしく」

 

「ん?投げるの?」

 

「そう。日曜日に歓迎試合があるらしいからそれまでに快斗に俺のボール捕れるようになってもらうから」

 

唐突だが、うちにはかなり大きな庭があって庭の真ん中にピッチャーマウンドとホームベースが装備されてる。俺が小学校のころ父さんが作ってくれた手作りブルペンだ。

 

「私も行っていい?久しぶりにまーくんが投げる姿見たいなあ」

 

「いいけどそこまで投げないぞ?近所迷惑なっても困るし」

 

「いいのいいの!まーくんが見れるだけでいいから!」

 

「なんじゃそりゃ。んじゃあ快斗リビング行くぞ」

 

「お、おう」

 

快斗とリビングに向かう。途中耳打ちで「かなりのブラコンだよな」と言われ違うと言えないのでため息をついた。

 

 

「じゃあ座っていいぞ」

 

「おう」

 

キャッチボールを終え、本格的にピッチングへと移る。

 

「ストレート」

 

「よし!」

 

指先に全神経を集中させ、潰す様にボールを投げる。ボールは上に上がるように軌道を変えてミットへと向かう。

 

バスッ!

 

だいぶ捕れるようになってきたが、音が悪い。ミットも動きまくりだ。

 

「難しいな。スピードもあるから普通に捕ってたら間に合わない…やっぱり軌道を予測するしかないな…」

 

「もう一球」

 

パーンッ!

 

今度はいい音が鳴った。ミットも動いてない。誰が見ても完璧なキャッチングだ。

 

「西島君凄いね!」

 

「あざす!ん」

 

「次コース分けするぞ。まず右打者インローにストレート」

 

快斗を右打者のインコース低めに構えさせる。このコースに完璧に投げ込むことが出来れば打者は体が開いてファールになるか、三振だ。

 

指先に力を入れボールを投げる。ボールゾーンからストライクゾーンに向かってボールが来る。下手に捕ったら突き指をするだろう。

 

パーンッ!

 

今度は1発でアジャストした。だいぶ目も慣れてきたようだ。

 

「次から変化球入れてくから。インローにスライダー」

 

 

それから俺たちは30球ほど練習をし、今日は終わりにした。

 

「お疲れ様!はい、タオル。西島君もどうぞ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「やっぱりまーくんが投げる姿かっこいいよね、見て見て」

 

そう言って姉ちゃんはいつの間に撮ったのか分からないスマホで撮影した動画を俺たちに見せてきた。

 

「快斗まだ体に力が入ってるな。力を抜いて楽な状態だとボールにも反応出来るぞ。あ、今のは良かった」

 

「動画を見ると良いところ悪いところがはっきりわかるんだな」

 

3人で動画を見ていると後ろから母さんが話しかけてきた。

 

「西島君、今日晩御飯食べて行く?」

 

「え、いや悪いですよ!急に来たのに食事までなんて」

 

「1人増えるくらい大丈夫よ。ね?食べて行きなさいよ」

 

「快斗、あの状態の母さんからは逃げられないから」

 

「じ、じゃあ…ご馳走になります」

 

快斗の了承を得た母さんはスキップしながらキッチンへと戻っていった。

 

その後も姉ちゃんが撮った動画を見たり、ゲームしたりで時間を潰し、晩御飯をみんなで食べた。快斗は母さんから質問攻めに困惑していたが楽しい時間になった。

 

「じゃあ、僕はこれで。晩御飯ご馳走様でした」

 

「いえいえ、またいらっしゃい」

 

「おう、明日もやるからな」

 

「試合までには完璧にしないとな」

 

「そういうことだ。またな」

 

そう言って俺は部屋へと戻る。階段を登ってる途中、玄関で母さんと姉ちゃん、そして快斗の話し声が聞こえて俺は聞く耳を立てた。

 

「西島君、ありがとうね」

 

「え?何がですか?」

 

「雅紀のこと。雅紀に野球をまた始めさせてくれてありがとう」

 

「私からもありがとう」

 

母さんと姉ちゃんは礼を言うと頭を下げた。

 

「い、いえ!そんな頭を上げてください。僕は雅紀と野球がやりたいと思って誘っただけですから」

 

「中学の時の話は聞いたと思うけど、当時のあの子を見てたらとても辛そうで私たちじゃどうしようもなかった。だけどまた野球を始めてくれた。私はそれがとても嬉しいの。最近の雅紀、とても楽しそうなの」

 

「……雅紀は、凄い才能だし当時の異名『神に選ばれた子』というのも納得は出来ます。」

 

だけどと快斗は話を続ける。

 

「本当は野球が好きなただの野球少年なんです」

 

「………」

 

「昔のあいつは周りの機嫌をとるために野球をやってたんだと思います。だから伝えたいんです。野球は誰かのためにやるものじゃない、野球は楽しくて、夢があって、自分自身のためにやるスポーツなんだって」

 

「ありがとう。中学のときも西島君がそばにいてくれたら良かったのに……」

 

「はは、そんなのタラレバですよ。俺は中学の時があったからより野球を楽しく感じることが出来てるんだと思います」

 

「ふふふ、西島君本当にありがとうね。またご飯食べに来て!」

 

「はい!またお世話になります!」

 

「西島君、連絡先交換しない?」

 

「は、はい?萩野先輩?」

 

「まーくんの情報交換とかしたいし?それにこんな可愛い先輩の連絡先持ってて損はないでしょう?後、萩野先輩じゃくて梓でいいよ」

 

「は、はあ、じゃあせめて梓さんで。まあここで断るのも変ですよね」

 

「ありがとう!じゃあね西島君、日曜日の試合私も応援行くから!」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

快斗は、ありがとうございました。お邪魔しました。礼を言い帰っていった。さっきの話を聞いて俺は改めて周りに恵まれていると感じる事が出来た。

 

来週の試合は今までの感謝を込めて、最高のピッチングをしよう。まあ出れるかは分からないけど。

 

そして1週間、快斗と毎日練習をしてほぼ完璧に捕れるようになった。そして歓迎試合当時。

 

「とうとうこの時が来たな」

 

「そうだな。長かったような短かったような…」

 

「快斗、ありがとうな。俺に付き合ってくれて今日は全力を尽くして2人でメンバー入りしようぜ!」

 

「ああ!」

 

「集合!」

 

「はい!」

 

主将の号令で、全員が監督の元へと走って駆けつける。

 

「今日は2〜3年生と1年生の歓迎試合だ。1年生は実際にプレイをする事で先輩の実力を身をもって感じて欲しい。2〜3年生は1年生だからと言って手を抜いていたら痛い目見るからそのつもりで」

 

「はい!」

 

「じゃあ上級生組のスターティングメンバーを言う。先発はエース新田。キャッチャーは牧田」

 

「はい!」

 

「はい!」

 

新田さんがこのチームのエースだ。3年生で右の本格派。球速はMAX142キロ。するどく落ちるフォークで三振を稼いでいるらしい。

 

「以上が上級生のスタメンだ。次、1年生。先発は萩野」

 

「はい!」

 

まさかの先発だった。これは俄然やる気が出てきたな。

 

「キャッチャーは森田」

 

「はい!」

 

快斗じゃないのか。まあ監督たちは俺たちの実力を知らないし仕方ない。俺が快斗をキャッチャーボックスに引きずり下ろせばいいだけだ。

 

「以上。試合は30分後、チーム内でミーティングをして作戦を練ろ!試合前ノックをしながらグラウンド状況をしっかり確認しとけ!」

 

「はい!」

 

「解散!」

 

それ以降チーム内で行動をとる。俺は快斗のそばによって話しかけた。

 

「大丈夫だ。すぐにお前とバッテリー組ませるようにするから」

 

「どうやってだよ?」

 

「俺に考えがある。ちょっと汚いけどな」

 

「は?」

 

俺たちの運命を決める試合は目の前まで近づいてきた。

 

 




次はガチガチのゲーム内容を書いていくのでちょっとつまらないかもです?

でも面白くなるようにしていきますので宜しくお願いします!
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